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幸せを約束する聖書の言葉

2012-10-13

堤防を守ったハンス (メアリー・メイプス・ドッジ著)



 オランダという国は海面よりも低い陸地が多いので、海岸には大きな堤防を築き、所々水門を作って番人をおいて海水が流れ込まないように見張りをさせています。

 

 堤防監督官の息子ハンスは、お父さんがいつも「わたしの仕事は本当に大切な役目だ。この堤防が蟻の穴ほど崩れても、オランダ中が水浸しになってしまうかもしれないのだ」と言っていたのを聞いていました。


 雨の日も、風の日にも、いやそういう日こそ、お父さんが緊張して家を出ていくのを見て育ちました。


 ある日ハンスが隣村の叔父さんを訪ねて帰る途中、天気が悪くなり、海が荒れ出しました。恐ろしい大波が押し寄せて来ては地響きを立てて堤防にぶつかります。


 ハンスがふと堤防の内側を見ると、一箇所水が流れている所がありました。


 「おや、これは大変だ。早くお父さんに知らせよう」と思って、それまでの処置にと、泥を詰めたり、石を置いたりしましたが、水の流れは強く、反って周りが崩れて穴が大きくなり、ますます激しく水が噴出してきます。


 ハンスは驚いて手で押さえてみると、ズルズル肩まで入っていまいました。しかし、それで水が止まったようです。


 ハンスは腕を抜くことが出来なくなりました。抜けば大水が流れ出してくるでしょう。そのままの姿勢でハンスは人々の通るのを待ちました。


 しかし、そんな天気ですから誰も通りません。


 その内、雨も降り出し、日も暮れました。


 ハンスは、「お父さん、お母さん」と声の限り叫びましたが、嵐の中でその声はかき消されてしまいます。


 ハンスの腕は冷たくしびれて、感覚も無くなってきました。


 しかし、「この腕を抜いたら、町も村もオランダ中に洪水が起こってしまう」と考えて、ハンスは泣きながら、そのまま堤防を守っていました。


 お母さんはハンスのことを心配しませんでした。こんな天気だから、きっと隣村の叔父さんの家に泊まったに違いないと思ったからです。


 翌朝、堤防監督官を中心に、人々が堤防の検査に来たとき、下の方に倒れているハンスを見つけて大騒ぎになりました。


 ハンスは気を失っていましたが、その腕はしっかりと堤防の穴に差し込まれて水の浸入を防いでいました。


 人々がハンスの腕を引き抜いて見ると、どっと水が噴出してきました。


 その腕は紫色になっていまさいた。


 この少年の細い腕がオランダを救ったのです。




※「ハンス・ブリンカー」の名前は知らない人でも、堤防の穴を手でふさぎ、国を洪水から守った少年の話を聞いたことがある人は多いと思います。

 実在の人物と思っていましたが、1865年、オランダ系アメリカ人メアリー・メイプス・ドッジが書いた作品です。明治維新から三年前の著書です。多くの人々に勇気と愛を与えました。


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