法務スラング

 当市には、法規担当者の内部でしか通じないテクニカル・タームが、いくつか存在します。



【固定客】
…以前一緒に仕事をした人が、別の案件になっても、必ず自分のところに相談を持ち込んでくること。また、その人。頼りにされるのは嬉しいし有り難いが、着実に仕事は増える。
(用例)
「最近、○○さんがD-lizさんのところによく来てますね。何か難しい問題でもあるんですか?」
「あー、全部別件の相談です。っていうか、私の固定客なんで」

【協議済み】
…起案文書や会議資料に散見される文言。もちろん、実際に協議が済んでいる事例は皆無。
(用例)
「この間、規則改正の打ち合わせしてて、『こことここについて再検討してね』って言って返して、しばらく音沙汰ないなあと思ってたら、いきなり回議文書回ってきてさー。しかも『協議済み』になってんのよ。お前俺の指摘事項何も検討してないじゃんって」
「それくらいならいいじゃん。俺なんか、階段ですれ違い様に『今度条例改正やるからよろしくー』『あいよー』って話したら、『協議済み』にされちゃってたよー」

【厚生労働語】
…特定の省庁から発せられる通知文書が、専門用語ばかりで、一般人には読み下せない様を揶揄した表現。
(用例)
「この住宅手当緊急措置事業の通知、何書いてあるんだか全然分かんないんですけどー」
「どれどれ。これはひどい厚生労働語ですね。翻訳して差し上げましょうか」

【北村説ならOK】
…北村説とは、北村喜宣・上智大学法学部教授の学説全般を指す。国の法令と自治体の条例とが抵触する危険性を感じたときに、自らを励ますために呟く言葉。
(用例)
「これって、いわゆる『横出し条例』でしょ?もとの法律と抵触しないの?法律の規制目的確認した?」
「……北村説ならOK」
「マジかよ」
(類語)【阿部説ならそもそもそんな問題は生じない】