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2009-01-27

[]「普通の人」は軽い気持ちで人をバカにするものです

そして、軽い気持ちでやったことゆえに、自らが人をバカにした根拠が出鱈目だと分かると「悪気はなかった」と開きなおり、そういう軽い気持ちでバカにされた人の怒りを理解しようともしないのです。むしろ、軽い気持ちで人をバカにしたことを問いただされると逆ギレするのです。

そういう軽い気持ちで人をバカにする「普通の人」はたくさんいます。


南京事件否定論のときは「人口20万人のところで30万人は殺せない。そんな簡単なことも分からずに南京事件があったと言うような連中はバカ」といった感じで。

それは「人口20万人のところで30万人は殺せない」は論理的に正しいですが、南京事件がそういう事件かといえば、そんなことはなく、この手の否定論の決まり文句の方が出鱈目なわけです。

それなのに「普通の人」はそういう出鱈目に安易に乗っかって軽い気持ちで人をバカにし、南京事件否定論を否定する人や南京事件の証言者を嘘つき呼ばわりしたり洗脳された人呼ばわりしたり外国人の手先呼ばわりしたり金目当ての汚い連中呼ばわりしたりして非道い罵倒の言葉をあびせたわけです。


白燐弾報道のときは「白燐弾に焼夷効果はない」「白燐弾の焼夷兵器としての使用はありえない」「白燐弾の対人使用はありえない」とかいう人々が、白燐弾報道をデマ呼ばわりし、被害者の悲惨な状況を伝える現地からの報道に対し「超兵器プギャー」という感じで笑い飛ばし、証言者や報道機関や報道内容を紹介した人を嘘つき呼ばわりしたりデマゴーグ扱いしたりしてバカにしたわけです。歴史的に見れば、そういう白燐弾の用法を否定する方が出鱈目なんですけどね。


軽い気持ちで人をバカにした「普通の人」にしてみれば、軽い気持ちゆえに、自らが人をバカにするために乗っかった主張が出鱈目と分かった時点で、それはどうでもいいことになるのかもしれません。

でも、それで被害者の悲惨な状況を伝える現地からの報道を笑いものにしてきた人々の行為の結果が消えるわけではないのです。

現実の悲惨な出来事について人々が知ることを妨げたという事実が消えるわけではありませんし、そういう風にしてバカにされた人々の悲しみが消えるわけでもないのです。

2009-01-23

[]燃えている黄燐に水をかけると燃えている油に水をかけたときみたいに飛び散る

日本語読解能力も怪しいらしい。 - 誰かの妄想・はてなブログ版の「「棒状の水を注ぐ」とは「直線状の水流で高い水圧を掛ける」こと?」に関して。

no titleの「棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である」というのは、いわば燃えている油に下手に水をかけると煮えたって飛び散り、かえって危険だったりするのと同様の現象。黄燐の方が水より比重が高いので完全に同じというわけではありませんが、液体の「高温で燃焼している水に殆どとけない物質」に水をかけると水が瞬時に沸騰し水蒸気となり、それが「高温で燃焼している水に殆どとけない物質」を弾き飛ばしてしまうという科学的に当然の現象。

(着火した場合)

小規模火災の場合土砂等で覆って消火する。

大規模火災の場合は霧状の水を多量に用いて消火する。

no title

というような消火方法を取るのには理由があるわけです。消火方法としては単純に水をかけるのが簡単ですが、黄燐の場合はそうすると飛び散って危険だから、土砂等で覆って酸素の供給を断って消火したり、霧状の水を噴霧して消火したりするわけです。


参考情報として「本当の戦争」の焼夷兵器に関する部分の記述から一部引用。

169・火傷を負った場合、どういう手当てを受ければよいのですか?

傷を冷やし、清潔にしなければならない。出血があれば止血しなければならない。ただちに輸血と酸素吸入や補助呼吸などで呼吸を手助けする必要がある。栄養補給、体液の補給もしなければならない。早めに皮膚の移植を受ける。化学物質による火傷の場合、治療する前にその化学物質を除去する。通常、水で洗い流すという方法をとる。しかし、黄燐に水をかけると煮え立ってひろがり、損傷がよけいひどくなる。

「本当の戦争」P91より。

「本当の戦争」自体は50口径を50ミリ口径と訳してしまうような邦訳軍事本にありがちな(ある意味、伝統的な)誤訳が多数ある本なのですが、こういう兵器の名称や分類と関係ない部分はその手の誤訳の影響を殆ど受けない部分。

追記(2009/01/28)

何か勘違いしている人々がいるようなので追記しときます。

白燐弾報道を否定していた人々は、白燐粉塵が発生しうる根拠の一つとして「棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である」という記述を私が引用した際、「直線状の水流で高い水圧を掛けるから飛び散るのであって普通に水をかけてもそうならない。だから、普通に水をかけても白燐粉塵(有害なフュ−ムの一種)は発生しない」ということを主張していました。

これは白燐が飛び散る理由を棒状注水の運動エネルギーによるものと理解していたことを意味します(まあ、その運動エネルギーで飛び散る分もあるでしょうけど)。そういう理解が燃えている油に水をかけたときのように水蒸気の力で飛び散るというものとは程遠いことは明らかというものです。

[]科学的にありえないことを書く自称科学者さん

scopedogさんの所でひどいコメントを見ました。

「1科学者として」さん曰く、

まさか、五酸化二燐ではなく気体状の白燐のことを言っているのですか?

だとしたら確かにかなりの毒性を有していますね。

ただし、存在できるならばの話ですが・・・

沸点よりも発火点の方が低く、空気も十分にあるのですよ?

そんなものが存在できるはずはありません。

白燐弾は化学兵器ではないと断言している人はちゃんと条約を読んでいないようだ。 - 誰かの妄想・はてなブログ版

白燐(黄燐)は沸点以下の温度でも気化するので科学的事実として気体の白燐は存在します。

物質が沸点以下の温度でも気化することは、水を例とすれば、お風呂の湯気とか、冷凍庫の氷が昇華により徐々に小さくなっていったりとかの現象で身近で常識的なものです。

お風呂の湯気を例に考えれば

20℃ではほとんど気化しないが、浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがある。

no title

というような記述も理解しやすいかなと思います。



黄燐マッチは毒性が強く、製造に従事する人が、黄燐を含む蒸気を吸い込み、あごの骨が分解する治療不能の骨エソや骨火症をひき起こしたり、幼児がマッチの頭部をなめて命を落したり、殺人や自殺などに使用された事もあった。

http://www.tanaka-match.co.jp/museum/history/1.htm

気体状の白燐(黄燐)が存在できるはずがないのなら、昔の黄燐マッチ製造工場の作業員がこういう症状になることもなかったでしょう。

そのニンニク臭を嗅ぐことも不可能ですね。

気体による害とは明記されていませんが、

災害事例

(1) 化学工場の作業員2名が中毒を起こした。下顎骨及び肝障害を起こした。

no title

というような記述がされることも無かったのではと思います。


戦災体験での黄燐油脂焼夷弾による黄燐蒸気で化学火傷を負った人の事例紹介とかはあえてしない。

以前のように「黄燐に焼夷効果なんてない」「黄燐を主剤とした焼夷弾なんてない」「第二次世界大戦において米軍が日本に黄燐焼夷弾を使ったのなんて嘘」とかいう人々に戦災体験者が嘘つき呼ばわりされたり勘違いした人呼ばわりされたりすると悲しいので。

どうせそういう証言は証拠として認めないでしょうし。

追記(2009/01/31)

自称科学者さんがこういうことを書き込んでいました。

さらに比較に出してきた例が水とは・・・

酸素との反応性が非常に高い白燐と、安定な水とを同列にするとは

はっきり言って問題外です。

また、「20℃ではほとんど気化しないが、浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがある。」

の引用などは全く意味が違います。

浮遊粒子は当然気体ではなく固体です。

さらに、この浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがあるのは

20℃という低温かつ室内などの無風条件だからです。

粒子の表面だけが酸化しかつその酸化物が剥がれ落ちないばあい

酸化物の皮膜に守られるようにして未反応の白燐粒子が漂うことになります。

私が何のために例えを持ち出したのかをまったく理解していないようです。

お風呂で湯気が舞うためにも、黄燐の浮遊粒子が発生するためにも、気化してからの凝縮もしくは凝結という過程が必要であり、その過程の間は物質は気体として存在しているということの当たり前の例えなのに。

お風呂で湯気が舞うためには、水の蒸発→凝縮という過程が必要であり、お風呂の湯水全体で見れば、水は殆ど気化していませんが、その過程の間、水は気体として存在しているわけです。

同じように、黄燐は気温20℃という常温では殆ど気化しませんが、黄燐の浮遊粒子が発生するためには昇華→凝結の過程が必要であり、その間、気体の黄燐が発生しているわけです。黄燐は気化した途端に酸素と反応してしまうから気体の黄燐は存在しえないというのは、反応速度という要素を無視するという非科学的態度抜きにはありえないというものです。

[]燃えている白燐への対応として当然のことを書いたら「学会での発表」を勧められた件

燃えている黄燐に水をかけると燃えている油に水をかけたときみたいに飛び散る - 模型とかキャラ弁とか歴史とかの記事に対して

b:id:xiao_bancho ちょう兵器白燐爆弾 千年以上前から知られてる物質の基本的取り扱い方法が間違ってたらえらいことなんだが。消防関連の学会で発表したら?そしてパレスチナの話は白燐の煙に乗って彼方へ飛んでいってしまった。

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090123/p1

というブックマークコメントがついたので、一応説明しときます。

既知の知識を学会で発表してどうするというのでしょうか。

5.火災時の措置

消火剤:

小火災:粉末消火剤、ソーダ灰、石灰

大火災:乾燥砂、粉末消火剤、ソーダ灰、石灰

使ってはならない消火剤:

水、泡消火薬剤、二酸化炭素

特有の危険有害性:

引火性が強く爆発することがある。

フレアー燃焼効果により速やかに燃焼するおそれがある。

加熱されたり火炎に巻き込まれると、爆発的に分解するおそれがある.

消火後再び発火するおそれがある。

火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。

特有の消火方法:

散水によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、散水以外の適切な消火剤を利用すること。

危険でなければ火災区域から容器を移動する。

移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。

消火活動は、有効に行える十分な距離から行う。

容器内に水を入れてはいけない。

消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。

消火を行う者の保護:

消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

no title

で、「容器内に水を入れてはいけない」と書いてあるように一度発火した黄燐に水をかけるのは危険。

水をかけても大丈夫なら、この安全衛生情報センターの説明文の「使ってはならない消火剤」に水が挙げられている意味が分からない。

理由はブックマークをつけられた記事に書いたとおり。

消防関連の学会で発表するまでもない、火災時の黄燐の措置としては危険物取り扱い知識上の常識。

ブックマークコメントで

D_Amon セルクマ id:xiao_bancho氏をはじめ、分かっているつもりで分かっていないことを書き込んでいる人は、燃える前の白燐に対する処置と燃えている白燐に対する処置とを混同していると思う。この記事の記述は危険物取り扱い上の常識。

とも書いたのですが、この件では燃える前の白燐に対する処置と燃えている白燐に対する処置とが混同されている例が多いと思います。

燃える前の黄燐を水で洗い流したり水の中で保管するのは正しい措置ですが、燃えている黄燐に下手に水をかけるのは危険。

2009-01-18

[]焼夷兵器禁止条約以降の「唯一の選択肢」としての白燐弾

ガザにおいて国連の物資や車両がイスラエル軍の白燐弾によるものと思われる攻撃で焼き払われてしまいました。

事実なら、これは使用された白燐弾に十分な着火能力があることの証明というものでしょう。


http://www.mainichi.jp/select/world/news/20090117k0000m030067000c.html

http://www.asahi.com/international/update/0115/TKY200901150241.html

http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/090116/mds0901161145003-n1.htm

http://www.cnn.co.jp/world/CNN200901150022.html

http://news.tbs.co.jp/20090116/newseye/tbs_newseye4039570.html


焼夷兵器の使用は1980年ジュネーブでの焼夷兵器禁止条約で制限されるようになり、各国で焼夷兵器が廃止されました。

焼夷兵器の条約違反な使用は明確に国際法違反を問われるのが現代社会です。

その中で煙幕兼焼夷兵器の白燐弾は煙幕弾として配備され、戦術的な理由などで焼夷兵器を使いたい場合、「代用焼夷兵器」として使われているわけです。

例えば、下記記事のアフガニスタンの「マリファナの森」を焼き払おうとしたカナダ軍のように。

「マリファナは熱を素早く吸収してしまうため、焼き払うことが難しいのです。タリバンの奇襲攻撃に備えて常に警戒を怠れない状況です」

白リン弾を使用して焼き払おうとしましたが、失敗でした。ディーゼル油でも試してみましたが、これも失敗。マリファナの木は現在、たくさんの水分を蓄えています。焼き払おうとする我々の作戦は失敗に終わりました」

それでも少しは焼却に成功したという。しかし今度はまた別の問題が発生した。

「一部のマリファナから火の手が上がりました。ですがその風下にいた兵士が体調不調を訴えたのです。このため焼き払い作戦は妥当ではないと判断するに至りました」とヒリア司令官は語る。

http://megalodon.jp/?url=http://www.excite.co.jp/News/odd/00081160789467.html&date=20061015143722

煙幕兼焼夷兵器の白燐弾は条約下でも煙幕弾として部隊配備できることから焼夷兵器を使いたい場合の「唯一の選択肢」となり、そして、報道が事実なら、ガザでも現にそのように使われているということになります。


白燐弾の運動エネルギー的な殺傷力は低いものですが、飛び散る白燐による熱傷が加わるため、合計での殺傷力はそれなりに高くなります。以前の記事で引用したように。

地雷爆弾としての爆風や弾片による殺傷力と黄燐火沫の火傷の加わったものが黄燐焼夷弾の殺傷作用として惹き起されるから面倒である.

20キロ級のものを例にとると,爆風および高熱の爆発ガスによって直接危害をうける範囲は落下点から半径6メートルの程度で,これは20キロ級の地雷爆弾の場合の数分の一にすぎない.けれど,黄燐の飛散火沫による危害半径は約20メートルで,これはまず20キロ地雷弾の爆圧及び弾片の危害半径とほぼ一致する (第9図).ということは,遠方から飛んで来た燐の火沫が着衣に付着しても大した危害にならないともいえる.そのわけは,燐片が空中を飛行しているうちに弾片とはちがい次第に酸化消耗して,直径3センチの塊でも60〜70メートルも飛んで行くうちには殆ど燃えつくしてしまうという.したがって火沫の最大飛散距離が80メートルとか60メートルとかいっても,その辺りでは殆ど威力を発揮できぬと見てよい(第10図).

これに反し黄燐弾の落下点付近ではかなりの火傷を覚悟しなくてはならない.エレクトロン弾はもとより油脂弾の場合よりも火傷者が多いというのは,20キロ弾の例でいうと,炸裂点から半径数メートルの範囲では直接全身火傷をうけ,半径20メートルのところまでは中心に近いほど重く,かなりの火沫をうけて火傷を負うものと心得なくてはならない.この場合,露出した皮膚に火傷をうけるのは当然だが,たとえ衣服をつけていても,溶けた燐とか,黄燐をニ硫化炭素にとかしたものは衣服の生地を透して皮膚に浸透するから,やはり火傷は免れない.

白燐弾はどういう兵器でどのように使われてきたか - 模型とかキャラ弁とか歴史とか

Jane's Ammunition HandbookのDefense & Security Intelligence & Analysis: IHS Jane's | IHSによれば、イスラエル軍が使用している白燐煙幕弾M825A1の白燐重量は5.78kg。これが116個の燐片をばら撒くので、その一つあたりの重量は5780/116≒49.8で約50g。50gの燐片の体積は比重1.82からの単純計算で約27立方センチメートル。つまり、一辺3センチの立方体の燐の塊に相当します。これはかなり大きい燐の塊で、上に再引用した図解科学で例示されている燐片の大きさとほぼ同じです。つまり、低高度で爆発するように撃てば、それなりの殺傷力と焼夷効果を発揮するのに十分な大きさです。

殺傷力、焼夷効果、それに煙幕による活動妨害効果を兼ね備える白燐弾は、運動エネルギー的殺傷力や対物焼夷効果といった一つ一つの能力では劣っても総合力においては有用で、焼夷兵器禁止条約により他の焼夷兵器を使いづらい現代においての条約の「抜け道」として用法を偽って焼夷兵器として用いられているのでしょうね。

例えば、米軍イラクで白燐弾を焼夷兵器として使用したことを認めたように。

追記

本文の記述の修正を行いました。「焼夷効果が付随的な焼夷兵器」といった括弧付き表現他。http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090114#20090114fn1と同じ理由による修正。

2009-01-15

[]イスラエルのガザでの白リン弾使用報道

YouTubeにイスラエルのガザでの白リン弾使用報道をまとめた動画がアップされていました。

より多くの人々に見ていただければと思いますのでここに紹介します。

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この動画、消されないといいのですけどね。

2009-01-14

[][][]白燐弾はどういう兵器でどのように使われてきたか

白燐弾はどういう兵器か

英語圏ではそうではないのですが、何故か日本語圏のネット情報では「白燐弾に焼夷効果は無い」とかのトンデモがまかり通っています。

そこで、中央公論社版図解科学の第21号(昭和18年11月号)に白燐弾(黄燐弾)の詳細な説明が載っていますので、そこから引用して紹介したいと思います。今から60年以上も前の雑誌ですが、それで白燐の物性が変わるわけでもありませんし。

ただ、この雑誌は戦中の本なだけに旧字旧かなで書かれているので、旧字旧かなを読めない人のことも考えて引用にあたって新字新かなに訳しました。

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この黄燐焼夷弾こそは,前大戦直後からいち早くアメリカがその戦術的価値をみとめて研究をすすめて来たもので,現在は化学爆弾の一種として重量30ポンド(約15キロ)の発煙弾WP.M1型として制式になっている.内部の装薬は6キロで,頭部にMkXIV型の安全装置付着発信管をもち,目的は煙幕展張用または焼夷攻撃用となっている.ちょっとみたところ何の関係もなさそうなこの二つの目的,煙幕用と焼夷用の二つを兼ねられるところに黄燐焼夷弾の大きい特徴があり,アメリカ空軍が重用しているのもこのために他ならない.

1920年頃から空軍万能論をとなえだしたアメリカのミッチェルが,反対論者を圧伏させるため廃棄戦艦を爆撃した際にもまず使って見せたのがこの黄燐弾である(第2図).100ポンド(約50キロ)の黄燐弾を戦艦の橋頭に命中させたところ白煙と火沫が瞬時に100メートル以上も飛び散って,あたかも橋を骨とする洋傘状に戦艦をつつんでしまい,その遮蔽力を観衆に認めさせたのであった.これはただの煙幕とはちがい,高射砲などの露出した照準手にくっつくと容易にとれず,火傷を負わせるというので,更にその効果を追認せられたものである(第3図).

このことあってからアメリカ空軍は海上の艦艇ばかりでなく対地上部隊の攻撃にも黄燐弾を使い,一方これを見た陸上の砲兵までが黄燐をつめた煙弾をうち出すという流行ぶりである.こうして黄燐弾に味をしめたアメリカが大戦に加入し,自慢とする4発の援英機を欧州に送った矢先,盲爆戦法をとろうというのだから,秘蔵の黄燐弾を使うのに何の不思議があろう.わが国に対する場合を考えると,黄燐の発火効果がさらに高まるから,当然大量の黄隣弾使用が予想せられるのである.

P3より。

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けれど黄燐の強みは,なんといってもその火が消えにくいことで,数十メートルの秒速をもつ強風を吹きかけてもなかなか消えないという.この性質は火焔剤として極めて大切なことで,例へば火焔放射器の筒口から毎秒数十メートルの速さで燃焼液を吹き出すことに成功し,よしそれが100メートルの彼方に届いたところで,火焔がこの液柱を伝わる速さが液の放出初速より遅かったら火は消えてしまって目的物に着火させることはでぎない.つまり秒速数十メートルの可燃液柱に火が伝わるということは,逆に考えてこの可燃液の表面に秒速数十メートルの風が吹きつけてもなお火が消えないということである.この性質がなければ遠距離へ放射する火焔装置はなりたたないので,火焔放射器ではまず液柱を遠方へ届かせるために粘りのある重油を使う一方,伝火の早い軽油をまぜるのである.こう考えてみると,風に消えにくい黄燐は,着火して秒速数十メートルの高速で飛散させても消えないということは容易にのみこめる.

それに都合のよいことには,ほんの一瞬間焔に接触しただけですぐ着火する性質をもっているから,黄燐焼夷弾の火薬が炸裂する瞬間に火が伝わり,無数の細かい燐片に着火して広い範囲に飛散する.したがってその固形の火焔剤は四方に吹き出す一種の火焔放射器のようなものである.

P5より。

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前に記した黄燐の性質は,燐酸による耐火皮膜の障害を別とすればまさに焼夷攻撃に好都合である.それではこれをどう使用するかというと,着発信管と爆薬をもった爆弾型の容器につめるだけである(第5図).これは空中に投下されるもの故、弾道性能をよくするために尾翼をもつことは勿論であるが、爆弾の仲間ではいちばん構造の簡単な部類に属し,小は数キロから大は50キロ級まで、いずれも似たような構造である.

黄燐焼夷弾が命中したらどんなことになるかというと,まず頭部の信管が瞬時に働いて内部のピクリン酸やTNTなどの強爆薬を爆発させる.このときに発生する高温高圧のガスはドロップ状の一塊になった黄燐ごと金属製の弾体をも粉々に砕き,強烈な力で大音響とともに四方に飛散させる.これは普通の小型の瞬発地雷爆弾の炸裂と同じく,爆風作用や破片作用で建築物や人畜に被害を及ぼすことはいうまでもない.それに加えて黄燐弾特有のはたらきを呈し,高温高圧のガスによって着火した無数の燐片が青白い焔をあげ,火沫は白煙をひいて飛散する(第6図).あたりは濛々たる白煙がたちこめ,飛散した燐片はすぐ溶けて焔かあげて燃えつづける.

ところで消火行動を妨害する白煙が現場を濃く包むのは約1分間で,そのうちに飛散した細かい燐片は煙を出しつくし大きい燐片の発煙だけになって3分もたてば煙は次第に薄らいでくる.もっとも,風があれば煙の消失も早いが,気象状況の如何によって長く立ちこめることもある.

ところで焼夷弾,とくにその大型のものでは,消火は最初の1分で勝負がきまるといわれる.ところが黄燐弾のように同時に煙幕作用を伴うものでは第一に落火点がわからないし,燐片がへばりついて焔をあげている無数の火点を全部発見することは容易ではない.それに発生するガスが刺激性をもち,また二硫化炭素溶液に黄燐をとかしたものを主剤とする黄燐にあっては,二硫化炭素,亜硫酸ガスのような毒性ガスを発生するから,これに対して万全を望むなら防毒面も必要ということになる.少くとも濡れ手拭で鼻やロを覆ふ事は必要である.これがまた消火活動を妨げること一通りではない.そのうえ爆圧による破壊作用で家屋が倒壊したり防火従事者が負傷したりすれば消火は一層困難になる.また火沫が防護服に付着したとすればこれに対する処置もしなくてはならない.

こうした種々の随伴的困難に対して,いざという場合どうするか予め確乎たる方策を定めてかかり,相応した訓練を積んでおくのでなくては,実戦にあたって倒壊家屋と白煙のなかをうろたえまわるだけで何の役にも立つことは出来ない.

それでは対策はいったいどうすればよいかというと,まず黄燐焼夷弾特有の焼夷作用,破壊作用,傷害作用の正体を見極めてかからなくてはならない.

P5-P7より。

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地雷爆弾としての爆風や弾片による殺傷力と黄燐火沫の火傷の加わったものが黄燐焼夷弾の殺傷作用として惹き起されるから面倒である.

20キロ級のものを例にとると,爆風および高熱の爆発ガスによって直接危害をうける範囲は落下点から半径6メートルの程度で,これは20キロ級の地雷爆弾の場合の数分の一にすぎない.けれど,黄燐の飛散火沫による危害半径は約20メートルで,これはまず20キロ地雷弾の爆圧及び弾片の危害半径とほぼ一致する(第9図).ということは,遠方から飛んで来た燐の火沫が着衣に付着しても大した危害にならないともいえる.そのわけは,燐片が空中を飛行しているうちに弾片とはちがい次第に酸化消耗して,直径3センチの塊でも60〜70メートルも飛んで行くうちには殆ど燃えつくしてしまうという.したがって火沫の最大飛散距離が80メートルとか60メートルとかいっても,その辺りでは殆ど威力を発揮できぬと見てよい(第10図).

これに反し黄燐弾の落下点付近ではかなりの火傷を覚悟しなくてはならない.エレクトロン弾はもとより油脂弾の場合よりも火傷者が多いというのは,20キロ弾の例でいうと,炸裂点から半径数メートルの範囲では直接全身火傷をうけ,半径20メートルのところまでは中心に近いほど重く,かなりの火沫をうけて火傷を負うものと心得なくてはならない.この場合,露出した皮膚に火傷をうけるのは当然だが,たとえ衣服をつけていても,溶けた燐とか,黄燐をニ硫化炭素にとかしたものは衣服の生地を透して皮膚に浸透するから,やはり火傷は免れない.

P8より。

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さてここに待避中あるいは出動の中途において黄燐の火沫をうけたらどうするかというに,あわてふためいて一刻も早くもみ消そうとするのが常識的なやりかたであり,また事実反射的にそうする場合が多い.また地面を転がりまわるというのも普通の消火方法であるが,これらはいずれも効果があがらず,かえって火勢を強めることさえあることを忘れてはならない.

P9より。


これらの文から白燐弾の特徴をまとめると、

・煙幕と焼夷の両用兵器

・燃える黄燐が体にくっつくと容易に取れず火傷を負う

・火が消えにくく着火しやすい

・燐酸による耐火皮膜のために対物焼夷効果には劣る一方で対人殺傷力は高い

・燃焼で生成する刺激性ガスや毒性ガスを含む煙が消火活動を阻害する

・爆発で飛び散らされた燃える黄燐の破片は何十メートルも飛ぶと燃え尽きてしまう

・燃える黄燐は燃焼熱で溶けて浸透するので防御困難

といったところでしょうか。

白燐弾はどのように使われてきたか

次に白燐弾が戦場でどう使われたかパウル・カレル著「彼らは来た」から引用して紹介します。「彼らは来た」は第二次世界大戦ドイツ西部戦線での戦闘を主題にした書籍です。引用にあたっては、最近の白燐弾報道で問題になっているのは主に砲撃による白燐弾の使用であることから、明確に砲撃による焼夷兵器としての使用の部分を選びました。

ランジェヴルをめぐる戦闘は白熱化した。イギリス軍ははじめて燐酸榴弾をつかった。炸裂力のほか数メートルの焔をあげ高熱で燃える。

トミー戦車に対する反撃のうち、《桜桃》は決定的にやられた。《シトロン》も損害をうける。小隊のほかの二台も燐酸榴弾で火だるまとなった。乗員はおどりだし、ころげまわって燃える戦闘服を消そうとする。砲火のなかを傷兵たちは最後の可動戦車にのせられた。尾部に傷ついた擲弾兵、戦車兵がうずくまる。大半はひどいやけどではだかが多い。仲間が燃える服をはぎとって毛布をかぶせてくれたのだ。戦車の震動、あつい排気管で彼らはうめく。うめきがやむのは包帯所で鎮静剤の静脈注射をうけてからだ。

P241-242より。

文中、燐酸榴弾は白燐弾。《桜桃》《シトロン》はドイツ軍戦車の車両ごとのコードネーム。説明不要とは思いますがトミーはイギリス軍のこと。

これはイギリス軍とドイツ軍の戦闘の描写部分です。

この文が示しているように白燐弾は敵車両や敵兵を焼くために焼夷弾として使われることがあります。

白燐弾による攻撃でドイツ軍戦車が火だるまにされてしまってますが、これは当時のドイツ戦車の構造的欠陥のせいでもあります。車両後部上方のエンジングリルとか、燃焼熱で溶けた黄燐が流れ込める隙間がいっぱいありますから。

正面からの徹甲弾や上空から降り注ぐ榴弾の破片には耐える戦車もエンジングリルなどの隙間から車内に流れ込む燃える黄燐には耐えられず燃やされてしまうというわけです。

こういう弱点があったのはドイツ戦車だけというわけではなく、ノモンハンの戦いにおいてソ連戦車が日本兵の火炎瓶に結構やられたりしているように、当時の多くの戦車に共通する弱点といっていいでしょう。

一四時、アメリカ軍は黄燐榴弾を撃ちこみ、一発が弾薬庫に命中した。大爆発。大火災。流れだす黄燐が兵舎寝室のわらに燃えうつった。換気装置がなかったので、地下壕は煙とガスに満ちた。

P411より。

これはアメリカ軍によるドイツ軍に対する攻撃の描写部分。

文中、黄燐榴弾は白燐弾。

米軍は攻撃目的でドイツ軍に向けて白燐弾を撃ちこみ、その砲撃で撃たれた白燐弾が弾薬庫を爆発させてしまっています。

燃焼熱によって溶けた黄燐はその流動性と浸透性により防御困難です。

上空から降りそそぐ榴弾の破片をある程度は防げるヘルメットと防弾着も液化して浸透する燃える白燐を防ぐことはできなかったりするわけで、白燐弾はその防御困難性において有効な兵器です。

弾薬や燃料が榴弾の破片程度は防げるように防護されていたとしても、隙間から流れ込み浸透する燃焼熱で液化した黄燐は防ぎにくいものです。

よって、白燐弾をこういう風に焼夷兵器として敵に用いることにより弾薬や燃料の誘爆を狙えるわけです。

アメリカ軍がこういう風に使った白燐弾は「煙幕弾」と名づけられてはいますが、現場でこういう風に焼夷兵器として敵に対して使われるのは当たり前のことでした。

白燐弾は高高度で爆発するように撃てば落下するまでの間に殆どの燐片が燃え尽き概ね煙幕弾としてしか機能しませんが、低高度で爆発するように撃てば防御困難な燃える燐片を地上にばら撒く焼夷弾ともなるわけです。

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次は参考情報として漫画「ザ・ベトナム (パート2)(日本出版社)」に収録されている小林源文氏の「コンフリクト2」の白燐手榴弾の使用シーンを紹介。

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P98-P99より。ウィリーピートはWPつまり白燐の呼び名。登場人物が屋内の敵の掃討に白燐手榴弾を用い、それにより敵兵が焼かれてしまっています。

フィクションですので、これを白燐弾が焼夷兵器でもあることの根拠にするつもりはありませんが、白燐弾が焼夷効果を持ち敵の掃討に用いられるということは、こういう描写がされる程度には一般的知識であったことは分かってもらえるのではと思います。現在と違い、白燐弾が焼夷兵器でもあることが日本でも軍事常識だったのはそう昔のことではありません。

引用部分で使用されている手榴弾を識別するために手榴弾の種類の説明がなされている部分を引用。

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P100より。

「M-34白燐グレネード 肉から骨のズイまでくいこむ」

白燐が煙幕剤であると同時に骨まで焼くような焼夷剤であることはGlobalSecurityのWhite Phosphorus (WP)を見れば分かるように軍事常識です。(ただし、現代日本は除かねばならないようです)


報道の力

それにしても白燐弾に関する日本語圏のネット情報は本当にひどいものです。

白燐弾報道をデマとし「白燐弾に焼夷効果は無い」「白燐弾の対人使用はありえない」なんていうようなトンデモがまかり通っているわけですから。

戦史を紐解けば焼夷兵器として使われているのも対人使用されているのも分かろうというものなんですけどね。

戦後の軍事アレルギーの所為もあるとはいえ、笑えない軍事音痴ぶりです。

ウィキペディア日本語版の白燐弾の項なんて英語版のWhite phosphorus munitions - Wikipediaと比べて、とても同じ兵器について書かれたものとは思えません。

ウィキペディア英語版には、軍事常識的には当たり前のことですが、白燐弾が(煙幕弾であるとともに)焼夷兵器でもあることが書かれています。

対して、日本語圏ではこれだけ戦史においては常識的な知識に反することがまかり通るわけですから、戦史的にありえない妄言を吐く田母神氏のような歴史修正主義者が自衛隊のトップになれるのにもなんとなく納得です。悲しいことですけどね。

まあ、社会にトンデモが蔓延することは珍しいことではないので気にするほどのことではないかもしれません。血液型性格診断とかゲーム脳とか「水からの伝言」とか「日本刀は三人しか斬れない」とか「農耕民族は虐殺しない」とか、そういうトンデモって挙げればきりがないですし。

まあ、そういうわけで世界の軍事常識的に普通に考えれば、白燐弾は煙幕弾であるとともに焼夷弾でもあり、1980年ジュネーブでの特定通常兵器使用禁止制限条約,焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III)に抵触する兵器です。

アメリカとかが「条約での焼夷兵器にはあたらない」とか言っているのは白々しいエクスキューズというものです。煙幕と焼夷の両方を主目的とし、実戦で焼夷兵器として使っていながら「焼夷効果は副次効果であり主目的ではない」と強弁することで焼夷兵器として使用しても「条約での焼夷兵器にはあたらない」としているわけですから。*1

そう、アメリカですら副次効果としての焼夷効果は認めているわけです。日本語圏での「白燐弾に焼夷効果は無い」とかいうのがどれだけトンデモか分かろうというものです。

それにしても、人間とは本当に白々しいエクスキューズをする生き物ですね。

チベット問題に対する中国政府の白々しいエクスキューズ。ロシアグルジアの紛争においてのグルジア大統領の白々しいエクスキューズ。沖縄密約における日本政府の白々しいエクスキューズ*2。うんざりします。

軍事で言えば、明らかに民間施設や民間車両を狙っておきながら「そこに軍事標的がいたから」とか、対人使用が禁止されている兵器を人に向けて使用しておいて「装備を狙って撃った」とかが、その手の白々しいエクスキューズの常套句でしょうか。

そういう白々しいエクスキューズを真に受けるのは現実的態度とは言えませんね。

本来は焼夷兵器に対する規制だけで十分なのに焼夷兵器の内で白燐弾のみを個別に明示的に禁止する条約を作る必要があるとすれば、そういう白々しいエクスキューズを用いて焼夷兵器としての使用を正当化しようとする国々があるからというものです。

で、現実は実際にそうなりつつあるようですね。

白燐弾の非人道性を伝える白燐弾報道は日本以外の国では概ね受け入れられているようで、海外の人権団体は規制に向けて動き出しているようですから。

白々しいエクスキューズを抜け道として使う国に対し、そのような抜け道を塞ごうとする動きを作り出したわけですから白燐弾報道は偉大です。

思えば、焼夷兵器の使用を明示的に禁止する条約が作られたのも、(逃げ惑う少女とか犠牲者のケロイドとか)ベトナム戦争における焼夷兵器の非人道性を伝える報道がなされた影響が少なくないわけです。それを考えると報道の力とは凄いものだと思います。

そういう風に考えれば規制への流れは当然というものなのかもしれません。白燐弾報道はデマというデマがまかり通るような日本がそういう流れを主導することはなさそうですけど。まあ、日本は「ネットで真実に目覚めた人」や「ネットが無ければ危うくマスゴミに騙されるところだった人」とかがたくさんいる「とてつもない国」ですから仕方が無いですね。仮に白燐弾のみを個別に明示的に禁止する条約が作られるとして、せいぜい、他国の後を追う形で批准するのが関の山ではないかという気がします。不名誉なのでそうなってほしくはないのですけどね。

せめてもの救いは対人地雷クラスター弾の場合と違って規制に対する不満を愚痴り続ける人は少なそうなこと。

追記

何かブクマコメでトラックバック送ればいいのにと言われたので、ブクマコメに書いてあるアドレスにトラックバックを送っときます。

http://obiekt.seesaa.net/article/9941732.html

私自身がこの人からトラックバック送られたことがないのですけどね。

[]はてなから連絡があった

当事者から削除の申し立てがあったからだそうで。

はてなブックマーク - 未ブックマークエントリー

で「見苦しい」とか「さもしさ」とかいう言葉を使う人に対して「自らの行為を見苦しいとか姑息とかさもしいとか微塵も思わないのだろうかと思う。まあ、精神構造がそういう人だから無反省で恥知らずな言動を繰り返せるのだろうけど」と書いて「精神的勝利法」とかのタグをつけるのは、その人に耐えられない精神的苦痛を与えてしまったようです。

なんか気の毒ですし、つまらない意地をはって非公開にされてもなあと思いますので、数日中にそこのコメントは削除します。コメントにスターをつけてくれた人には申し訳ありません。

*1米国防総省のスポークスマンは白燐弾を敵戦闘員に対して焼夷兵器として使用したことを認めています。cf.BBC NEWS | Middle East | US used white phosphorus in Iraq特定通常兵器使用禁止制限条約議定書III「焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書」で禁じられていても米国はそれに署名していないという話なのでここに取り消し線を引きます

*2:米国公文書でその存在が明らかになっているというのに

2009-01-11

[][][]戦時アニメに見る焼夷弾の種類と対策

防空訓練に用いられた1942年のアニメ「協力防空戦」の「焼夷弾之巻」は白燐弾ガセビア「黄燐を主剤とした焼夷弾はない」 - 模型とかキャラ弁とか歴史とかで既に紹介した動画ですが、現在はYouTubeから削除されてしまっています。

AmebaVisionの方には残っているので、動画の再紹介も兼ねて一部を文字起こししてみました。

焼夷弾。

敵はこの焼夷弾によって木造家屋の多い我が家畜村を一挙に焼き払わんと狙っているのです。

我々はこの焼夷弾によって起こる火災の被害を最も少なくするためにどうして防ぎどうして処理したらよいかを

きっかりと覚えておかなければなりません。


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焼夷弾には油脂焼夷弾、エレクトロン焼夷弾、黄燐焼夷弾と大体の種類に分類されております。その種類によって処置の方法が違いますので、それを見分けなくてはなりません。


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油脂焼夷弾は固形油あるいはベンゾールとパラフィンを混ぜたものが入れてあって、いわゆる油火事を形成するわけです。

その防火法としては第一に周囲の燃えやすいものに水をかけ、同時に濡莚(ぬれむしろ)類あるいは布団等で焼夷弾を覆い、その上に多量の砂・土をかけて火炎を抑え、延焼を防ぐことに努めなければなりません。


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次はエレクトロン焼夷弾です。これは弾の周囲をエレクトロンで作ってあって焼夷剤としてテルミットが入っております。

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防火法。

この場合も第一番に行うことは水を周囲の燃えやすいものにかけることです。その後に濡莚あるいは布団等をかぶせ、その上に多量の砂・土をかぶせることです。火花が散らなくなったらシャベルで安全な場所へ運び燃え切らせます。


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次が黄燐焼夷弾。

これは黄燐又は黄燐の二硫化炭素溶液が入れてあって飛び散るこの火の粉によって火災をおこさんとするものであります。

防火法。

水を周囲の燃え易いものに掛けること。

多量の砂・土或いは水を飛び散った火の粉に掛けること。

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柱や襖(ふすま)に付いたものは火叩きに水を浸し叩き消します。(字幕は「叩き落して消す」)

黄燐が附着しないように濡れ手袋を用いる事。


焼夷弾の恐ろしさは、これによっておこる火災なのであります。

焼夷弾は一本のマッチと同じように火付け道具の一つに過ぎません。

私達はこの火事のもとを見つけ次第、早く消しとめればよいわけです。

なんといっても防火には水が最も大切であります。

いざという場合、水道の使用が困難になった場合を考えて必ず貯水しておかねばなりません。

本日は焼夷弾について簡単にご説明いたしましたが、防空の第一要件は皆さんの精神一つであります。

もしも事にあたった場合は、徹底的な防火第一主義を深く心得て、まずは火災が起こらぬ先に全力を尽くしてください。こうした防空精神の涵養と平素の訓練とは敵の空襲の目的を完全に駆逐することができるのであります。

no title

焼夷弾の主機能は熱エネルギーによる対象の破壊と火災による被害拡大。その破壊力を運動エネルギーにおいて他の兵器と比べることはあまり意味がありません。


油脂焼夷弾は主成分が油脂または油脂と樹脂の混合物(殆どの場合、ゼリー状で付着性が高い)の焼夷剤を爆発燃焼により飛び散らせる焼夷弾。

着火力も燃焼力も高いのが特徴。

著名な焼夷弾であるナパーム弾は油脂焼夷弾の一種。


エレクトロン焼夷弾は、現在ではテルミット焼夷弾と呼んだ方が通じが良い金属燃焼系の焼夷弾。

金属をも溶かす高温と花火のように火花を飛び散らせるのが特徴。


黄燐焼夷弾は容器内の黄燐または黄燐溶液を火薬の炸裂で着火し飛び散らせる焼夷弾。

反応の結果生じる燐酸が耐火膜の役割を果たしてしまうため着火力は低め。

火が消えにくいこと(秒速数十メートルの強風でも火が消えないという)と、燃える黄燐が体にくっつくと取れにくいことが特徴。

黄燐弾・白燐弾・燐酸弾と呼ばれることもあります。


現在では市街地のような人口周密の地域に対する焼夷兵器の使用は1980年ジュネーブでの特定通常兵器使用禁止制限条約焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III)により禁止されています。

時代背景

当時の日本は防空法のもと国民を防空演習・訓練に総動員していました。

隣組制度のもと、演習・訓練への参加は事実上強制であり、不参加者は非国民とみなされました。

空襲に対して避難することは基本的に許されておらず、国民は防空壕に一時待避した後に消火活動に従事することが求められていました。

しかし、そのような消火活動は圧倒的な米軍の飽和爆撃の前には無力で、むしろ犠牲者を増やしただけでした。

隣組での集団行動での防火能力を圧倒する米軍の物量の前には、この動画で語られているような精神論は無意味だったのです。

日本の戦災を語るにおいては、米軍による民間人の居住地に対する無差別爆撃の非道さと共に、そういうことも忘れてはならないのではと思います。

[][]焼夷砲弾による対都市砲撃は軍事目標に対してであっても条約違反

第一条 定義

この議定書の適用上、

1 「焼夷兵器」とは、目標に投射された物質の化学反応によって生ずる火炎、熱又はこれらの複合作用により、物に火炎を生じさせ又は人に火傷を負わせることを第一義的な目的として設計された武器又は弾薬類をいう。

 (a) 焼夷兵器は、例えば、火炎発射機、火炎瓶、砲弾、ロケット弾、擲弾{擲=てきとルビ}、地雷、爆弾及び焼夷物質を入れることのできるその他の容器の形態をとることができる。

 (b) 焼夷兵器には、次のものを含めない。

  (i) 焼夷効果が付随的である弾薬類。例えば、照明弾、曳光弾{曳=えいとルビ}、発煙弾又は信号弾

  (ii) 貫通、爆風又は破片による効果と付加的な焼夷効果とが複合するように設計された弾薬類。例えば、徹甲弾、破片弾、炸薬爆弾{炸=さくとルビ}その他これらと同様の複合的効果を有する弾薬類であって、焼夷効果により人に火傷を負わせることを特に目的としておらず、装甲車両、航空機、構築物その他の施設のような軍事目的に対して使用されるもの

2 「人口周密」とは、恒久的であるか一時的であるかを問わず、都市の居住地区及び町村のほか、難民若しくは避難民の野営地若しくは行列又は遊牧民の集団にみられるような文民の集中したすべての状態をいう。

3 「軍事目標」とは、物については、その性質、位置、用途又は使用が軍事活動に効果的に貢献する物で、その全面的又は部分的な破壊、奪取又は無効化がその時点における状況の下において明確な軍事的利益をもたらすものをいう。

4 「民用物」とは、3に定義する軍事目的以外のすべての物をいう。

5 「実行可能な予防措置」とは、人道上及び軍事上の考慮を含めその時点におけるすべての事情を勘案して実施し得る又は実際に可能と認められる予防措置をいう。

第二条 文民及び民用物の保護

いかなる状況の下においても、文民たる住民全体、個々の文民又は民用物を焼夷兵器による攻撃の対象とすることは禁止する。

2 いかなる状況の下においても、人口周密の地域内に位置する軍事目標を空中から投射する焼夷兵器による攻撃の対象とすることは禁止する。

人口周密の地域内に位置する軍事目標を空中から投射する方法以外の方法により焼夷兵器による攻撃の対象とすることも、禁止する。ただし、軍事目標が人口周密の地域から明確に分離され、焼夷効果を軍事目標に限定し並びに巻添えによる文民の死亡、文民の傷害及び民用物の損傷を防止し、また、少なくともこれらを最小限にとどめるため実行可能なすべての予防措置をとる場合を除く。

4 森林その他の植物群落を焼夷兵器による攻撃の対象とすることは、禁止する。ただし、植物群落を、戦闘員若しくは他の軍事目標を覆い、隠蔽{ぺいとルビ}し若しくは偽装するために利用している場合又は植物群落自体が軍事目標となっている場合を除く。

焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III)

焼夷兵器には様々な形態があるが、「焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III)」第一条(a)により砲弾の形態でも条約上の焼夷兵器として扱われる。

同第二条の3で「人口周密の地域内に位置する軍事目標を空中から投射する方法以外の方法により焼夷兵器による攻撃の対象とすることも、禁止する」となっていることから、同第二条の1の「いかなる状況の下においても、文民たる住民全体、個々の文民又は民用物を焼夷兵器による攻撃の対象とすることは禁止する」と合わせ、焼夷砲弾による対都市砲撃は軍事目標に対してであっても条約違反であることが導かれる。

2009-01-02

新年挨拶2009

[]あけましておめでとうございます

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今年もよろしくお願いします。

画像は牛柄ならぬパンダ柄の服を着たチョビ髭閣下。

id:karinto様、グリーティングカードありがとうございました。

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