Devil’s Own −残骸Calling2− このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2012-10-29

『終の信託』『アウトレイジ ビヨンド』など

 最低でも月に1度は更新したい所存であります。また日本映画ばかりになってしまった。

『終の信託』(周防正行

"Tsui no Shintaku"2012/JP

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 「お勉強映画」と揶揄されそうな『それでもボクはやってない』から愛妻ドキュメンタリーを経た周防の新作は、久々に劇映画としてのムードを感じさせる1作になった。その中心にまたもや愛妻を据えてしまったことを監督の覚悟と取るか、甘えと取るか。草刈ふんする女医が同僚に捨てられ自殺未遂を図る第1幕、担当患者との心のつながりを通じた回復を描く第2幕、そして担当患者への処置が殺人に当たるとして検察官の追及を受ける第3幕。各幕で草刈と対峙する浅野忠信役所広司大沢たかお、3人の男たちが画面で共演する場面はついぞ現れない。徹底した「一対一」の描出が権力や職種、肩書をはがされむき出しになる個人の対決を際立たせている。ハイライトはやはり室外、回想シーンを一切排し取調室のみでの密室劇が展開する第3幕か。『それでも〜』で裁判シーンを撮り上げた経験が本作の45分を成立させる自信につながったとのことだが、照明や編集などに映画的なテクニックを満載した見応えのあるシークエンスになっている。大沢たかおの過剰な演技も権力を笠に着た男のカリカチュアとして利いていて、個人的には一番の収穫だった。それだけに1、2幕の冗漫さが惜しい。随所に現れるメロドラマの片鱗は、愛妻を自慢したくて仕方ない(のかは知らないが)周防のまなざしの甘さゆえにことごとく摘まれているようにおもうのだった。

『アウトレイジ ビヨンド』(北野武

"Outrage Beyond"2012/JP

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 北野武初の続編映画はサービス精神に徹した前作と似て非なる、しかしまぎれもない傑作になった。どこが違うのかと言われるとなかなか難しいけど、強いていうならやくざ映画を撮る「はにかみ」との決別というべきか。前作に盛り込まれた過剰な暴力表現やブラックユーモアは一切排し、男たちの政治と力学を描くことに徹している。だいいちタイトルクレジットの雰囲気からしてすでに違っている。徐々にカメラに近づく黒い自動車がもっとも「速い」瞬間のストップモーションにタイトルが重なる前作の射精感は、海面から釣り上げられる自動車の「死体」が放つ異様な不吉さと取って代わった。ジャーロ的とすら言える殺しのショーケースもここにはない。あるのは名もなきやくざたちの死屍累々であり、そのプロセスはできるかぎり省略される。高橋克典らふんする寡黙なスナイパー集団たちの殺しも驚くほど簡潔に遂行され、時には画面の外に隠蔽すらされる。北野の興味は殺りくや暴力よりむしろ、衝突、野合を繰り返す男たちの疲労困憊へと向けられている。トレードマークでもあったタナトスを失った北野映画はどこへ行くのか。北野武の諦念は当然のようにビートたけしをむしばみ、憔悴しきった大友の表情へと重ねられていく。一方で、暴力と殺りくを欲望する観客をリプレゼントするのが小日向文世演じる片岡刑事ということになるのだが、その欲望に対し北野はこう落とし前をつけるのか。映像作家北野の新しい地平がある。刮目!

北のカナリアたち』(阪本順治

"Kita no Kanaria-tachi"2012/JP

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 東映創立60周年記念作を阪本順治が撮るという―主演は吉永小百合。このちぐはぐ感をどう表現していいものか。撮影を手掛けた木村大作の張り切りぶりもすごい(吉永と小池栄子をとらえた超絶ロングショットの唐突さ!)。新旧共に実力派俳優をそろえ、手堅い演出でまとめ上げた佳作。終盤のえげつないお涙頂戴演出もワンカットで見せ、しっかりと泣かせてくれます。しかし、吉永小百合の「老い」を許さない日本映画界(観客?)の頑固さはいったい何なのか。いかに美貌と可憐さを保っているといえども、さすがにアップで映せば40代というにはきびしい気が・・・。仲村トオルとのキスシーンなどちょっと吹いてしまったよ。先日、舞台あいさつ付きの試写会で吉永さんがいらしてましたが、確かに超かわいかったですよ。あの年齢で「きれい」な女優はいくらでもいるかもしれないが、「かわいい」はなかなかいない。しかし、それと映画内のリアリティとはまったく別問題だとおもうのだが。

『伏 鉄砲娘の捕物帳』(宮地昌幸

"Fuse Teppoumusume no Torimonocho"2012/JP

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 一方、文芸春秋創立90周年記念作は桜庭一樹原作のアニメ映画。犬と人間の間に生まれた「伏(ふせ)」と伏狩りを始めた少女の交流と葛藤を、江戸を舞台に描く・・・。さらっと書いているけど伏の設定気持ち悪くね?というかその話ほぼブレードランナーじゃん、と見る前から不安要素抱えまくりでしたが、良作でした。見るまで知らなかったのだが「伏」の設定は『南総里見八犬伝』に着想を得ている。本作はその仮想続編とでもいうべきか。美術と音楽が特に素晴らしい。『ブレラン』といえばリメイク版『トータル・リコール』の恥ずかしげもない完コピぶり(これはこれで大好きだけど)が記憶に新しいが、『伏』の美術設計は『ブレラン』的イメージから解放された世界観をほぼ最高のかたちで達成してみせたのではないか。大島ミチルの音楽も暗くならないSF感や古くない江戸描写に一役買っている。最高の舞台で躍動する登場人物のキャラクターも紋切り型にも萌えにも走らず非常に魅力的に描かれている。続編が見たいですね。おすすめです。

『エクスペンダブルズ2』(サイモン・ウェスト

"Expendables 2"2012/US

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おもしろかった。

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