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2007-05-20

[]相似している人々

「分断」を促進したのは誰か。 - 想像力はベッドルームと路上からに対しての応答です。

D_Amonさんの語る構図は確かに正しい。だが、『こういう構造を作り出したものに対してではなく、こういう構造の上に偶々乗っかっているだけのものに対して非難しているわけで、的外れな非難というものです。』という部分は違うと思う。

大枠の構図を敷いたのが自民党なら、その構図をミクロな部分まで促進したのは当時主軸となっていた団塊世代である。彼らはその構図を破棄し、自らの望むように変えることだってできた。だが意識的にしろ無意識的にしろその努力を怠った。結果、下の世代に相当の負債を残したのは事実だ。

その構図を作り出したものへの批判と、そしてそれを容認・促進したものへの批判は同時に行われて然るべきだろう。単に、その選択の責任が政権のみにあると言うならば、それは社会に所属する者としてあまりに無責任なのではないだろうか。

彼らがもし、『団塊ジュニア世代の労働条件悪化は自民党によって作られた。団塊世代への批判は的外れだ。』なんてことを恥ずかしげもなく言ったとしたら、僕は深い侮蔑と悪意の視線を彼らに向けることになるだろう。

ならば、私自身が団塊ジュニア世代なので恥ずかしげもなくそういうことを言っても「深い侮蔑と悪意の視線」を受けることはないというわけですね。

というようなことはさておき、私自身は団塊世代がそういうことを言っても問題ないと思います。世代という条件で一括りにされて発言内容が問題にされたり封じられたりするというようなことはあってはならないという考えだからです。

人は生まれる時代を選択できません。そういう選択できない条件で構成される集団に所属することをもって、そういう批判を行なうことは、私にしてみればヘイトスピーチに他なりません。そして、「僕は深い侮蔑と悪意の視線を彼らに向けることになるだろう」というのは世代を理由にして発言を封じるための脅迫というものです。

上記引用文は結局、「集団を構成する誰かに相応の理由があるのだから、その集団に所属すること自体を理由に差別してもいい」という構造。これはヘイトスピーチの基本構造です。そして、そういう構造への耐性を身につけていない人の認識は、容易にそういう構造を受け入れ「論理的」に差別を正当化するわけです。


そういうヘイトスピーチに曝されているのは団塊世代だけではありません。団塊ジュニア世代も曝されています。

彼らの世代の中には、未だに「フリーター」などの非正規雇用、あるいは「ワーキングプア」の問題を、「計画性の無さ」や「甘え」などの「自己責任」として語る人間は少なくない(それは正しい場合もあるのだが)。

というような貴方の発言にもある形で。

団塊ジュニア世代は人口が多いゆえに他の世代より激しい受験戦争に曝され、卒業してみればバブル崩壊就職氷河期だったという世代。他の世代より著しく条件の悪い椅子取りゲームに参加させられた世代です。

そもそも座れる椅子が少なく、椅子が空いていても座れば怪我をするような壊れた椅子だったりするのに、椅子に座れないことをもって無計画だの努力不足だのと言われ、壊れた椅子に座ろうとしないことをもって贅沢だの我侭だのと呼ばれ、一部に最初から椅子に座ろうとしない人*1がいることをもって労働意欲の無い怠け者扱い。

団塊ジュニア世代に椅子に座れない人が多いのは団塊ジュニア世代の能力が他の世代に比べて低いからではないというのに。単に人数に対して非常に限られた数の椅子しかない状態という、そうならざるをえない状況の中に置かれているからだというのに。

こういう世代の置かれた状況による問題が世代の資質の問題として訳知り顔で批判されるわけです。「集団を構成する誰かに相応の理由があるから」という「論理」をもって。

私にしてみれば、それは世代という選択できない条件での分断に加担し憎悪を煽る行為です。


それと、私は「その選択の責任が政権のみにある」なんて主張はしていません。

むしろ、そういう政権の主張を鵜呑みにして扇動されてしまう「社会に所属する者」全体を問題にしています。

自民党が経団連利益代表として企業の利益に沿う形で政策を実施するのは当然のことですし、そういう政策で利益を得る人々が自民党を支持するのも当然のことです。

問題はそういう自民党の政策で不利益を蒙る階層に所属する人々も自民党の政策を支える宣伝を鵜呑みにして自民党を支持していること。

それに対して為すべきことは世代間闘争ではなく「扇動されやすさ」の克服というのが私の考えです。


例えば本来であれば労働者を守るべき「労働組合」が、「非正規雇用者」の組織化へ本格的に乗り出したのは極々最近のことだし、それですら「ワーキングプア」などの問題が社会問題として広く認知され、同時に既存の労働組合に対する「非正規雇用者からの批判」に直面してから慌てて行われたもののように見える(というか事実そうだろう)。

これに対しては明確に違うと答えておきます。

労働組合は(中には企業の代弁者となっているような御用組合もあるでしょうが)失業率最低賃金派遣労働を問題にし、アルバイトのような非正規雇用者の組合活動への勧誘も行っていました。少なくとも私が新人として参加した十年くらい前から一貫して。

ワーキングプアという言葉が世間一般で使われるようになる前からワーキングプアに該当する人はいたのです。ただ、今のように社会問題として表面化していなかっただけで。

この件に関しては団塊ジュニア世代の組合活動に対する無関心の方が問題。

そもそも組合を胡散臭がり参加する人が少ないので組織率が低い。中には組合活動自体を見下すような人もいる。そんな状態で労働者を守る運動をどれだけ効果的に行えるというのでしょうか。

組合を馬鹿にしてたり組合費の支払いを嫌がったりして組合に参加していなかった人が嫌がらせ人事や職務上の事故による裁判の当事者になった途端に保護を求めて組合に加入したりするのは納得はできないまでも我慢はできます。

しかし、組合活動に無関心だった人や見下していた人が、のっぴきならない状況になってから漸く本格的な組織化に向けて動き出すというのはともかく、守ってくれなかったと労働組合を批判するというのはどういうことでしょうか。そもそも参加者が少ないゆえに労働者を守れるだけの力を組織できなかったというのに。

労働組合はどこかで勝手に労働者の権利を守ってくれるものではありません。組織された労働者の団体交渉力無しには機能しないものです。

労働者を組織できなかった労働組合の方が悪いという批判があるかもしれませんが、労働組合は労働者が自分で自分の権利を守るために参加するものです。そういうのは労働者として余りにも当事者意識を欠いているのではないでしょうか。

だからといって、こういうことを書いても仕方が無いとも思います。こういう団塊ジュニア世代の組合活動への無関心をもって団塊ジュニア世代を批判しても何ら建設的なことはありませんから*2。団塊ジュニア世代が批判されるに足る「相応の理由」を示すだけで、何ら労働者を守ることには貢献しませんし。単に世代間の溝を深めて連帯を妨げるだけの何ら得るものはない虚しい行為です。

為すべきは今からでも組織率を増やして組合活動の影響力を増すことというもの。

「団塊ジュニア世代の労働条件悪化は自民党によって作られた」という部分は全くその通りだと思うのだけど、では「当の団塊世代は一体何をやっていたのか」という部分に言及されていないのはちょっと甘いと思う。

また、団塊の世代は年齢的に、90年代を通じて企業において様々な意思決定を行うポジションにいたはずなのだけれど、(プロセスはどうであれ)結局彼らは自民党のリストラ政策に乗ってしまった。

それが単に、「雇用の流動化」という事態になったのならばまだいい。もし自民党の言う政策を「厳密に」遂行していたのであれば、企業の余剰コスト(つまり必要のない人材)は淘汰され、真に能力のある人間だけが残り、そして、その企業への門戸も「年齢」ではなく「能力」によって開かれることになっていたはずだからだ。

だがしかし、各企業が行ったのは一部の人員の整理と新規雇用の抑制であった。それは業種・業界問わず一律に行われた。その為、人材の能力に関係なく、企業への門戸を潜ることは非常に困難な状況になってしまった。言わば、「人材の糞づまり」という状況である(ここ数年、新卒採用が「売り手市場」になったのも、単に景気の好転だけが要因ではないという点は明らかだろう)。

「当の団塊ジュニア世代は一体何をやっていたのか」という部分にも言及しませんでしたよ。

というような、言っても虚しいだけのことはさておき、当の団塊世代もテレビなどで流される自民党の政策を支える宣伝を鵜呑みにしていただけという話です。

団塊世代は、宣伝の結果、リストラによる人員の整理と新規雇用の抑制を行い労働強化をしつつ会社を縮小しなければ会社が潰れると信じ込んでいましたし、派遣労働により労働者の能力の有効活用が可能になると信じ込んでいました。それに対して、それらが人件費抑制のための建前に過ぎないという主張を行っても「世の中が分かっていない若造」と見られるのがおちでした。

自民党の政策を支える宣伝を鵜呑みにしていたのは団塊世代だけではありません。団塊ジュニア世代も自民党の政策を支える宣伝を鵜呑みにしていました。能力主義成果主義の導入により若者でも能力に合わせた高い給与が貰えるようになるというような種類の宣伝を。

そういう風にして老いも若きも男も女も自民党の政策を支える宣伝を鵜呑みにして自民党を支持した結果の与党自民党。その結果の政策の実施。

派遣労働を支持した人々は終身雇用の破壊に加担しました。

能力主義・成果主義を支持した人々は年功序列の破壊に加担しました。

リストラを支持し、雇用拡大政策に反対した人々は失業率増大と労働力の安売り競争に加担しました。

能力給を信じ、引き抜きに応じたり派遣労働に身を投じたりした人の中には能力給が「能力に合わせた給」ではなく「能力が必要な間は給」だということを思い知らされた人もいるでしょう。

これらは自民党の政策で不利益を蒙る人々も自民党の政策を支える宣伝を鵜呑みした結果なのです。にも関わらず、その大多数の人はおそらく今になっても自らが支持した政策が今の状況を作り出したことを想像すらしていません。

私の敵であり、そして味方につけなければならない人々はそういう人々です。団塊世代も団塊ジュニア世代も関係ありません。


「企業の余剰コスト(つまり必要のない人材)は淘汰され、真に能力のある人間だけが残り、そして、その企業への門戸も「年齢」ではなく「能力」によって開かれることになっていたはずだ」の件に関しては認識が甘すぎると言わざるを得ません。気持ちは分かりますが、誰がどのようにしてそういう「能力」を評価するのですか。それにより生じるゴマすりと足の引っ張り合いと立場の差を利用したパワハラセクハラを考えれば終身雇用と年功序列の方が、そういう方面に気を使わないで仕事に専念できる分、まだましです。実際問題、年功序列の破壊は能力や成果による評価を強化するより、むしろ縁故と情実による人事を強化しただけというものでしょうに。企業風土の問題を先に解決することなしには、そういうのは只の願望にすぎません。


聞かれてもいない「当の労働組合は一体何をやっていたのか」という部分に言及すると、労働組合は終身雇用の破壊にも能力給の導入にも反対していました。失業率の増大を問題視し雇用拡大政策を訴えていました。最低賃金の引き上げを求めていました。手厚い社会保障を求めていました。トヨタなどの輸出大企業の内部保留の金額の大きさを示し、労働者への分配を求めるなどの形で。

私が分断される団塊世代と団塊ジュニア世代 - 模型とかキャラ弁とか歴史とかで語ったようなことは何ら特別なことではなく、労働組合において少なくとも十年位前からそうなるだろうと言われていたことにすぎません。

しかし、それらは世間には届きませんでした。これに関しては労働組合の宣伝方法の拙さもあるでしょうが、それ以前に宣伝力の差が圧倒的。

テレビや新聞ではリストラ・派遣労働・能力主義・成果主義について先に述べたような宣伝が繰り返し行われました。失業率増大に対する雇用拡大政策は「日本ではケインズ政策が失敗したのだからケインズ政策は意味が無い」というような言葉で否定され、失業率増大は放置されました。それは政府の雇用調整機能の放棄だというのに。

自民党の政策を支える宣伝がテレビや新聞で大々的に流されるのに対し、労働組合の宣伝手段といえばデモ行進、組合誌の配布、署名活動、後は一部の情報誌に取り上げられるくらい。

これは泣き言ではなく、労働組合がそういうどうしようもない状況に置かれていることの説明。労働者の組織率が高ければともかく、組織率が低い状況では労働組合が自らの主張を広める機会は非常に限られているわけです。

テレビや新聞を責めているわけでもありません。テレビにしても新聞にしても企業からの広告収入に依存している営利企業である以上、報道が企業よりになるのは当然のことですから。無料メディアや低額メディアのような広告への依存度が高いメディアに対してジャーナリズムを期待する方が酷というもの。

単にこの国では資本力の差が宣伝力の差になるというだけの話。それには有料メディアによるジャーナリズムの育成を怠った国民にも責任があるわけですが、今更言ったところで死んだ子の歳を数えるも同然。どうしようもありません。

圧倒的多数の人がテレビや新聞の影響下にあることは現実で、それが資本力の差を宣伝力の差に変えるのも現実。

その現実の上で企業側に利する宣伝に対抗しなければならないというのに、連帯するどころか良いように分断されているようではどうしようもありません。

「団塊世代」にしろ、あるいは「既存左翼」にしろ、「批判がある」ということは彼らの存在自体に何らかの注目と期待が抱かれている証拠だろう。

どうでしょうね。

私にしてみればそういう批判は、団塊世代による戦前・戦中世代への批判と同じようなものです。

世代を一纏めにして世の中を駄目にした責任を背負わせて批判しているのも同じ。宣伝に扇動されているだけなのに世の中を分かっているつもりになって批判しているのも同じ。確固たる思想も無くお祭り気分で叩いている連中が混じっているのも同じ。同じくらい醜悪で同じくらい駄目。まあ、世代が違うだけで同じような人間なのですから相似していて当然なのでしょうが。

「批判がある」ということは彼らの存在自体に何らかの注目と期待が抱かれている証拠、なんてことにはなりません。単に不満をぶつけるための批判対象が偶々彼らだっただけかもしれません。

そういう批判が仮に期待の裏返しとして、責任を押し付け批判するのは最悪の方法というものです。

何故なら彼らの大部分は自らに責任があるとは思っていないのですから。彼らの大部分はその時代に生まれてその時代を生きただけで、時代の意思決定に関わったわけではないのですから。時代に従っただけなのですから。責任があるとは思っていない所に「貴方達の責任だ」と批判しても、「何をいっているのだ」と当惑され、生じるのは批判に対する反発の感情とそれによる的外れな反論のみというのが関の山。「論座」での応答を見れば分かるでしょう。

何らかの期待をしているのであれば、せめて「何をどのようにして欲しいか」というのを明確に言語化すべきです。そのようにして漸く相手も方策を考えられるというもの。性質の悪いクレーマーの自己正当化でもあるまいに、一方的に不満をぶつけて、その不満に対して「何をどのようにして欲しいか」というのを相手の方が考えて察しろという方が無茶な要求です。本人の頭の中ですら明確に言語化できていないものを他人に察しろというのは駄目でしょう。言論によって世の中を変えたいのであれば。

「扇動された悪意」の中にも「真実」が含まれているかもしれないということを、一度考慮してみることも重要だと思うのだけれど。

「扇動された悪意」の中にも「真実」が含まれているかもしれませんが、含まれていないかもしれません。私にしてみれば「扇動された悪意」は「扇動された悪意」にすぎません。

(貴方自身はそう主張しているつもりはないのかもしれませんが)「悪意を扇動されてしまうのは団塊世代や既存左翼にも理由があるかもしれない。その理由が何かは団塊世代や既存左翼が考えて答えなければならない。さもなくば団塊世代や既存左翼は批判されても仕方がない」というのは、団塊世代や既存左翼に対する「扇動された悪意」を抱えていて、それを正当化したい人には感情的に受け入れやすい要求でしょうが、そうでない人には論理的に無茶な要求*3です。理由自体があるかどうか分からない不明確なものなのに、それをあるものとして考慮を求めているわけですから。それは無茶な要求であり、理不尽で無責任な負担の押し付けです。

人と人を分断して悪意を煽るそれらしい理屈なんてものはヘイトスピーチの手法を用いれば容易に作り出すことができるもの。それに対して悪意を煽られるのは対象にも理由があるからではないのかというのはヘイトスピーチに加担する行為。

「扇動された悪意」に対抗する明確な方法は、それが「扇動された悪意」にすぎないことを種明かしすることというものです。種明かしによって、向けるべき方向を歪められた意識を本来向けるべき方向に正すことができるのですから。

そして、それは小異があることをもって人々を分断し憎悪を煽り、それにより利益を得る人に対抗する手段でもあります。

*1:そういう椅子に座ろうとしない人の中には、頑張れば頑張るほど労働力の安売り競争を激化させるだけという現実に見切りをつけて諦めてしまった人もいるでしょうに。

*2:団塊ジュニア世代にしても時代の影響によりそういう風になっただけでしょうし

*3:というか「批判」をちらつかせての「脅迫」

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