ベ平連 〜 We Shall Overcome 〜


ブクマ経由で知った「驚きももの木20世紀 放送リスト」。この番組は面白かったので結構見ていましたが、中でも忘れられないエピソードが一つあります。それは「ベ平連」を取り上げた回でした。

詳しくは上記リンクを参照していただくことにしまして、95年08月18日放送の「べ平連・友情の大脱走作戦」では、ベトナム戦争で戦線から逃れてきた脱走兵を、スウェーデンなどの軍事中立国へ脱走させる為に奮闘する“ベ平連”の若者達のエピソードを中心に、番組が構成されていました(もう10年も前の話なのでうろ覚えなのですが…)
まず一端に名前を掲げてみたものの、支援をしていたのは学生などが多く、脱走兵を自分の田舎などに匿う、などという微笑ましいというか大分ウッカリさんな点も多く見受けられたそうです。脱走兵に「外に出るな」と言って聞かせても言う事を聞かずに、勝手に村に出かけて村人と仲良くなってしまったり、大音量で当時のロックのレコードをステレオでガンガンに鳴らしてしまったり。
そうした状況下、恐らく東北は日本海側のどこかの港からからコッソリと船が出るまで、「戦いたくない」という共通の思いの下、異国の兵士と彼ら日本の若者達は心を通わせていました。
しかしながら、順調に見えた脱走兵の支援活動も、誰かに尾行されたり、どうやら昼夜を問わず監視をされ続けているという事実が明るみになるにつれ、段々と陰りが見えてきます。そんな中で受け入れた二人の脱走兵候補。一人は気のいいアメリカ人といった感じの兵士Aでしたが、ベ平連メンバーはもう一人の兵士Bに何やら違和感を憶えたそうです。
ある朝、待ち合わせの場所に兵士Bが現れない。不安に駆られる兵士Aとベ平連の若者達。そして代わりに遠巻きに現れたのは、数人の黒服の男たち
案の定、兵士Bは、そうしてアメリカ兵が脱走することを快く思っていない政府組織(CIA?)が差し向けたスパイでした。
車で逃げ出すも、時既に遅し。この最後の逃亡劇は舞台は確か北海道だったと思いますが、車で追っ手を振り切れず、前後の道を阻まれてどうにもこうにも出来ず、どこかの岬で停車した車内で、兵士とベ平連の若者が涙ながらに「We Shall Overcome(勝利を我等に)」を歌う、というのがクライマックスでした。
この話を語るのが、現在はノンフィクション作家で、当時ベ平連に所属していた吉岡忍で、彼がその「逃がす事が出来なかった脱走兵」と、アメリカで再会を果たす(あるいはスタッフがインタビューをしに行く?)というのが番組のシメだったように思います
何せ自分も今より10歳は若く、繊細かつナイーヴ(!)で、可能性は「Sky is the limit!」と思っていたピュアな青年だったので、「We Shall Overcome」のくだりでは「なんだよー映画みたいじゃんか!」とボロボロ泣いた記憶があります。あれから10年。まだ思い出すだけでもちょっとウルウルできる自分は、結局10年前とそんなに変わっていないとは思うけど、それはそう勘違いしたいだけで、実際は多分、得たモノより失ってきたモノの方が多いよなー、という感傷的な気分になりました
何故そう思ったかというと、それは「驚きももの木20世紀」で印象深いエピソードは他に何かあったかな〜?と思い出すと、ベ平連の次に浮かんできたのが「荻野博士がオギノ式を編み出すまで」を紹介した回だったからです。