2007-05-20
■[超−1]【+3】少女のいる風景
江戸川乱歩の『押し絵と旅する男』をふと思い出した。
ノスタルジックな雰囲気といい、絵の中の少女と体験者の関係といい、何かしらの共通点を感じざるを得ない。
当然“実話怪談”であるからこの傑作幻想譚をモチーフした訳ではないのは解っているのだが、どうしても相似性を覚えてしまう。
心霊的な解釈を施せば、この絵から抜け出てきた少女は姉であり、やはり死に至らしめようと意図した結果であると考えてもいいだろう。
ただ姉はなぜ絵の中に描かれていたのか、早くに亡くなった父の叔父ということであれば、時間的な矛盾が生じる可能性が高い。
このあたりの不可解な点に対する合理的な解釈は、かなり難しいと思う。
やはりどうしても、亡くなった父の叔父に関する情報が少ない。
しかしそのような部分以外に、短時間で子供が相当距離離れた場所に移動するという“あったること”が起こっていたりするので、一概に胡散臭いとは言い難い。
むしろこの作品の場合、幻想的な雰囲気を作り出しているシチュエーションと文章を愛でることの方が重要ではないかと思ったりする。
敢えて大胆な意見を書くが、この作品はリアリティがないことによって却って存在感を増しているような気がしてならない。
とにかく無用の詮索をせず、作品をゆっくりと読んでいる方が心地よいということである。
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