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2013-06-01

[]精液検査してみた。 10:24 精液検査してみた。 - Everything You’ve Ever Dreamed を含むブックマーク 精液検査してみた。 - Everything You’ve Ever Dreamed のブックマークコメント


 私事で恐縮だが先ほど病院に精液を出してきた。精液検査である。結果は本日中。難産だった。先週末。不妊治療を受けて帰ってきた嫁さんから「精液の検査。これいっぱいになるまで入れるように」と言われ渡された容器を目にしたときの絶望感を、僕は死ぬまで忘れないだろう。

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…無理じゃね?


 その狂気じみた大きさと、家庭的かつ機能的な出で立ちに見え隠れする冷酷さの前に僕は絶対無理…と愕然とするほかなかった。たった一回で…。これを…。満たす…。追い討ちをかける嫁さんの声「用手法を用いること。採取後出来るだけ早いうちに持参すること。水などで薄めないこと。直射日光を避けること。エサを与えないこと」。ヤシマ作戦をシンジ君に伝えたときのアヤナミレイのように必要以上に事務的な声だった。用手法とはマスターベーションのことであった。後進のために「「手」は君の手でもいいんじゃない?」という僕の提案が黙殺されたことを付け加えておく。


 マスターベーション歴30年の大家を自認する僕、だが、しかし、この量は無理だ。技術力や精神力では如何ともしがたいボリュームであり、この量を準備するには数ヶ月が必要だ。そのことを懇切丁寧に説明すると細目になった嫁さんは確認するために病院に電話をかけた。「ウチの主人が戦う前から泣き言を言ってしまって、ええ、じゃあちょびっとでもいいんですね。はあ、個人差ありますからね。すみませんへなちょこな主人で。なるべく出させますから〜それではまた〜」電話を切って「少しでいいって…」。


 精液の量が少ないことは罪なのだろうか。個人差ということは過去にこの容器を満たした強者がいたのだろう。何万、何十万、何百万もの強者の歴史。歴史は強者により語り継がれる。その強者の歴史の影にはどれだけのちょびっとさんの虐げられた歴史があるのだろうか。精液の量で人間をみるなんて哀しい。どこかでツバメの子供が鳴いていた。


精液の採取は嫁さんの通院にあわせて週末の朝。日光を遮るためにアルミホイルにくるんで持参するプランだった。「速度ですう。この作戦は速度がキモです」そのころの僕はまるで事務的機械的に乳を搾られる乳牛の気持ちだ。不妊治療の前に性生活がないことを問題視すべきではという僕の意見は「精子が元気に泳いでいるのを確認してから。それに?」「なに?」「体外受精もあるし」という経緯で嫁さんの合理性にかき消された。時に合理性は人間を抹殺する。さよならマッスルドッキング。



 「それじゃあ。週末。二人でがんばろ」と笑顔の嫁さん。「俺がEDなの、忘れてないよね?」「お薬出しておきますねー」と楽観的な嫁さん。セックスレス、インポテンツを棚上げして不妊治療を受ける夫婦ってなんだろう。バイアグラでドーピングして無理矢理に出す夫ってなんだろう。ドーピングに走ったベン・ジョンソンの記録は歴史の闇に消えたよな…あれこれ思想してしまう僕、「いつ出すの?今でしょう!」嫁さんの明るさだけが救いだった。


 今朝。検査当日の朝。速度にこだわる嫁さんは隣室に控えていた。「君をオカズに」と言える空気はありませんでした。嫁さんから風鈴を渡された。事の最中はこれを鳴らせ、音が絶えたら様子を見に来るからと言う。難易度高すぎる。即身仏か。世界中のどこに配偶者の監視下で自慰行為にふける男がいるだろうか。人権を返せ。終わったら鳴らすよ!ナーバスになっていたのだろう思いのほか声が大きくなる。「御武運を…」嫁さんが手を合わせているのを背中で感じた。


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タイミングをはかってドーピング。

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絶望がリアルになる。

 僕はショーツを下ろした。ソックスは脱がない。この一瞬だ。この一瞬のために酒を断ち、極力ギャルを視界にいれないよう地を這うように生きてきたのだ。水魚のポーズ。薄い壁の向こうに息を潜める嫁さんの目を感じた。うん。これはありかも。アハ体験。薬の効果か。直後にヘブン状態。長年の謎が解けた。ヒーローものの最終回。僕はずっと恋人に正体をカミングアウトするときのヒーローの心境がわからなかった。あの清々とした顔。あれは苦しみからの解放からきたんじゃない。僕にはわかった。あれは単純に気持ちよかったんだ。愛する者のまえに全てをさらけだすのが。アヘ顔だったんだ。精力溢れるモロボシダンの声がした。「アンヌ、僕はねウルトラヘブンなんだ!」。たぶん、そのときの僕は最高に最低なアへ顔だったにちがいない。


 詳細を描写するとテロ扱いされるので省かせていただくが結論から言うと出ました精液。人類にとってはささやかな量だが、僕にとっては大きな一滴である。導いてくれたAV女優の羽月希さん、つぼみさん、成瀬心美さん、昨日放送のドラマ「みんな!エスパーだよ!」、ファイザー製薬には厚く御礼申し上げる。


 ショーツをあげて風鈴をチンチンと鳴らした。「ミッションコンプリート…」駆けつける嫁さん。胸を張り容器を渡した。中を覗きこむ嫁さん。静寂がしんとして耳が痛いほどでした。


「これだけ…ですか?」


 …今なんと?嫁さんは手のひらの容器に目線を落としながら、またも「たったこれっぽっち…ですか?」。


 人間失格。なんだろう、この、僕という人間の全てを否定されたような気持ちは。容器のなかを見つめる嫁さんの眼の色が慈愛なのか哀れみなのかわからなかった。耐えられない。「ママ、お願いだからボクのミルクをみちゅめないで。恥ずかしいよう」はりつめた空気を赤ちゃん言葉で和らげようとした。僕の願いが聞こえたのか嫁さんは無言で容器をアルミホイルで包むと、言った。「ささ、早く病院へ」。僕がハンドルを握って病院へ。バイアグラはギンギンに効いていた。進撃の巨チンである。


 病院の前で「このちょびっ子たちが元気に泳いでくれてたらいいんですけど。昼ごはんにあたしの好きなアレ買っといて」とだけ言うと嫁さんは白い建物に駆けていった。嬉しかった。僕はエレクトしたまま車を出した。夏の予感がする海岸線に車を乗せる。エレクトしたままだ。窓をあける。潮のかおりが僕と怒張した僕自身をやさしく撫でていく。検査の結果は午後には出るだろう。僕は、あの海を泳ぐ白身魚のように僕の白い分身が元気に泳いでくれているよう祈った。神様。味方しないでいいから、邪魔はしないでくれ。僕たちのため。なによりも嫁さんのために。帰り道に買った嫁さんの好物の生シラス、今は食べる気がしない。



(追記)

結果でた。

兎にも角にも精液量が少ない。少なすぎるといわれた。

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僕の年齢(39才/中間管理職)だと平均1.5mlが平均のところ僕は0.3mlしかなかった。嫁さんからは「量は問題じゃないってキミは言ってたけど、少ないにもほどがあるよ…」「ちょびっと君…」と呆れられている。明日からは僕の苦手なネバネバ系の食事が毎日食卓に並ぶ。弁当も然り。こうして、人様より少ないのでは…という僕の四半世紀に渡る疑念は現実のものとなったのである。人生がビターすぎる。


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2013-05-22

[]さよならオッパイ 16:00 さよならオッパイ - Everything You’ve Ever Dreamed を含むブックマーク さよならオッパイ - Everything You’ve Ever Dreamed のブックマークコメント


 風呂が壊れた。具体的にはお湯は張れるが追い焚きができなくなった。温かいお湯に入るためには早めに帰宅しなければならない。キャバクラに行けない。悲しい。しかしこれは天恵かもしれない。ポジティブに考えるならば。


 話は遡るが嫁さんに「一緒に風呂に入ろう」と誘いはじめてから一ヶ月になる。そのささやかな願いはいまだに叶えられていない。嫁さんは元レイヤー現歴女西軍派のFカップ。しかしその嫁さんが僕との入浴を拒む理由が皆目わからない。ただ「分をわきまえよ」の一点張りなのである。だが、昼夜かまわず電子メールやラインのファンシーなスタンプを駆使して執拗に尋ねた結果、嫁さんは苦悶の表情を浮かべて以下のような理由を挙げた。「水着がない」「見(せ)たくない」。実のところ、嫁さんが水着を数着所有しているのは探索により確認済みである。しかしながら湯船に浸かり「水着着ていいから入ってきたまえ」と誘っても「ゼッケンの字が水で溶ける」などと意味不明なことを言って煙にまくばかり。「ビキニ水着があっただろ」と加えても「ビキニ干渉、禁止」と冷たく返すばかり。


 これは風呂順の問題も大きいと思われる。僕の、汚れたお湯に浸かりたいという欲望。嫁さんの、綺麗なお湯に浸かりたいという願望。双方の利害は一致して嫁→僕の風呂順は決定されたのである。つまり僕が嫁さんに風呂に入ろうと誘った時点で嫁さんは入浴を完了しており、言うなれば僕は戦う前に負けていたのである。「夫婦でも茶碗とベッドは別々が普通ですう。眠〜い」と嫁さんは言う。夫婦間の重大な問題を話しているときに眠いなんて…怒りにうち震えながら僕は新聞配達が朝刊を配る物音を湯船のなかで聞いてこの一ヶ月を過ごしてきたのである。くそ、会社じゃ課長なのに。納得がいかない。


 これらは風呂の追い焚きが可能で双方が温かいお湯の恩恵を享受できることが前提にある。つまり家計を支えている主人たる僕が冷たい湯につかるというのは僕にとっても屈辱であるが、できる嫁を自認するプライドの高い嫁さんにとっても許されないことなのである。中間管理職は二度風呂を沸かす、などということは家計アプリZaimを活用して厳しい統制家計を施行する嫁さんにとっては受け入れがたいことなのである。


 ここで天恵、風呂の故障である。緊急事態である。昨夜。双方が平等なお湯に浸かるためには一緒に風呂に入るしかないと力説する僕に対し懐疑的であった嫁さんだが「冷水につかってしまったらただでさえ弱体化している僕の精子が死滅しかねない」という説得に、折れた。「不妊治療は夫婦間の問題」との持論を持つ嫁さんは折れるほかなかったのかもしれない。無条件降伏をしなかったのは嫁さんの矜持だろう。嫁さんからの条件は「双方の水着着用」であった。例の見たくない、見せたくない、である。子供め。密室のなかで水着を脱ぐなどわけもないこと…それにそもそも僕は水着を所有していないし…策に溺れたな…とほくそ笑む僕。すると嫁さんは事も無げに「オヤカタサマの水着の準備はしてあります。合図をしたらいいですう」といって脱衣場に向かった。すりガラスの向こう拡がる肌色。貴重な時間を無駄にしないようダイニングで服を脱ぎ捨てる僕もうじき四十歳。


 三十分ほどして、どうぞー、の声。フルチンで飛び込んだ脱衣場には僕が着用する水着があった。それは女性用ビキニ水着の腰パーツであった。丸井の水着コーナーから飛び出してきた、蜷川実花ワールドのような赤地に黄色桃色のカラフルな花が散るガーリーな逸品。腰には造花。縁には白いフリル。これを、僕に、履けと?「あの〜これ女の子の水着なんですけどー。履かないでいいかなあ」「履かなかったら罰金ですう」渋々履いてみる。あれ、なんか倒錯。なんか気持ちいい。僕の腰で咲き誇る花園蜷川実花ワールド。なんだか恋のカリキュラムもこなせそう。


 だが哀しいかな可憐な蜷川実花ワールドからはみ出してしまう僕自身。右を入れると左の四分の一程度がはみ出し、逆に左を入れると右の三分の一がコンニチハ。汚い肉体にやけに映える白いフリルが哀しかった。こんなとき己の右傾化が仇になるとは。何より締め付けがきつかった。「無理。破裂する。精子が死滅する」音をあげた僕に対して嫁さんがいい放った言葉をたぶん僕は一生忘れないだろう。「バカですねぇ。前後逆にはけばいいんですう〜」。なるほど問題解決。尻は半ケツ。尻半分出しで風呂場に入ると嫁さんがジャブローに潜入する水陸両用モビルスーツのように湯船に鼻まで浸かっていた。「凝視、禁止〜」と嫁さん。だが僕には見えた。水中で巨大な胸によって押し膨らんだゼッケン「3ー2姫川」、学校的な水着…。


 この後の詳細を述べたり、嫁さんの画像を貼ったりいたしますと皆さんの嫉妬心をいたずらに刺激してしまいそうなので、嫁さんが決して僕と同じ湯船に浸からなかったこと、嫁さんが僕の身体にまったく触れなかったこと、嫁さんが白濁したボディーソープでスクール的な水着に包まれた身体を洗浄していたこと、嫁さんが終始僕に背中を向けていたこと、嫁さんがほとんど言葉を発することなくそそくさと出ていってしまったこと、独りになった浴槽で嫁さんのビキニ(下)を着た僕が「さよなら、オッパイ」と呟いたことを記すに止めておく。そんじゃーね。


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恥のススメ ?「社会の窓」を広げよう? (impress QuickBooks)

2013-05-21

[]ボクの会社にモンスタークレーマーがやってきた。 09:25 ボクの会社にモンスタークレーマーがやってきた。 - Everything You’ve Ever Dreamed を含むブックマーク ボクの会社にモンスタークレーマーがやってきた。 - Everything You’ve Ever Dreamed のブックマークコメント

 「お願いします。課長しか頼れる人がいないんです」。数日前の昼休み。本社休憩室。事業部の有望若手社員Nの声は切迫していた。有望な若者は好きではない。冷やかし半分で理由を訊く。ある顧客が厄介で、対応した事業部の連中は皆討ち取られ、なかには精神をおかしくし出社するなり吐き気を催すものが出始めるなど被害は増すばかり、ほとほと参ってしまった、Nによるとそういうことらしい。件の人物は畏敬の念をこめてこう呼ばれていた。《営業キラー》。

 巻き込まれたら面倒くさいし、事業部とは普段それほど良好な関係を築いているわけでもないので、これも修練の場だと思って頑張ってくれ、と言い立ち去ろうとした。するとNは、この問題が解決できたら、と前置きしてから、関係各位に迷惑がかかるのでここでは学校名は伏せ仮にFとさせていただくが横浜市に本拠を置く本格的女子大学、フェリス女子学院大学に通学する女子大生とコンパを開催するので課長もいらっしゃいませんか?と言う。数秒の沈黙。沈思。妻、女子大生、手料理、コンパ…精神の天秤が片方だけに大きく傾いた。「課長?」「論ずるまでもなし」。こうして僕は後進を助けたいというピュアな義憤から営業キラーと対峙することになったのである。


 営業キラーがやってくる当日になってNが親戚の不幸で会社を休む。「すみませんカチョ〜」という軽い言い回しに反省が見られない。まあいい。許す。フェリスとの折衝に全力を尽くしてくれ。Nから渡された営業キラーの名刺を手にとってみる。社名の下に見たことがない男の名前がそこにはあった。役職は営業担当顧問。受付から内線。「課長お客様です」。今思えばここが地獄とのボーダーラインだったのだけど。


 営業キラーは応接室に通されていた。応接室から、お茶を出し終えて出てきた総務ガールが哀しげな顔で僕をみて首を振った。人間はあんなに哀しい顔がつくれるものなのだろうか。相手は化け物か。僕は一呼吸いれてドアをノックした。すると開けようとしたドアからトイレで「ウンコしてま〜す」をアピールするときのごときノックが。(トントン)。「あの〜」(トントン)。(トントントン)。「いいですか〜」(トントントン)。(トントントントン)。不毛なノックの応酬。相手が必ず僕よりも一回ノックが多いのが負けた気がして若干悔しかったが時間は大事。僕はドアを開けた。


「久しぶりだな…」よく知っている声。よく知っている人物がそこにいた。元部長、定年退職した元上司。自称「営業の狂犬」。定年退職する際に部長が残した言葉を僕は思い出していた。「今度会うときは……客だ」。まさか本気だったとは。こいつが営業キラー…謀ったな、N!


 「久しぶりだな課長…2年ぶりになるか」「4ヶ月ですね厳密に数えると」「2年なんて…あっという間だな」相変わらず違う世界線を生きていらっしゃる。名刺交換。「あのどう呼べば…」「部長でいい」「部長…お名前が変わっているんですけど」「何か問題でもお!元女房の姓を名乗るのはやめてくれと元女房サイドから言われたまでだ…あの姓に俺を受け入れられる器がなかっただけのことだ」「なるほど、それでまたご親族のコネでこちらの会社に入られたのですか」部長は元々ウチの会社の大事な取引先の親族。もちろんウチにもコネ入社。すると、ずいっと乗り出した部長は恫喝的な声色で言った。今にも僕の首を絞めそうな勢いだ。「言葉に気を付けることだな…コネじゃねえ。親族に泣きつくだけで勤め先を斡旋してもらえる…言うなれば一種の俺の能力だ…」もしかしてコネの意味知らないのではなかろうか。「時代が俺を手放さない…」という部長の声が虚しく響いた。


 問題がややこしくなるのでコネについてはやめて本題へゴー。「あの…今日はどういったご用件で…」「ウチもお前さんとこもブラックだよな」まだブラック企業=黒字企業という誤解しているらしい。「まあ、ボチボチやってます」「ブラ〜ック」部長はそう言いながら湯呑みを乾杯するように掲げて一気に茶を口に含んだ。そしてウガイをするようにぶくぶくやってから飲み干した。痰がからんでいたらしい。ただただ汚い。


 「ブラック企業戦士同士腹を切って話し合おうや…」切りたくねー、ので「ご用件を」「あのよぅ。お前んとこの新製品の価格なんとかならねえ?」「といいますと?」「俺は…OBだからあれの原価知ってるんだぜ?いいのか他のお客さんにバレても」しょぼい脅迫だ。「原材料費だけを取られても販促費や労務費など他にコストがかかっていますので。原価なら別にバラシテも構いませんよ。付加価値を理解されているお客様ばかりなので」「フカも役に竜田揚げ。なるへそなー」バカにしてるのか。「でもよ。その理屈だと俺がいなくなった分、人件費が安くなるんじゃねえのかよ」「退職した者の代わりにその者より遥かに能力がある勤勉で有望な新人を補充しましたので」皮肉である。「俺と同時期にそんな使えねえ奴が辞めていたとはな…実に効果的なリストラだ」あんただよ、と言いたいのを堪えて「で、ご用件は」。「ビジネスの話をしようや…」


 それから数分の沈黙。それはまるで鍛えぬいた肉体と技をもった剣豪同士が動くに動くない膠着状態に陥ったように…などではなく揚げ足取りしか出来ないオッサン同士が負けたくない一心で動きを止めただけであった。部長が足を揚げた。「今期の交際費…まだ残ってるよな?今日どうだ?」お猪口を口元にもっていきタコのように口を窄める仕草をする部長。人間はここまで卑しくなれるものなのか。「確かに交際費は残っておりますが」「だろ?じゃあこれからいこうや」こういう輩にははっきり言わないとダメらしい。優しさは薬にならない。「たかり、ですか?それとも脅迫ですか?交際費はお客様との商談を円滑にすすめるためだけに使うものですよ、部長」「課長はわかっていないな。交際費は《客との交際》という名目でその部署が楽しく飲むための費用だ」「部長の時代は終わったんですよ」「平成はまだ終わっていないが…」らちが明かない。


 「あの〜ご用件を」「単刀直入にいくぞっ。木っ端微塵になる気分はどうだ?」「覚悟はできていますからっ」「今回、ウチはオタクの商品を」「はい…」どれだけ安い価格、そしてまたどれほと厳しい納期や条件をぶつけてくるのだろうか。「買わないことにした」「えっ?」「買〜わない」「今も取引ないですよね」「文句あるのかよ。買わないと言いにきたんだよ、今日は」アホか。時間の無駄すぎる。「お引取りを」僕は言った。このまま息を引き取ってくれ、という願いを込めて僕は繰り返した。「お引取りを」「また来るわ」。非生産的な商談はこうして終わった。敵を殲滅できなかったのでフェリス女学院大学生とのコンパはパーかもしれない。まさに無駄。別れ際の部長の言葉をここに記して今後の警鐘としたいと思う。「今度会うときは…リピーターだ…」。最強クレーマーここに爆誕。


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恥のススメ ?「社会の窓」を広げよう? (impress QuickBooks)

2013-04-11

[]「カードファイト!! ヴァンガード」を営業に活かしてみた 21:01 「カードファイト!! ヴァンガード」を営業に活かしてみた - Everything You’ve Ever Dreamed を含むブックマーク 「カードファイト!! ヴァンガード」を営業に活かしてみた - Everything You’ve Ever Dreamed のブックマークコメント

 4月からやってきた新人君が入社早々の朝礼で「趣味はヴァンガードです!」と自己紹介した直後に訪れた沈黙を僕は忘れない。実のところ僕もその沈黙のうちの1人でヴァンガードがトレーディングカードゲームであることをうっすら知っていただけだったりする。まあ彼経理部だからハハハン他人事、新卒新人トラウマだしね、と思っていたら数日後。ヴァンガード君が研修の一環で三日間、僕の営業2課で働くことになった。

 引っ込み思案の彼が直属の上司である常務兼経理部長とうまくいっていないという話を噂に聞いていた。実際落ち込んでいて覇気もハキハキしたフレッシュさも喪われていた。何かあった?と聞いてもモゴモゴとはっきりしないので「ゲーム好きなんだろ。俺もなんだ」と声をかけると「課長もゲーム好きなんですか…ゲーム機は何を?」と打ち解けた様子で返してきて一安心したが僕の「Xbox」という返答に心底悲しそうな目をして「聞いてしまってすみません」と言うのは納得いかなかった。


 「俺といる時はゲームの話とか交えてもいいよ。話しやすいだろ」と言ってやるとまあ少しずつ話す話す。まとめると社会人になり右も左もわからずテンパり気味なのに常務に毎晩飲み屋に拉致されて「銀河人が」「ミロクの世が」「二ビルが」などと次元すらわからない話をされて疲れてしまったのだそうだ。宗教こわい。


 「吐き出しちゃえよ」と促すとヴァンガード君「常務は『冗談は存在だけにしろ』ですよ!」。「何それ」「レイジです」「レイジの歌詞にあったね。そんな感じの。レイジアゲンストマシーンは好きだったよ。ロックしてた」「なんすかそのカード。アゲンストマシーン…そんなカードあるんですか」「…」微妙に噛み合っていないがそれでよし、とした。世の中には追及しないほうがうまくいくこともあるのだ。配偶者の過去の異性関係のように。


 客先に訪問するのでついてきてもらうことにした。営業の空気を知ってもらうためだ。……一時間後。一社目が終わったあとランチのファミレスで僕は注意した。名刺交換と挨拶はハキハキしたほうが…先方が話を振ってきたら目を逸らすな…相手も新人に期待してなんかいないからさー云々。ヴァンガード君は小さくなる一方だったので途中でやめておいた。ヴァンガード君はマジメすぎるのだ。多少ちゃらんぽらんな遊びがあったほうがうまくいく。初期あぶさんは酒飲んで鬼代打だったように。


 僕は閃いた。「ヴァンガードだよワトソン君」「ワトソンて誰ですか?」「だからヴァンガードだよ。仕事もヴァンガードだと思えばいいじゃん」ヴァンガード知らんけど。「どういうことです?」「名刺もカードだろ?ヴァンガードと一緒じゃん。気楽にいこうぜ」「ヴァンガードは真剣勝負ですが…なんとなく課長が仰りたいことはわかりました。しかし凄いですね」「何が?」「課長、グレートパラディンかシュテルンブラウクリューガーみたいです」褒められているのかバカにされているのかわからない。調べるのも悔しい。


 二社目。絶対にしくじってはいけない顧客だが担当は気さくな方で僕とツーカー。って正門前で簡単に説明してやると「メインフェイズ…ですね」と引き締まった様子のヴァンガード君のスーツ姿の痩身は僕にうる星やつらの友引高校校長を想わせた。「さあ行くぞ」、声をかけるとなぜかついて来ないので振り返ると名刺入れを弄りながら「デッキが…ちょっと…シャッフルも…」とかやっていて調子狂うぜヴァンガード。ヴァンガード世界ではカード入れをデッキと呼ぶらしい。受付を済ませてエレベーターで三階。エレベーターから出るときに右斜め後方から「ファイトスタンドアップ」という嫌な囁きが聞こえた。


 「いやーようやく春らしくなってきましたね。どうです景気は?」「ぼちぼちですよ。すみません紹介が遅れまして新人の…」つー実に定型的リーマン的なスムースな流れからヴァンガード君を紹介して名刺交換の運び。…運び。…運び。ヴァンガード君から名刺が出てこない。商談中の十秒は長い。担当者は既に名刺を出して構えている「早く!何してる」イラつく僕の耳にヴァンガード君の「手札が…」という囁き。どうも人事から経理部名刺と営業部名刺の二種持たされていたらしくどちらにするか悩んでいたらしい。どちらでもいいっ、早くっ。と耳打ちして客先フォロー。ここまで十五秒。焦りか苛立ちからかわからんが思わず飛び出るヴァンガード。「すみません。デッキが若干悪いみたいみたいで…」「まだ入ってきたばかりの新人に出来が悪いとは厳しいですねー」刹那。すっ、と差し出されたヴァンガード君の名刺。僕は間違いなく聞いた。名刺を出した瞬間、彼が「ライド…超俺様ライド…」と囁くのを。疲れる。


 商談は無事に進み雑談フェイズに移行。パワー2000プラス。ダメージ3。ダメージが6になると負けらしい。よくわからんがヴァンガードだとそんな感じらしい。「ご趣味は?」話を振られたヴァンガード君、胸を張って「ゲーム全般ですが強いてあげればヴァンガードです」と言った。ダメージ4。気さく担当は気をつかってくれたのであろう、ヴァンガードがトレーディングカードゲームだと知るや、それとはちょっと違うけれどと前置きしてから「ウチの子供も以前遊戯王にはまっていてね、一緒に買いにいったよ」と仰ってくれたところに被せてヴァンガード君が遊戯王に対するヴァンガードの優位点及び有意性について語りはじめたので僕は話を遮って失礼つかまつった。つーか雄弁に話せるようになっていてヴァンガードすげーと思った。ダメージ5。


 「インターセプトしたまではよかったのですが」と公園でうなだれるヴァンガード君。名刺交換という意味だろうか。「全然だよー」とダメの意味で僕が言うと「課長にそういっていただけることだけが救いです」とプラスの意味で取るヴァンガード。「課長。本当にありがとうございます。なんかやっていく自信が少しだけつきました」僕はそんな出来た人間じゃないし、途中からは正直悪ふざけしていた。なんだかムズムズした。それはかつて代打屋だったあぶさんがシーズンフル出場してタイトルを獲得し球界全体から「さすがあぶさん…」と神の如く賛美されているのを見たときのムズムズによく似ていた。だがこれでリアルカードゲームは終わりだ。


 ホッとする僕の携帯が鳴る。退職した元上司のありえないミスが発覚して解約が免れられそうにないという内容の本社からの電話だった。ベンチに座ったまま頭を抱えている僕。ヴァンガード君は言った。「ドラゴニックオーバーロードジエンド!」言葉の意味はよくわからないがジエンドはわかる。ダメージ6。ゲームオーバー。行かなくては。謝りに。気が重い。「よし、行こうか」自分に喝を入れて立ち上がる。すると「ヴァンガりましょう!」。ヴァンガード君が拳をつくって立っていた。「課長。ヴァンガりましょう!付き合いますよ」「ヴァンガりましょう」「ヴァンガりましょう」ヴァンガード君は繰り返し続けた。「ヴァンガりましょう」《僕が》「ヴァンガりましょう」《こう》「ヴァンガりましょう」《言うまで》→「ヴァンガろうぜ!」


 その後、急行で謝罪に向かった。ヴァンガード君は連れていかなかった。緊迫したなかでスタンダップヴァンガードされたらたまらないからね。僕は信じている。楽観的に。ヴァンガード君が僕の目が届かないところで真面目さを武器にうまくやっていくことを。ヴァンガろうぜ!


 名刺交換すら出来なかった弊社新人の社会人第一歩を後押ししてくれたヴァンガード。素直にすごいと思った。


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恥のススメ ?「社会の窓」を広げよう? (impress QuickBooks)

2013-03-28

[]正しい企業理念に殺されてたまるかっつーの 12:32 正しい企業理念に殺されてたまるかっつーの - Everything You’ve Ever Dreamed を含むブックマーク 正しい企業理念に殺されてたまるかっつーの - Everything You’ve Ever Dreamed のブックマークコメント


 小さな食品会社に務めていて、今、営業課長という立場にある。食品をキーワードにいろいろ手掛けているなかで最もやりがいを感じる仕事が福祉施設向け、老人ホームの食事提供。ウチの会社は創業以来「手作り(現場調理)」をポリシーに事業展開してきて俺自身も当時の社長(現会長)の考えに賛同して今の会社にやってきた。実際「手作り」の食事は施設にも利用者にも喜んでいただけていたと思う。今その理念が問題になっている。会社を蝕んでいる。


 老人ホームで手作りの食事を提供するにも当然デメリットはある。第一に食材費が指定されていて融通がきかないこと。この食材費は外部のレストランのメニューにある販売価格と異なって実際に食事にかける材料費を指している。施設側の栄養士のチェックによって食材から利益をあげることは原則無理。大手の会社はうまく抜いてるみたいだが。ワタミとか。第二に売上アップが不可能。入居者+職員+デイサービスと対象者が限定されている。それに認知症の方から追加料金とか取れないだろ?第三にあまり知られていないかもだけど高齢者向けの食事は献立の段階でひとつのメニューを高脂血症、減塩、各禁止食、カロリー制限等々展開させたうえ食べる形態(ソフト、流動、刻み数種類、アレルギー対応)に応じていかなきゃいかない。ウチのようにジャガイモの皮剥きからのように一から手作りでやるにはそれなりのスキルが必要なこと。


 売上が上がらないことが大きい。現場スタッフのタスクは増える一方であるのに売上が伸びないので給料があげられないことによるモチベーションの低下と人材流出による仕事の質ダウン、そしてトラブル苦情解約解約今ココ。俺、会社の理念「お年寄りに手作りの食事を食べてもらいたい」ってすごくいいと思っているので悲しい。関わっている人間が正しい理念で死んでいくみたいでさ。辞めていくスタッフも真面目でいい人間が多かったけれど会社の上からは評価されずまったく惜しまれない。慢性的な人不足のなか残業残業で頑張っていて施設から評価いただいていても他の事業と比べて数字が出ないから。


 選択肢は2つだ。ひとつは企業理念を覆して大手同業他社がやっているように食材工場をつくるなり全事業所統一メニューを導入するなりのシステム化して現場スタッフへの依存度を下げ極力パート化をはかる。安定した運営を目指すならこれだ。人間味がないので福祉としてどうなの?って思うけどたぶん会社としてはこれが正解。ウチの上層部がこれを選ぶような経営判断を下せればどれだけよかったろう?もうひとつは現状の理念を突き詰めより特化させてウチの上層部に数字が出ないことを理解させて数字が出ないなりの展開をはかっていくこと。これはいばらの道。利益追求の観点からみれば不正解だけれど俺はこちらを選ぶよ。


 一番厄介なのはこんな簡単なことなのに現上層部が認識はおろかまったくわかっていないことだ。しかも一言でいえばたちが悪い。【会社の理念(手作り)は素晴らしい。それを守ったうえで数値は売上は利益は伸ばさなければいけない】そんないいとこどりは理想ではなく夢だ。何度も説明したが連中にはわからない。【いいものを出せば売上は…】【効率化で食材から利益を…】云々。だから老人ホームじゃ出来ないっつーの。いろいろあるけど根底には老人ホームで出すような家庭的な食事なんて多少いろいろあっても誰でもつくれる楽勝だろ?という変な楽観があるのだと思う。厳しい数値を前にして楽観とかバカじゃねとか思う。改革か理解だろ必要なのは。


 もしくは撤退。「お荷物と思うなら撤退するなり他社に譲渡するなりすればいいじゃないですか」「売上が下がることは容認できない」つかなんで俺が意見してんのに「愛のアセンション」なるふざけたことが言えるのかバカ死ねお前が現場いけってキレて辞めたくなるけれど俺はまだしない。周りをみてみると若い連中は辞めたり失脚したりして上に物が言えるのは俺だけだから。


 はっきりいって会社、居心地はよくないし、アセンション常務はイカれているけど、やらなきゃいけないなと思うのは「課長なんとかしてよ」という現場の声や実際に食べてくれているお年寄りの「ごちそうさま」「美味しいね」という声があるから。ま、それしかないけど。散々理念理念言ってきて理念関係ないとかアレだけど、俺のエゴかもしれないけど、ただ「ジイサンバアハンにわけわからんもの食べさせたくない手作りのおいしいものを出してやりたい」っつうだけなんだよな。結局。


 今日の午後は役職者会議。粘り強くキレないように話をしようと思う。俺はやってる人間を見殺しにするほど腐ってはいないよ。