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2013-06-20

[]被害者二〇〇万、「ベルリン陥落1945」に見るソ連軍の性暴力(と現代日本)

ドイツ軍当局の最大の誤算は、赤軍の進撃路のアルコールのストックを破棄しなかったことだった。敵が泥酔すれば戦えなくなるだろうという皮算用だったが、女性住民にとって悲劇的なことに、赤軍兵士はまさにアルコールの勢いをかりてレイプし、そのアルコールで悲惨な戦争の終結を祝ったのである。

勝利の祝宴がひと区切りついても、ベルリン市民の恐怖は去らなかった。はめをはずした祝宴の余波で多くのドイツ女性がレイプされた。あるソ連の若い科学者は、恋人となった一八歳のドイツ少女から、五月一日の夜、赤軍将校が拳銃の銃口をむりやり彼女の口に突っこんで、言うなりにさせるため、襲撃のあいだじゅう、そのままにしていたという話を聞かされた。

まもなく女性たちは、夕方の「狩猟時間」のあいだ姿を消すすべを学んだ。若い娘たちは何日もつづけて屋根裏の倉庫に隠れた。母親たちはソ連兵が二日酔いで眠っている早朝をねらって、街路に水くみに出るようにした。ときには、ある母親が自分の娘だけは助けようと必死になって、よその娘たちの隠れ場所を教えることから、最大の危険がせまることもあった。

窓ガラスがすべて吹き飛んでいたので、夜ごとに悲鳴が聞こえてきたのを、ベルリン市民はおぼえている。ベルリンの二つの主要病院によるレイプ犠牲者の推定数は、九万五〇〇〇ないし一三万人。ある医師の推定では、ベルリンでレイプされた一〇万の女性のうち、その結果死亡した人が一万前後、その多くは自殺だった。東プロイセン、ポンメルン、シュレージュンでの被害者一四〇万人の死亡率は、ずっと高かったと考えられる。全体ではすくなくとも二〇〇万のドイツ女性がレイプされたと推定され、くり返し被害を受けた人も、過半数とまではいかなくても、かなりの数にのぼるようだ。ウルズラ・フォン・カードルフの友人でソ連のスパイだったシュルツェ=ボイゼンは、二三人もの兵士にたてつづけにレイプされ、のちに病院で縫合手術をうけるはめとなった。

「ベルリン陥落1945」P601-602より脚注を省略して引用。

ベルリン陥落 1945ベルリン陥落 1945

第二次世界大戦時のベルリンにおけるソ連兵の性暴力は本書によらずともよく知られていることです。

本書ではその性暴力の被害がドイツ人女性だけでなくソ連軍に「解放」された地域の人々やドイツの強制収容所から解放された人々にまで及んでいたことが述べられています。それはソ連軍の性暴力が報復によるものだけではなかったことを示しています。

仮に報復だとしても性暴力が正当化されないのは当然として、戦地の女性を性的戦利品として扱い集団的性暴力を仲間の結束を高める具とするような非道な性暴力。その不法な暴力に対してロシア政府が向き合っているかといえば、少なくとも本書の日本での出版時(2004年)には向き合っていません。

戦争と性暴力は不可分の関係にある。本書はすでに世界十数か国で翻訳出版されたが、今回日本で刊行される意義ほ大きい。日本も本書が描く戦時性暴力を繰り返し体験してきたからである。ここでは被害者としてのケースと、加害者としてのケースを一例ずつ挙げよう。

一九四五年八月九日、ソ連軍が日ソ中立条約を破って旧満州に破竹の勢いで侵攻してきたとき、そこでは本書といくらも違わない光景が繰り広げられた。ちょうど東プロイセンのドイツ人が、長年の圧政に耐えかねたポーランド人に襲われ、さらにソ連軍の過酷な仕打ちにあったように、旧満州の日本人は現地人に襲撃され、ソ連軍の暴行から逃げまどう他なかったのである。現在の「中国残留孤児」が生じるきっかけとなった出来事である。

もうひとつは、日中戦争下の中国における日本軍の性暴力である。なかでも一九三七年一二月、中国の首都南京を陥落させた日本軍中支那方面軍が引き起こした南京大虐殺捕虜敗残兵・民間人あわせて十数万人以上の中国人が南京城内外で不法に殺害された−では、多くの中国人女性が日本兵の性暴力の被害にあった。

当時、日本軍占領下の南京に留まったドイツ外交官ゲオルク・ローゼンの報告書によれば、虐殺そのものは数週間で下火になったが、強姦事件は翌年三月ごろまで散発的に続いた。その被害者総数は二万人を数える。集団での強姦、夫や家族の眼前での犯行、指揮官の黙認など、ソ連と日本両軍の行動様式には共通点が多い。(石山勇治編・訳『資料 ドイツ外交官の見た南京事件』、大月書店

ドイツの歴史家で、ホロコーストなど自国の負の過去との批判的な取り組みを続けるヴォルフガング・ヴィッパーマン(ベルリン自由大学歴史学教授)は、本書に関連するインタビューに応じて、自分の母も赤軍の性暴力による犠牲者であったことを赤裸々に語り、戦争体験世代の苦しみに耳を傾けて釆なかったことを、自身を含む戦後世代の怠慢と述べた。近年、ドイツの戦争被害体験について、ハンブルクドレスデンなどのドイツ諸都市を廃墟に変えた米英連合軍の絨毯爆撃の不法性を衝き、空襲下の苦悩を描いた在野の歴史家ヨルク・フリードリヒの『火炎−空爆戦下のドイツ 一九四〇−一九四五』(都市部への無差別爆撃はナチ・ドイツが先に始めたことを明記している点には注意)が刊行され、これまでのタブーを破る好著との評判を得た。また作家ギュンター・グラスが戦争末期、ソ連軍に追われた東部のドイツ難民で溢れかえった輸送船がソ連軍の潜水艦に撃沈されるという実際に起きた事件を主題に『蟹の横歩き−ヴィルヘルム・グストルフ号事件』(池内紀訳、集英社)を発表し、ベストセラーとなった。これらの作品はヴィッパーマンのいう戦後世代の怠慢を克服しようとする試みといえよう。

戦争は加害と被害を幾重にも重層化させる。加害者が被害者となり、被害者がまた加害者となる。それは個人のレヴェルでも、国家のレヴェルでも起こりうる。本書は戦争の被害と加害の両面を見つめる読者にさらなる示唆を与えてくれるだろう。

ところで、本書の原書にあたるBerlin The Downfall 1945がロンドンで出版されるに先だって、駐英ロシア大使は、本書を「虚偽と当て擦り」、「ナチズムから世界を救った人びとへの冒涜」とする抗議の文章を『ザ・デイリー・テレグラフ』紙に公表し、大方のメディアの反発を招いた。その数年前、中国系アメリカ人ジャーナリストアイリス・チャンが南京における日本軍の狼籍ぶりを描いたThe Rape of Nankingが米国で刊行されたさい、駐米日本大使がメディアに不快感を露にしたのと同じ構図だといえよう。ロシア政府は現在も、日本政府と同様、先の世界大戦で斃れた旧軍の将兵を英雄として崇めている。「大祖国戦争」の美名の下で無数の一般市民に及んだ軍の不法な暴力の実態を自らの手で究明する努力はロシアではまだ緒についてはいない。

同書P640-642、石田勇治氏による「解説 スターリングラードからベルリンへ」より脚注を省略して引用。

ソ連軍による性暴力は旧ソ連文書からも確認できる歴史的事実ですが、それを「虚偽と当て擦り」、「ナチズムから世界を救った人びとへの冒涜」として否定するこの姿。まさしく反発を買って当然の姿だと思います。

ソ連軍の性暴力が反共主義をあおる目的でプロパガンダに用いられたことも歴史的事実ですが、プロパガンダに用いられたことはその対象が虚偽であることを意味しません。プロパガンダに用いられようが用いられまいが歴史的事実は歴史的事実なのです。

さて、ここで話は変わりますが、これを読んでいる人の中に「南京事件は中国のプロパガンダで嘘だ」と言うような人や、南京事件を疑う人でソ連軍の性暴力は疑わない人や、日本軍慰安婦の証言を疑う人でソ連軍の性暴力に関する証言は疑わない人や、自国の加害を否定しながら自国の被害は被害感情と報復感情を煽るために消費しつつ現実主義者を自称しているような人はいたりするのでしょうか。

日本には「人の振り見て我が振り直せ」ということわざがあります。

こういうロシアの姿が反発を買って当然の姿であることがわかる人には、日本が南京事件や従軍慰安婦を否定することも同じように反発を買って当然の姿に見えるだろうことが理解できるのではないかと思います。

ソ連軍による性暴力が旧ソ連文書からも確認できる歴史的事実であるように、南京事件や日本軍慰安婦が日本側文書からも確認できる歴史的事実であるということは、これらに関する基本的知識を持っている人には常識的なことです。それらの否定はロシアが「旧満州におけるソ連軍の性暴力は無かった」と言っているようなものです。

THE FACTS」など従軍慰安婦否定論に対する各国の反応や南京事件否定論に対する各国の反応など幾度も繰り返されていることですが、歴史修正主義者は歴史的事実自体より歴史的事実を否定しようとする姿勢自体が反発を買うということを現実から学習すべきだと思います。

反歴史修正主義という立場は歴史修正主義が存在してこそのカウンターであり、歴史修正主義者が史実を否定しようとするからこそ、その史実に対して説明する必要が生じ、史実の否定による二次加害に対して為すべきことを述べる必要が生じるのです。

反歴史修正主義が歴史修正主義が否定しようとする史実に集中的に言及するのは当然のことであり、反歴史修正主義を消す一番の方法は歴史修正主義が消えることです。

史実の否定に対する国際的非難を消すには史実を否定しなければいいのです。史実を否定しようとする情報戦ごっこが自爆となるのは必然なのです。歴史認識問題をめぐる日本の現状は情報戦に負けた結果ではなく、「真実」として自己慰撫のための嘘歴史を主張した結果というのが現実なのです。

kiya2015kiya2015 2013/06/20 18:33 日本軍による各種暴力は断罪されるべきですが、
ソ連軍のそれは枢軸国を殲滅するためにやむを得なかったもので、
日本に対する責任追及と同列に扱うべきものではないと思います。
また、文中に書かれているように、
ネオリベ資本主義の害悪が跋扈している現在の世界において、
ソ連軍の悪行追究は反共に利用されるので控えるべきだとも思います。

AAA11AAA11 2013/06/20 20:14  
罪のない国をおとしいれるような記事を書いちゃいかんよ。

日本の若者たちが勘違いしてしまったらどうすんだ。

apemanや 法華狼や D_Amonなど

君たちの組織は執拗だな。

君たちの組織を運営している国には言論の自由というものがない。
 
執拗かつ言論の自由がない国の監視の下で、

君たちは不安を抑圧しながらアンダーグラウンドな仕事に従事している。

これからも罪のない国をおとしいれようとするこの仕事を

気の毒なことに君たちの人生の最期まで続けていくことになるのだろう。

心の底で、日本のように明るく正直に生きることができる国に憧れながら。

D_AmonD_Amon 2013/06/20 20:20 狂人来たれり。

AAA11AAA11 2013/06/20 20:35  
君たち自身がまさしく それに当てはまっております。

D_AmonD_Amon 2013/06/20 21:07 >君たちの組織

陰謀的妄想

>執拗かつ言論の自由がない国

私は日本人なんですが、これは一体どこの国のことを言っているのでしょうか?「真正保守」な人々が作りたがっている「美しい国」はそういう国になりそうですけどね。

D_AmonD_Amon 2013/06/20 21:11 おそらく元kiya2014さんで脳内サヨクロールプレイヤーなkiya2015さんに言っておくと、ソ連兵の蛮行に対してそういう姿勢だったドイツ共産党は支持を得られませんでしたよ。

m-matsuokam-matsuoka 2013/06/20 21:49 朝鮮人が同じ臣民だった日本人を虐殺したことを隠蔽したいのですね。

>「真実」として自己慰撫のための嘘歴史を主張した結果というのが現実なのです。

建国の経緯から現在までの歴史がウソだらけの韓国や北朝鮮、中国の現実ですね。

D_AmonD_Amon 2013/06/20 22:14 満州であったようなことは敗戦時の朝鮮半島でもあったでしょうね。で、何が隠蔽?
あなたはとっとと宿題をしなさい。

m-matsuokam-matsuoka 2013/06/20 22:40 >満州であったようなことは敗戦時の朝鮮半島でもあったでしょうね。

で、出た〜、こういう態度こそが歴史修正主義ですね。
一方の史実は重大視し、もう一方は軽視して歴史を隠蔽・改ざんしようとする。

>あなたはとっとと宿題をしなさい。

このように自分を「宿題を出す側」つまり教師になぞらえ、偉く見せようとするのは捏造や差別を行なっていることを正当化しようとしているわけですね。

このように上下関係でしか人間関係を把握できないのが、差別を実践しているid:D_Amon のような人々に共通する特徴です。

D_AmonD_Amon 2013/06/20 22:48 私は史実を否定していませんが何か?
満州であったことも重大ですよ。
むしろ、満州であったことと同じようなことが朝鮮半島でおきれば、それを差別の具として用いるid:m-matsuokaのような人々がおかしいのですし、価値観としても国際的に通じないのですけどね。

D_AmonD_Amon 2013/06/20 22:52 あと、自身の発言の根拠を示せという意味での宿題を私が出したことにするのもどうかと。
自らの発言に責任を持てという当然の話ですよ。

spinydobsonflyspinydobsonfly 2013/06/20 23:47 > 多くの中国人女性が日本兵の性暴力の被害にあった。

お前、さらっと嘘を混ぜるなよ。

当時、南京に白人が引いた非武装地帯(安全地帯)があった。
そこに南京市民流れこんで着ていたが、どの白人も「虐殺」なんて記録は書いてなかった。
いくらなんでも十万人もやれば記録に残る。


嘘つきのゲス野郎。

ApemanApeman 2013/06/20 23:49 ご存知かもしれませんが。石田氏の解説で言及されている『火炎−空爆撃下のドイツ 一九四〇−一九四五』は『ドイツを焼いた戦略爆撃 1940-1945』(みすず書房、著者名の表記はイェルク・フリードリヒ)として邦訳されています。

D_AmonD_Amon 2013/06/20 23:52 id:spinydobsonflyさんは「資料 ドイツ外交官の見た南京事件」とか「南京難民区の百日―虐殺を見た外国人」を読むべきですね。安全区にいた外国人自身が日本兵による虐殺と性暴力を記録していますよ。

D_AmonD_Amon 2013/06/20 23:58 Apemanさん、ご紹介ありがとうございます。本屋で立ち読みしてタイトルは知っていましたが、石田氏の解説で言及されている本とは気づきませんでした。

kiya2015kiya2015 2013/06/21 08:10 >ソ連兵の蛮行に対してそういう姿勢だったドイツ共産党は支持を得られませんでしたよ。

それはドイツ人が愚かだったからではないでしょうか。
何をおいても共産主義の実現を優先しない態度では、
資本主義という怪物に勝利することはできません。
結局今の日本がワタミやユニクロのような連中に支配されているのも、
わたしたちが資本主義を完全否定できず妥協してしまう心性をもつことに起因します。
ソ連軍が戦争犯罪を犯したから、スターリンが強権政治をおこなったから、
中国でもうまくいかなかったから・・・etc
そういう言い訳を繰り返して共産主義を嫌悪する人たちが多い限り、
幸せな世界はやってこないでしょう。

kiya2015kiya2015 2013/06/21 08:23 誤解があるといけないので補足しますが、
ドイツ人の愚かさはこの期に及んで自民党を支持する倭人の愚かさには遠く及びません。

D_AmonD_Amon 2013/06/21 09:00 私はそのようにしたドイツ人が愚かだったとは思いませんし、再分配強化や労働者権利強化などをした修正資本主義でいいと思ってますので。
ワタミなどの悪はフォーディズムなどと比較すればブラック企業の悪というものです。

kiya2015kiya2015 2013/06/21 10:05 ブコメより

WereIm
まあソ連軍の性暴行は「ソ連の国家意志」どころか下っ端が自主性を発揮しただけだし、証拠が確認(倭猿基準の“証拠確認”)されたわけでもないから、ソ連は無罪なんじゃねえの?wwww2013/06/21

言葉遣いは悪いですが、概ねWereImさんの意見に同意です。
南京虐殺や従軍慰安婦が他国の軍隊による暴力と比較して特異なのは、
それが兵士個人の判断でおこなわれたものではなく、
国家権力が規定し構築したものだということです。
だからこそ国家がその責任をとり、謝罪と賠償をおこなわなければならないのです。
ソ連軍兵士たちの暴力性を日帝そのものの暴力性と同列に扱うD_Amonさんの態度は、
石原橋下や安倍自民らの「だって他の国もやってただろ」という
錯誤した論理に塩を送ることにしかなりません。

D_AmonD_Amon 2013/06/21 10:11 ソ連軍の蛮行と日本軍慰安婦は勿論異なりますよ。
しかし、ソ連軍の蛮行の否認も日本軍慰安婦の否認も反発を買って当然な行為という点では同じですね。
当然ですが、この記事は反発を買って当然な行為をしていることを理解してねという意図で書いています。

kiya2015kiya2015 2013/06/21 13:28 なるほど了解しました。

さて、私の目下の関心事は、m-matsuokaのような、もはやいかなる対話も不可能な馬鹿どもを
どうすれば沈黙させることができるかということです。
しばき隊のような誠実な方々の貢献により、
現実世界におけるレイシストたちのデモは抑えられつつありますが、
残念ながらネット上における数々の差別発言は一向に収まる気配を見せていません。
沖縄タイムスなどが提唱するように、ヘイトスピーチを法規制するのは
有効な手段ではありますが、そもそも政権与党がレイシスト集団である以上、
また警察・検察が人権擁護にあまりに無関心な状況を鑑みるに、
お上からの規制はおそらく曲解され、むしろ反レイシズム活動を押さえ込むために悪用されるでしょう。

どうすればいいのでしょうか。

tqgtqg 2015/02/17 14:17 しばき隊のような誠実な方々の貢献により、
現実世界におけるレイシストたちのデモは抑えられつつありますが、

ラーメン吹いた

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