ディスカバリ・サービスのデザインについて:Cute.Catalog (1)

Cute.Catalogの公開にあたり、ディスカバリ・サービスがどのような考えのもとにデザインされているのか、何回かに分けて説明していきたいと思います。
ではまずは、Cute.Catalogの発想の原点から説明いたします。

利用者志向で発想しています。

いままでのOPACの発展型ではなく、オープンソースのeXtensible Catalogをベースに、下記の課題を解決できる検索インタフェースをつくるにあたって、GoogleAmazonなど、広く一般に親しまれ、利用者により好まれている検索サービスから発想を得ています。

従来のOPACを多くの利用者はどう使っていたでしょうか?
  • 図書館員の想定どおりに使ってくれない。いろんな機能があるのに・・・
    • それはOPACがわかりやすくデザインされていなかったからです。
    • しかし、図書館がデザインをしなおしたいと思っても、ベンダが提供するパッケージのOPACには限界がありました。
  • 使い方や見方を図書館員が教えなければならない・・・
    • 全員に基礎知識をつけてもらうのは大変です。それに、講習会のときは覚えてくれますが、いざ本当に使う時に忘れていたりします。
    • GoogleAmazonは、使い方を覚えなくても使えます。そもそもウェブの検索サービスで詳細検索や検索記号はまず使いません。OPACのログをみても、高度な検索はほとんど使われていません。
  • 紙の資料の入手に必要なのは、「所在」と「請求記号」。でも長い資料IDやISBNをわざわざメモっている人がいる・・・
    • 「請求記号」等の呼び方が専門用語でなじみにくいものでした。
    • 入手に必ずしも必要でない図書IDやISBNなどが平板に表示されていて、必要な情報がどれかわかりにくかったようです。

必要な資料を「発見」し、「入手」するまでの情報を段階的に提供します。

FRBRでモデル化されている"利用者タスク"の4段階(発見・識別・選択・入手)を考えて、それぞれの段階で必要な情報を優先的に、豊富に提供できるようにしています。

  • 発見
    • 表紙画像を表示し、検索結果は書架でブラウジングする感覚で一覧できます。
    • 一覧表示は関連度順(まだまだ改良の余地はありますが・・・)に表示されます。
  • 識別
    • 図書・雑誌・論文・博士論文などの資料種別や、版情報は、検索結果一覧でわかりやすく表示しています。
  • 選択
    • 件名の無い書誌にも分類から自動的に主題を付与。ファセットで直感的に絞り込めます。
    • 抄録(内容・目次)、Amazonのカスタマー・レビューなど、たとえば書店で本を買うときに参考にするような情報を追加しています。
  • 入手
    • なるべくシンプルに、所在や入手可能性の判断に必要な情報を優先して表示しました。(注記などは、値があるときの方が少ないので、iマークにオンマウスしたときのみ表示しています。)*1
    • 思い切って「請求記号」を「所在記号」と呼び換えて、専門用語を覚えなくても理解できる表現をこころがけました。(呼び換えにあたっては、学生アルバイトさんの意見を参考にしています。)
参考

【天野】

*1:返却予定日をiマーク内に表示していましたが、「利用状況」欄に常時表示されるように変更しました。2011.12.27