幽鬼の源

2009-02-05

[]【0】新幹線

“見える人”の日常で起こった体験を、その人の目線で語った怪談話である。

ほとんどの人からすれば超常現象であるが、体験者本人にとってはよくある出来事であり、その感覚が文章からはっきりと読みとれる。

だが、そういう普段起こっていることを見つめるような書き方であるために、恐怖を感じる目的で期待する読者にとっては全然盛り上がりに欠ける表現の連続でちっとも雰囲気が出ないという感想しか出ないのではないだろうか。

新幹線トンネル内でいきなり窓をコツコツやられてじっと子供に見つめられる体験など、想像するだけでも相当怖いはずなのに、目線の冷静さと体験者の抱いた感想の視点に意識のズレがあるために、ある意味白けた印象すら持ちかねない。

記録としても過不足なく、また文章自体にも破綻はないのだけれど、結局のところ文章が恐怖へシフトしなかった分だけ、実話怪談としての強烈なインパクトを作り出すことが出来なかったと言えるだろう。

“見える人”の体験であることを隠して、事実だけを淡々と書く方法でそれなりの恐怖感を出すことも可能だっただけに、無難であるが旨味のないパサパサした雰囲気の作品になってしまった。

可もなく不可もなくというところに落ち着かせるしかないようなレベルで終わったしまった感が強い。

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