遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

翻訳家 山岡朋子さん その27  『ルス、闇を照らす者』 : Nunca Mas サイト 紹介 1

"Nunca mas" はスペイン語で 『 Never again、繰り返すまじ 』 の意味ですから、人権擁護活動など他西語圏でも一般的に使われている名前の様です。ただしここで紹介する "Nunca Más" は、1983年12月15日当時のアルフォンシン大統領によって組織された、作家のエルネスト・サバトさんを委員長とする "CONADEP"*1が、その調査結果をまとめて翌1984年9月20日に大統領に渡したレポートのことです。委員長の名前から別名『サバト・レポート』とも呼ばれています;


題名=Juicio a las juntas militares

このビデオに収録されているのは、エルネスト委員長が大統領にレポートを手渡す84年の映像、続いて軍事政権に対する裁判開始20周年を記念する2005年のTV番組です。後者では、『ルス』の中でも描かれている残忍な拷問の様子を証言する場面もあり、涙と憤り無しには見られません。


題名=Nunca Mas

この2つ目のビデオについては、私自身不勉強のため間違っているかも知れませんが、85年軍事政権に対する裁判の席上、(多分)エルネストさんが、アルゼンチン国民の総意として "Nunca Mas" の言葉を宣言したもの。


レポートは書籍としても入手可能ですが、ネットでも読むことが可能。幾つかを以下紹介しておきます;

http://www.nuncamas.org/investig/articulo/nuncamas/nmas0001.htm
西語、リンク切れあり

http://www.desaparecidos.org/arg/conadep/nuncamas/nuncamas.html
西語、左側が目次、右側が選択された目次の内容の表示。

http://www.nuncamas.org/english/library/nevagain/nevagain_000.htm
英語版


"Nunca Más" は小説ではなく調査レポートです。膨大な事実の羅列に幻惑されるよりも、意外とそれを踏まえたうえで書かれたフィクションの方が真実をよりよく理解出来るのでは? 『ルス』の作者エルサさんの意図もそこにありそうですね。その意味で、『ルス』には大変貴重な小説あるいはガイドって云う側面もあるとは言えませんかね?

(続く)

*1: COmisión NAcional sobre la DEsaparición de Personas の頭文字、「行方不明者に関する国家委員会」とでも訳される組織のこと。76年から83年に至るいわゆる「汚い戦争」中に、アルゼンチンの軍事政権が繰り返し計画的に行ったとされる重大な人権侵害についての調査が目的。