2006-06-12
医師という職業の特性
世間一般の医師という職業に対する印象は実像とはかなりかけ離れていると思われるが,実際のところはどうなのか,自分自身を分析するのは難しいものである。とはいえ他の職種に文句をつけるだけというのも一方的でよろしくない。今回は自分なりに医師の特性を考えてみたい。もちろん医師のすべてが該当するわけではないし個人の人格や環境によっても異なることは百も承知であり,医師という集団全体に関する印象と思って頂ければ幸いである。
協調性・社会性の欠如
自分自身で治療方針を決定する権利(裁量権)があり,職場においては他の職種に対して指導的な立場に立つことが多い。逆に言えば常に決断を求められる立場にある。医師として勤務する20台半ばよりそうした環境に置かれると,その方向性が正しいかどうかは別として,自分なりの仕事に対する考え方や姿勢が確立し,次第にそれ以外のやり方を受け付けにくくなる。医師として経験を積めば積むほどこの傾向が強くなる。そのため医師が集まっても意見が一致しないことが多い。表向き同意しても腹の底では自分が正しいと思っている。また他の職種,たとえば看護師や技師に対しては上からものを言う傾向が見られる。さらに製薬会社の営業はたとえ研修医だろうと処方権を持つ医師には決して逆らわず,社会性の低下を助長する。
勤勉
医学部に合格し,医師国家試験に合格するためには要領の良さに加えてある程度の努力が必要である。従って医師となる課程で極端に意欲の低いものはふるい落とされていると考えられる。実際平均的な医師は勤勉であるといえる。医師になっても必要に迫られて勉強を続けなくてはならず,休日を割いて研究会・講演会に出席する。勤務医の場合勤務時間外の労働も当然と考え,休日にも自主的に出勤する(多くは無償である)。ただし勤勉であることでますます労働量を増やしている一面もあり,年中無休働くことが当然と医師自身だけではなく患者側も認識するようになって結局医師自身の負担がさらに増大するという現状を招いている。もっともこれは専門性の高い職業一般(官僚,技術者など)に当てはまることであるが。
義務感と自尊心
医師免許を所有していれば負担の多い職場から負担の少ない職場に移ることは難しいことではない(医師は常に需要過剰の状態にある)。あえて精神的・肉体的なストレスを伴う勤務を続けることが出来るのは多くの場合自分がやらなければ患者が困るという義務感である。基本的には善意から生じるものであるが,自分は正しいことをしているという思いは自分のしていることはすばらしいことだという自尊心を生じやすい(救急医療や小児科,産科といった医師の負担の大きな部署ではそうした義務感と自尊心なしには医療そのものが成り立たない)。
世間一般の価値観からすれば変人以外の何者でもない。とはいえ変人には変人の使い方があり,権力者や雇用者からすればうまく制御すればいくらでも働く比較的扱いやすい人種だと思う。何より団結して反乱を起こす心配がないのだから奴隷には最適である。最近報道されているようになった「医師不足」の一因は,あるいは最近になって医師が世間並みの常識を身につけて職場を選ぶようになってきた事にあるのかも知れない。
ということはさておいて,医局脱出まであと291日。
comment
Commented by 新米内視鏡Ns. at 2006-09-18 01:47 x
先日より拝見したブログ。先生のことはまだまだ把握していません。が、今は医局に縛られず、やりたいことを優先し、出身大学に関係のないDr.の集団も増えたと感じます。でっ 先生のやりたい専門は何なのでしょうか。
Commented by doctorpooh at 2006-09-19 00:19
以前のエントリも読んで頂きありがとうございます。かつては専門(というほどの大層なものではありませんが)は消化器内科,特に肝臓疾患でしたが現在は一般内科という曖昧な看板を出してます。医局脱出の折には専門という概念からはさらに遠く離れる予定です。
