2007-03-16
■[超−1]【+2】家族の食卓
結論から言うと、読者に対して怪異をどのように見せるかの点で中途半端になってしまった感が強い。
具体的に言えば、恐怖を煽ろうとしたのか、厭な雰囲気を味合わせたかったのか、悲しみや哀れさを誘おうとしたのか、そのあたりが全然見えてこないのである。
特にあやかしの存在が凶悪なものに感じられないのが、全体の方向性がまとまりきらない最大の原因であるだろう。
怖いものに見えなかったために体験者が恐怖を感じるまでに至らず、それに呼応して、見えない妻も「首を傾げる」程度にしか不思議を感じていない。
あやかしについても“あったること”だけを描写しているので、読者が何となく感じている感傷的な印象を補強する事柄が一切ない。
これらの一つ一つが微妙な齟齬を生み出しているように思う。
さらに最後の1行を妻の行動で終わらせたのも、ある意味失敗だったように感じる。
この話で一番影の薄い妻の行動に何か含みがあるかのようにするよりも、体験者かあやかしかどちらかの状況で終わらせた方が、視点の中心がどこにあったかを示すことが出来たかもしれない。
作者の明確な誘導も必要ないし、体験者の解釈も必要ない。
しかし、何かしら全体の雰囲気を決定づけるものに欠けているという印象は拭いきれない。
“投げっぱなし”度の高い作品であることは認めるが、作者自身の意図も“投げっぱなし”状態になってしまっている感もなきにしもあらずというところかもしれない。
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