シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

税金払えよ

企業の預貯金世界で膨張 10年で8割増

世界の上場企業の手元に膨大なキャッシュが積み上がっている。総額で12兆ドル(1350兆円)に達し、有利子負債を超える手元資金を抱える「実質無借金」の企業数は全体の半分を超えた。リーマン・ショックなどに翻弄さえれながらも、IT(情報技術)分野を中心とした技術革新をテコに企業は利益を稼ぎ続けてきた。問題は経済の成長率が鈍化する中、巨大な手元資金を活用する有望な投資先がなかなか見当たらないことだ。
「緊迫感を持って変革を追求すべきだ。」米ファンドのサード・ポイントは6月25日、スイス食品会社のネスレに経営改善を迫った。ネスレの手元資金は245億スイスフラン(3兆円弱)。モノ言う株主として知られるサード・ポイントは手元資金に安穏として改革を怠る経営陣に我慢できなかった。2日後、ネスレは2020年までに最大で手元資金の8割にあたる200億スイスフランの自社株を買うと発表した。

「日本化」が進行

世界の企業の手元資金が膨らみ続けている。日本経済新聞社がQUICK・ファクトセットのデータから集計したところ、現預金に保有債券や貸付金などを足した広義の手元資金は12兆ドルと10年前から8割増えた。人類が有史以来採掘した金(7.5兆ドル)を買い占めても使いきれない。
有利子負債は7割増の19兆ドルだ。負債を超えるピッチで現金が積み上がり、53%の企業が実質無借金になった。
地域別では米国が2兆8千億ドル、欧州が2兆1千億ドル、日本が1兆9千億ドル、中国が1兆7千億ドル。余剰資金をひたすら積み上げる経営姿勢は日本企業の専売特許だったが、ここにきて世界企業の「日本化」が進んでいるのだ。
企業に現金が積み上がるのは、産業構造の変化の影響も大きい。インターネットやスマートフォンの技術革新で成長するIT企業は大型設備を必要とせず、使い道が研究開発やM&A(合併・買収)、自社株買いなどに限られる。
代表格が米アップルだ。4月末の手元資金は2568億ドル(約28兆円)と「iPhone」を初めて発売した10年前から17倍に膨らんだ。時価総額が2352億ドルのゼネラル・エレクトリック(GE)を丸ごと買収できる計算だ。
手元資金が増えると財務は安定するが、経営の効率性が低下する。このためアップルは12年以降2千億ドルを超える株主還元を実施し、5月にはティム・クック最高経営責任者が「19年までに(還元額を)3千億ドルに引き上げる」と発表した。人工知能(AI)関連など50社近くを買収して有利子負債を985億ドルに増やしたが、資金の膨張は止まらず実質無借金のままだ。
有望な投資先を見出せず、企業資金は金融市場に還流する。米国株最大の買い手は自社株買いを実施する企業自身だ。日本でも自社株買いで自社が筆頭株主になった企業が全体の1割になった。
米企業も金融危機が起きた08年以降は資金不足から資金余剰に転換。T&Dアセットマネジメントの神谷尚志氏は「家計から資金を調達し、投資をして経済全体に資金を循環させるのが企業の本来の役目」と話すが、今は企業にも家計にもお金が余っている。

金利を押し下げ

こうした余剰資金を吸い上げて使っているのが政府だ。金融危機後に政府は財政支出を拡大し債務を膨らませた。
日米中の政府債務は計36兆ドルと10年前から9割増えた。返済能力に疑問符がつき長期金利が跳ね上がってもおかしく無いが、実際は歴史的な低水準で推移。膨れる政府債務を企業や家計の余剰資金が支え、金利を押し下げている。
企業の余剰資金を巡り、債務圧縮を急ぐ各国政府間の駆け引きも激しくなっている。
多国籍企業の多くは税率の低いアイルランドやオランダに拠点を置き、利益をプールしている。トランプ米大統領が掲げる法人減税や本国投資法(レパトリ減税)は企業の手元資金を米国に集めて投資するよう促す狙いだ。米グーグルは英国やイタリアの税務当局と追加納税で合意したが、スペインやフランスなどとは今なお係争が続く。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「政府債務が膨らみ続けるといつかは増税などで国民生活に影響が出る。企業が余剰資金を長期的な視点で投資し、経済を押し上げる環境をつくる必要がある」と指摘している。(富田美緒)

日本経済新聞 2017,7,2 朝刊)

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO18382500S7A700C1MM8000/


もう、嗤うほかありません。これほど、どうしょうも無い記事がありますでしょうか?
企業にも家計!*1にもお金が溢れかえっていて、“有望な投資先が無い”と嘆いているのですって。
企業や富裕層が税も納めようとせず、

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その一方で多くの人、とりわけ貧困層は、その減った税収によって苦境に追い込まれる

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(欧州季評)政治に目覚めた庶民たち 「人への投資」が心摑んだ ブレイディみかこ
http://www.asahi.com/articles/DA3S12998694.html


各国政府が 記事にもありますが 行う政策は企業におもねるものでしかなく(企業減税・誘致・優遇策)、そのツケは一般の人々が負うことになるのです。リーマン・ショックのように。
ロバート・ライシュの云う通りですね。彼は、すでに社会構造が企業にとって都合のよりものに歪められ、再分配政策さえも有効に働きえない、と指摘しています。

最後の資本主義

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現在の状況が続くようなら、有望な投資先も無く、低成長の経済がジリジリと続き、一方で貧富の差が開き、社会的安定が損なわれることになるでしょう。世界的に。


それにしても、市場・金融機関関係者や日経あたりの記者だと、有望な投資先が思い当たらないんですかね?


私なら企業に対して、素直に税を納めろ、再分配に努めろ、次世代へ、人へ投資しろ、と云いますが。
参考:

機械仕掛けの神と金融クーデター
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20120529/1338302858


くだらない単位
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110126/1296032428


竹中平蔵は真性のクズ
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100917/1284730633


新自由主義という醒めない悪夢
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100730/1280494314


法人税減税とか云っているヤツはブタのエサ
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100627/1277600158


やっぱり「民業圧迫」とか云っているヤツはバカだった
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100409/1270819040


郵政問題で「民業圧迫」とか云っているヤツは真性のバカ
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100402/1270214654


トリクルダウン改めハムスターの回し車理論
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080905/1220604401


まあ、富裕層の幇間(たいこもち)、犬っころどもの日経記者には、何をしたらいいか見えないようです。
では。

*1:日本における「平均金融資産保有額」は1209万円、しかし、貯蓄ゼロの割合が30%であることを考えれば、資産の多くがごく一握りの富裕層のものである cf: http://www.huffingtonpost.jp/2015/11/06/saving-average_n_8486524.html