2009-04-30
■[超−1]【0】ろてあ
謎の男、叫び続ける子供、壁から生えたあやかし、投身自殺の女…これだけの素材がありながら、結局どれもがアクセントになりきれず、ただ雑然と並べられた感が強い。
もとより“不条理怪談”の様相を明瞭にしている怪異であるので、それぞれの怪異が密接に関連付けられているわけではないのは事実であるが、その隠れた部分での関わり合いを暗に示してこそ大ネタクラスの“不条理怪談”の価値があるというものである。
要するに、この作品に登場する4つの怪異を収斂させるカギを書き手が提示できないまま、ダラダラと書き綴ってしまったということに尽きる。
特にそれを感じるのは、4つの怪異が同時進行で起こった場面で、書き手が体験の“時系列”で書くことを選択したところである。
時系列で書かれているために、4つの怪異はそれぞれ独立したかのような書き進められ方になってしまっており、文章によって絡み合っているように見えないのである。
4つの怪異は同時に起こってはいるものの、あたかも全く別の場所で起こっているかのような印象を受けるのである。
個人的な意見であるが、「ろあて」を連呼する子供の声に交じって男の怒声が聞こえ、それが最高潮に達した瞬間に飛び降り自殺が発生、体験者があやかしを目撃するという展開になって初めて4つの怪異が見事に調和して有機的な関連性を持つに至るように思う(4つの中で最も劇的な自殺がカタストロフィーとしてクローズアップされてこそ、全ての底に潜む強烈な悪意が引き出せるのではないだろうか)。
結局のところ、悪い意味で“思わせぶり”を排除してしまったために、表面上全く関連性がないように見える4つの怪異が本当に繋がらなくなってしまったと言えるだろう。
非常に禍々しいものを感じさせる素材が揃っていただけに、あまりにもあっさりと話が展開してしまって拍子抜けしてしまった。
前半部分にあったような細かな描写で怪異の展開が書かれていれば、相当な作品に仕上がっていたのではないだろうか。
ネタの持つ凄まじさ故に可もなく不可もなくの評価であるが、せっかくの好材料を捌ききれなかった書き手の責任は重いと言えるだろう。
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