グローバル化の中、日本人はアジアの若者に勝てるのか?

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 今週DCECではまた面接をしています。今週面接をしたのは、
イスラエル人女性、バングラデッシュ人とトルクメニスタン人男性の3人。

私もいろいろな国の人と話をしていますが、この三カ国の人と話す
のは初めてだったのでとても楽しみにしていました。

いかがですか?
あなたはこの中のどこかの人と話したことがある人はいますか?

また、あなたはこの三カ国の人たちに対しどの様なイメージをお持
ちですか?

たとえば、あなたが同じ会社の同僚としてこの人たちと競争する事
になったら、どんな感じでしょうか?

きっと日本人が一般的に持っているイメージであれば、ビジネス
だったら日本人の自分の方が勝てるだろうと思うのではないでしょ
うか?



たしかに、日本の中で日本人を相手にし、日本語だけを使ってのビ
ジネスだったら大丈夫かもしれません。


でも、グローバルビジネスではかなり厳しくなるでしょう。

「え! どうして?
だって、アメリカ人やドイツ人などの欧米人には負けるかもしれな
いけどバングラデッシュって世界の最貧国の一つですよね。」

日本人が一般的に抱く感覚はこのようなものでしょう。
実はこのようなイメージを抱くこと自体がグローバル化に乗り遅れ
ている事を表しています。


なぜか?
ちょっと具体的に彼ら3人の経歴などをみていきましょう。


まず、彼らは3人とも英語力はネイティブ並です。
筆記テストもらくらくパスし、エッセーのライティングと面接でも
その英語力が高いことは良くわかります。

そして3人とも修士もしくは博士です。

例えば、トルクメニスタンの彼は、今、文部科学省奨学金を得て
筑波大学の大学院で学んでいますが、日本以外にアメリカとハンガ
リーの奨学金もパスし、その中から日本を選んで留学してきていま
す。

3人ともアメリカやイギリスで多国籍の人たちと一緒に学んだり、
働いたりした経験があります。

バングラデッシュ人の彼は、今筑波大学の博士課程で学んでいます
が、その前はアメリカの世界的に有名なNPOでDEPUTY MANAGERとし
て活躍していました。

イスラエル人の彼女は、大学院で修士をとったあと、先生をやって
いますが、イスラエル、イギリス、アメリカと世界中を拠点にして
います。
そして、驚いたのは女性にもかかわらず2年間の兵役も経験していま
す。イスラエルでは、男女にかかわらず全員が兵役の義務があるそ
うです。


いかがですか?
少し詳しい彼らの経歴を知ると、最初に持った印象とは違ってくる
のを感じませんか?
もしかしたらグローバルの舞台ではかなわないかもしれないという
気になるのではないでしょうか?


このような世界の人達と接していると、日本の若者達は本当に危機感
を持って自分を鍛えていかないと将来大変なことになると感じてしま
います。


たとえば大学生。
日本の大学生、特に文科系の学生は大学受験まで勉強し、合格したと
たん大学ではほとんど勉強しません。

バイトやサークル活動、合コンなどに精を出し、普段は出席を取る授
業にしか出席しません。そして試験前になると、しっかりノートを
とっていた人に頼み込んでノートをコピーさせてもらってなんとか試
験を乗り切る。

大体こんな感じではないでしょうか。
残念ながら私自身、全くこの通りの大学生活を送っていたのです。

こんな大学生活を送っていたとしても、グローバル化が到来するまで
は良かったのです。

ところが、インターネットの登場で世界の情勢は大きく転換してしま
いました。今までのように日本の中だけを考え、日本人の間での競争
だけを考えていればいい時代ではなくなってしまったのです。

日本人もその転換に適応していかなければならないにもかかわら
ず、世界の国々が適応しているのと比べると、まだ、この世界の変化
に対する認識が低く、日々遅れをとっているというのが現状でしょう。

このような現状を慶応大学の池尾教授がブログに書かれているので、
ご紹介します。



大学生は勉強しなくていいのか
池尾和人
アゴ
http://agora-web.jp/archives/793423.html

******************************
日本の(とくに文系の)大学生があまり勉強しないというのは、いま
に始まったことではない。恥ずかしながら、私自身も、大学生の頃は
決して勉強していたとはいえない。しかし、先輩も、そのまた先輩も、
それ以前の先輩も、たいして勉強しないでもやって来られたからと
いって、いまの学生が同じように勉強しないでやっていけるの
だろうか。この問いに対する答えは、たぶん否(NO)である。

現在、雇用をめぐって、少なくとも次の4つの構造的で不可逆な
環境変化が起こっている(起こってしまった)。

(1)日本経済の期待成長率の低下
企業規模が年々大きくなっていくと期待できるわけではないので、
長期雇用を保障したり、年功賃金制を維持することが必ずしも
経済合理的ではなくなってきている。

(2)グローバル化
グローバル化には、格差を拡大する側面と格差を縮小する側面と
があり、全体的には中立的であるとされる。ただし、日本の場合
には、中国をはじめとした近隣諸国の産業化に伴い、それらの諸国
との間で「要素価格均等化」の圧力を強く受けるようになっている。

(3)情報技術革新の進展
広範囲にわたる情報処理がコンピュータに委ねられるようになり、
ホワイト・カラーの「中抜き」現象が起こっている。比較的時間
をかけて技能を積み上げていけるような職種が減少している。
他方で、高度な判断力や専門的な知識を持った人材に対する需要は
高まっている。

(4)ワーク・ライフ・バランス
労働力人口中での女性や高齢者の割合が高まり、それぞれの家族
形態やライフスタイルに応じた多様な働き方の形態が求められる
ようになってきている。

 (「要素価格均等化」という少し難しい言葉が出てきますが、
  このあと、説明してくれています。)


このうちの「要素価格均等化」について補足説明をすると、労働
力そのものを海外から受け入れなくても、自国での労働集約的な
製品の生産を止めて、労働集約的な製品は海外から輸入するよう
にすれば、間接的に労働力を輸入したのと同等の効果が生じる。
同じことは、土地についてもいえ、土地そのものは輸入できなく
ても、農産物は海外から輸入することにすれば、自国の農地を
他の用途に転用できることになる。したがって、貿易が活発に
行われると、それだけで両国の間で賃金や地代の水準のさや寄せ
が起こることになる。これを経済学では「要素価格均等化」
といっている。


(2)のグローバル化の結果として、こうした「要素価格均等化」
のメカニズムが容赦なく作用するようになっており、日本の
労働者の賃金には結果的に引き下げ圧力が強くかかっている。
そもそも「同一労働、同一賃金」が公平であるとすれば、日本人
だからというだけで、同一労働をしているにもかかわらず他の
アジア諸国の労働者よりも高い賃金を得るというのは妥当とは
いえないことになる。人的資本としての生産性の高さがあって
はじめて、高賃金は正当化される。


また、(3)の情報技術革新の進展は2極化をもたらす基本的な
原因になっており、かつて文系の大学卒がやっていたような
「そこそこの仕事」がなくなっている。単なる情報処理をやる
だけなら、PCの支援が得られる現状では、大学卒の労働者は
過大能力であり、「評価」や「判断」の必要な職務をまかせる
には過小能力だという状況になっている。こうした状況を反映
して、米国では高卒と大学卒の賃金差が縮小し、大学卒と
大学院卒の賃金差が拡大する傾向がはっきりと出てきているという。


 (このような傾向があるからか、DCECに応募してくる外国人は
  圧倒的に大学院修了が多くなっているのは、皆さんご承知の
  とおりです。
  逆に、いわゆるネイティブといわれる英米豪加人で応募して
  くる人材は、グローバル競争力も低く、学歴も大学院修了等
  ほとんどいないにもかかわらず、日本では大手英会話スクー
  ルや大学で教えてきたというキャリアを積み重ねられている
  のは、日本人の英米人志向を物語っているのではないでしょ
  うか?
  DCECで採用する英米人はもちろん優秀ですが、大学で教えて
  いるという英米人でDCECの採用基準に達しなかった人はあま
  たいるというのも事実です。)



こうした環境変化に伴って、従来型の日本的人材養成システムは、
もはや時代遅れなものになっている可能性が高い。すなわち、
企業は地頭(じあたま)主義で、大学には選抜機能しか期待しない。
それゆえ、大学の役割は入試だけで基本的に終わり、在学中、
学生はほとんど勉強しない。そして企業に入ってから社内で
鍛える、ということでは、今後要求されるような人的資本としての
生産性の高さは達成されないと懸念せざるを得ない。



実際、従来型の日本的人材養成システムから生み出される人材は、
企業特殊的な「ジェネラリスト」で、汎用的な専門能力は決して
高くない場合が大半である。それゆえ、所属する企業が成長しない
限り、十分に報われることはない。しかし、もはや(1)のように
日本経済の期待成長率は低いのである。したがって、より外部教育
機関(例えば、専門職大学院)を活用した人材養成と、そうして
養成された人材に適合的な労働環境の提供を図っていくべきだ
ということになる。


ところが、現実の日本は、他の先進国と比較したら顕著に、アジア
諸国の中でも相対的に低学歴国になってしまっている。要するに、
もっぱら学卒止まりで、大学院生の比率が格段に低い(この点に
ついては、元文部科学省の大森不二雄氏による日本経済新聞
10月23日付け「経済教室」の記事を参照されたい)。その上で、
大学生があまり勉強していないということで、どのような将来が
期待できるのであろうか。



たぶん、5〜15年後くらいには、20〜40歳代の日本人は、
同じ年代の中国人や韓国人、他の東アジアの人々と全く同じ土俵の
上で競争しなければならなくなると思った方がよい。そのとき、
相手は当然のように修士号程度の学位はもち、流暢に英語も話す
だろう。そのときになって、「大学生のときにもっと勉強して
おけばよかった」と後悔しても取り返しはつかない。われわれの
世代も、同じような後悔をよくするけれども、いまの学生以下の
世代においては、身をもって悔いることになりかねない。

学生諸君、いまから勉強しておいた方がいいよ。老婆心ながら、
そう思う。
******************************



先ほどのDCECに応募してきた3人の経歴を見ると、ここで池尾先生が
危惧されていることが、すでに現実であることがわかるのではない
でしょうか?


日本のグローバル化推進のためには、まず、この世界の現実を知る
ことが大切なのです。

それを知り、欧米人は素晴らしい、アジア人は日本人よりも劣って
いるというような日本人の偏った認識を改めることが必要でしょう。

グローバル化は英語力をつけるだけではありません。
英語で彼らと直接様々なことを話して、最貧国出身でも素晴らしく
優秀な人がいることに気がつかなければいけません。


トルクメニスタン人の彼に日本人の印象について質問しました。
すると困った顔をして「よくわかりません。」といいます。

「え!大学院の研究室には日本人はいないの?」と聞くと

「全員外国人です。自分が日本に来る前に日本語をもっと勉強
してくれば良かったのですが、あまり日本語が話せないので、
日本の人に話しかけてもみんなすぐに逃げていってしまうので
日本人ときちんと話したことがあまりありません。」

ということなのです。

これでは日本は今も見えない壁を作って鎖国を行っているのと
同じでしょう。



ここでこの問題について語っているブログをふたつ紹介
いたします。




グローバル化によるアジアとの競争激化とその対策
「rokAブログ」
http://www.black-inspiration.com/roka2/?p=2679




15歳の君たちに告ぐ、海外へ脱出せよ
Rails で行こう!」
http://d.hatena.ne.jp/elm200/20100109/1263042636






■今週の注目Blog&記事


●【原発総括記事】「全原発停止でも供給に余力」
「西日本の電力不足は嘘」by週刊ダイヤモンド
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/6de4aa6d9d30ad293b11bd847f082d21




●『「小沢無罪」決まりの中身』
AERA
http://bit.ly/mZMi0Z
http://bit.ly/o424IW



●「小沢氏はホリエモンと似てる」 
東京地検に逮捕された元秘書・石川知裕衆院議員が熱く語る
BLOGOS
http://news.livedoor.com/article/detail/5696238/





あの松本復興前大臣が環境大臣としては昨年のCOP10で世界から
評価されていたとのこと。
大手マスコミの報道だけでは見えない事実もあるようです。


●失言で辞任、松本前復興大臣を惜しむ声
「せめて環境大臣でいてほしかった」
日経ビジネスONLINE
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110719/221544/?P=1&rt=nocnt




●国民はこの関係をどう見る!
玄海原発再稼働の裏に!
知事と町長と九電の「ズブズブの関係」
現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/12433



国債に依存する生保、リスクは増大する一方だ
大前研一の「産業突然死」時代の人生論
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110718/277952/






★役に立つ情報


セシウム汚染牛出荷、648頭に
この記事に出ている汚染された牛の出荷場所と福島第一原発から
漏れた放射能の広がりの地図を見ると、このような事態になるのが
見通せていたのに、政府も福島県も何も防止策を行っていなかった
のが読み取れます。
「SAVE CHILD 放射能汚染から子供を守ろう」
http://savechild.net/archives/5438.html





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