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2006-10-27

[]UIのデザイン

ブックマークコメントの反応とか見てると勘違いされている方がちらほら。MacのUIデザインのうち遊びの部分にばかり注目が行っているような気がする。

確かに、ウィンドウが吸い込まれるエフェクトとかドロップシャドウとか、見た目のインパクトがあるから取り上げられ易いのだけれど、それはまったく本質ではない。

キーボード操作

MacのUIデザインの基本は、キーボードショートカットの共通化だ。Apple自身が各アプリケーションで共通の操作系を明確に定め、またそれ以外についても共通点の多い操作が定型化している。Command+Oで開き、Wで閉じ、Qで終了。Sで保存、Aで全体選択、Iで情報表示(プロパティ)、Pで印刷、Zで取り消し。X、C、Vでカット/コピー/ペースト(切り取り/コピー/貼り付け)。どのアプリケーションでも共通の操作だ。GUIの伝道師故にマウスでの操作が印象深いが、実はAppleは当初からマウスに多くを望んでいない。マウスはダイレクトに対象を指定するためだけのデヴァイスであり、操作の主役はあくまでキーボードなのである。

いや勿論、Windowsにだってキーボードショートカットはある。しかし統一されていない。ある程度のデファクトスタンダードは存在するのだが、明文化されていないから一定ではない。例えば、どんなアプリケーションでも実行するであろう「保存」でさえ、Ctrl+Sで行なえるアプリケーションと、Altでメニューを開いてFでファイルメニューを選択、Sで保存実行……と辿らねばならぬものがある。この二つはキーコンビネーションとしては1タッチの差にしか見えないかも知れないが、実際にはその違いは大きい。キーボードショートカットが半ば無意識のうちに操作可能*1であるのに対し、Altからメニューを辿る方法ではどうしても意識的に操作せねばならないし、基本的に「同時押し」であるキーボードショートカットは操作の意識としては1動作だが、Altの場合は3動作となるのだ*2

そのため、Windowsではむしろキーボードショートカットよりも右クリックによるコンテキストメニューが多用される傾向にある。しかし、それでは操作の度にマウスに手を戻さねばならない。マウスのみで作業するようなアプリケーションはごく少数で、作業の大半はキーボードによる入力であるから、キーボードのみで作業が完結しない方式は分が悪い。

作業効率でMacがWinに劣るとすれば、それは多分OSのUI実装の問題ではなくアプリケーションの性能だろうと思う。反例をご存知の方は是非提示されたい。

見栄え

見栄えは本質ではないが、さりとて不要というわけでもない。直感的な操作を基本とするGUIでは、その直感を的確に補佐する見栄えのデザインが非常に重要な意味を持つ。Appleはそこを能く理解している。

例えばアイコンをダブルクリックした時の、1点から画面全体に拡がるようなエフェクトは、確かに開かれたということを表現するだけでなくそのアプリケーションによって画面が描き替えられる予告としての意味も併せ持つ。

OS Xのウィンドウ最小化によりDockへ吸い込まれるエフェクトやDock/Finderから登録項目を取り除くときの煙エフェクトは、それらの所在や状態を明示している。

ユーザスイッチでぐるりと画面が回転するアニメーションは切り替えの事実を端的に表現している。

いずれも、決して無駄にアニメーションさせているわけではないのだ。


アンチエイリアスによる滑らかな文字描画は、それを見慣れないWinユーザには評判が悪い。ぼやけたようで読み難いそうだが、それは馴れの問題だ。むしろ小さな文字でも1ピクセル未満の線や穴が潰れることなく表示できるので、視認性は向上している。

文字に関してはMicrosoftはとことん無神経だ。MSゴシック/明朝なんてディスプレイでも印刷でも見るに堪えない。Mac標準の、印刷には適さないと言われるOsakaでさえもっと美しい。

ウィンドウのデザインについては好みの分かれるところだが、少なくともWin2000まではほとんど気を配っていなかったことは明白だろう。


偏見かも知れないが、「きちんとデザインされたものに触れない」状態に馴れてしまうと、感覚が摩耗する。だから、個人的にはWinでデザインする人をあまり信用していない。

デザインの現場で長くMacが使われてきたのは、勿論GUIによる直感的な操作性が評価されたからだし、それを活かしたグラフィックアプリケーションが多かったからでもあるのだが、それ以前に「デザイナの感覚に訴えた」からではないかと思っている。逆に言えば、だからこそビジネス分野には広まらなかったわけだが。


UIと関係ないが

あと未だにMac高いと勘違いしてる人が多過ぎる。最低価格帯がDOS/Vの激安機より高いというだけの話で、コストパフォーマンスではむしろ優れている。

ただ、ゲーム環境だけは劣っていると認めざるを得ないのだが。

*1:実際に、昔の不安定なMacを長く使っていると、一つ操作する度にまったく意識せず自然にCommand+Sを押すようになる

*2:これは良い悪いというより設計思想の問題とも言えるのだが。環境設定でフルキーボードアクセスを有効にしないとキーボードのみですべてのメニューを使うことができないMacに対し、Winは最初からフルキーボードアクセスが有効である

UIと関係あるかもUIと関係あるかも 2006/10/28 00:46 このブログのデザイン、ダサいよ。

zm_nouveauzm_nouveau 2006/10/28 02:26 キーボードショートカットについては、古くからあるものについては継承されていますが、新しいものについては、アプリケーション毎に対応がまちまちです。「隠す」ときにコマンド+Hで隠れるソフトがあったりメニューから選択しなければならないソフトがあったり。
あと、ショートカットを覚えていなければ作業効率は下がります。いちいちショートカットを覚えていなくても右クリックでコマンドが実行できれば、覚えることが少ない分効率がいい、とも言えます。
また、グラフィックソフトを扱っているときなどはマウスの右ボタンが欲しくなります。右ボタンがあればマウスだけで作業が完了するようなことも、キーボードを併用しなければならない、あるいはメニューまでポインタを引っ張らなければならないからです。OSの作業効率とは直接は結びつかないかも知れませんが、ショートカットで対応できるコマンドには限りがある(もともと登録されているのも、それを覚えるのも)ことを考えるとあながち無関係とも言えないのではないでしょうか。

MacintoshもWindowsもどちらも使っていますが、どちらとも「そういうものだ」と割り切ってます。

flonplusflonplus 2006/10/28 10:56 初めまして。自宅に Win と Mac を複数台所有している者です。
Windows OS の UI については、Mac OS 同様、以前から明文化されています。http://www.microsoft.com/japan/msdn/accessibility/general/ATG_KeyboardShortcuts.aspx 等々。
また、Windows のコンテキストメニューはキーボードのみで呼び出せるため、マウスに手を戻す必要は無いんです。第一、Microsoft は開発者に対して、すべての操作をマウスとキーボードの両方で行なうことができるように設計することを推奨しているので、大抵の操作はマウス無しで可能です。ご存じでしたでしょうか?
あと、Mac OS は操作時の時間のかかる多彩なイフェクトを簡単にはオフにできないので(ですよね?)、簡単にオフにできる Windows の方が、仮にキーボード操作が 2, 3 多くなったとしても、ずっと早く感じますよ。

DocSeriDocSeri 2006/10/28 11:11 ま、最終的には優劣の問題というより設計思想の違いであり好みの問題ということになろうかと思うのですが、それはそれとしてWinの歴史を辿るに、徒にMacの後追いをしているようにしか見えないのですよ。
ごく初期(95まで)は確実にそうでしたし、XP〜Vistaに至ってはOS Xの表面的な部分ばかり模倣しているようです。

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