アリアンロッド・サガ・リプレイ(1) 戦乱のプリンセス

 壮大なスケールで描く新『アリアンロッド』シリーズの第一弾としてのリプレイだけに各種要素が詰め込まれていたが、その説明が要るだけにかなりシナリオとしての制約を受けて作られていたように思う。いつもの菊池たけし節みたいなものが薄れていて、面白みが削られているように感じた。まあ、一回目なのでキャラの掛け合いとかが上手く行かなかっただけという可能性もあるんだけど。
 とりあえず、読んで思ったことだが、やはり戦記物だけに戦闘が少ない。『アリアンロッド』の特性を考えると、この辺りはどうなんだろう。他のリプレイシリーズとも合わせて検証したいところだ。

 空の中

 有川浩氏は『塩の街』を読んだときに、ああ、典型的なライトノベル作家なんだなと思っていたのだが、これを読んで考えを改めた。設定が重厚であり、それらが無駄ではなく、きちんと意味を持ち収束させるだけの技量を持っている。普通の作家としてもデビューできたんじゃないだろうか。これから、他のシリーズも文庫になっていくだろうし、追いかけて行きたい作家さんだ。

空の中 (角川文庫)

空の中 (角川文庫)