シートン俗物記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-04-22 大雨

[]記憶自殺

1939年9月ナチスドイツポーランドに侵攻、電撃戦によって瞬く間に東進する。一方、ドイツと不可侵条約を結んでいたソビエト連邦ポーランド東部へ侵攻、多くのポーランド将校捕虜とする。捕虜となったポーランド将校はいずこともなく移送されるが、1943年ドイツ軍がカティンにて夥しい殺害死体発見した、と公表。ソ連による犯罪行為であると糾弾した。一方ソ連ドイツによる殺害であると反論。ドイツ敗戦後、事実は葬られることとなり、犯行をソ連が認めるのは実に1989年の事であった…


アンジェイ・ワイダの「カティンの森」を先日鑑賞。ポーランド将校の殺害よりも執拗に描かれていたのはソ連による情報統制だった。その情報統制は墓碑銘の改竄、場合によっては墓碑の破壊にまで及び、学生履歴書や人々の噂に至るまで証拠を“消し去ろう”とする。


ソ連全体主義の怖ろしさを思い知るシーンであるが、同時に疑問も持った。


果たして捕虜殺害を行った人々(主としてNKVD)は、その事をどう捉えていたのだろうか?

ソ連は89年に至るまで殺害の責任ナチスドイツ転嫁していた。捕虜殺害の事実を「恐るべき犯罪行為」と糾弾までしている。殺害に携わった人々は、それを「必要な汚れ仕事」として捉えていたはずだ。そうでなければ承伏し難いだろう。しかし、ソ連は彼らの梯子を蹴倒したのだ。やむを得ないと考えた任務を指示した当人達から「恐るべき犯罪行為」として敵の仕業に転嫁される。殺害の実行者はどんな思いを抱いただろう。割り切れない思いを抱いた人々はそれを口にする機会はあったのだろうか。それとも口封じにあったのか。独ソ戦において口封じの手段はいくらでもあったろう。


ソ連執拗情報を統制し、事実の隠蔽を行ったのは、その事実に後ろめたさを覚えていたからである。隠蔽も捏造も後ろめたさの為せるわざだ。執拗なそれをApemanさんは「記憶の暗殺」表現した。

だが、そもそもソ連は隠蔽する必要があったのだろうか。事実が隠蔽されなくても誰も気にしないとしたら?


グレッグ・パラストの「金で買えるアメリカ民主主義」には2000年アメリカ合衆国大統領選挙の経緯が書かれている。日本でもニュースとなったが、民主党ゴア候補と共和党ブッシュJr.の熾烈な選挙戦フロリダ州の集計において僅か数百票差という僅差の中でブッシュの勝利となった。票の数え直しや集計機械トラブル最高裁判所の判断など多くのニュースが駆け廻った。しかし、それらの報道で取り上げられなかった重大な問題があった。それは、選挙前に既に起きていた巨大な不正司法長官州務長官による有権者の秘やかな排除。その人数8万人以上。その多くが民主党支持者だったと云われる。票の数え直しも在外投票者も関係がない。決着は既に付いていたのだ。

この事実はしかアメリカ国内ではほとんどまったく報道されなかった。報道されたのはイギリスにおいて。そして、それはアメリカ国内においてはまったく関心を集めなかった。

この事実マイケル・ムーアによっても伝えられたが、これも主流メディアからは黙殺された。


フロリダ州関係者事実を隠蔽する事にしくじった。彼らの情報管理はまったくお粗末で、ぞろぞろと証拠は漏洩する。にも関わらず、彼らはまったく責任を追及されなかった。何一つ。それどころかグレッグ・パラストは次のようなメールを受け取る始末だ。

やあグレッグ

あんたが書いたフロリダ州の「ブラックリスト」の「記事」について言わせてもらいたい。あまりに社会主義イコール民主党くさくて、あんたの社会主義のいとこを助けようって魂胆が見え見えで笑っちまう。お前らイギリスホモ野郎*1どもは、平均的アメリカ人は学がなくて、ばかだと思っているようだな。

(中略)

あんたの記事はまったくの嘘だらけ、でなきゃほとんど嘘ばかりだな。6年生だってあんたが嘘つきだってわかる。

(略)

それからイギリスブタ野郎、お前だよ、アメリカ政治問題に口出しするな。


日本においても状況はあまり変わらないようだ。似たような文章は日本でも見ることが出来る。また、先日次のような話があった。


東京新聞: 『与党帰化した子孫多い』 石原知事

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010041890070655.html

民主党などで検討されている永住外国人への地方参政権付与をめぐり、東京都石原慎太郎知事が十七日、都内の集会で「帰化された人、そのお子さんはいますか」と会場に呼び掛けたうえで、「与党を形成しているいくつかの政党の党首とか与党の大幹部は、調べてみると多いんですな」と発言をした。(後略)


外国人参政権先祖義理立てか」 石原知事与党批判

http://www.asahi.com/politics/update/0418/TKY201004170390.html

石原慎太郎東京都知事は17日、東京大手町ホールであった永住外国人への地方参政権付与などに反対する集会で、親などが帰化した与党幹部が多いとした上で、「ご先祖への義理立てか知らないが、日本運命を左右する法律をまかり通そうとしている」と発言した。

 石原知事は、出席した自民党地方議員ら約450人に「帰化された人や、お父さんお母さんが帰化された、そのお子さんという議員はいますか」と質問。「与党を形成しているいくつかの政党の党首とか、大幹部は多い」と話した。

 石原知事はこれまでも、地方参政権付与反対を繰り返し発言しており、この日は「参院選では、まさに外国人参政権を与えるか与えないかが問題になる」とも述べた。


こんなものは「批判」などではなく、中傷にすぎない。最近朝日新聞記者のクソぶりが目立つが、こんな中傷を正面から批判できないようなら、新聞なんて名乗らない方がいい。さて、この酷い差別発言読売産経は取り上げさえしなかった。

これに対する反応も社民党福島党首による言葉だけ。


石原知事先祖」発言 社民福島氏が撤回求める

http://www.asahi.com/politics/update/0419/TKY201004190184.html

社民党党首の福島瑞穂消費者担当相は19日、石原慎太郎東京都知事永住外国人地方参政権与党党首や幹部が賛成している理由を「先祖への義理」などと発言したことについて、「私も私の両親も帰化したものではない。しかし、石原氏のようにそのことを問題にすること自体、人種差別ではないかと考える」と述べ、撤回を求めた。緊急に記者会見を開いて語った。


他の与党幹部はもちろんだが、本来なら身内からも抗議があってもいいはずだ。しかし、まったくスルーされている。


こればかりではない。日本において事実が明らかになってもスルーされる事柄の多いこと。イラク戦争責任をはじめとして。かつてのソビエト連邦にとって目標とすべき地点であろう。なにせ情報統制しなくても済むのだから。これを何と呼ぶべきか。自ら事実から目を逸らし記憶捏造する。「記憶自殺」と呼ぶべきかも知れない。

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4/30追記

誤記を訂正いたします。

誤:州司法長官

正:州務長官

*1:グレッグ・パラストはアメリカジャーナリスト報道イギリスBBCと「ガーディアン」で行われたためにイギリス人勘違いしている

通行人N通行人N 2010/04/23 20:28 お久し振りです。お元気そうで何よりです。

記事を読んでいろいろと考えさせられました。
最近の日本では記憶の自殺っぷりが顕著になってきています。
その最たるものが、我らが鳩山首相でしょう。

野党時代に「秘書の犯罪は議員の犯罪」と言ったことを忘れて
「秘書の犯罪は議員にも責任の一端はある」とトーンダウンする。
「移転先の住民の民意を尊重する」と言ったことを忘れて
強引に徳之島への移転を勧めようとする
(しかも、民意を放って先に米軍との合意を進めようとしている!)。
リーダーシップと口にしながら入閣もしていない小沢さんに振り回される。

いったい彼は、何度記憶を自殺させれば気が済むのでしょう。
こんな人が日本のリーダーである以上、日本人が自主的に
記憶を自殺させる風潮もますます酷くなっていくでしょう。

まずはリーダーを変えなければいけません。
民主党には前原さんや北沢さん、長妻さんと言ったまともな人材がいます。
彼らが早急に鳩山氏や小沢氏を引退させ、リーダーシップを握るべきです。

あと外国人参政権については、国民を巻き込んだ検討が必要ですね。
世界的にも導入例が少ない法案ですから、
日本にとって害とならないかどうか、慎重な議論が必要です。

通行人N通行人N 2010/04/24 07:35 追記。

イラク戦争についてですが、批判の声が大きくならないのは、
当時の政権の判断、およびそこからもたらされた結果に、
それほど問題が無かったからではないでしょうか。
現在の与党は当時の野党だった民主党ですから、
もし当時の政策に問題があると判ればいくらでも検証できます
(たとえば、沖縄と核に関する密約のように)。

民主党がそれをしないのは、カチンの森事件のような
違法性とか倫理的問題が存在しないからではないでしょうか。

無論、「民主党もアメリカに丸め込まれた」と見ることも可能ですが。

Dr-SetonDr-Seton 2010/04/24 16:02 >イラク戦争についてですが、批判の声が大きくならないのは、
当時の政権の判断、およびそこからもたらされた結果に、
>それほど問題が無かったからではないでしょうか。

てめェはオレを怒らせた。

Iraq Body Count
http://www.iraqbodycount.org/

バカは死ね。てめェは出禁な。

tt 2010/04/25 17:36 >では、なぜ民主党は、当時の政策の検証を行わないのでしょう?
あなたと同じで恥知らずだからでしょう。
愚かにも程がある。

通行人L通行人L 2010/04/27 16:18 あれ? 論破されたうえで怒られて出禁くらってるのに。

リンク先見たら、「それほど問題が無かった」なんてありえないでしょ?

不思議な人だ…。

通行人L通行人L 2010/04/27 19:49 ふわぁぁ…(眠

やっぱり出禁が正しかったようですなぁ…。

お騒がせしました。
私のコメントともども、削除しといてくだされ。

通行人L通行人L 2010/04/28 14:38 >時にはそれに目をつぶってでも戦争を仕掛けた側に加担する必要もあるのでは?

いやあ、スゲェな。
人命ってのは、ここまで軽視できるもんなんだな。

貴公はヒトラーの尻尾だな。

真実を教えてやるよ真実を教えてやるよ 2010/04/29 08:54 >通行人N
> アフガンの民間人死者、2009年は最悪の2412人
> ttp://www.asahi.com/international/update/0114/TKY201001140438.html
> > 駐留外国軍や政府軍の攻撃による死者は昨年より200人以上減り、
> > 596人(全体の25%)だった。

イラク戦争の民間人の死者は10万人。
アフガニスタンはそれにくらべればごく少数。
Iraq Body Countの主催者も、アフガンの民間人死者は問題視してない。


> 鳩山総理「アフガン支援5年で4〜5千億円」
> ttp://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/index2.html?now=20091106171926
> (2009年11月の記事。現在は記事削除済み)
> > 政府は、アフガニスタンへの支援策を来週のオバマ大統領来日までに
> > まとめる方針です。
> > 外務省などは、これまで行ってきた警察官の給与の支払いなどに加えて、
> > 警察官の訓練やパトカーなどの装備への支援を中心に検討しています。

自衛隊はイラクで何人も民間人を虐殺した。マスコミが報じないだけ。
民主党の民生支援と比べるのもおこがましい。

以上、論破終了。

通行人L通行人L 2010/04/30 08:38 どうせ消えるから、もはやどうでもいいんだけど。
念のために言っとくと、

・オレはアフガンの問題にはいっさい言及してない。なんでそんな話を持ち出してきたのか不明。
・オレは「真実を教えてやるよ」とは別人。ま、どうせ消えると思って捨てハンにしたオレも悪いけどね。

ま、イラクだろうがアフガンだろうが、貴公のような人命軽視のヤカラと話をするのはアホくさいのでパスね。どうせ消えるし。

宇宙世紀になって、コロニーを落とすのはやめてくれよな!

Dr-SetonDr-Seton 2010/04/30 22:52 いちいち書き込まれて迷惑しているから、一言だけ述べておく。

小泉政権は米ブッシュ政権のイラク攻撃のために他国の支持を取り付けようと外交を展開していた。つまり、正当性の欠片もない武力攻撃を後押ししたのだ。

民主党政権は(実質は非難されるべきだが)アフガンに民生支援を行う、と表明した。小泉政権の戦争犯罪と同列には扱えない。

で、コメントは消去する。以上。

tさん、通行人Lさん、ありがとうございます。

真実を教えてやるよさん、被害人数が少なくても軍事行動は支持できません。私は「ペシャワール会」の中村哲さんや「カレーズの会」のレシャードさんを支持します。
軍事的行動は何一つ役立ちません。

冠 2010/05/01 00:14 まあアフガンの被害者も忘れちゃいけませんよね。
アフガンの民間人の死者って、実質どれくらいになるんでしょうか。

時々拝見時々拝見 2010/05/01 09:27 記憶の自殺以前に、小泉政権の対イラク戦争支持が「日本で」大した問題にならなかったのは記憶する事さえしなかったからでは?と思います。「実害」がなかったために。
カティンの森、ソ連から情報が漏れなかったというのも、何か戦慄するような事を連想します。

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