幽鬼の源

2009-02-07

[]【+1】うしろから

光球が身体を突き抜けてゆくという話は聞いたことがあるが、それにエンジン音が付いてというパターンになると記憶にない。

自動車そのものの霊というよりは、自動車に乗って亡くなった人の霊という印象の方が強いが、それにしても非常に希少性の高い霊体であると思う。

ただ問題は、体験した場所についての表記である。

堤防沿いに車道が走っているという表記から始まっているので、それが一つのアクセントになるのかと思いながら読み進めていったのであるが、結局のところ堤防の存在だけあれば話は事足りるのではないだろうか。

体験者(=書き手)とすれば、堤防へは自動車が後ろから進入して来れないのに、車が通りすぎた感触を持ってしまったことを非常に不思議に思って書いたのだろうが、状況が全くわからない読者からすれば却って混乱するだけの情報だろう(個人的には、堤防は歩道のみだと想像して読んでいたので、別に堤防の後ろがどうであろうと関係ないと思っていた)。

怪異の肝は、実体のない自動車(あるいはエンジン音のする光球)が突き抜けていったことにのみ存する。

もしこれが実体のある本当の自動車が音もなく車止めを乗り越えて後ろから走ってきたら怪異として成立するが、実体のない物が車止めを越えたからと言って、それを怪異としてことさら取り上げるのは違和感が残る。

体験者本人にとっては意外な展開であったとしても、事情が飲み込めない読者にとっては無視してもよい情報だったように思う。

もっとすっきりとした表記であれば載せていても問題ない部分でもあるので、微妙な判断ということで、評点には加味しなかった。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/Drunken_Pluto_T/20090207/p10