幽鬼の源

2007-03-21

[]【+4】公園デビュー

畳みかけるように明らかになる怪異と同時に、どんどん気まずくなる周囲の雰囲気が見事に活写されている。

それを彩るのが、登場するもの全てが典型的なキャラクターを持ち、それぞれの役割・ポジションを維持しながら絡み合うところであろう。

精神的に壊れた生身の人間、理不尽な怨みを持ち続ける霊体、あやかしに対して純真無垢に接する子供、“見える”事実を知って身構えていく傍観者、そして“見える”ことで途方に暮れる体験者。

これだけのキャラクターが怪異の現場に一堂に会して繰り広げるストーリーである。

しかもお互いが絡めば絡むほど事態は深刻な方向へ流れていき、そして坂道を転がり落ちるように体験者にとって最悪の結末を迎える。

作者がこれらの様子を非常に克明に描き出しているのだから、読んでいて飽きるということはあり得ない。

敢えて問題があるとすれば、起こっている怪異そのものがあまり希少なものではないということ。

結局起こっている怪異そのものは、公園に死んだ老婆と犬の霊が現れたという内容に集約される。

そこに絡んでくるものが典型的で複数存在するために密度の濃い展開になっているが、大ネタであるとは言い難い。

逆から見れば、それだけの怪異をここまで凄い内容で読ませる作者の技量を評するべきなのかもしれないが、若干抑えめの評価とさせていただいた。

ただ点数以上に価値のある作品であると、はっきりと断言しておきたい。

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