【＋２】立ちそば屋

こういう怪異は、いわゆるジャンキーの方が戸惑ってしまうように感じる。
この怪現象が一体どのような種類のパターンに該当するものなのか、判断つきかねるからである。
まだ起こっていない予知の光景だったのか、あるいはパラレルワールドのような異界を目撃したのか。
これだけの情報しかないために分類不能な状況に陥って、良い意味でしっくりとこないのである。
まさに“あったること”の醍醐味である。
ただこの作品の凄さは、体験者だけではなく、２回目の現象に関しては店主も目撃しているという点である。
これがこの怪現象をさらに分類不能なものにしているわけであるが。
この作品の最も評価すべき点は、この不可解の出来事を事実のみ表現しているところであろう。
仮に作者がこの怪異に対して何らかのコメントや推測を書いているとすれば、完全に失速状態であったと思う。
投げっぱなしにしているからこそ、怪異が生かされているのである。
小粒なネタではあるが、作者の上手い処理で好作品となっていると思う。