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2012-04-22

[]白燐は焼夷兵器であり”無用の苦痛”を引き起こす兵器

Incendiaries, which include napalm,flame throwers, tracer rounds and white phosphorus, are not illegal, per se, but must be monitored for their use to prevent “unnecessary suffering.”

For instance, white phosphorus is not banned as a method for marking targets or for igniting flammable targets, but it should not be used as an anti-personnel munition unless other types of conventional antipersonnel ordnance are unavailable.

焼夷兵器(それはナパーム火炎放射器、曳光弾、白燐を含む)はそれ自体は違法ではありませんが、使用に際しては”無用の苦痛”を避けるよう監視されなければなりません。

例えば、白燐は目標のマーキングや可燃性の目標に着火する手段としては禁止されていませんが、それは他の通常対人兵器が使用不能でない限り対人兵器として使ってはいけません。

http://sill-www.army.mil/famag/2001/MAY_JUN_2001/MAY_JUN_2001_PAGES_40_43.pdf

Field Artillery May-June 2001 P42より引用。翻訳は引用者による。翻訳にあたり文脈的に白燐弾なり黄燐弾なりに意訳すべき部分もwhite phosphorusを白燐と直訳しています。著者のJon D. Holdawayは米陸軍軍事法務官(Judge Advocate)。

この記事から米陸軍においても白燐=黄燐が焼夷兵器の一種として扱われていることがわかります。

白燐は煙幕・焼夷・対人と多用途に使われますが、煙幕だからとして焼夷兵器から除外されてはいません。

白燐は代表的な焼夷剤の一種であり、焼夷兵器としても扱われます。

以前言及したWiselerさん*1のようにどうしても理解したがらない人もいますが白燐は”煙幕または焼夷”ではなく”煙幕かつ焼夷”なのです。

そして焼夷兵器は特定通常兵器使用禁止制限条約議定書III(焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書)に規制されますし、”無用の苦痛”を与える兵器は陸戦条約にもジュネーブ条約追加議定書にも規制されます。

“the Geneva convention says you can't fire white phosphorus at troops;so you call it in on their equipment. ”

ジュネーヴ条約では、黄燐焼夷弾を軍に向けて発砲してはならないと定めているから、敵の装備に当たったと主張すればいい」

http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20100823/p1

というような「On killing」(邦題「戦争における人殺しの心理学」)における「the Geneva convention says you can't fire white phosphorus at troops(ジュネーブ条約では白燐を軍隊に向けて撃ってはならないとしている)」という記述は正しいということです。

”無用の苦痛”を引き起こす兵器は敵戦闘員であろうと(他の通常兵器を使用できるならば)対人使用してはならないのです。

また、以下に引用・翻訳するように白燐を議定書IIIの対象とする報道も正しいということになります。

White phosphorus is covered by Protocol III of the 1980 Convention on Conventional Weapons, which prohibits its use as an incendiary weapon against civilian populations or in air attacks against enemy forces in civilian areas.

白燐は特定通常兵器使用禁止制限条約議定書IIIの対象とされ、議定書IIIは民間人に対する又は民間人居住区域の敵軍に対する空中からの攻撃に焼夷兵器としてそれを使用することを禁じています。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4441902.stm

このことは白燐を議定書IIIの対象とする報道を虚偽報道扱いしていた人々の方が虚偽を主張していたことを意味します。


なぜこのような記事を書いたかといえば、以下の発言を見たからです。


紫音(意識が混濁している変態)@sionsuzukaze

Apemanさん 現行法上「焼夷兵器」の規制に「含まれていない」事実を述べたらそれかよ。「その目的で使用される例が多々」は否定していないし法規制の必要性も認めているけど?「御用」って本当に便利な言葉ですね。 / “はてなブックマ…” http://htn.to/v1WmGA

https://twitter.com/#!/sionsuzukaze/status/137054482398842880

紫音氏がこのような認識だとは知りませんでした。この発言に関係するやりとりの際には違法性を認めているかのような発言をしていたと記憶しています。

私は今回翻訳した記事について既にhigeta氏の記事*2により知っていましたから、もし紫音氏がそのやりとりの際にこのような発言をしていたらhigeta氏の記事を引いて反論していたことでしょう。

ただ、今更このことをもって紫音氏にどうこう言うつもりはありません。

紫音氏のこの解釈は意図的な虚偽ではなく、無知に重ねての条文だけを読んでの独自解釈の結果だと思いますし、そうであるならば、以後は言われるまでもなく自ら改めることができることでしょうから。

私自身もこのようなことに関して人のことを言える立場でもありませんし。

私自身、無知による勘違いをしばしばしてしまいますから。


戦争犯罪を証明する難易度の問題

報道なり人権団体なりが白燐弾なり特定の兵器なりを俎上に載せて戦争犯罪として追及することに疑問を持つ人に対して質問します。以下に挙げる項目で戦争犯罪を証明する難易度が相対的に低いのはどれと思いますか。


1.ある条件下においては軍事目標に対する使用でも戦争犯罪になる兵器の使用を証明すること

2.敵戦闘員に対する使用であろうと対人使用は戦争犯罪になる兵器の使用を証明すること

3.民間人施設に対する攻撃でその攻撃の加害者が「そこから攻撃を受けたから反撃した」と主張した場合にそれが嘘であることを証明すること

4.戦時の殺人において殺害されたのが民間人であることと、民間人の被害が付随的被害によるものでないこと(故意に民間人を攻撃したり、民間人の被害を軽減するためにできうるかぎりのことをせずに攻撃したりしたこと)を証明すること


追及に対してのらりくらりと言い逃れしようとする不誠実な加害者にそのような加害を行ったことを認めさせることになることを考えて選んでください。

私はこの場合に現実的な方に属するのは1か2と思います。

そして、報道や人権団体の置かれた立場を考えれば彼らが限られたリソースを現実的な方につぎ込んで追及するのは非常に妥当なことに思えます。限られたリソースから結果を出そうとする上で選択と集中を行うのは当然のことというものでしょうから。

加害者と被害者という圧倒的な非対称性の上で「民間人施設からの攻撃の有無」や「死者は戦闘員か民間人か」という疑問に答える責任を、加害者ではなく、被害者に与する側が負わされがちという理不尽がこの世界にはあります。そして、自らその理不尽に加担する人もこの世界には大勢いるのです。その理不尽を理不尽として認識しない人も。

報道される戦争被害は数々あります。その戦争被害が戦争犯罪であるかと、戦争犯罪として立証できる見込みがあるかは別です。戦争犯罪を追及する人が後者の中から対象の選択を行うことを私はおかしいとは思いません。


ただ、これはあくまで私の推測で、報道や人権団体が実際にそのような判断のもとにそういう行動をしたかは私にはわかりません。

確実に言えることは白燐弾報道に関しWikipediiaの白燐弾のページに「照明効果および焼夷効果は持っていない」と書きこんでいた人々より欧米の報道や人権団体の方が国際法についても軍事についても専門的な知識を持っているということです。


On Killing: The Psychological Cost of Learning to Kill in War and Society

On Killing: The Psychological Cost of Learning to Kill in War and Society


戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)

戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)


[]白燐弾報道否定論に用いられるガーディアンの記事の全訳および「デマが許せない人々」について

ガーディアンの白燐弾に関する記事がWikipediaなどで記事本来の意図と逆に用いられているので以下に全訳を掲載します。

Behind the phosphorus clouds are war crimes within war crimes

白燐の煙の向こう側にあるのは戦争犯罪の中の戦争犯罪

We now know the US also used thermobaric weapons in its assault on Falluja, where up to 50,000 civilians remained

米国ファルージャに対する攻撃においてサーモバリック兵器も使用したということを我々は現在知っています。そこには50,000人に達する民間人がとどまっていました。

George Monbiot

The Guardian, Tuesday 22 November 2005

ジョージ・モンビオット

ガーディアン、2005年11月22日火曜日


The media couldn't have made a bigger pig's ear of the white phosphorus story. So, before moving on to the new revelations from Falluja, I would like to try to clear up the old ones. There is no hard evidence that white phosphorus was used against civilians. The claim was made in a documentary broadcast on the Italian network RAI, called Falluja: the Hidden Massacre. It claimed that the corpses in the pictures it ran "showed strange injuries, some burnt to the bone, others with skin hanging from their flesh ... The faces have literally melted away, just like other parts of the body. The clothes are strangely intact." These assertions were supported by a human-rights advocate who, it said, possessed "a biology degree".

そのメディアは白燐の話について大きな失敗をしてしまったわけではありませんでした。それ以上の間違いは犯しようがなかったでしょう。*3それゆえ、ファルージャから新たに暴露された話に移る前に、私は以前に暴露された話について整理しておきたいと思います。白燐が民間人に対して使用されたという明確な証拠はありません。この主張はイタリア放送局RAIにより放送された「ファルージャ:隠された虐殺」と題されたドキュメンタリーによりなされたものです。このドキュメンタリーは死体の映像とともに「奇妙な負傷が見られます。あるものは骨まで焼け、あるものは皮膚が剥がれ落ちています…。顔は完全に溶けさっていて、ちょうど体の他の部分と同じようになっています。服は奇妙にも無傷です」と主張しています。これらの主張は「生物学学位」をもつという人権活動家達に支援されていました。


I, too, possess a biology degree, and I am as well qualified to determine someone's cause of death as I am to perform open-heart surgery. So I asked Chris Milroy, professor of forensic pathology at the University of Sheffield, to watch the film. He reported that "nothing indicates to me that the bodies have been burnt". They had turned black and lost their skin "through decomposition". We don't yet know how these people died.

私も生物学の学位をもっており、心臓切開手術をとり行うのと同じくらいに人の死因を判断する資格があります。*4そこで私はシェフィールド大学法病理学教授のクリス・ミルロイ氏にその映像を見るように依頼しました。彼は「死体が燃やさされたことを私に示すものは無かった」と報告しました。死体は「腐敗により」黒くなり皮膚が失われたのだと。これらの人々がどのように死んだのかはまだわかりません。


But there is hard evidence that white phosphorus was deployed as a weapon against combatants in Falluja. As this column revealed last Tuesday, US infantry officers confessed that they had used it to flush out insurgents. A Pentagon spokesman told the BBC that white phosphorus "was used as an incendiary weapon against enemy combatants". He claimed "it is not a chemical weapon. They are not outlawed or illegal." This denial has been accepted by most of the mainstream media. UN conventions, the Times said, "ban its use on civilian but not military targets". But the word "civilian" does not occur in the chemical weapons convention. The use of the toxic properties of a chemical as a weapon is illegal, whoever the target is.

しかし、ファルージャで白燐が戦闘員に対する兵器として有効に使用された明確な証拠はあります。先週の火曜日にこのコラムが明らかにしたところでは、米歩兵将校が彼らが反乱者を狩り出すために白燐を使用したことを告白しました。米国防総省のスポークスマンはBBCに「白燐は敵戦闘員に対して焼夷兵器として使われた」と話しました。彼は「それは化学兵器ではない。非合法でも違法でもない」と主張しました。この否定はほとんどの主流メディアで受け入れられました。タイムズ誌は、「国連の条約では民間人への使用は禁じられていますが、軍事目標にはそうではありません」と報じました。しかし、「民間人」という言葉は化学兵器条約にありません。毒性化学物質の兵器としての使用は目標が誰であろうと違法です。


The Pentagon argues that white phosphorus burns people, rather than poisoning them, and is covered only by the protocol on incendiary weapons, which the US has not signed. But white phosphorus is both incendiary and toxic. The gas it produces attacks the mucous membranes, the eyes and the lungs. As Peter Kaiser of the Organisation for the Prohibition of Chemical Weapons told the BBC last week: "If ... the toxic properties of white phosphorus, the caustic properties, are specifically intended to be used as a weapon, that of course is prohibited, because ... any chemicals used against humans or animals that cause harm or death through the toxic properties of the chemical are considered chemical weapons."

米国防総省は、白燐は人々を中毒させるというより燃やすのであり、焼夷兵器に関する条約にのみ規制されるが、米国はその条約に署名していないと主張しています。しかし、白燐には焼夷性と中毒性の両方の効果があります。白燐が生成するガスは目や肺の粘膜を冒します。化学兵器禁止機関のピーター・カイザー氏は先週BBCに以下のように話しました。「もし…白燐の毒性、腐食性が明確に兵器として使われるのであれば、もちろん禁止されるべきです。なぜならば…どんな化学物質も人間や動物に対してその毒性により危害や死を引き起こすように使われれば、その化学物質は化学兵器とみなされるからです」


The US army knows that its use as a weapon is illegal. In the Battle Book, published by the US Command and General Staff College at Fort Leavenworth, Kansas, my correspondent David Traynier found the following sentence: "It is against the law of land warfare to employ WP against personnel targets."

米陸軍は、白燐の兵器としての使用は違法であることを知っています。当社の通信員デイビッド・トレイナーはカンサス州フォート・レヴェンワースのアメリカ指揮幕僚官校により出版された戦術書に以下の文があることを発見しました。「白燐の対人使用は陸戦条約に違反します」


Last night the blogger Gabriele Zamparini found a declassified document from the US department of defence, dated April 1991, and titled "Possible use of phosphorus chemical". "During the brutal crackdown that followed the Kurdish uprising," it alleges, "Iraqi forces loyal to President Saddam may have possibly used white phosphorus (WP) chemical weapons against Kurdish rebels and the populace in Erbil ... and Dohuk provinces, Iraq. The WP chemical was delivered by artillery rounds and helicopter gunships ... These reports of possible WP chemical weapon attacks spread quickly ... hundreds of thousands of Kurds fled from these two areas." The Pentagon is in no doubt, in other words, that white phosphorus is an illegal chemical weapon.

昨晩、ブロガーのカブリエーレ・ザンパリーニ氏は「燐化学物質の使用の可能性」と題された1991年4月の日付の機密解除された米国防省の書類を見つけました。それには「クルド人の反乱に対する残酷な鎮圧の間に、サダム大統領に忠誠を誓うイラク軍はクルド人の反乱者とイルビルの民衆に対して白燐化学兵器を使用した可能性がある。…イラクのダフク県においても。白燐化学物質は大砲と武装ヘリコプターにより撃ちこまれた。…白燐化学兵器による攻撃の可能性に関する報道はすばやく広まった。…数十万人のクルド人がこの二つの地域から逃れた」米国防総省は疑いなく、すなわち、白燐を違法な化学兵器としていました。


The insurgents, of course, would be just as dead today if they were killed by other means. So does it matter if chemical weapons were mixed with other munitions? It does. Anyone who has seen those photos of the lines of blind veterans at the remembrance services for the first world war will surely understand the point of international law, and the dangers of undermining it.

死亡した反乱者は、もちろん他の兵器によって殺されたのかもしれません。反乱者たちは、もちろん、もし別の手段で殺されたとしても今日生きていることはないでしょう。*5もし化学兵器が他の兵器と一緒に用いられたとしてそれが重要だとでも?それは重要です。第一次世界大戦追悼礼拝における失明した退役軍人の列の写真を見たことがあるものは誰でも国際法の重要性とそれをないがしろにすることの危険性を理解しているはずです。


But we shouldn't forget that the use of chemical weapons was a war crime within a war crime within a war crime. Both the invasion of Iraq and the assault on Falluja were illegal acts of aggression. Before attacking the city, the marines stopped men "of fighting age" from leaving. Many women and children stayed: the Guardian's correspondent estimated that between 30,000 and 50,000 civilians were left. The marines treated Falluja as if its only inhabitants were fighters. They levelled thousands of buildings, illegally denied access to the Iraqi Red Crescent and, according to the UN's special rapporteur, used "hunger and deprivation of water as a weapon of war against the civilian population".

私達は決して忘れてはなりません。化学兵器の使用は戦争犯罪、それも戦争犯罪の中の戦争犯罪であることを。イラク侵攻とファルージャ攻撃の両方が違法な侵略行為であることを。ファルージャを攻撃する前に海兵隊は「戦闘可能年齢」の男性の退去を許しませんでした。多くの女性と子供がファルージャにとどまっていました。ガーディアンの通信員は三万人から五万人の民間人がとり残されていたと推定しました。海兵隊はファルージャのただの住人を戦闘員であるかのように扱いました。彼らは何千もの建物を破壊し、イラクの赤十字の救援を不法に拒否し、国連特派員によれば「飢えと渇きを戦争における兵器として民間人に対して」使用しました。


I have been reading accounts of the assault published in the Marine Corps Gazette. The soldiers appear to have believed everything the US government told them. One article claims that "the absence of civilians meant the marines could employ blast weapons prior to entering houses that had become pillboxes, not homes". Another said that "there were less than 500 civilians remaining in the city". It continued: "The heroics [of the marines] will be the subject of many articles and books ... The real key to this tactical victory rested in the spirit of the warriors who courageously fought the battle. They deserve all of the credit for liberating Falluja."

私は海兵隊新聞で発表されたその攻撃の記事を読んでいました。兵士たちは米国政府が彼らに話した全てのことを信じていたようでした。ある記事は「民間人の不在は海兵隊が家ではなくトーチカになってしまった家屋に入る前に爆発性の兵器を使用できることを意味しました」と主張しました。別の記事は「その都市には500人未満の民間人がとどまっていました」と言いました。それは「(海兵隊の)英雄的行動はたくさんの記事と書籍の主題です。…この戦術的勝利の真の鍵は勇敢に戦った戦士たちの精神によります。彼らはファルージャ解放の称賛の全てに値します」と続きました。


But buried in this hogwash is a grave revelation. An assault weapon the marines were using had been armed with warheads containing "about 35% thermobaric novel explosive (NE) and 65% standard high explosive". They deployed it "to cause the roof to collapse and crush the insurgents fortified inside interior rooms". It was used repeatedly: "The expenditure of explosives clearing houses was enormous."

しかし、このバカ話に埋められたものに重大な真実があります。海兵隊員が使っていた攻撃用兵器は弾頭に「およそ35%のサーモバリック爆薬弾頭(NE)と65%の榴弾」を搭載していました。彼らは「屋根の崩落を引き起こし屋内にたてこもる反乱者を押しつぶすために」それらを使用しました。それは「家屋の掃討に用いた弾頭の消費は莫大」なほど繰り返し使われました。


The marines can scarcely deny that they know what these weapons do. An article published in the Gazette in 2000 details the effects of their use by the Russians in Grozny. Thermobaric, or "fuel-air" weapons, it says, form a cloud of volatile gases or finely powdered explosives. "This cloud is then ignited and the subsequent fireball sears the surrounding area while consuming the oxygen in this area. The lack of oxygen creates an enormous overpressure ... Personnel under the cloud are literally crushed to death. Outside the cloud area, the blast wave travels at some 3,000 metres per second ... As a result, a fuel-air explosive can have the effect of a tactical nuclear weapon without residual radiation ... Those personnel caught directly under the aerosol cloud will die from the flame or overpressure. For those on the periphery of the strike, the injuries can be severe. Burns, broken bones, contusions from flying debris and blindness may result. Further, the crushing injuries from the overpressure can create air embolism within blood vessels, concussions, multiple internal haemorrhages in the liver and spleen, collapsed lungs, rupture of the eardrums and displacement of the eyes from their sockets." It is hard to see how you could use these weapons in Falluja without killing civilians.

海兵隊員はこれらの兵器が何をするかについて知っているということはほとんど否定できません。2000年に新聞で発表された記事はグロズヌイでのロシア人によるそれらの使用の効果を詳述しています。それによれば、サーモバリックまたは「燃料気化」の兵器は爆発寸前のガスまたは粒子状の爆発物の雲を生成します。「この雲は点火されると直後に火の玉が、周辺地域の酸素を消費している間、その地域を焼きます。その酸素の欠乏は非常に過度な圧力をつくりだします。…雲の下の人は文字通り押しつぶされて死にます。雲の外の地域では爆風が秒速約3000メートルで移動します。…その結果、燃料気化爆弾は残留放射線なしで戦術核兵器の効果を持ちえます。…エーロゾルの雲の直下にとらわれた人は炎または過度の圧力で死にます。その攻撃の周辺においても負傷は深刻なものになりえます。火傷、骨折、飛んでくる破片による打撲、失明が起こりえます。さらに、過度の圧力に押つぶされたことによる負傷は血管の空気塞栓、脳震盪肝臓や脾臓の複数の内出血、肺虚脱、鼓膜の破裂、眼球が眼窩から飛び出すことを引き起こしえます」どのようにすればファルージャにおいてこれらの兵器を民間人を殺すことなく使用することができるのか理解し難いです。


This looks to me like a convincing explanation of the damage done to Falluja, a city in which between 30,000 and 50,000 civilians might have been taking refuge. It could also explain the civilian casualties shown in the film. So the question has now widened: is there any crime the coalition forces have not committed in Iraq?

これは私にとって三万から五万の民間人が避難していたかもしれない都市であるファルージャの被害の納得のいく説明と思われます。それは映像で示された民間人の被害を説明することもできます。今、この問題はさらに広がりました。連合軍がイラクで犯さなかった犯罪がひとつでもありますか?

http://www.guardian.co.uk/world/2005/nov/22/usa.iraq1

翻訳にあたり発音がわからなかった地名には推測で音を当てています。また、文脈的に白燐弾なり黄燐弾なりに意訳すべき部分もwhite phosphorusを白燐と直訳しています。*6


読めばわかるようにこの記事はRAIの映像の問題点を指摘する一方で報道としての価値を評価する記事であり*7、白燐弾報道を否定するどころか白燐弾の対人使用を含む戦争犯罪を追及する記事です。

報道には様々な条件により問題が含まれてしまうことがあります。しかし、その問題がその報道の全てを否定してしまうかといえばそうとはかぎらないというのは当然のことでしょう。


白燐が焼夷兵器に関する条約で規制されることは米国防総省も認めているということもこの記事からわかります。その条約で罪を問えないのは米国がその条約を批准していないからです。しかし、それは道義的責任から免れることを意味しません。

また、このような開き直りは「人口密集地域に化学兵器工場がある場合、通常爆撃で破壊するより、焼夷兵器で燃やしてしまった方が周囲の人的被害を抑えられる」というような米国が焼夷兵器に関する条約批准を保留していることを正当化している理屈を真に受ける必要もないということを意味します。

そして、この記事を根拠として参照しながら「焼夷効果はない」とか「条約上の焼夷兵器ではない」とか発言する人は本当にこの記事を読んでいるのであれば意図的に虚偽を述べていることになります。*8


この記事は白燐弾の使用について、報道による追及に効果があったことも示しています。

「煙幕や照明として適切に使用した」と主張していた米国に「敵戦闘員に対して焼夷兵器」として使用したことを認めさせたのですから。初めのうちは言い逃れしていたことは米国も道義的責任を意識していたことを意味するというものでしょう。「批准していないので罪に問われないから使い放題」なのであれば最初から言い逃れする必要はないのです。規制条約は非批准国にも規制された兵器を道義面から使いにくくするのです。


この記事のサーモバリック弾頭に関する記述はこの記事の否定に用いられかねない記述だと思います。

ファルージャで使用されたのは状況から考えれば携帯式ロケット弾のものでしょう。仮にそうだとすればこの記事の記述は「携帯式ロケット弾の弾頭が戦術核兵器級の効果を持つとでもいうのか」というように文句を言われかねない隙を持っていることになります。

そういう隙をついて一点突破全面展開しようとする人々やそういう隙があることを論難してくる人々の存在を考えれば、この記述は引用文だとしても問題があるといえるかもしれません。私としては問題があるのはそのような人々の方と思いはするものの。

ただ、そういう人々にしてもサーモバリック弾頭の携帯式ロケット弾が圧力兵器として使われることは否定しないと思います。

「デマが許せない人々」について

以下、白燐弾報道を虚偽報道扱いしWikipediaなど各所で否定した人々を「デマが許せない人々」と括弧付きで呼ぶことにします。

Wikipediaの白燐弾に関する記述において、この手の人々が今回翻訳した2005年11月22日のガーディアンの記事を白燐弾報道否定の根拠として用い続けながら、その一方で2009年1月15日の書きかえまで「照明効果および焼夷効果は持っていない」と書き続けていたことは何を意味しているでしょうか。いまだに白燐弾報道に否定的に疑いをかける根拠として利用し続けていることは何を意味しているでしょうか。

記事を全文読んでそれを行っているとすれば「デマが許せない人々」は自らの発言の方が虚偽であることを知りながら意図的に白燐弾報道を虚偽扱いする虚偽を主張していることになります。そうであるならば、「デマが許せない人々」は虚偽を許せないどころか実のところ自らの主張の方が虚偽であることを知りながら自らが加担してしまった虚偽の延命に尽力する人々ということになります。

「デマが許せない人々」の全てがそうとは言いません。しかし、このガーディアンの記事を根拠とした人で実際に記事を読んだ上でその手の主張を継続している人々は、言語力不足を妄想力で補って自らの願望に沿う翻訳をする山本七平型にしても、翻訳における訳語選択と切り取りにより虚偽を作り出す東中野修道型にしても、不誠実の誹りはまぬがれえないというものでしょう。*9

仮に最初は虚偽に加担していることを知らなかったとしても、それが虚偽と知った後も「嘘だとばれなければいい」的に自らの保身のために意図的に自らが加担してしまった虚偽の延命をしようとしていたわけですから。

念のために言っておきますが、記事を全文は読まずにそれを行った場合もその態度は慎重でも誠実でもありません。


私は白燐弾報道否定論を展開していた「デマが許せない人々」が最初から悪意で虚偽を述べていたとまでは言いません。

自らの無知により白燐弾報道否定論という虚偽を作り出してしまった人も、その虚偽を受け売りしてしまった人もいたでしょう。そういう人々は自らの方が真実を述べているのであり、被害者や報道や人権団体の方が嘘をついていると本気で思いこんでいたことでしょう。

しかし、後続の報道をきちんと読んでいればそういう人々にしても自らの主張の方が虚偽だと自覚できたというものでしょう。

私は白燐弾報道否定論が無知による誤りであるならば、その無知までを責めようとは思いません。私自身も無知により愚かな間違いをしばしばしてしまう人間ですから。

しかし、自らの主張の方が虚偽だと自覚したうえで虚偽の延命に加担することは責められるべきことと思います。

そういう人は今からでも遅くないので態度を改めてほしいと思います。

被害者側の問題を積極的に追及しながら加害者側にはそうしないのは中立ではありえない

加害者と被害者のいる問題で結果として加害者に加担している人についても思うところがあるので書きます。

そういう人は戦争犯罪の話題に限らずいると思います。

例えば性犯罪において被害者側に無知による思いこみで実際の自衛には役立たない「自衛論」をぶつ人とか。*10

具体的にはどういう人かを以下に書きます。


言われれば加害の問題を認識していることは認める。しかし、自ら積極的に加害の問題を追及することはしない人。

その一方で被害者側の問題を積極的に追及する人。

被害者側の行いに積極的に落ち度を見出そうとする人。

被害者側に問題点を指摘できるほどの知識を持たないのに被害者側に有意義な問題点の指摘をしてるつもりで戦略指南をしているつもりな(のかもしれない)人。

「こうすれば助力してやらんでもない」となぜかしたり顔でそういう戦略指南を行う人。*11

そういう何が何でも被害者側にものもうしたいとしか思えない人。


自ら積極的に加害の問題を追及することはしないというだけなら問題視はしません。リソースの有限を考えれば全てのことに言及できないのは当然ですから。

これはある問題に積極的に言及する際の姿勢を問題視しているのです。

本人の自己認識がどうあれ、このような態度が偏っているのは明らかだと思います。

そういう態度は中立ではありません。

ただの加害者への加担者です。*12


[]無断転載としてソフトバンクに訴えられた、なんてことはありません

白燐弾はどういう兵器でどのように使われてきたか - 模型とかキャラ弁とか歴史とか

小林源文氏の漫画を引用した件について小林源文氏の知り合いを自称している人物が小林源文氏とそのことを電話連絡したと主張している件についてです。

問題は、この記事の後半にある小林源文閣下の劇画(無断転載)。コレを根拠にするってのも正直アレなんですが、ブログ主は閣下の恐ろしさを知らないらしいw

親しい人間ならまだしも、こういう阿呆に閣下は容赦ないですよ。たぶん、ソフトバンクの法務部辺りからキツイ御達しがあるかとw

閣下ご本人がどう考えているのか、電話で聞こうと思ったんですけど、留守電でやんのw まあいいや、又の機会に。

と思ってたら、すぐに電話がかかってきたw

閣下「お〜!元気か〜w」

私「あ、わざわざすんませんw あれ?今日は何処で飲んでるんです?」

閣下「編集部の近くだよ〜(ご機嫌)」

私「いやね、阿呆が(以下略)」

閣下「ああ、それはもうソフトバンクの法務部が動いてるよ。」

私「ああ、やっぱりw」

閣下「そりゃそうだよ、あんなのはあqwせdrftgyふhじこlp」

http://a-odagiri.seesaa.net/article/113365636.html

この件に関し私がソフトバンクに訴えられたという事実はありません。

正規の引用とみなせない不法な無断転載として法的手段を取られた場合、正当な範囲の引用として争うつもりでしたが、結局のところ、ソフトバンクからはなんの連絡もありませんでした。

アクセス解析にはソフトバンクの回線を使用した接続の履歴が残っていましたが、そのIPネットカフェで使用しているものでした。

私はこの小林源文氏の知り合いを自称する人物の他の記事をいくつか見て、この人は誇大妄想な人か自らを虚飾するために平気で嘘をつく人だという結論に達しました。

そして、この人はソフトバンクの回線を使用しているネットカフェからアクセスすることで自らの発言を事実だと思わせようと偽装するという姑息な工作をするような人でもあるのかもしれません。

この人の記事を真に受けて調子に乗るような人は愚か者、それも下衆な愚か者だと私は思います。

*1http://megalodon.jp/2009-0128-1442-13/d.hatena.ne.jp/wiseler/20090114/p1

*2http://d.hatena.ne.jp/higeta/20090312/p1

*3:修正。コメント欄参照。

*4:訳注:生物学の学位では心臓切開手術を行えないのと同様に人の死因を判断できないということでしょう。

*5:修正。コメント欄参照。

*6:他にも「It is hard to see how 〜」のように意訳した方がいい部分も直訳調に訳しています。

*7:削除。コメント欄で受けた指摘による。

*8:紫音@sionsuzukaze氏もこの記事を自らの主張の根拠に用いていますが、おそらくきちんとは読んでいなかったのだろうと思います。

*9:私は赤十字のコメント(http://b.hatena.ne.jp/entry/www.icrc.org/web/eng/siteeng0.nsf/html/weapons-interview-170109http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090123/p1参照)を嘘翻訳した人々もその同類だと思います。

*10:加害者側と被害者側という分け方が適切でないと思われる場合には加害側と反加害側とでも読みかえてください。

*11:無論、有意義な問題点の指摘や戦略指南はあるわけですが、その手の人々のそれが実際にそうだったことはないと思います。その手の人々のやっていることは実質的には被害者側を時間的にも心理的にも消耗させているだけ。

*12:このような人々はそういう自らの言動の偏りや理不尽に無自覚で、それについて説明されても理解しようとしない人々でもあると思います。

2011-11-14

[]白燐弾報道において被害者も報道も人権団体も嘘つきではない(追記あり)

これらの動画はイスラエル軍のガザ攻撃における白燐弾の使用を扱ったものです。

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見れば分かりますがかなり大きな(といっても目測で3〜4cm程度ですが)破片が燃え残ったままばらまかれたことがわかります。

どのような攻撃を行えばこのようになるかは後で説明します。

その前に白燐弾の用法について簡単に説明します。

1.通常の煙幕としての用法

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上空高くで爆発するように信管を設定した上で高い弾道で打ち上げる方法。

煙幕の展開には通常このような撃ち方をします。白燐弾の破片は煙を出しながら落下していき簾のように煙幕を展開します。

このように撃てば白燐弾の破片は長い距離を落下する間に燃焼と空気抵抗によりそのサイズと運動エネルギーを大きく減じます。

破片は落ちてきてもかなり燃え尽きている上に空気抵抗で減速した小さくて低速なものが落ちてくるにすぎません。また、ばら撒かれる範囲も広く単位面積あたりに落ちてくる個数も少ないでしょう。

このような用法であれば報道されているような被害は生じえないでしょう。

2.焼夷兵器としての用法1

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1と同じような弾道で打ち上げますが低空で爆発するように信管を設定する方法。

砲弾の落下速度と爆発の運動エネルギーのかなりを維持したままの大きな破片がばらまかれ、相応の焼夷効果と破片効果を発揮します。

塹壕に潜む敵兵などを焼くのに有効な方法です。

一例として「レイテ戦記」で米軍日本兵に対して使用したものをあげます。

その夜第八五化学砲隊がこの日本軍陣地を目標に五〇〇発射撃した。二十日の夕方十字架山の攻略にも用いられた白燐砲弾である。時限信管により地上一〇メートルで爆発、壕にひそんだ兵士に燃焼性物質を浴びせる。

レイテ戦記(大岡昇平中央公論社1971年)P78より。

3.焼夷兵器としての用法2

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低高度で爆発するように信管を設定し低い弾道で発射する方法。

「白燐の破片をばら撒くショットガン」的な使い方で、砲弾の飛翔速度と爆発の運動エネルギーのかなりを維持したままの大きな破片を地上に向けてばら撒き、相応の焼夷効果と破片効果を発揮します

一例としてノンフィクションCitizen Soldiers」でシャーマン戦車がドイツ軍機関銃陣地を攻撃するのに使った方法をあげます。

Attack teams consisted of one tank, an engineer team, a squad of riflemen, plus a light machine gun and a 60mm mortar. The Sherman opened the action. It plowed its pipe devices into the hedgerow, stuck the cannon through, and opened fire with a white phosphorus round into the corners of the opposite hedgerow, intended to knock out German dug-in machine-gun pits.


攻撃部隊は戦車一両、工兵部隊、小銃分隊、加えて、軽機関銃と60mm迫撃砲から成っていた。シャーマン戦車は行動を開始した。砲身を生け垣に突っ込んで、砲口を通し、向かいの生け垣で隠れている場所へ白燐弾を撃った。機関銃陣地に伏せているドイツ兵をノックアウトするために。

Citizen Soldiers」P67より。翻訳は引用者による。

このように運動エネルギーを維持したままの白燐弾の破片はぶつかったときの衝撃で周囲に火沫をまき散らしますし、人体のような軟目標であれば突き刺さることも十分にありえます。

当然、人体に直撃すれば広範囲に火傷を負うことになりますし、地面や壁にぶつかったとしても近くにいればそういう火沫を浴びることになりますし、可燃物があれば高い可能性で着火されます。

2の用法とは異なり塹壕に潜む敵兵などにはあまり役に立つとは言えない用法ですが、屋外の対象に有効なだけでなく、建造物の窓などにも破片が飛び込みやすい用法といえるでしょう。

そして「煙幕弾として適切に使用」というような言い訳のきかない方法でもあります。

2の方法であれば「信管の設定を間違えた」などの言い訳ができますが、この方法では砲身の角度により意図が明確ですから。

こういう方法でも「煙幕弾として適切に使用」といえる場合もありますが、それは影響範囲が無人地帯であればの話です。

イスラエル軍のガザ攻撃における白燐弾の使用

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この画像は2009年のイスラエル軍がガザを攻撃したときのものですが、白燐弾が2や3のような種類の方法で使われたことを示しています。(報道を見れば1の用法でも使われたことが確認できますが)

イスラエル軍が使用した白燐弾は白燐がフェルトに含まれた状態でばら撒かれるタイプとされますが、フェルトに含まれていようがいまいが、砲弾の飛翔速度と爆発の運動エネルギーのかなりを維持したままの白燐弾の破片はこのように火沫を撒き散らすことがこの画像からわかります。

このような高速で飛来する白燐弾の破片はぶつかった場所の摩擦係数とぶつかった角度によっては「兆弾」することもありうるわけですが、その角度が破片の高速さを示しているというものでしょう。破片が低速であればこれらの破片がもっと曲がった放物線を描いて飛ぶでしょうから。

このようにしてぶつかった衝撃により飛び散った白燐の火沫は短時間で燃えつきる一方、フェルトに含まれたままの部分は長時間燃え残ることになります。

大きな白燐弾の破片がガザの街に多数ばら撒かれた状態というのはこのような攻撃からしばらく時間が経った後の姿なわけです。

そしてガザの街に散らばる白燐弾の大きな破片はイスラエル軍が低空で白燐弾の破片をばら撒くような使い方をしたという動かぬ証拠であるわけです。

イスラエル軍のこのような白燐弾の用法により事実としてガザでは多数の人が殺傷され国連の支援物資は焼かれ国連のものを含む建造物が炎上しました。*1


以下には残酷な画像が含まれますので「スーパー続きを読む記法」で書きます。

負傷者と焼死体の画像がありますのでそういうのが駄目な人は絶対に見ないでください。


高い運動エネルギーを維持したままの白燐弾の破片がぶつかったときの衝撃で火沫をばらまく以上、それを浴びれば大小無数のやけどを負うのは当然ですし、その破片は高い運動エネルギーにより肉をえぐりとることも十分にありえます。

この被害者の画像のように。

f:id:D_Amon:20111113214215j:image:w640

この画像はおそらく治療を受けた後のものですが、それでも大小無数のやけどを負い肉をえぐられたことは確認できるでしょう。

右足の肉がえぐれ、両足には大小無数のやけどを負った。医師は空気と反応して発火する白リン弾を受けた可能性が高いと診断。皮膚に付くと骨まで溶かすほど激しく燃える「非人道的兵器」だ。

【魚拓】がれきの街の子どもたち:パレスチナ・ガザ2009/2 「白リン弾」続く苦しみ - 毎日jp(毎日新聞)

つまり、このような種類の報道は事実です。

また、破片が体に突き刺さりうること及び破片が空気に触れれば再発火することから、

チームはまたガザの主要病院であるシファ病院も訪れた。そこで彼らはリンによる火傷などの傷の処置の難しさについて医療スタッフと話をした。火傷治療担当のチーフが語ったところでは、最初、スタッフたちは白リンによる傷を処置していたことに気づかなかったという。彼は、不快な臭気を放ちながらどんどんひどくなっていく尋常でないオレンジ色の火傷について説明してくれた。数時間後には、傷から煙が上がり始めたという。

no title

というようなアムネスティの記事も事実でしょうし、黄燐が猛毒であり体に突き刺さったままであればその毒の影響を受けることから、

白リン弾による火傷を負った人びとの症状は急速に悪化することがある。身体の表面の比較的小さな領域、10〜15パーセントに火傷を負った人たちは、通常は生存するものだが、こうした人びとでさえ悪化して死ぬことがあるのだ。

というようなアムネスティの記事も事実でしょう。

そして「白燐の破片をばら撒くショットガン」が直撃すれば大量の燃える白燐を浴びたことにより全身を焼かれることも十分にありえます。

この被害者の画像のように。

f:id:D_Amon:20090107164017j:image:w640

画像には骨が露出するほど焼かれた赤ん坊の姿が写っています。

成人のこの種の画像もありますが、あえてこの画像を選んだのは「この赤ん坊がテロリストであることがありえるというのか」と思うからです。


このような白燐弾の使用の合理性を問われれば、その一例として民間人を攻撃しても「国際法違反ではない」と言い逃れができる兵器だからと私は答えます。

民間人に対する攻撃は国際法違反ですが白燐弾であれば「煙幕として適切に使用した」と言い逃れができますし、その言い逃れに自ら進んで加担してくれる人々も、少なくとも日本のネット社会には大勢います。

民間人に対する攻撃は国際法違反ですが白燐弾であれば「煙幕として適切に使用した」と意図を偽ることで「その攻撃では被害自体が発生しえない」ということにして言い逃れができますし、「被害自体が発生しえない」という結論が先にありきで被害を訴える被害者や報道や人権団体の方を嘘つき呼ばわりすることでその言い逃れに自ら進んで加担してくれる人々も、少なくとも日本のネット社会には大勢います。

あるいはマスプロ的考え方もその一例としてあげられるでしょう。

マスプロ的には最高性能の専用品を多種類使用するより必要性能の汎用品を少数種類多目的に使用する方が生産においても兵站においても運用においても合理的です。

そして白燐弾は必要性能を満たす兵器であり、実際に戦場で焼夷兵器として利用されてきたわけです。

にも関わらず「焼夷効果を狙うならナパーム弾などもっと焼夷効果が高い兵器を使えばいい」というような感じでその現実の方を否定する人々がいるのが白燐弾報道否定論の実態です。

こういう「塹壕での格闘戦であればシャベルより手斧を使えばいいじゃない」とか「中戦車を使うより騎兵戦車と歩兵戦車を使いわければいいじゃない」というような「合理性」が戦場の現実を無視した机上の空論に過ぎないのは明らかだと私は思います。

私には白燐弾報道において被害者や報道や人権団体などを嘘つき扱いしている人々が何を考えているのかはわかりません。

しかし私の戦史に関する知識と照らし合わせても被害者や報道や人権団体などの主張の方が正しいことはわかりますし、それを嘘つき扱いする人々の方が机上の空論の「合理性」で現実の方を否定し他者を嘘つき扱いする罪を重ね続けていることはわかります。


後、私はこの記事を白燐弾が非人道兵器であることの根拠にしようとは思いません。

それは超兵器プギャーとか非人道兵器プゲラとか苦痛兵器wな人々と黄燐火傷による苦痛を思いやるような人権団体的価値観の共有はできないかもしれないと思うからです。

私は歴史修正主義者や差別主義者との論争の中で被害者の苦痛に対し思いやるどころかむしろ嘲笑うような人々を何人も見てきました。

白燐弾報道否定論を展開する人々の被害者や報道や人権団体の人々を嘲笑する姿を見ると彼らの心性はそういう人々と近いのではないかと思わされます。

私はそういう被害者の苦痛を思いやれないような種類の人間と人道について話し合おうとは思いませんが、それはそういう人々の心のありようの方の問題です。

それでも白燐弾の使用によりこのような被害が生じうるという事実認識は彼らと共有できるかもしれないと思ってこの記事を書いています。

追記(2011/11/18)

id:saloth_sarさんを含め誤解が生じた部分を追記修正しました。

この記事は「白燐弾では被害が発生しえない」と被害者や報道や人権団体の方を嘘つき呼ばわりしていた人向けの説明を意図した記事であることから追記したような部分は文脈から明らかだろうと考えていた私に落ち度があったことは認めねばならないと思います。

後、使用した画像そのものが懐疑の対象となったことからどのような経緯で撮影されたどういう状況の画像なのかについて記事を書きました。

紫音さんの懐疑に答えます - 模型とかキャラ弁とか歴史とか

2010-08-23

[]WHITE PHOSPHORUS(WEAPON)=白燐弾(直訳)=黄燐焼夷弾(意訳)

訳語問題

WHITE PHOSPHORUS(WEAPON)

WHITE PHOSPHORUSは直訳では白燐と訳され、意訳では黄燐と訳されます。

WHITE PHOSPHORUSが武器として使用された場合は直訳では白燐弾と訳され、意訳では黄燐弾もしくは黄燐焼夷弾と訳されます。例えば、以下のように。

牧師はジュネーヴ条約を引用して、わが国は正義の軍隊であって、神を助けて大義を実現せねばならないと論じた。だがこんな道徳論では、現実的な兵士たちにはたいして効き目はない。ジュネーヴ条約は却下され、過激な意見が飛び出した。「ジュネーヴ条約では、黄燐焼夷弾を軍に向けて発砲してはならないと定めているから、敵の装備に当たったと主張すればいい」と教官に教わったが、と若き砲兵は言う−「条約を出し抜く方法をこっちが考えつくぐらいだから、敵だって考えついてるはずですよ」。また別の兵士も口を開いて、「ロシアの捕虜になったら殺されるかもしれない。敵に同じ薬を盛ってなにがいけないんです」。牧師の「正義」や「神を助ける」ということばに対して、冷たい雨に濡れた兵士たちの考えは「正義は銃身から生まれる」、「歴史は勝者がつくる」のほうへ傾いていた。

<ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾>の話は、私もフォート・ベニングで聞いている。士官候補生学校での大砲の射角に関する講義でも、歩兵将校基本コースでも、レンジャー養成校でも、そして歩兵迫撃砲小隊将校コースでも聞かされた。捕虜の扱いについて述べたレンジャー養成校の教官は、自分の考えをはっきり伝えていたものだ。いわく、襲撃や待ち伏せの際には捕虜をとるものではないと。私の見るところ、レンジャー大隊出身の優秀な若い兵士たちは、大半がこのレンジャー養成校ばりの考えかたを身につけてくる。

「戦争における「人殺し」の心理学」P327-328より。

この「ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾」に関する記述が原文ではどうなっているか確認してみましょう。

The chaplain cited the Geneva conventions and discussed our nation as a force of righteousness and the support of God for our cause. To pragmatic soldiers this moral approach didn't go far.

The Geneva convention was dismissed,and our forward observer said that in school they had told him that “the Geneva convention says you can't fire white phosphorus at troops;so you call it in on their equipment. ” The young artilleryman's logic was “if we're gonna find ways around the Geneva convention,what do you think the enemy is gonna do?” Another said,“If we get captured by the Russians,we might as well kiss it off, so why not give them a dose of the same medicine?”To the chaplain's “righteousness”and“support of God”comments,the cold,wet soldiers' answers were along the lines of“righteousness comes out of a gun barrel” and “the victor writes history.”

At Fort Benning I too had heard the “Geneva convention and white phosphorous on equipment” line during the artillery pitch in Officer Candidate School,the Infantry Officer Basic Course,Ranger school,and the Infantry Mortar Platoon Officers Course.

The treatment of POWs had been addressed by an instructor at Ranger school, and he clearly communicated his personal belief that in a raid or an ambush,a patrol could not be expected to take POWs. I had noted that most of the outstanding young soldiers coming to us from the Ranger Battalion shared this Ranger-school belief.

「On killing」P203-204より。

これらを比較することにより「white phosphorus」が「黄燐焼夷弾」と訳されていることがわかります。

つまりwiselerさんの

とうぜん白燐弾≠黄燐焼夷弾と思っています

という発言などに見られる白燐弾と黄燐焼夷弾を別物とする認識は訳語に対する無知からくる誤りです。

また、“the Geneva convention says you can't fire white phosphorus at troops;so you call it in on their equipment. ”(ジュネーブ条約では白燐を兵に向けて撃ってはならないとされているから、装備に対して撃ったと言えばいい)という記述は、米軍では白燐の対人使用がジュネーブ条約違反と解釈されていること(とそれに対する言い逃れの方法)を示しており、つまりwiselerさんの

その前後に、とくにこの黄燐焼夷弾が白燐弾であるような説明はありません。黄燐焼夷弾は焼夷弾ですから、ジュネーヴ条約で禁止されていますし、いかなる対人使用も法律違反であることは当然です。

という発言も、同様に訳語に対する無知からくる誤りです。


MELT
Use of white phosphorus bombs by Ethiopia in Mogadishu
モガディシュ(地名)におけるエチオピア軍による白燐弾の使用

As one indication of the intensity of the fighting that took place between Ethiopian military forces and the Shabaab, during one battle, on 13 April 2007, at approximately 2015 hours, at Shalan Sharaf, in the Shirkole area of Mogadishu, Ethiopian military forces resorted to using white phosphorus bombs against the Shabaab. As a result, approximately 15 Shabaab fighters and 35 civilians were killed.

エチオピア軍とシャバーブ族の間で起こった戦いの激しさの一つの目安として、2007年4月13日のおよそ20時15分頃のモガディシュのシャーコール地域のシャランシャラフでのある戦いにおいて、エチオピア軍はシャバーブ族に対して白燐弾を使用した。その結果、およそ15人のシャバブ族戦士と35人の一般人が殺害された。


Witnesses who were present in the general vicinity at the time the weapon was used described the impact of the weapon as it "lightened the whole of Mogadishu". They also saw a "fireball". Witnesses further described the after-effect of the weapon by describing the bodies of the victims as having been "melted" and stating that the soil and the surrounding area were white in colour.

その武器が使われたときに丁度居合わせた目撃者はその武器の衝撃を「モガディシュ全体が照らされた」というように語った。彼らは「火の玉」も見た。目撃者は更に武器の影響について、犠牲者の体が「溶けていた」、そして、地面と周辺地域を色において白くしたと述べた。

国連公式記録「S/2007/436」段落30から31より。翻訳は引用者による。

このように白燐弾の被害に関する報道では、しばしば、犠牲者の体が「溶けていた」(melted)と表現されます。

これを化け学的な意味で捉えて誤解する人がいるので説明すると、この場合の「melt」は熱傷の状態を表現するのに使われる言葉です。漢字としては、常用外なものの、「融けていた」と書いた方が意味が伝わりやすいでしょう。

白燐は高温で燃える物質であり、燃えている白燐を浴びれば熱傷を負うのは当然のこと。

そういう熱傷で融解した傷に対して英語では「melt」という言葉を使うわけです。

白燐弾報道の否定においての犠牲者の体が「溶けるわけがない」という批判は「melt」を融解ではなく溶解と誤解したことによるもので、それは英文を読解できればありえない誤解です。結果としてそれは、誤解から虚像を作り出し、その虚像を虚構と批判するデマとなっているわけです。


機能問題

WHITE PHOSPHORUS(SMOKE)は焼夷兵器としても使われる

Smoke shells made up a large fraction of the service's output of mortar ammunition. Authorized smoke fillings included white phosphorus(WP), a solution of sulphur trioxide in chlorosulfonic acid(FS), and titanium tetrachloride. “The American white phosphrums ammunition was outstandingly good,” wrote Generalleutnant Ochsner, after the war.

These shells threw up a large volume of dense white smoke that was useful as a marker or as a smoke screen. Burning chunks of phosphorus flying through the air frightened enemy soldiers. Phosphorus could ignite dry underbrush, hay, paper, and other combustibles, and thereby serve as an incendiary. And finally the agent could cause casualties among enemy troops by inflicting burns. Mortar squads fired quantities of WP second in volume only to HE. 0ver three million WP shells came from filling plants in the United States, more than all other mortar shells came from filling HE−combined. In comparison, the service procured only one-third of a million FS smoke shells, and none containing titanium tetrachloride.

The German Army would have been happy to have had the same plentiful supply of WP as the American Army, but Germany lacked the raw materials for producing phosphorus, and its army had to depend on inferior Berger mixture or on sulphur trioxide.

煙幕弾は迫撃砲弾の役割において大きな部分をなしている。代表的な煙幕剤は白燐(WP)、硫黄三酸化物のクロロスルホン酸溶液(FS)、そして、四塩化チタンである。戦後、オクスナー中将が書いたところによれば「アメリカ製の白燐弾は際立って良かった」

これらの砲弾はマーカーや煙幕として有効な大量の濃い白い煙を上げた。空中を飛んでくる燃えている燐の塊は敵兵を怖がらせた。燐は乾いた下ばえ、干し草、紙、その他の可燃物に火をつけることができ、焼夷兵器としても使われた。最終的に燐は火傷を負わせることによって敵兵を殺傷することができた。迫撃砲隊はHE*1に次ぐ量の白燐弾を発射した。三百万を超える白燐砲弾がアメリカ本土の工場(充填施設)から送られ、それはHEを除く全種類の砲弾の合計より多かった。比較すると、FS煙幕弾は三十数万だけ調達され、四塩化チタンはなかった。

ドイツ軍も米軍同様に白燐弾の豊富な供給があれば幸福だったのだが、しかし、ドイツは燐を生産するための原料が不足しており、ドイツ軍は劣悪な混合物か三酸化硫黄に依存するしかなかった。

「The Chemical Warfere Service」P135より。翻訳は引用者による。

「The Chemical Warfere Service」は米軍の化学戦の歴史に関する本です。この本ではwhite phosphorusに対しsmoke(煙幕)とincendiary(焼夷)が別々に説明されていますが、引用部分はsmokeに関して説明している部分から引いたものです。

白燐(黄燐)は燃焼時に激しく煙を出すと同時に高温で燃える物質です。

白燐弾は燃えている白燐の破片をばら撒く兵器であり、ばら撒かれた燃えている白燐の破片は煙幕を生成するだけでなく、ばら撒かれた範囲に可燃物があれば着火し、人がいれば殺傷するわけです。WHITE PHOSPHORUS(WEAPON)の「煙幕と焼夷の両用」というのは、どちらか片方の機能を発揮するということではなく、両方の機能を発揮するということです。

仮に「大抵の煙幕弾に焼夷効果や殺傷効果はないから、煙幕弾に分類される白燐弾にもそういう機能はない」というように考える人がいるとしたら、それは先入観による思い込みでしかありません。

つまり、wiselerさんが言うような

私が述べたいのはそのサイトで言えば http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/wp.htmにあるWhite Phosphorus (WP) - IncendiaryとWhite Phosphorus (WP) - Smokeの違いです。M74やM47A2が黄燐を使用していて、かつ発煙効果がないと思っているので私の想定している黄燐焼夷弾にあたります。 http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/dumb.htmには両方とも掲載されているもののサブページがないため専門的な解説はわかりませんでした。しかし私が調べた限りで発煙効果はないようです。

というのは、無知と無理解による誤りでしかないということです。


用法問題

焼夷兵器の用法は様々ですが、説明のためにその代表的用法の一部を以下にあげます。

  • より効率よく破壊するための手段としての焼夷兵器
  • 運動エネルギー兵器では攻撃困難な対象を攻撃できる兵器としての焼夷兵器
より効率よく破壊するための手段としての焼夷兵器

第二次世界大戦での日本やドイツに対する戦略爆撃において焼夷兵器が多用されたのはよく知られていることです。

工場地帯やインフラを攻撃することで生産能力を破壊し、人口周密地域を攻撃することで銃後を支える国民の生命と財産を破壊し、もって、敵の継戦能力を破壊する戦略爆撃。

その戦略爆撃で何故、焼夷兵器が多用されたかといえば、単純に言えば、通常爆弾のような運動エネルギー兵器だけでは不効率だから。

破壊自体は運動エネルギー兵器だけでも可能でも、運動エネルギーで家財を破壊するだけでは再利用可能なものが残りやすいですし、頑丈な外壁に守られた住人を殺害することもできません。

その一方で家財はしばしば可燃物であり、人間はそれらに囲まれて生活しており、焼夷兵器はそれらに着火し火災を引き起こすことができるわけです。

焼夷兵器を使用し家財に着火して火災を引き起こすことにより、家財を効率よく破壊できますし、引き起こされた火災による焼死、熱死、(一酸化炭素など燃焼に伴って発生する毒性物質などによる)中毒死は頑丈な外壁に守られた住人も殺害することができます。

運動エネルギー兵器では攻撃困難な対象を攻撃できる兵器としての焼夷兵器

焼夷兵器の運動エネルギーによる破壊力は徹甲弾や通常爆弾のような運動エネルギー兵器に劣るのが普通です。

例えば、火炎放射器の射程は火炎砲戦車搭載のものでも百数十メートル程度で、運動エネルギーによる破壊力は殆どありません。

しかし、歴史が示しているように、それでも戦場で使われました。

理由の一つとしては、焼夷兵器は運動エネルギー兵器で攻撃困難な対象を攻撃できる場合があるから。

例えばトーチカ。トーチカの銃眼から攻撃してくる敵を運動エネルギー兵器で倒すことは難しいですが、火炎放射機であれば銃眼に向けて放射することでトーチカの内部に燃える焼夷剤を流し込み、それにより(運動エネルギー兵器では殺傷が困難な)トーチカ内の敵兵を倒すことができます。


これらのことは当然すぎて説明不要なことと思うのですが、こういう当然のことを知っていれば、焼夷兵器の能力を運動エネルギーによる破壊力において通常の砲弾と比較し、焼夷兵器の方が劣ることを理由に、その有用性を否定するような素人騙しに引っかかることはないと思います。逆にいえば、こういうくどくどとした説明を行うのはそういう素人騙しに引っかかる人が存外に多いように思えるからなんですね。

榴弾では攻撃困難な対象を攻撃する手段としての白燐弾

第一次世界大戦での戦線の膠着ぶりから明らかなように塹壕(あるいは要塞などの掩蔽)にたてこもる歩兵は砲撃に対して非常に高い防御力を発揮します。

榴弾の破片は爆発により放射線状に飛び散るので、複雑に折れ曲がった塹壕線は直上での炸裂でもない限り砲弾の破片から歩兵の身を守ってくれますから。

そういう榴弾に対し、白燐弾の破片は放射線状にではなく傘状に飛び散るので、広範囲にわたって直上から降り注ぐような形となり、直上での炸裂でなくても塹壕内の兵士を殺傷することが可能で、そのため第二次世界大戦では主に米英軍によって戦場で多用されました。

Attack teams consisted of one tank, an engineer team, a squad of riflemen, plus a light machine gun and a 60mm mortar. The Sherman opened the action. It plowed its pipe devices into the hedgerow, stuck the cannon through, and opened fire with a white phosphorus round into the corners of the opposite hedgerow, intended to knock out German dug-in machine-gun pits.

White phosphorus was horror. Lt.Robert Weiss got caught in a rare German barrage of white phosphorus shells (rare because the German supply was insufficient). He recalled the bursting of the shell, followed by “a snowstorm of small, white particles that floated down upon us. We looked in amazement, and eyes filled with instant terror. Where the particles landed on shirts and trousers they sizzled and burned. White phosphorus! We brushed our clothing frantically, pushed shirt collars up. If any of the stuff touched the skin,it could inflict a horrible burn, increasing in intensity as it burrowed into a man's flesh....

“Another shell. Another missile from hell. Fiery snow! I remember thinking that if the shelling kept up for long it would be more than most men could endure. There was nowhere to hide, no place that was safe.“ Fortunately, that was the last.

攻撃部隊は戦車一両、工兵部隊、小銃分隊、加えて、軽機関銃と60mm迫撃砲から成っていた。シャーマン戦車は行動を開始した。砲身を生け垣に突っ込んで、砲口を通し、向かいの生け垣で隠れている場所へ白燐弾を撃った。機関銃陣地に伏せているドイツ兵をノックアウトするために。

白燐弾は恐ろしかった。ロバート・ワイス中尉は白燐弾によるドイツ軍の砲火という珍しい体験をした(珍しかったのはドイツ軍の補給品が不足していたから)。彼はその砲弾の炸裂をこのように思い起こした。「小さな白い粒が吹雪のように私たちの上に舞い降りてきた。私たちは驚き、瞳は即座に恐怖で満たされた。その粒がシャツやズボンに着くと、それらはじりじりと焼けて燃えだした。白燐だ!私たちは狂ったように衣服を払い、シャツの襟を立てた。もし、その物質が皮膚につくと、ひどい火傷を負い、それが体内に潜り込んでいくにつれて苦痛は増していく…」

「どんな弾やどんな飛び道具よりも忌々しい。炎の雪!もし、その砲撃がもっと長く続いていれば殆どの人は耐えられなかっただろうと考えたことを私は忘れない。そこに隠れられる場所は無く、安全な場所は無かった」幸運なことに、それがその最後だった。

Citizen Soldiers」P67-68より。翻訳は引用者による。

「Citizen Soldiers」はノルマンディー上陸作戦以降のドイツ西部戦線での戦争を主題にしたノンフィクションです。

この引用文から米軍もドイツ軍も白燐弾を攻撃兵器として用いていたことが分かります。

まさか、そんな勘違いをする人はいないだろうとは思いますが、「as it burrowed into a man's flesh(それが体内に潜り込んでいくにつれて)」というのは燃えている白燐の破片が、焼夷効果により人体組織が破壊された分、人体内に入り込むということで、白燐の破片が生き物のように動くわけではありません。*2

白燐は火が消えにくく、人体にくっついて取れにくいので、燃えている白燐の破片を浴びて適切な治療を受けられないと、穴のように組織が失われた深い火傷を負うことになるわけです。

引用文中の「There was nowhere to hide, no place that was safe.」という言葉は通常の運動エネルギー兵器とは異なる白燐弾の性質をよく示していると思います。運動エネルギー兵器には塹壕などの遮蔽物に隠れることでの防御が有効なのに対し、広範囲にわたって直上から破片が降り注ぐ白燐弾を攻撃に使用されると、その破片から身を守ることができるような隠れる場所は野戦においては殆ど無いわけです。(これは、塹壕や狭い路地に潜む相手にも有効な兵器であることを意味します。つまり、「レイテ戦記」で描写されているような白燐弾の用法は正しいということです。)

白燐弾報道否定論では、初期から、白燐弾と榴弾の破壊力を運動エネルギーで比較して白燐弾の兵器としての有用性を否定するものが見られました*3が、そういう運動エネルギーによる破壊力の低さをもってその使用の「不合理」を指摘するような否定論は戦場での焼夷兵器の用法に対する無知と無理解による誤りというものです。*4


法的問題

Incendiary weapons are weapons or munition primarily designed to set fire to materials or objects or to cause burn injury to persons through the action of flame,heat,or a combination thereof. Examples are:flamethrowers, fougasses(hand-held weapons containing liquid incendiaries), shells, rockets, grenades, mines, bombs, and other containers of incendiary substances(Article 1, para. 1 lit.a, IncendiariesProt).

焼夷兵器とは、炎や熱やそれらの組み合わせの作用によって物に火をつけたり人に火傷させたりすることを主目的に設計された武器または軍用品。

例:火炎放射機、fougasses(液体焼夷剤を収容している手持ちサイズの武器)、砲弾、ロケット、手榴弾、地雷、爆弾、その他の焼夷剤の運搬容器(Article 1, para.1 lit.a, Incendiaries Prot)


0ne of the main topics of the 1980 UN Weapons Conference was the issue of incendiary weapons (the US air force use of napalm bombs in Vietnam were still fresh in the memory). Some of the states participating at the conference(including Sweden, Mexico, and the majority of the non-aligned states) demanded a complete ban on incendiary weapons, for these weapons-such was the argument-always cause unnecessary suffering and generally have also indiscriminate effects; but the superpowers, led by the USA and the USSR, openly declared that-due to the military importance of incendiary weapons-they would accept, at the maximum, a few(and limited)restrictions on the use of such weapons. The traditional military powers thought these weapons to be militarily absolutely necessary to attack certain objectives, and particularly specific operations such as ‘close air support' in the combat zone against immediately adjacent enemy positions. A compromise only became possible when the delegation of the USA began to request a prohibition of all air-launched attacks by incendiary weapons(including napalm)in settlements and populated areas, thus providing an opening for the resumption of the stalled negotiations. The resulting definition of the incendiary weapons covered by protocol III of the WeaponsConv is extremely broad, since it includes not only incendiary materials based on hydro carbon(like napalm)but also all means of combat designed to set fire to objects or to cause burn injury to persons through the action of flame, heat, or a combination thereof. The only important factor in the definition is the causation of burns through chemical reaction of a substance brought on the target.

1980年の兵器に関する国連会議の主題の一つは焼夷兵器についてだった(ヴェトナムでの米空軍によるナパーム弾の使用はまだ記憶に新しかった)。会議に参加している国々のいくつか(スウェーデン、メキシコ、及び非同盟国の大多数)は不必要な苦痛をもたらし、一般的に無差別な影響も持つ、そういう焼夷兵器の完全な禁止を要求した。しかし、米国やソ連といった超大国は、焼夷兵器の軍事上の重要性から、最大限でも、わずかな(かつ、限られた)使用制限しか受け入れられないと公然と主張した。この伝統的な軍事大国たちはこれらの兵器が軍事的に特定の目標への攻撃、とりわけ戦闘地域の敵位置近傍に対しての即座の「近接航空支援」のような特定の作戦行動に必要不可欠と考えた。米国の代表派遣団が、このようにして行き詰まった交渉の解決の糸口として、住宅地や人口周密地域での全ての空中発射された焼夷兵器(ナパームを含む)による攻撃の禁止を要望しはじめたとき、妥協するしかなかった。特定通常兵器使用禁止制限条約議定書IIIにカバーされる結果として生じる焼夷兵器の定義は、(ナパームのような)ハイドロカーボンを基材とした焼夷性物質だけでなく、炎や熱やそれらの組み合わせの作用によって物に火をつけたり人に火傷させるように設計された全ての戦闘手段であることから極めて広い。定義において唯一の重要な要素は、物質の化学反応を通した焼夷効果を標的にもたらすことだ。

「The Handbook of International Humanitarian Low」P156より。翻訳は引用者による。

「The Handbook of International Humanitarian Low」は題名の通りの国際人道法の手引き書です。

焼夷兵器の非人道性は昔から問題視されており、特にベトナム戦争の結果、その規制が国連会議の議題となりました。

規制を求めた国々が焼夷兵器の完全な禁止を要求したのに対し、米ソといった超大国は、焼夷兵器の使用が自国の軍事行動に必要不可欠だと考えました。このことによる妥協の結果、焼夷兵器は(材質ではなく効果により規制される一方で)、完全な禁止ではなく、用法で規制されることになったわけです。

焼夷兵器が使用制限された理由は、当然のことですが、運動エネルギーによる殺傷力が高いからではありません。

理由の一つは、ベトナム戦争での報道が示したように、焼夷兵器が苦痛兵器としての性格が強い兵器だからです。

焼夷兵器の犠牲者は長時間苦しみ、生き残ってもケロイドなど一生続く障害を負う可能性が高いのです。

そういう焼夷兵器による被害と白燐(黄燐)が深刻な被害をもたらす焼夷剤の一種であることについてはhigetaさんの記事焼夷兵器に関する国連事務総長報告書 - 日本近現代史と戦争を研究するが詳しいので是非、読んでほしいと思います。


特定通常兵器使用禁止制限条約議定書IIIによりその使用が制限された焼夷兵器ですが、用法による規制には問題がありました。用法による規制は用法を偽ることにより言い逃れすることが可能だからです。

対人使用しておきながら「装備に向けて撃った」と言ったり、人口周密地域で焼夷兵器として使用しておきながら「煙幕として適切に使用した」と言ったりというように。

こういう言い逃れによる条約の空文化の危険性は当時の議論でも懸念されていました。

このような経緯を踏まえていれば、白燐弾報道否定論における「焼夷兵器を使いたいのであればナパームを使えばいいのに」というような否定*5がどうしようもない愚論であることが分かります。

白燐弾は煙幕と焼夷の両用兵器であるがゆえに用法を偽ることで言い逃れを試みることができる兵器ですが、ナパームはそうではありません。

例えば、イスラエルの場合。イスラエルが表向きには国際条約を破っていないことにしたがっていることは、報道で見られるスポークスマンの発言から明らかであり、ナパームを使うという明確な条約違反は仮にイスラエルがナパームを所持していて戦術的には実施可能であったとしても政治的には実施不可能というものです。批准していない国際条約に違反しても非難され政治的にダメージを負うのですから。それは「北朝鮮と宇宙条約の場合」からも明らかというものでしょう。


白燐弾に関する報道では様々な報道*6で白燐弾の「人口周密地域での白燐の焼夷兵器としての使用」がジュネーブ条約に違反するというように報道されていますが、それは特定通常兵器使用禁止制限条約議定書IIIの解釈として正しいものであり、それを否定する方が誤りです。*7

In the context of the need for unswerving compliance with the Convention and its protocols, the use of white phosphorus as an incendiary weapon in populated areas by a State party to the Convention was unacceptable, and a gross violation of Protocol III. It could not in any way be considered to be a legitimate weapon in the planning and conduct of tactical operations.

本条約及びその議定書の揺るぎない遵守の必要性において、締約国による人口周密地域での白燐の焼夷兵器としての使用は許容できないし、議定書IIIの著しい違反である。それは、作戦の計画と指揮においてどのような形であろうと合法的兵器とみなすことはできない。

国連公式記録「CCW/MSP/2005/SR.1」の段落31より。翻訳は引用者による。

このように「特定通常兵器の使用に関する国連会議」での「手順の原則の確認」においての発言でも「人口周密地域での白燐の焼夷兵器としての使用」は「特定通常兵器使用禁止制限条約議定書IIIの著しい違反」と解釈されていることを確認できます。

当然のことですが、条約の制定には歴史的経緯と議論の積み重ねが有り、その過程で条文をどのように解釈し運用するかも議論されます。(その結果はそれぞれの国の軍隊の交戦規程に反映され、交戦規程にどのように反映されているかについては書籍などを読むことにより間接的に知ることができます。)

そういう経緯を無視しての条文だけを読んでの独自解釈には意味がありません。

つまり、wiselerさんの

白燐弾は法律上焼夷兵器には該当しません

という発言などに見られる解釈はそういう歴史的経緯と議論を無視した無知と無理解による誤りです。

そもそも、欧米の報道機関では、通常、学問としての軍事を修めた人が軍事問題担当記者を務めるわけです。その解釈を否定するということは、学問としての軍事知識に基づいた発言をオタの受け売りレベルの知識で否定するのも同然なわけで、それだけで、十分、常軌を逸していると私は思います。

イスラエル軍のガザにおける白燐弾使用の被害

チームはまたガザの主要病院であるシファ病院も訪れた。そこで彼らはリンによる火傷などの傷の処置の難しさについて医療スタッフと話をした。火傷治療担当のチーフが語ったところでは、最初、スタッフたちは白リンによる傷を処置していたことに気づかなかったという。彼は、不快な臭気を放ちながらどんどんひどくなっていく尋常でないオレンジ色の火傷について説明してくれた。数時間後には、傷から煙が上がり始めたという。

「私たちは頭に傷を負った3歳の子どもを診ました。3時間後、ガーゼを換えるとき、傷から煙が立ち上りました。私たちは傷を切開し、このくさびを取り出しました。それは私たちが今までに見たこともないものでした。後に、同僚であるエジプトとノルウェーから来た医師たちがガザに入ることができ、これが白リンだと教えてくれたのです」と、医師は語った。

また医師は、「私たちはこれについて様々なことに気づきました。この火傷は治りません。リンはおそらく体の内部にとどまり、そこで燃え続けるのです。患者の状態は大体において悪化します。通常、体の表面の10〜15パーセントの火傷なら回復を期待できるのですが、今はそのような患者の多くが死亡しています」と語った。

no title

イスラエルが当初、白リン弾を使用したことを認めなかったために、医師たちは正しい治療をすることができなかった。肉に食い込んだ白リンの小片は燃え続け、火傷が拡大深化するにつれ激痛を引き起こす。そして、内臓に回復不能な傷害をもたらすのだ。それは患者の身体の他の部分、もしくは傷を治療する人たちにさえ悪影響をおよぼす。

「私たちは今まで治療した症例とは異なる火傷であると気づきました。数時間後、火傷は拡大深化し、不快な臭気を発散し、そして発煙しはじめたのです」と、ガザのアルシファ病院の火傷の専門医はアムネスティに語った。

白リン弾による火傷を負った人びとの症状は急速に悪化することがある。身体の表面の比較的小さな領域、10〜15パーセントに火傷を負った人たちは、通常は生存するものだが、こうした人びとでさえ悪化して死ぬことがあるのだ。医師たちが白リン弾による最初の犠牲者を診た数日後、多くの外国の医師たちがガザ地区に到着してはじめて、地元の医師たちは傷を引き起こしたものの正体と治療法を知ったのである。

16歳の少女のサミア・サルマン・アルマナヤは、ガザ市の北にあるジャバリア難民キャンプの家で寝ていた1月10日の午後8時、白リン弾が家の1階に着弾した。10日後、病院のベッドで彼女はアムネスティに対し、顔と足の火傷のためにまだ激痛があると語った。「突き刺すような痛みです。まるで私の身体の中で火事が起きているみたいです。とても痛いので我慢できません。どんな薬をもらっても、痛みはまだとても強いんです」

どんなものであるかを知らないまま、白リン弾あるいはそれから派生した燃える残骸が当たった家のパレスチナ人たちはあやまって炎に水をかけたが、火勢を強めるだけだった。医師たちが気づかずに食塩水で患者たちの傷を洗おうとしたために、患者たちは痛みのあまり叫び声をあげた。また、医師たちは患者の火傷のガーゼを交換したとき、傷から煙が立ち上るのを見て衝撃を受けた。検査のための手術を行なった際、医師たちは空気にさらされると直ちに燃えはじめるフェルトの小片を摘出した。

no title

白燐弾には幾分かの破片効果による殺傷力もあること、白燐が焼夷剤の一種であると同時に猛毒でもあること、燃えている白燐に下手に水をかけると煮えたって飛び散り、より激しく燃え上がることを考えれば、これらのアムネスティの記事を単純に否定する方がおかしいというものでしょう。

関連

白燐弾はどういう兵器でどのように使われてきたか - 模型とかキャラ弁とか歴史とか

「普通の人」は軽い気持ちで人をバカにするものです - 模型とかキャラ弁とか歴史とか


この記事について

この記事はかなり前に書いたwiselerさんに反論するための記事を若干手直ししたものです。

http://megalodon.jp/2009-0128-1442-13/d.hatena.ne.jp/wiseler/20090114/p1でのwiselerさんの応答次第でアップする予定でしたが、wiselerさんが応答せず、マジコン騒動の影響かプライベートモードにしてからID削除したことによりお蔵入りになっていたものです。

id:HiiragiJPさんの

HiiragiJP 議定書条文に「焼夷兵器には、次のものを含めない。焼夷効果が付随的である弾薬類。例えば、照明弾、曳光弾、発煙弾又は信号弾」って書いてあるのにスルー。なお人を殺したいなら発煙弾なんか使わず榴弾を打ち込む 2010/08/23

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090114/p1

という発言によりアップすることにしました。

各種報道に関わらず未だにこういうことを発言をしてしまう人がいるということですから。

白燐弾報道否定論に対する私の見解は他人の主張を「嘘」「デマ」と言って回ってる人間がなに泣きごと言ってんの?(追記あり) - Apeman’s diaryでのブックマークコメントと変わっていません。

D_Amon 白燐弾, 議論 この問題は、南京事件否定論を展開する人々が、実の所、それは「無知の無知」による増長でしかないのに、自分のことを論理的で現実的で世の中のことを分かっていて思想的中立だと思い込んでいたのと似ていると思う。 2009/01/23

no title

白燐弾報道否定論は「無知の無知」によるものと思っています。白燐弾報道否定論の正体は「素人騙し」というより「無知の無知」による「井の中の蛙」現象という方が実態に近いだろうと推測します。

私は、白燐弾報道否定論において被害に関する証言や人権団体の告発を嘲笑していた人々を許しがたいと思っています。

しかし、その一方で、選択的無知ではなく「無知の無知」なのであれば、いつの日か自らの無知を自覚し反省する日がくる可能性がある分、マシとも思います。

そのような人々が、もし自らの間違いを知ったとき、(「恥をかかされた」と逆恨みするのではなく)「自らが恥ずべきことをした」と自省できるような精神性の持ち主であることを祈らずにはいられません。


あと、この記事で洋書などから英語の記述を引用して翻訳しているのには理由があります。

白燐弾と黄燐弾(あるいは燐酸弾)を別物と思い込んでいる人々に対してはWHITE PHOSPHORUS(WEAPON)を意味する言葉として黄燐弾とか黄燐焼夷弾とかが使われている日本語の記述を説明のために引用しても意味がないことは明らかだからです。

信じたくないことに対して信じない理由探しをするような人に邦訳書籍の意訳や誤訳でわざわざ信じない理由を与える必要はありません。(私自身の意訳や誤訳に関しては原文がありますしね)

まあ、この手のことに関して詳しい情報が書かれているような日本語書籍が少ないのも理由の一つなんですけどね。

欧米とは異なり、日本は民間一般において学問としての軍事がほぼ死滅状態な国*8で、その差が軍事関連書籍の程度にも表れていますから。

白燐弾について機能説明がきちんとされていたWikipedia英語版と、「焼夷効果は持っていない」という記述が長期間そのままだった上に編集ノートでは英語版の記述をトンデモ扱い*9していたWikipedia日本語版の差は、ある意味、その差の表れというものでしょう。

軍事における学問的知識の空白からオタレベルの知識で専門書や戦史に普通に載っているような(かつ、以前のネットには載っていなかったがゆえにネット検索では調べられなかったような)ことを否定しているのが日本独特の白燐弾報道否定論の実態というものではないかと私は推測します。

仮にそうだとして、この件に関しては受け取る側が「オタは専門家ではない」、「オタは所詮オタでしかない」、「オタ的視野狭窄に注意」というようにリテラシーを発揮すべき事例というものだと私は思います。

例えば、軍事に関してGlobalSecurity.orgよりオタの言うことの方を信じるなんていうのは常軌を逸していると思うんですよね。

というわけで、日本の軍事オタクの言うことより欧米の(例えば、軍事の専門知識を持つ軍事問題担当記者の)報道の信頼性の方が高いという当然の話。

「欧米の報道の方が間違っていて日本のオタの方が正しい」なんて考えたりするのは陰謀論的な認識というものだと私は思います。

追記

戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)

On Killing: The Psychological Cost of Learning to Kill in War and Society

The Chemical Warfare Service: From Laboratory to Field : The Technical Services

Citizen Soldiers: The U S Army from the Normandy Beaches to the Bulge to the Surrender of Germany

The Handbook of International Humanitarian Law二版

*1:High Explosive=高性能爆薬の略語。つまり、通常の榴弾

*2:世の中には無理な曲解をした上でそれを否定するというような論法を使う人もいるので念のために。

*3:数年前にここにも来た

*4:白燐弾の焼夷効果や殺傷力を否定し、白燐弾の被害に関する報道を「超兵器プギャー」という感じで笑い飛ばしていた人々には、自らの身を燃えている白燐の破片が降り注ぐ直下において超平気かどうか確認してほしいものだと思わないでもありません。それで何が解決するわけでもないのは分かっていますが、犠牲者の苦痛を考えれば許し難いという感情を覚えます。

*5焼夷砲弾による対都市砲撃は軍事目標に対してであっても条約違反 - 模型とかキャラ弁とか歴史とかのコメント欄にも来た

*6:例:The Times & The Sunday Times「The Geneva Treaty of 1980 stipulates that white phosphorus should not be used as a weapon of war in civilian areas, but there is no blanket ban under international law on its use as a smokescreen or for illumination.)」、no title「白リン砲弾は、含有する化学物質が酸素と接触して燃えるときに大量の煙を発生させることから、部隊の動きを隠す煙幕生成などに使われる。ただ、人間に対して使われると激しいやけどの原因となることから、国際法で人口密集地などでの使用は禁止されている」

*7:砲弾が煙幕弾と名づけられていようが、人口周密地域で燃える白燐の破片をばら撒いたりしたら、その白燐の破片が焼夷兵器として扱われるのは当然という話。燃える白燐の破片が焼夷効果を標的にもたらすことは当然のことなのですから。

*8:民間一般において軍事がサブカルでしかない国。一部の幹部自衛官の言動に見られるようにプロの知識も怪しいのはおいといて

*9:日本語版の記述の方がトンデモだったのに英語版の記述の方をトンデモ扱いして英語版wikipediaの翻訳を日本語版に追加掲載することを拒んでいた。

2009-05-22

[]アフガニスタンでタリバンが白燐弾を用いて攻撃していると米軍当局者が主張している件について

Officials: Enemy is using white phosphorus in Afghanistan

Stars and Stripes

Mideast edition, Thursday, May 21, 2009

当局者:敵はアフガニスタンで白燐を使用している

スターズアンドストライプス

中東版、2009年5月21日、木曜日


Enemy fighters used white phosphorus in another attack on coalition personnel in the Gayan district of Paktika province, Afghanistan, officials said.

アフガニスタンのパクティカ州ガヤン地区で連合軍要員への別の攻撃において敵戦士が白燐を用いた、と当局者が公表しました。


The attack Tuesday comes after a report released May 11 said there have been 38 declassified instances of insurgents having access to white phosphorus and misusing it.

報告書が公表された5月11日の翌火曜日、反乱軍の白燐の入手とその不正使用に関する38の機密解除された事例があることをその攻撃は示しました。(その攻撃に関する38の機密解除された事例は反乱軍の白燐の入手とその不正使用を示しています、と訳したほうが自然と思う)


Enemy fighters in the area overseen by Regional Command-East, which includes Paktika, made two other white phosphorus attacks over the past week, according to a news release.

記者発表によると、パクティカを含む東部地域司令部監督下地域の敵戦士は、先週以降、二つの異なる白燐による攻撃を実施しました。


White phosphorus is a smoke-producing agent used for screening troop movements, marking targets and illuminating an area and is not designed for use against personnel.

白燐は、部隊の展開を覆い隠すための煙幕生成物質としてや、標的をマークするためや、地域を照らすために使われるもので、人に対して使用するものではありません。


It burns fiercely and has a tendency to stick to skin. It continues to burn until it is completely consumed unless it is deprived of oxygen.

それは激しく燃え、皮膚にへばりつく性質を持っています。それは酸素を阻まれない限り完全に燃え尽きるまで燃え続けます。


A unit with the International Security Assistance Force found nine 82 mm white phosphorus mortar rounds May 16 in Bamiyan with a large weapons cache. The same day, an ISAF unit found a 107 mm white phosphorus rocket aimed at a forward operating base in Nangahar province.

国際治安支援部隊(ISAF)配属の部隊は、5月16日、バーミヤンで、大きな兵器隠匿場所と共に九つの82mm白燐迫撃砲弾を発見しました。同日、ISAFの部隊は、ナンガル州の前進作戦基地を狙う107mm白燐ロケット弾を発見しました。


The Geneva Conventions ban the use of incendiary weapons against civilian populations. The International Security Assistance Force uses white phosphorus "in accordance with theatre rules of engagement and international law," officials said in the release.

ジュネーブ条約は民間人の集団に対する焼夷兵器の使用を禁止しています。国際治安支援部隊は「交戦規程と国際法に従って」白燐を使用していると、その発表において当局は発言しました。

http://www.stripes.com/article.asp?section=104&article=62808

壊れる前に…: アフガニスタンの白リン弾経由で読んだ記事を直訳的に全約。


Afghan authorities have also said Taliban fighters may have used a burning agent ― possibly white phosphorus ― in a major battle on May 4, after doctors discovered unusual burns among the dead and wounded. President Hamid Karzai has said up to 130 civilians died in that battle; the U.S. blamed militants for deliberately putting civilians in harm's way.

医師たちが死傷者に普通ではない火傷を見つけた後、アフガン当局も、タリバンの戦士たちが5月4日の大きな戦いにおいて燃えている物質―もしかしたら白燐―を使用したかもしれないと発言しました。ハミド・カルザイ大統領は、故意に市民を危険な状況に追いやったとアメリカが闘士たちを非難したその戦闘で130人にものぼる市民が死亡したと言いました。


Doctors are treating 16 patients with severe burns from that battle, said Nader Nadery, an official with the Afghanistan Independent Human Rights Commission.

医師たちはその戦闘でひどい火傷を負った16人の患者を治療している、とアフガニスタン独立人権委員会職員のネイダー・ナデリは言いました。


Col. Greg Julian, the top U.S. military spokesman in Afghanistan, said the U.S. didn't use white phosphorus in last week's fight in Farah province.

アフガニスタンの米軍最上位スポークスマンであるグレッグ・ジュリアン大佐は、ファラー州での先週の戦いにおいて米軍は白燐を使用していないと言いました。


Farah's governor told the Afghanistan Independent Human Rights Commission that many of those killed in the battle had severe burns, Nadery said. The governor said that Taliban fighters may have attacked the villagers with a flammable material, though not necessarily white phosphorus, Nadery said.

ファラー州知事は、その戦闘で殺害された人々の多くはひどい火傷を負っていたとアフガニスタン独立人権委員会に話した、とナデリは言いました。

知事は、タリバンの戦士たちが村人たちを、必ずしも白燐であるというわけではないが、可燃性物質で攻撃したかもしれないと言った、とナデリは言いました。


The militants' use of white phosphorus as a weapon could cause "unnecessary suffering" as defined in the laws of warfare, U.S. spokeswoman Maj. Jenny Willis said.

闘士たちの白燐の兵器としての使用は戦争法における「不必要な苦しみ」*1を引き起こすこともありえると、米軍のスポークスマンであるジェニー・ウィリス少佐は言いました。


"This pattern of irresponsible and indiscriminate use of white phosphorus by insurgents is reprehensible and should be noted by the international human rights community," she said. Willis said the military doesn't necessarily know militants are using white phosphorus deliberately, but that its use is still "indiscriminate."

「反乱軍によるこのような無責任で無差別な白燐の使用は非難に値し、国際人権団体によって言及されるべきものです」と彼女は言いました。ウィリスは、軍は必ずしも闘士たちが白燐を意図的に使用していると確信しているわけではないが、それでもその使用は「無差別」ではあると言いました。

http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/n/a/2009/05/10/international/i033305D08.DTL&feed=rss.news

同、直訳的に一部翻訳。


実際にタリバンが報道されているような白燐弾を用いての攻撃を行っているのであれば、それは非難に値することだと思います。米軍やイスラエル軍による白燐弾を用いてのそのような攻撃が非難に値するのと同様に。

日本では報道が新型インフルエンザ関連で埋め尽くされているせいか、ろくに報道されていませんが、海外ではロイター通信などによってアフガニスタンでのNATO軍の白燐弾使用とそれによる死傷者に関する報道がなされています。そういうNATO軍への非難を招く報道に対し米軍のスポークスマンが「タリバンも白燐弾を使用しており、白燐弾による民間人犠牲者はタリバンの攻撃によるものかもしれない」というようなことを言ってタリバンの方に責任を負わせようとしているのがこれらの報道というわけです。タリバンはそのような白燐弾の使用を否定しており、事態は責任のなすりつけ合いといった様相も見せています。


アフガニスタン:NATOが白リン弾使用 8歳少女負傷: アフガニスタン:一千万個の地雷の埋まる国(注:大火傷を負った少女のショッキングな画像が使用されています。そういう画像が心理的に無理な人は開かないようにしてください)

はそういう報道をまとめた記事です。書いてくださった方に感謝します。

アフガンの米軍医、 8 歳少女大火傷が白リンによると診断。 NATO 軍誤爆の疑い/ロイター - 薔薇、または陽だまりの猫

では「薔薇、または陽だまりの猫」さんがロイター通信の記事を全約してくれています。これにも感謝です。

黄燐

ではid:higetaさんが黄燐(白燐)について、その性質や米軍による使用の歴史などについて丹念に資料にあたって解説されています。資料的価値の高い記事ですので、是非、多くの人に読んでほしいと思います。


これらの報道では副効果として、白燐弾報道に対しそれを否定し「超兵器プギャー」という感じで笑い飛ばしていた人々の主張が米軍スポークスマンの発言により否定される形になっています。

例えば、以下に一部翻訳したロイター通信の記事のように。

Colonel Gregory Julian, a spokesman for the commander of U.S. and NATO forces in Afghanistan, General David McKiernan, confirmed that Western forces in the country use the chemical.

アフガニスタンの米軍とNATO軍の司令官であるデイビッド・マキャナン将軍のスポークスマン、グレゴリー・ジュリアン大佐はその地方の自軍がその化学物質(白燐)を使っていることを認めました。


"In the case of white phosphorus it is used on the battlefield in certain applications ... It is used as an incendiary to destroy bunkers and enemy equipment; it's used for illumination."

「白燐について言えば、それは特定の利用法で戦場で使用される...それは掩蔽壕や敵の装備を破壊するための焼夷兵器として使用されたり、照明のために使用されたりする」


But U.S. military training manuals say firing it at people is illegal. Its use in populated areas has been a persistent source of controversy.

しかし、米軍の訓練マニュアルは、それ(白燐)を人に向けて発砲することは非合法であると述べています。人口周密地域でのそれの使用は持続的な論争のもとになっています。

http://in.reuters.com/article/domesticNews/idINSP4951520090508

こういう米軍スポークスマンの発言はWikipediaにかつて記載されていたような

照明効果および焼夷効果は持っていない

http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E7%99%BD%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%BC%BE&diff=22025009&oldid=22024992

という主張に対する完全な否定になります。

「白リン弾」の版間の差分 - Wikipedia

を見ると、Wikipediaにこういうことを書き込んだのはArumaddilo*2さんという人のようです。

2008年2月4日にされたこの記述は2009年1月15日に書き換えられるまでそのままでした。一年近くもこんな出鱈目がwikipediaに掲載され続けていたわけです。

この件に関しては、2009年1月のイスラエル軍によるガザ攻撃に関する報道以降は、さすがにそこまで出鱈目な主張がなされることはなくなったようです。

白燐弾報道を否定している人々がそのためには第二次世界大戦での米軍による黄燐焼夷弾の日本に対する使用の歴史まで否定するようなことまでしていた*3時期のことを考えると隔世の感があります。

関連

白燐弾はどういう兵器でどのように使われてきたか - 模型とかキャラ弁とか歴史とか

*1:戦時国際法では「不必要な苦しみ」を与える兵器の対人使用が禁止されていることをうけての発言と思われます。

*2利用者:Arumaddilo - Wikipedia

*3模型とかキャラ弁とか歴史とか時事 - 模型とかキャラ弁とか歴史とかなど

2009-01-23

[]燃えている黄燐に水をかけると燃えている油に水をかけたときみたいに飛び散る

日本語読解能力も怪しいらしい。 - 誰かの妄想・はてなブログ版の「「棒状の水を注ぐ」とは「直線状の水流で高い水圧を掛ける」こと?」に関して。

no titleの「棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である」というのは、いわば燃えている油に下手に水をかけると煮えたって飛び散り、かえって危険だったりするのと同様の現象。黄燐の方が水より比重が高いので完全に同じというわけではありませんが、液体の「高温で燃焼している水に殆どとけない物質」に水をかけると水が瞬時に沸騰し水蒸気となり、それが「高温で燃焼している水に殆どとけない物質」を弾き飛ばしてしまうという科学的に当然の現象。

(着火した場合)

小規模火災の場合土砂等で覆って消火する。

大規模火災の場合は霧状の水を多量に用いて消火する。

no title

というような消火方法を取るのには理由があるわけです。消火方法としては単純に水をかけるのが簡単ですが、黄燐の場合はそうすると飛び散って危険だから、土砂等で覆って酸素の供給を断って消火したり、霧状の水を噴霧して消火したりするわけです。


参考情報として「本当の戦争」の焼夷兵器に関する部分の記述から一部引用。

169・火傷を負った場合、どういう手当てを受ければよいのですか?

傷を冷やし、清潔にしなければならない。出血があれば止血しなければならない。ただちに輸血と酸素吸入や補助呼吸などで呼吸を手助けする必要がある。栄養補給、体液の補給もしなければならない。早めに皮膚の移植を受ける。化学物質による火傷の場合、治療する前にその化学物質を除去する。通常、水で洗い流すという方法をとる。しかし、黄燐に水をかけると煮え立ってひろがり、損傷がよけいひどくなる。

「本当の戦争」P91より。

「本当の戦争」自体は50口径を50ミリ口径と訳してしまうような邦訳軍事本にありがちな(ある意味、伝統的な)誤訳が多数ある本なのですが、こういう兵器の名称や分類と関係ない部分はその手の誤訳の影響を殆ど受けない部分。

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追記(2009/01/28)

何か勘違いしている人々がいるようなので追記しときます。

白燐弾報道を否定していた人々は、白燐粉塵が発生しうる根拠の一つとして「棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である」という記述を私が引用した際、「直線状の水流で高い水圧を掛けるから飛び散るのであって普通に水をかけてもそうならない。だから、普通に水をかけても白燐粉塵(有害なフュ−ムの一種)は発生しない」ということを主張していました。

これは白燐が飛び散る理由を棒状注水の運動エネルギーによるものと理解していたことを意味します(まあ、その運動エネルギーで飛び散る分もあるでしょうけど)。そういう理解が燃えている油に水をかけたときのように水蒸気の力で飛び散るというものとは程遠いことは明らかというものです。


[]科学的にありえないことを書く自称科学者さん

scopedogさんの所でひどいコメントを見ました。

「1科学者として」さん曰く、

まさか、五酸化二燐ではなく気体状の白燐のことを言っているのですか?

だとしたら確かにかなりの毒性を有していますね。

ただし、存在できるならばの話ですが・・・

沸点よりも発火点の方が低く、空気も十分にあるのですよ?

そんなものが存在できるはずはありません。

白燐弾は化学兵器ではないと断言している人はちゃんと条約を読んでいないようだ。 - 誰かの妄想・はてなブログ版

白燐(黄燐)は沸点以下の温度でも気化するので科学的事実として気体の白燐は存在します。

物質が沸点以下の温度でも気化することは、水を例とすれば、お風呂の湯気とか、冷凍庫の氷が昇華により徐々に小さくなっていったりとかの現象で身近で常識的なものです。

お風呂の湯気を例に考えれば

20℃ではほとんど気化しないが、浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがある。

no title

というような記述も理解しやすいかなと思います。



黄燐マッチは毒性が強く、製造に従事する人が、黄燐を含む蒸気を吸い込み、あごの骨が分解する治療不能の骨エソや骨火症をひき起こしたり、幼児がマッチの頭部をなめて命を落したり、殺人や自殺などに使用された事もあった。

http://www.tanaka-match.co.jp/museum/history/1.htm

気体状の白燐(黄燐)が存在できるはずがないのなら、昔の黄燐マッチ製造工場の作業員がこういう症状になることもなかったでしょう。

そのニンニク臭を嗅ぐことも不可能ですね。

気体による害とは明記されていませんが、

災害事例

(1) 化学工場の作業員2名が中毒を起こした。下顎骨及び肝障害を起こした。

no title

というような記述がされることも無かったのではと思います。


戦災体験での黄燐油脂焼夷弾による黄燐蒸気で化学火傷を負った人の事例紹介とかはあえてしない。

以前のように「黄燐に焼夷効果なんてない」「黄燐を主剤とした焼夷弾なんてない」「第二次世界大戦において米軍が日本に黄燐焼夷弾を使ったのなんて嘘」とかいう人々に戦災体験者が嘘つき呼ばわりされたり勘違いした人呼ばわりされたりすると悲しいので。

どうせそういう証言は証拠として認めないでしょうし。

追記(2009/01/31)

自称科学者さんがこういうことを書き込んでいました。

さらに比較に出してきた例が水とは・・・

酸素との反応性が非常に高い白燐と、安定な水とを同列にするとは

はっきり言って問題外です。

また、「20℃ではほとんど気化しないが、浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがある。」

の引用などは全く意味が違います。

浮遊粒子は当然気体ではなく固体です。

さらに、この浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがあるのは

20℃という低温かつ室内などの無風条件だからです。

粒子の表面だけが酸化しかつその酸化物が剥がれ落ちないばあい

酸化物の皮膜に守られるようにして未反応の白燐粒子が漂うことになります。

私が何のために例えを持ち出したのかをまったく理解していないようです。

お風呂で湯気が舞うためにも、黄燐の浮遊粒子が発生するためにも、気化してからの凝縮もしくは凝結という過程が必要であり、その過程の間は物質は気体として存在しているということの当たり前の例えなのに。

お風呂で湯気が舞うためには、水の蒸発→凝縮という過程が必要であり、お風呂の湯水全体で見れば、水は殆ど気化していませんが、その過程の間、水は気体として存在しているわけです。

同じように、黄燐は気温20℃という常温では殆ど気化しませんが、黄燐の浮遊粒子が発生するためには昇華→凝結の過程が必要であり、その間、気体の黄燐が発生しているわけです。黄燐は気化した途端に酸素と反応してしまうから気体の黄燐は存在しえないというのは、反応速度という要素を無視するという非科学的態度抜きにはありえないというものです。

[]燃えている白燐への対応として当然のことを書いたら「学会での発表」を勧められた件

燃えている黄燐に水をかけると燃えている油に水をかけたときみたいに飛び散る - 模型とかキャラ弁とか歴史とかの記事に対して

b:id:xiao_bancho ちょう兵器白燐爆弾 千年以上前から知られてる物質の基本的取り扱い方法が間違ってたらえらいことなんだが。消防関連の学会で発表したら?そしてパレスチナの話は白燐の煙に乗って彼方へ飛んでいってしまった。

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090123/p1

というブックマークコメントがついたので、一応説明しときます。

既知の知識を学会で発表してどうするというのでしょうか。

5.火災時の措置

消火剤:

小火災:粉末消火剤、ソーダ灰、石灰

大火災:乾燥砂、粉末消火剤、ソーダ灰、石灰

使ってはならない消火剤:

水、泡消火薬剤、二酸化炭素

特有の危険有害性:

引火性が強く爆発することがある。

フレアー燃焼効果により速やかに燃焼するおそれがある。

加熱されたり火炎に巻き込まれると、爆発的に分解するおそれがある.

消火後再び発火するおそれがある。

火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。

特有の消火方法:

散水によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、散水以外の適切な消火剤を利用すること。

危険でなければ火災区域から容器を移動する。

移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。

消火活動は、有効に行える十分な距離から行う。

容器内に水を入れてはいけない。

消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。

消火を行う者の保護:

消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

no title

で、「容器内に水を入れてはいけない」と書いてあるように一度発火した黄燐に水をかけるのは危険。

水をかけても大丈夫なら、この安全衛生情報センターの説明文の「使ってはならない消火剤」に水が挙げられている意味が分からない。

理由はブックマークをつけられた記事に書いたとおり。

消防関連の学会で発表するまでもない、火災時の黄燐の措置としては危険物取り扱い知識上の常識。

ブックマークコメントで

D_Amon セルクマ id:xiao_bancho氏をはじめ、分かっているつもりで分かっていないことを書き込んでいる人は、燃える前の白燐に対する処置と燃えている白燐に対する処置とを混同していると思う。この記事の記述は危険物取り扱い上の常識。

とも書いたのですが、この件では燃える前の白燐に対する処置と燃えている白燐に対する処置とが混同されている例が多いと思います。

燃える前の黄燐を水で洗い流したり水の中で保管するのは正しい措置ですが、燃えている黄燐に下手に水をかけるのは危険。

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