幽鬼の源

2007-03-07

[]【0】こっくりさん

また“コックリさん”ネタかと期待せずに読んだが、いつもとはパターンが変わった展開であった。

普通は1回のコックリさんで起こった(そこで騒動が起こるために最後の1回となる訳だが)怪異を克明に書く作品が多い中で、この作品は徐々にエスカレートしていく怪異の展開が新鮮である。

またそれが体験者自身が加わっているという共通点を持つ。

体験者自身の能力が研ぎ澄まされていったのか、あるいは最初からそのような強い力を持っているのか、そのあたりの事情は分からないが、じわじわと変な雰囲気に飲まれていく展開は面白かった。

だが、文章全体があまりにも淡々としているため、あっさりと終わってしまった感が強い。

それぞれで起こった状況を事細かに書く必要はないが、最後のコックリさんの時の場面ぐらいは詳細を書いて、それなりのボリュームの内容にした方が良かったのではないだろうか。

平板というよりも、カタログやケーススタディを読まされているような感覚に陥ってしまった。

“記録=実録=実話”という意味でこんな書き方をしているのかもしれないが、度が過ぎると(特に抄訳のような形態になってしまった場合)ストーリーとしての面白味に欠ける危険性が高くなる。

話の展開上でクライマックスを作ることが肝心だろう。

[]【+1】ぐるぐる

書きようによっては、かなり出来の良い怪談話になっていたかもしれない。

よく似たパターンはかなり多いのだが、怪異の描写部分が非常に克明で、しかもその内容が形容の仕方によってありきたりのものから抜け出ていると感じた。

また中国のホテルから霊を拾ってきたというのが興味深い。

体験者自身の体験談だけでもそれなりに怪談話として成立しただろうと推測する。

体験者の話に確証を与え、恐怖感を増強させる意味で弟の後日の証言が出てくる訳だが、この部分に問題点が集中する。

まず弟一人に真相を語らせすぎたため、つまり弟の独白だけで延々と説明させたために、テンポがおかしくなってしまっている。

特にその間延びした後に体験者自身の感想が述べられているから、ストーリーの幕切れとしてはかなり凡庸な印象が強い。

さらにこの部分だけなぜか関西弁が使われている。

関西弁=お笑い”という印象が強い分だけ、何か強引にオチを作ろうとしているように感じる。

特に「さぶいぼ」は大半の読者にとって、言葉そのものがウケ狙いにしか見えない(関西では日常使っている普通の言葉なのであるが)。

前半の怪異現象重視の書き方と、後半の関西弁丸出しの書き方との間ではかなり印象の差が激しく、チグハグ感を感じざるを得なかった。