Devil’s Own −残骸Calling2− このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2013-03-12

『リンク』(リチャード・フランクリン)

"Link"UK/1984

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 「ヒッチコック『鳥』のアニマルトレーナーが魅せる」というよくわからない枕ことばが冠せられたイギリス映画。IVCのカルト作掘り起こしシリーズ「VHS発掘隊」のラインアップ。動物パニック好きとしては見逃す手はないと即購入しました。監督のリチャード・フランクリンは『トパーズ』でヒッチコックの下で働いた経験もあり、後に『サイコ2』でメガホンを取るなど、ヒッチコック真の後継者と言われていたそう。DVD解説で中原昌也から「誰に?」と突っ込まれてはいるが、「『鳥』のアニマルトレーナーが魅せる」というキャッチフレーズもあながち的外れでもないのかもとおもえてくる。

 ロンドンの大学に通う主人公(エリザベス・シュー)が、霊長類学の教授(テレンス・スタンプ)を手伝うために人里離れた屋敷を訪れる。そこでは洋服を着て屋敷の執事のように振る舞うチンパンジーのリンクがいた。やがて教授は姿を消し、電話も不通となる。屋敷に孤立してしまった女子大生にリンクは好色視線を送るのだった。ほぼ全編の舞台となる屋敷の設計がよくできています。階段や天窓、井戸、地下室などを効果的に用いることでスリリングなドラマが展開。人間のように振る舞いながらも結局、異形の者でしかないリンクのキャラクターと結末は『フランケンシュタイン』をほうふつとさせる。ゴシック調の屋敷の美術とあいまって極めて正統派のモンスター映画に仕上がっている。テレンス・スタンプはいかれたサイエンティストを喜々として演じていて、途中退場ながらも強烈な印象。同時期の『グレムリン』と通じるゴールドスミスのハイテンションなスコアもかっこいい。

 まあしかし特筆すべき存在はタイトルロールを演じたオランウータンだろう。劇中ではチンパンジーということにされているが、オランウータンに演じさせたことは正解だったとおもう。シャワーを浴びようとするエリザベス・シューを視姦するねっとりとしたまなざしが不気味だ。ああいう表情はチンパンジーでは出せなかっただろう。エリザベス・シューの脱ぎっぷりももちろん貴重だが、ヒロインが自分の危険をはっきりと認識する重要な場面でもある。というのも動物パニックというジャンル映画の成功は、モチーフとなる動物の「怖さ」をいかに引き出すかに懸かっているとおもうんですね。その意味で『リンク』は成功しているといえる。単なる獰猛性、野蛮性ならほかの動物でもいいわけです。でもサルには知性がある。これがなんとも怖いわけですね。通常の動物パニックだと「食われる」「殺される」恐怖なのが『リンク』の場合はレイプされる恐怖というのも新鮮だった。エリザベス・シューもうら若いのでので観ている側もはらはらします。限られた登場人物、予算、シチュエーションのジャンル映画でも、見せ方でいかようにも面白くなるという典型のような良作でした。

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