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2008-01-07

[]問題の無い懐疑派と問題の有る懐疑派

「否定派ではなく懐疑派」という人の懐疑派というのが、「そういう事件はあっただろうけど中国の言う30万人説は本当なのだろうか」程度なら私は問題ないと思います。

国内の肯定派でも「中国の言う30万人説の蓋然性は低いと思う。笠原説(あるいは秦説)くらいが本当なのではないか」というのが主流でしょうし。

しかし、あからさまに問題の有る主張をする「懐疑派」の人もいたりするんです。

例えば、殊更30万人説を問題にして、それを否定すれば何かしら戦争責任が免罪されるかのような主張をする人とか。

以下、ざっと思いつくもので「問題の有る懐疑派」と私が思うものを列挙。


  • 事件の存在は認めても、事件を矮小化するために言うことが否定論者と同じ。
    • 南京の人口は20万人。20万人のところで30万人は殺せない。ゆえに30万人はありえない」*1とか「犠牲者の名簿を出せ」とか。
  • 事件の存在は認めても、象徴的な数字を目の敵にして、それを躍起に否定する。(象徴的な数字は南京事件なら30万人、ホロコーストなら600万人とか)
    • その象徴的な数字を否定すれば(同時代比較で)大したことはしていない(だから反省する必要はない)と思っているかのよう。「大したことない」という論理 - ノーモアのコメント録
    • 否定するに当たって被害側がいかに嘘吐きでペテン師かを主張。
      • 象徴的な数字の否定をもって「あいつらは嘘吐き(あるいはペテン師)だ」というように被害側に対する差別視の正当化に用いる場合もある。
  • 事件の存在は認めても、過度の矮小化が前提だったりする。(南京事件なら被害者数が数十から数千人とか)
  • 被害側(ホロコーストならユダヤ人、南京事件なら中国人従軍慰安婦なら朝鮮人など)に対し(レイシズムが丸出しだったり透けて見えたりする)ヘイトスピーチを繰り返す。
  • ひたすら事件の矮小化目的で、慣用的に使われている表現の変更を求める。(「南京虐殺はあったけど南京大虐殺はなかった」とか)
  • 事件の存在は認めても、事実関係からありえない「しかたがなかった論」「大したことはしていない論」を展開して戦争責任を免罪しようとする。
  • 史学的な記述を政治的に後退させられ続けている歴史教科書の記述ですら自虐史観と呼んだりする。

目的によって分けると、

  • 事件について知らないがゆえに事件について知ることが目的になっているのが「問題の無い懐疑派」
  • (「大日本帝国的なもの」を擁護したかったり、レイシストで差別対象に負い目を持ちたくなかったりで)事件について知ることではなく事件を矮小化することが目的となっていて懐疑をその手段としているのが「問題の有る懐疑派」*2

懐疑派でも、こういう「問題の有る懐疑派」は歴史修正主義者と呼んで差し支えないと思います。

日本において南京事件で30万人という数字を殊更問題にしているのは否定派だったり(広義の否定派と言っても良いと思う)「問題の有る懐疑派」だったりで、傍から見て「30万人かそうでないのか」という論争を作っているのはこういう人達というものです。

で、こういう人達と議論にならないのは、既に過去の議論で決着済みのことを何度も蒸し返してループさせるからなんですね。

*1南京事件で安全区の人口が増えた理由 - 模型とかキャラ弁とか歴史とか

*2:否定派が事件について否定できなくなると、せめて矮小化してやろうとしてこういう懐疑派になったりする。

bluefox014bluefox014 2008/01/08 01:35 こんにちは。
昨年12月の「週刊新潮」が3週間連続で南京事件関連の記事を出しましたが、それが秦氏の4万説を採りつつひたすら中国を弾劾する、という態度で一貫していました。歴史修正主義のセカンド・フェイズはこの流れなのかな、とも思います。しかしそれで押し通すには「4万虐殺なんて大したことない」という居直りが必要になるわけです。
彼らがどうやって「4万虐殺なんて大したことはない」というストーリーを調達するか、それにどう対応するかというのが目下の私の問題意識です。
その一つとして考えられるのが「事件像の矮小化」、あるいは「偽りの事件像構築」です。南京事件とはゲリラ鎮圧中の誤認殺害である(だからやむをえない部分もある)という風に。
…なんてことを最近考えています。

hokusyuhokusyu 2008/01/08 04:18 こんにちは。
このようなことを言うのもいろいろデリケートなのですが、ホロコーストの600万と南京の30万では実証研究における蓋然性が異なるので、そこの「差分」(笑)は一応指摘しておいた方がいいかなと思いました。

goudaisengoudaisen 2008/01/08 05:58 「問題の有る懐疑派」というのはつまり論理的な否定をしない人と言うことでしょうか。
一つ質問したいのですが過去の議論で決着済みのこととは何でしょうか?
極端な否定派と議論にならないのは決着済みのことを蒸し返してループさせるからというのは違うでしょう。
たしかに議論の蒸し返しは古くからそれを論じてきた人間にとってはうるさいことでしょうが、最近になって初めてこの問題に興味を持った人間からすれば当然起こるべき議論でしょう。それが決着済みのことなら、決着した過程と内容を教えてあげれば納得されるのではないでしょうか。あるいは更なる議論に発展するでしょう。とにかく無意味な意見の対立は避けらるかと。

D_AmonD_Amon 2008/01/08 09:17 青狐さん
>その一つとして考えられるのが「事件像の矮小化」、あるいは「偽りの事件像構築」です。南京事件とはゲリラ鎮圧中の誤認殺害である(だからやむをえない部分もある)という風に。

そうですね。否定論に対するカウンターで事件を否定することができなくなってきたので、せめて事件像を矮小化し、事件に至る過程を反省するどころか、むしろ、犠牲者側を攻撃にする口実にしようとしているのではないかと思います。

hokushuさん
>そこの「差分」(笑)は一応指摘しておいた方がいいかなと思いました。

そうですね。私には三分で分かるようにはまとめられませんが。あうあうあー。

goudaisenさん
>「問題の有る懐疑派」というのはつまり論理的な否定をしない人と言うことでしょうか。

あー、ごね得を狙うために懐疑的な姿勢を取っている感じですね。

>たしかに議論の蒸し返しは古くからそれを論じてきた人間にとってはうるさいことでしょうが、最近になって初めてこの問題に興味を持った人間からすれば当然起こるべき議論でしょう。それが決着済みのことなら、決着した過程と内容を教えてあげれば納得されるのではないでしょうか。あるいは更なる議論に発展するでしょう。とにかく無意味な意見の対立は避けらるかと。

そういう人のためにも「南京事件FAQ」はあります。
http://wiki.livedoor.jp/nankingfaq/d/FrontPage
こういう活動は「嘘も何度でも繰り返せば真実になる」的な手法を使う人々に対しても有効ではないでしょうか。

ApemanApeman 2008/01/09 08:39 >それが秦氏の4万説を採りつつ

週刊誌は節操がなくてもいいから楽ですね。前は戸井田とおるとか持ちあげてたのにw

>最近になって初めてこの問題に興味を持った人間からすれば当然起こるべき議論でしょう。

興味をもったのなら、それが否定派サイドからの興味のもち方でも、「あった」と主張してる学者の新書本の一冊くらい読んでから参加してもらえれば、それだけで全然違うんですよ。目的が「とにかく無意味な意見の対立は避けらる」ということなら、そのための努力は双方に課されるべきですよね?

D_AmonD_Amon 2008/01/09 10:23 本当、教えてもらう前に自ら調べて学ぶことをしてほしいですね。無意味な意見の対立を避けるために。

rnarna 2008/01/10 02:47 goudaisen さん:
>>
極端な否定派と議論にならないのは決着済みのことを蒸し返してループさせるからというのは違うでしょう。
たしかに議論の蒸し返しは古くからそれを論じてきた人間にとってはうるさいことでしょうが、最近になって初めてこの問題に興味を持った人間からすれば当然起こるべき議論でしょう。
<<

「最近になって初めてこの問題に興味を持った人間」がなぜ「決着済みのこと」を持ち出すかといえば、否定論者の書籍やらコピペやらを見てのことなんですね。そういう人による蒸し返しは仕方がない部分もあるのですが、一方でいまだに否定論の新刊を出したりコピペをばらまいたりしている人がいるわけです。否定論者相手に蒸し返して納得させられた人がコピペ兵に仲間入りすることだってあるでしょう。

そうやって、悪意やら怠惰やら思慮のなさやら思い込みやら思い入れやら不運やらにもとづいた色んな人の行動が連鎖した結果として「ループ」が出来上がるので、単純に誰がループさせているとは言えないのですが、否定論のループ自体は確実にあります。否定論というミームが言説を自己組織化している、とでも言えばよいでしょうか。。。

D_AmonD_Amon 2008/01/10 16:06 rnaさん、お見事な解説だと思います。

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