Daisukのよ〜わからへん! このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter


感想がメインのため基本的にネタバレが含まれます。はじめて来た方はコチラをどうぞ

一覧表示[アニメ] [備忘録] [1話] [全話] [OPデモED] [今季視聴作品] [パッケージ] [漫画] [ゲーム] [雑記]
最新表示[アニメ] [備忘録] [1話] [全話] [OPデモED] [今季視聴作品] [パッケージ] [漫画] [ゲーム] [雑記]
OP・ED・劇中音響[2006] [2007] [2008] [2009] [2010] [2011] [2012] [2013] [2014] [2015]
アニメまとめ[2009番外編] [ゼロ年代] [2010] [2010番外編] [2011] [2011番外編] [2012] [2012番外編] [2013] [2014] [2015] [2016]

2013-03-03

亀井幹太監督の経歴から考える全力の嘘と迎えた修羅場

f:id:Daisuk:20130224142931j:image

第一話で白いフィルターをかけたような色彩やそよぐ風といった現実の描写にはありえない、作られた画面が印象的な『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』ですが、ここ数話はヒロイン4人が揃ったことで芝居が被るという生々しい描写が増えてきました。

f:id:Daisuk:20130302180637g:image

(第七話:妄想を呟きながら転げまわるナルトをよそに、激しい修羅場が繰り広げられるシーン)

現実のグループの会話というのは一人が喋ると全員が耳を傾けるというわけではありません。どこか上の空だったり、別の会話が始まる事もよくあります。

ただしアニメ、特にテレビシリーズでは一つのカットに二つの行動を同時進行させる描写はあまり行われません。視聴者がどちらに注目してよいのか混乱する、一方に重点を置くともう一方の描写が集中力を削いでしまうといった可能性が生まれるからかもしれません。

全て人の手で作らなければならないアニメーションにおいて、そのような描写を避けるのは当然でしょう。だからこそ、敢えてこういったシーンを用意する所に監督の拘りを感じました。

--------------

『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜The First Strike〜』や『うさぎドロップ』、そして本作の監督である亀井幹太は【ビジュアルエフェクト】という別の顔を持っています。

亀井幹太@作画@Wiki

BLOOD THE LAST VAMPIRE』以降主にProduction I.Gで任されているポジションです。

VFX@Wikipedia

特撮を用いた映画やテレビドラマにおいて、現実には見ることのできない画面効果を実現するための技術のことを指す。視覚効果(しかくこうか)ともいう。

アニメの撮影って?@Terraon Lifestream

つまり、コンピュータ上で色々な部署からあがってきた「素材」を合成してひとつの「画」にする役職で、最終的な画面の”絵”を最初に見るポジションということ。

〜中略〜

近年の撮影は映像の色や質感に”大きく””頻繁に”介入する事があります。

そうした場合は、特に大きなプロジェクトや撮影の影響力の強いスタジオでは「ビジュアルエフェクト」といった別セクションとしてクレジットされたりします。現状では同じ撮影部、というくくりの中で役割分担している場合が多いです。

亀井幹太がビジュアルエフェクトとして関わった映像がどのようなものか観ていきましょう。

『テイルズオブシンフォニア ラタトスクの騎士』(ビジュアルエフェクト)

穏やかで仲睦まじい男女の二人組で始まる映像は、一人が傷つくことで、もう一人の瞳が赤く変わり、前作の主人公に剣をふるいます。

まさしく人が変わったような展開ですが、湖畔の風でたなびく髪という水平方向から、燃える大地に髪が逆巻くといったベクトルの変化をはじめ、大地の隆起や水柱・森から空というカメラワーク・色彩のグラデーションに・オーバーラップといった変化していく描写によって説得力のある映像になっています。

f:id:Daisuk:20130302212621g:image

『テイルズオブファンタジア なりきりダンジョンX』(撮影・ビジュアルエフェクト)

少年が脱いで落ちていく服が少女の身体に被さるというような、交錯のイメージが繰り返されます。

前景と後景がキャラクターを中心に時計回りにスライドする不思議な映像では、中心となる人物が魔法を使う少女から、かけられる少年へと切り替わります。

服の描写と対比・逆転するような映像は"なりきり"や"X(クロス)"というタイトルと併せると色々想像が膨らみます。背景が動く事でキャラクターの位置が強調され、時計のようにも見えるその動きがタイトルをなぞりつつ解釈の幅を広げてくれます。

f:id:Daisuk:20130302233249g:image

『テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー』(監督・絵コンテ・演出・ビジュアルエフィクト)

テイルズシリーズのOPは中心人物が風を受けるシーンで始まります。世界が存在するという自然現象と、キャラクターがその世界で生きているという物理法則が組み合わさったファンタジー作品にとって重要な描写です。

ところが今回は世界と中心人物が干渉し合わないように描かれています。じわじわとキャラクターに寄って焦点があうカメラワークと彼女のしっかりと開いた瞳は、お互いが相手を見定めようとしているように感じます。

f:id:Daisuk:20130303113353g:image

"現実には見ることのできない画面効果"はセリフのように明言化されていないため、言葉や論理としてなかなか残りません。しかし手間をかけるからには必要があり、意味があります。先ほどまで私が挙げた表現と解釈はあくまで一例でとても不確かなものですが、そこには間違いなくあるのです。

--------------

現実における恋の【修羅場】とはなんでしょう。例えば二股、三股というような、お前だけを愛しているといった嘘が積み重なった結果に訪れる破綻、嘘がバレた結果の詰問だったり、お互いが一番だと譲らずに争ったりする瞬間のような、【真実が暴かれる場面】が修羅場と言えるのではないでしょうか。

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』では、偽物の彼女・モテモテになりたい幼なじみ・前世の恋人・子供の頃の許嫁という嘘のような関係の中に【白々しい】嘘が隠されています。

芝居がかったり暴力的に振るまい、嘘をつくことを厭わない自らを演出する乙女の会の行動。ジョジョパロディにSEを引用し中二病描写で画面に現れる落書きや文字といった画面効果など、様々な【嘘にあふれている】状態です。

だからこそ、第七話のような彼女たちの素の表情が伺える場面を、芝居が被るという現実的な描写として表現されたのではと思います。

---------------

最後に最新話九話から画像を一枚。

f:id:Daisuk:20130303230008j:image

子供の頃の婚姻届という真実を突き付けられた修羅場で主人公の男は全力で逃げますが、追いかけるヒロインが「暗いの怖い」と半べそになったのを聞いて、その場で足踏みします。この全て真実のもとに照らし出される空間にあって照明を浴びる彼の行動に、全ヒロインが夢中になる理由の一端を見たような気がします。

ほんと小憎たらしいぐらいモテモテで、恋愛感情なんて嫌いだとか言わずに早く誰かと付き合っちゃえよといいたくなるのですが、この真面目で正直な少年には難しいのかもしれないなぁと。まぁそれこそ嘘なのかもしれないのが、この作品の面白いところだと感じました。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証