寒い国から来日すると熱中症のリスク

<寒い国から来日すると熱中症のリスク>

 今年は雨の日が多く、比較的熱中症は少なかったように思いますが、暑さに慣れていない北欧やロシアなど冷帯気候の方が夏に来日すると、日本人の2〜3倍熱中症になりやすいのだそうです。
 これは、名古屋工業大学の研究グループが明らかにしたもので、2020年東京五輪パラリンピックは酷暑の時期に観光客が多く訪れることが予想され、注意喚起が呼びかけられています。

 研究グループは、身長173センチ、体重65キロの人を想定し、スーパーコンピューター熱中症のリスクを試算しました。
その際、冷帯、温帯、熱帯出身者の汗腺の密度数や、出身地域別に総代謝量や手足と体幹代謝分布を推定し、また日光の影響や気温、湿度の違いで、皮膚や臓器といった全身の体温変化や、発汗量の推移などを数式化して計算したそうです。

 その結果、湿度60%の晴れた日に気温35度の屋外で1時間過ごすと、温帯出身者の体温が37.68度なのに対して、暑さに慣れていない冷帯出身者は38.02度に達することが分かりました。
 冷帯出身者は発汗量も少なく、温帯出身者との差はほぼ2倍で、気温を30度から38度まで変化させると、冷帯出身者は汗のかき始めも遅く、体温が上昇しやすかったという事です。
なお、温帯と熱帯出身者は体温上昇や発汗量に大きな違いはなかったそうです。

 研究者によると、「7月は外国人観光客も多く、暑さに慣れていない人が、より熱中症になりやすいことを注意喚起する必要がある」としています。