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2009-10-29

[]「民主主義」というゲームルールを再考する、という話

先週末の東浩紀@朝生における、氏の「10万人規模での直接民主制」という提言が大きな反響を呼んでいるそうで。とはいえ、賛意を示している側にも鼻で笑う側にも、趣旨をきちんと把握していない方が多く見受けられるような(基本的にはj-castの記事がよくないんだけど)。

showgotch 誰かがまとめると思ったけど、いやこれはさ、前提条件の整理が重要で、この言葉を書きだしただけじゃ何も伝わらないしむしろ東氏のイメージが悪くなると思うんだが 2009/10/26

はてなブックマーク - 「ネットがあれば政治家いらない」 東浩紀「SNS直接民主制」提案 : J-CASTニュース

くその通りで、ここで最も重要なのは「直接民主制」でも、あるいは「SNS」等の具体的な要素技術キーワード)でもないように思う。かの主張の要諦や、その前提となる問題意識については、既に東氏本人がTwitterで解題している

.@hamano_satoshi ぼくの考えるネット直接民主制は「市民ひとりひとりが自覚的に参加する政治」の対極にあるのだが、その意味を人々に理解してもらうのはあと数年かかるだろう。しばらくは誤解も引き受けるつもりだ。

Twitter / hazuma: .@hamano_satoshi ぼくの考えるネット ...

つまり、こういうことだろう。

もし、皆が拠って立つ土台が、社会的意思決定の大前提とされているものが、この国を幸せな場所にするはずの「ゲーム」ルールそのものが、社会の変化の中で既に掘り崩され、その機能を果たさなくなっているとしたら?

もしそうならば、我々は「ゲームルール」自体を根底から再考する必要があるのではないか? その際には、古典的な議論を一から精査しなおし、最新のコミュニケーション技術の存在を前提とすべきではないか?

・・・彼の「10万人の直接民主制」「自治体SNSで運営」「Googleアルゴリズムによる”一般意思2.0”の実現」といったアイディア。これらは、「民主主義=選挙を通じて議員を選んで議会を開き議論を通じて意思決定すること」という社会通念そのものへの異議申し立て、という観点から把握しなければ趣旨をつかみ損ねてしまうように思う。

ここで彼が提示しているのは、即効性のある「処方箋」ではない。むしろ、「ビジョン」と呼ぶべき射程のものをも含む。あるいは、「SF的」と呼んでも差し支えないないだろう。

rna 政治 いわゆる直接民主制でないのはわかったが、もっとろくでもない大風呂敷な話らしいとわかってがっかりした。。。/んー、言いすぎたかな… 夏休み(まだとってない)に考えてみるわ。 2009/10/25

Togetter(トゥギャッター) - まとめ「2009/10/23 朝生後のTwitter上での議論まとめ」

東氏のような批評家は、伝統的に、直近の社会問題に対して処方箋を提示する役割*1を要求されてきた。近年、彼が「ギートステイト」や「ファントム、クォンタム」など、批評家という立場を超え、自らの手でSF小説執筆を始めてしまったのは、「批評家」という立場では表現できない類の「想像力」を提示する必要性に迫られたからではないか、と私は勝手に思っているのだけれども。

そう、番組中で彼自身が言っていたように、まさしく我々がどう想像力を喚起するかという問題なのだ。そうしたSF的な想像力を共有したとき、その先にどんな実装(implementation)を構想できるのか、技術屋の一人としてわくわくせずにはいられない。

未来社会システムを規定する新たなルールをいかに構想し実装するのか。これは、東浩紀という批評家ただ一人に担えるものではない(言うまでもないが、彼は哲学者であって電子情報技術者でも理工学研究者でもない)。彼の掲げたビジョンを受けて、我々が何を考えてどう実践していくのか。一番重要なのはそこだと、私は思っている。

*1:あるいは、特定の政治勢力への支持の表明を通じて、政治的なイシューの動向に対して自身の影響力を行使する役割。

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