2007-03-11
■[超−1]【0】通り道
とにかく怪異にたどり着くまでが長い。
そしてそこまで微細なところまで書き綴っていたのが、怪異そのものについては漠然とした表現に終始している。
むしろ体験者の仕事のはかどり具合の方が精緻を極めている。
はっきり言ってしまえば、読者投稿作品の印象である。
体験者本人が時系列的に己の体験を語っただけで、怪談話としては未成熟であるということである。
一番強く感じるのは、怪異の本質を見極めてストーリーを展開しているように見えない点である。
例えば、仕事の進捗状況の方が細かく書かれているのは、体験者自身が仕事に没頭している時間の方が長かったからだと推測できるが、結局そのような書き方であれば当時の証言をそのまままとめているだけである。
文章技術によって読者に怪異を明瞭に提示するのが怪談話であるならば、体験をありのままに書く姿勢は、怪異を体験した本人の自己満足を満たす手段でしかない。
文章を書く技量を備えているように思うが、怪談を書く目的が非常に狭量である。
怪談話はあくまでも怪異が主体であり、ある意味体験者は狂言回しの役目しか与えられていないと意識するべきだろう。
神の視座に立って話を進める必要まではないが、書き綴られた文字の彼岸に必ず読者が存在している事実を忘れてはならないだろう。
ちなみにこの作品で出てくる怪異は、ネタ的には小粒である。
体験談を大幅にカットし、“噂のスポットだった”という事実と怪異を絡めれば、ちょっと気が利いた展開になっていたかもしれない。
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