Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Porta Nigra - Fin de Siecle

ドイツのブラックメタル、2012年作。フランスのDebemur Morti Prod.よりリリース。同郷のMembarisのメンバが絡んでいる。なにやらDMPは彼らのスタイルをDecadent Dark Metalと形容しているようだ。

して内容は、Membarisのような地味なジャーマンブラックとは打って変わって、DMPが好きそうな、アヴァンギャルド/プログレッシブなテイストがあるブラックメタル
トレモロリフで疾走するような展開を効果的に使うものの、あくまで展開の一部であり、基本は怪しくもおどろおどろしく展開する。ダークメタルとでも言えばいいのだろうか。VoもクリーンVoと絶叫Voが半々くらいで使い分けられている。

2曲目"Megalomaniac"ではまたアコギを導入していたりと、初期Empyriumのようなフォーキッシュな側面も見せたりする。次曲"Der Spiegel"ではアトモスフェリックなトレモロリフ主体に展開するピュアなブラックメタルで、湿った悲壮感が素晴らしい。

"Aas der Meere"では、スウェーデンのShiningやSvartを彷彿とする自殺系ブラックを基軸に徐々に霞がかった雰囲気へと変わっていく。途中に聴かれる疾走展開も良いアクセントになっていて良い。

タイトルトラックが一番のキラーチューンか。一筋縄じゃいかないプログレッシブな展開を披露するも、ジャーマンブラックらしい湿ったメランコリックなトレモロリフがいずれの展開でも聴かれ、琴線に触れる。特にブラストの入り方が良い。この捻くれた展開は同郷のAgrypnieを思い出す。

ラストトラック"Tod meiner Lust"が一番胸を締め付ける。メランコリックなブラックメタルトラックに載る美しい女性Vo(SE?)が聴き手に酷く逼迫した印象を与える。これはスウェーデンの初期Shiningに匹敵する気がする(言いすぎか?

近い音としては、UKのCodeやA Forest of Stars、近年のForgotten Tombといった、一筋縄じゃいかない音を出しているバンドに近いか。
その一方で湿ったブラックメタルの色が強いため、やっぱりA Forest of Starsの3rdあたりが近いか。曲によっては鬱系ブラックの展開が聴かれるため、そちらの印象も強い。
曲によって毛色がかなり違うものの、プログレッシブなテイストはどの楽曲でも感じられ、アルバム通して楽しめた。

なかなか素晴らしい音源。Membaris関連にハズレなし。


キラーチューン。

胸を締め付ける。