阪大.

10月1日に阪大に着任した.理研はしばらく兼務させていただく.

こんなに長期間、研究をすっぽかしたのは初めてだ.9月の末に引っ越してからそろそろ一ヶ月になる.大阪への引っ越し、阪大着任、講義や会議、その合間に理研の研究室運営と研究員会議代表幹事などの仕事、パリティ、などなどをこなした.いろんなことが有りすぎて、頭の中がまだ整理されていない.

その一ヶ月の間にも、論文を出し理研科学講演会やYKISなどで講演もやり、youtubeに動画を公開した.そう言う意味で、一ヶ月研究できなかったからと言ってあまり焦りは無い・・・と言ったら完全に嘘になる.この一ヶ月、アレとコレの計算をしたい、とずっと思っていたが、全く体と心が着いて来なかった.

今日、なんとなく一段落した気がようやくして、まだ何も無い阪大の部屋で、机の上に散乱した講義や会議関係の書類を片付け、計算を始めた.なんと手が喜んでいることか!!頭に染み入る式が嬉しい.ずっと、コレを知りたいと思っていたことは、簡単な式になって目の前に結果として現れた.なにー?!っちゅう結果なので、これからよく考えねばならない.

阪大の研究室にはだんだんとなじんできているような気がする.毎日食事を共にして、院生ともちょっとずつ話をする.いろんな人のおかげで、なんとかスタートできた感じだ.これから、研究室での試みも始まるし、共同研究が進めば嬉しい.

慣れない講義も、なんとなく形になってきたような気もする.今年ばかりは準備は自転車操業にならざるを得ない.始めに全部用意してしまいたいと思ったが、結局、学生のレスポンスを見ながら進度や難易度を決めていかねばならないので、自転車操業にならざるを得ない.それでも、ようやく数週間分は準備が貯まったので、今日は研究の計算をやろうとようやく心が傾いた.今後はうまくバランスをとってゆかねばなるまい.

中性子星の研究は楽しい.思いついたアイデアがどこまでこの宇宙で実現しているのかと思いを馳せると、どんどんと引き込まれる.衛藤君と初田さんと書いた論文は、まだ序章に過ぎないと思っている.review論文を執筆中だが、それも今日、再開した.


理研と阪大は、24時間テレビ会議でつながっている.テレビ会議システムを、テレビ会議のために使うのではなく、空間の時空連結のために使うという発想は、理研と阪大を兼務されていたある方のアイデアの拡張.まさにそこに人が居るような感覚に陥る.この手法がうまく機能するかどうかは、今後時間を見てゆかなければならない.少なくとも、何も無い阪大の部屋に、今唯一ある、かっこいい機械になっている.

部屋の入り口に、僕の似顔絵のシールを貼ってみる.youtubeの動画も、勝手に目標と決めた5000viewに近づこうとしているようだ.パリティでも、楽しい企画が進むことになった.中性子星の研究論文のおかげか、色々なところで講演に招待していただいている.研究をどんどん進める動機がようやく大きくなってきた.一ヶ月、ようやった、と自分と家族を褒めよう.

黒板が欲しい.