【＋２】新居案内

ネタのレベルでいえば、インパクトもなく、取り立てて怖いということもない。
だが怪談話としての完成度でいえば、この怪異であれば十分読ませてくれるところまできているという印象である。
“実話怪談”と言っても全ての作品が恐怖を煽るものではないと思うし、常識では考えられない怪異が書かれていればそれで成立するものだろう。
むしろその怪異の身の丈にあった書きぶりで読者に提示し、読者がそれなりに怪（決して恐怖の感情だけではない）を感じることができるのならば、その怪談話は成功したことになるのではないか。
この作品は、この観点に立つならば、過不足なく書かれた内容であり、他の恐怖譚に決して見劣りするようなものではないと思う。
ネタの希少度を考慮すると、積極的な好評価までは至らず。