2007-03-14
■[超−1]【+2】掃除機
霊的な怪異の恐怖を生身の人間のキャラクターが食ってしまったというべき作品である。
しかもそのキャラクターが完全に人間性を失っているとしか思えないから、数段恐ろしい。
掃除機で赤ん坊の霊を吸い取るというのはネタとしては面白おかしいものなのだが、やっている本人が“堕胎”した直後から怪異が発生しており、その存在を“ウザイ”と思ってやって面白がっているのだから、壊れてしまった人間に対する哀れみの情というものすら出てこない。
道義的な問題を出して抹香臭い説教をするつもりはないが、ここまであっけらかんと負の部分を露出する相手に対しては、恐怖を通り越した殺伐とした乾いた印象しか持てない。
要するに、シチュエーションとしては相当怖いものがある(怪異自体も体験者のキャラも全て含めて)のだが、それを上回る無情感というか、喪失感というか、そのような虚無的な心情に襲われてしまう。
事実だからどうしようもないと言えばそれまでだが、どうしてもやるせない気分の方が勝ってしまう。
作品自体の出来は、ある意味ここまで感情的に凹ませることが出来るのだから、作者としては成功なのかもしれない。
特に後半の軽い調子で怪異を語る部分などは、相当文を書きこなしているという印象が強い。
ただしあまりにも感情的に落ち込んでしまったために、好評価までは至らず。
(個人的に気持ちの面で受けつけないという理由で評点を落とすというのは、多分この作品が初めてである。褒めているのか貶めているのかわからないが、とにかく明記しておく)
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