ヒトクイマジカル

 戯言シリーズの5作目『ヒトクイマジカル』を読み終えた。今回も謎解き方面はおざなりで、ほとんどライトノベル。なんで、この人がライトノベル作家に分類されているのか、ようやく分かってきた。そして、相変わらず主人公には共感が持てない。一部、見直したところもあったのだけれど、やっぱり落ちたね。たぶん、この主人公には最後まで共感することはなさそう。あと、今回でメインヒロインの玖渚友を怖いと思った。やはり、この作品には男の妄想どおりの女性はいないね。

ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 (講談社ノベルス)

ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 (講談社ノベルス)

 これ以降の文章はネタバレを含みます。基本的には書かないんだけど、なんとなく謎が解けたっぽいので、その証明の書き込みです。
 今回は、最後ですべての謎が明かされてしまったが、いままで難題を残して終わっているだけに何かがおかしい。ちなみに前作までの難題は以下の通り。
・1作目:島の主人および、三姉妹
・2作目:X/Y
・3作目:主人公の名前
・4作目:本当のトリック

 5作目だけ、何も無いというのはむしろおかしい。こういったものは定例化して、どうしても入れたくなるものだと思う。ペットの名前のシリーズ化みたいなものだ。ということは、どこで騙しているかだが、やはり双子である以上、定番の入れ替わりトリックを使用しているんじゃないかな。それに、生き残っているのは出雲君にしては、おかしい点が2つほどある。

 1つは、主人公がなぜ生きていたかということ。生かしておくメリットがあまりに少なく、単純にデメリットの方が大きい。しかも、ラスト直前での戦闘でも、命に別状がないところで留めている。明らかに主人公を殺したくないと考えて行動している。これは、出雲君では理由が無いが、理澄ちゃんなら明確な理由がある。

 2つ目は、狐面の男の言葉である。彼は、主導権は理澄ちゃんの方にあると言っていた。しかし、主人公たちの解釈では、それらは全然でてこない。ならば、狐面の男が嘘をついているのか・・・。しかし、条件によっては事件の真相まで語ってくれそうだった相手だけに、その考えは合わない気がする。それに兄弟への価値を失っている以上、嘘をつかなければいけない明確な理由もない。

 まあ、生き残ったのが理澄ちゃんだと、その辺の解釈が上手くいって合っている気がする。えっ、哀川潤がどうしてこれを解かなかったかって、それは生き残ったのが理澄ちゃんだと、主人公が決闘を反対するに決まっているからだ。