Hatena::ブログ(Diary)

翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記 RSSフィード

【09Dic10 00:45 更新】
※ NZ炭鉱爆発事故関連リンク;
  ☆Stuff.co.nz / Pike River: Full coverage (複数メディアをカバー)  ☆Greymouth Star/ Pike River Disaster(地元メディア)  ☆Pike River 社 Home



※ ケーブルゲート 関連リンク;
  ☆Wikileaks 総合目次  ☆Wikileaks Secret US Embassy Cables  ☆Wikileaks Facebook  ☆WikiLeaks - Wikipedia  ☆SaveWikileaks.net  ☆Leaks  ☆United States diplomatic cables leak - Wikipedia  ☆guardian.co.uk 特集TOP (英語)  ☆EL PAÍS.com 特集TOP (西語)  ☆LeMonde.fr 特集TOP (仏語)  ☆SPIEGEL ONLINE 特集TOP (英語)



『翻訳』 とは、異なる言語間で文章を置き換えて表す技術です。 『ルス、闇を照らす者』 と云う翻訳書の背景およびそれに込められた普遍性のあるメッセージの考察をコアに、 「翻訳」 された米州を中心とする国際情勢に関する記事や話題、フラメンコ・一部フォルクローレ・ハンパな理系の話題など私の趣味の世界も紹介します。


カテゴリー


2009-05-30

オバマ新大統領発表の アフガン政策新包括戦略 Watch: その5 グアンタナモとアブ・グレイブ

YAHOO 「アフガニスタン復興」 トピックスに記載されている無味乾燥な5月23日以降の記事一覧は次の通り;

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/afghanistans_political_future/news_list/?pn=1

  • 新たなアフガン戦略の成否判断は時期尚早=米大統領補佐官(ロイター)28日 - 19時14分
  • 新たなアフガン戦略の成否判断は時期尚早=米大統領補佐官(ロイター)28日 - 19時14分
  • 米軍がアフガンに新たな特殊部隊配備か、タリバーン対策で(CNN.co.jp)28日 - 18時48分
  • <アフガニスタン>日本の政府職員を地方復興チームに派遣へ(毎日新聞)24日 - 19時42分
  • 戦場…ズボンはく間もなく アフガニスタンで米兵 (産経新聞)24日 - 7時56分
  • ピンクパンツとサンダル姿で銃撃する米兵(産経新聞)23日 - 18時21分

だんだんと記事が減ってきましたね。


ところで公約でもあるグアンタナモ収容所の閉鎖に関して;

--- オバマ米大統領は21日、ワシントン市内の国立公文書館で演説し、キューバ・グアンタナモ米軍基地内のテロ容疑者収容所を来年1月までに閉鎖する方針を強調した。収容所閉鎖は大統領選からの重要公約であり、改めて国民の理解を求めた。

ただ、閉鎖後に収容者を米本土内に移送することには安全が脅かされるとして反対が強い。議会多数派の民主党も含め上院が収容者の本土移送費支出を拒否するなど、大統領は苦境に立たされている。

 (5月22日0時54分配信 産経新聞 『苦境のオバマ米大統領 グアンタナモ収容所閉鎖問題で』 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090522-00000509-san-int) より抜粋

f:id:El_Payo_J:20090530185939j:image

出典: http://news.bbc.co.uk/2/shared/spl/hi/guides/457000/457023/html/default.stm


収容されているのは極悪非道のテロリストだから何をやってもよいのである、との (前政権による) プロパガンダが足枷となっている様子。実際には大半が冤罪の可能性アリと思いますが。アメリカ国民は、アブ・グレイブのことをもう忘れた様で;


D

題名: A Permanent Accusation

  • This series has been seen all around the world in major museums, but in the United States no institution will have them. Since the making of this movie, only two - UC Berkeley's Doe Library and the American University Museum in Washington DC - have had the courage to expose this controversial work to the American people. (YouTube サイトより抜粋)

この動画はNY在住のコロンビアの画家・彫刻家であるフェルナンド・ボテロさん制作によるもの。何年か前日本で展覧会が開催されたこともあります。そこで記念に私が買ったレプリカは、恐らく彼の作品の中でも最も有名な モナ・リザ;

f:id:El_Payo_J:20090530183514j:image

出典: http://www.biografiasyvidas.com/reportaje/fernando_botero/fotos4.htm


この画家さんの絵・彫刻は、男も女も犬も全てこのように丸っこいというか、ふくよかにデフォルメされていますが、不思議な魅力があります。で、問題の一連の絵画は2004年〜2005年に描かれ、2005年4月に公表されたもの;


f:id:El_Payo_J:20090530191958j:image

出典 http://www.zonaeuropa.com/20050413_2.htm


ボテロさんがアブ・グレイブでの蛮行に衝撃を受けて描いた一連の絵とデッサンは、上の写真の出典サイト、あるいは2005年4月11日付けコロンビアの雑誌DINERSで、インタビュー記事と共に見られます;

http://www.revistadiners.com.co/noticia.php3?nt=24663


歴史に学ばないお手本の様な国ですね。カネが全て、だからしゃーないか。

2009-05-25

翻訳家 山岡朋子さん その43  『ルス、闇を照らす者』 : コロンビア バージョン その2

コロンビアと云う国に対して日本ではどんなイメージがありますか? まず何と云ってもコーヒー、ミスコン好きなら美人(3Cのひとつ)、一般的には麻薬、音楽ではクンビア、云々でしょうか。

以下、特に断り無き限りウィキペディアのコロンビア *1から参照しています;

コロンビアは(も)、豊かな自然を擁する美しい国です。自然区分によると、セントラル山脈地域、オリエンタル山脈地域、カリブ海岸低地地方、太平洋低地、東部地域、及び島嶼の6つに別れます。東部はそのままベネスエラの地形に続きオリノコ川流域平原にはジャノが、グアジャナ高地にはアマゾンの熱帯雨林が広がり、これらの地域は国土の2/3を占める。残り1/3の西部に人口の大部分が居住;


f:id:El_Payo_J:20090524192749p:image

出典:

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Colombia_Topography.png

ウィキペディアより参照


ただし治安に関してはあまりよろしくは無い。外務省によると例のインフルエンザ関連を除き、今日現在、地域によって:「渡航の延期をお勧めします。」、「渡航の是非を検討してください。」、「十分注意してください。」の3つが発出されています。*2


国際メディアの報道から感じ取れる一般的な情勢認識としては、コロンビアは40年に渡る内戦あるいは紛争状態にあり、左翼ゲリラ・極右の準軍組織・麻薬組織などにコロンビア政府は手を焼いているが、合衆国からの莫大な援助により最近治安は良くなりつつある、ってところでしょうか。現政権には概ね好意的であり、人権問題が存在する様な記事は見当たらない。しかし実際には、合衆国の主流メディア (従ってそれを盲信する日本のメディア) の報道のほとんどが、コロンビア政府と米国政府の見解を反映するものになっており意図的に偏った報道となっているため、紛争の実態が歪められて伝えられています。 *3


最近コロンビア・ジャーナルに記載された記事の一覧は、主に益岡さんのHP http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/colombia.html によると;

  • Uribe’s Latest Misfirings Against the FARC(2009年5月11日付け、未翻訳)
  • 人権侵害に対するコロンビア政府の関与(2009年5月12日)
  • プラン・コロンビア:アフガニスタンでの新たな軍事戦略?(2009年4月29日)
  • 強制退去、失踪、超法規的処刑がウリベ政権下で増加(2008年10月19日)
  • コロンビア革命軍のレジスタンスを検証する:ゲリラ戦は終わっていない(2008年9月10日)
  • コロンビア紛争をめぐる認識の歪み(2008年8月17日)

コロンビアの歴史からこの紛争なり内戦の根っこを見つけることはそう難しくはありません。途中の過程をすっ飛ばして私見申し上げれば、この国のエリート達が、サンタンデル派 (=連邦派) の流れを汲む自由党とシモン・ボリバル派 (=中央集権派) の流れを汲む保守党両党による文民政権を維持する (=軍政を許さない) ため妥協を繰り返し、選挙不正やら買収工作やら暗殺などにより腐敗が進み、結果として人口の大部分を周辺化してしまったため、と思います。

ウィキペディアによれば、それに加えて、かつて国民の倫理的な規範に国家よりも遥かに強い影響を与えていたカトリックに代わる新しい世俗的な倫理が生み出せていないことが多くの悲劇的な凶悪事件を生み出している、とのこと。これって、日本にも当てはまりますね。


コロンビアの暴力の歴史について恐らく最も的確に記述しているのは、ギャリー・リーチさんが99年5月コロンビア・ジャーナルに寄稿した "Fifty Years of Violence" url = http://www.colombiajournal.org/fiftyyearsofviolence.htm 、邦訳 『暴力の50年』 url = http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/colhist.html でしょう。


さて以上がコロンビアの 『暗部』 の概要ですが、以下、 【翻訳家 山岡朋子さん その42: 文と書き手の関係 その3 − 『ルス、闇を照らす者』 のこと】 で紹介しました、Evelio Jose Rosero さん *4著、原題 "Los Eje'rcitos" 、英訳は "The Armies" のことについて。


f:id:El_Payo_J:20090524211138j:image  f:id:El_Payo_J:20090524211658j:image

作家の写真出典 = http://en.wikipedia.org/wiki/File:Evelio_Rosero.jpg


この作品は2006年スペインで出版されておりましたが、本年5月14日付け guardian.co.uk にて同作品が "Independent foreign fiction prize" ( "Independent" は、ロンドンの地元紙 THE INDEPENDENT を指す様です) を受賞したことが報道されて *5初めてその存在を知った次第です。Anne McLean さんによる英訳の質も恐らく受賞に貢献したものと思われます。なお英訳本はまだ入手不可の様子; http://www.amazon.com/Armies-New-Directions-Paperbook/dp/0811218643/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1243169103&sr=1-1 受賞を機に出版されるのですかね。


●あらすじ: *6 訳の質は問わないで下さいね。


  • 引退したイスマエル先生とその妻オティリアがサンホセ (注;コロンビアの架空のまち) に悠々自適に暮らして40年になる。イスマエルは近所の奥さんのことを詮索するのが大好きなものだから、オティリアは恥ずかしくて夫を咎めるのが常である。まちののんびりとした雰囲気が無くなってきた。幾つかの家族が消え始め、サンホセの住民の中に、もっと深刻なことが起こる前ぶれではないかと云う不安が拡がった。ある朝イスマエルが散歩から戻ってみると、何の軍隊かはわからないが兵士達が近所の人たちを連れ去ったことを知った。聞いたところでは妻もイスマエルを探していた様だが、妻は見当たらない。襲撃は続き、連れ去りが頻発し暴力がひどくなった頃には、生き残った者たちは手遅れにならないうちにまちを出ることにした。しかしイスマエルは荒れ果てたまちに残る途を選んだ。彼にとっては暗い、先の見えない決断だった。

●作者のコメントなど: *7


  • アルバロ・ウリベ大統領は国民の意思を無視してゲリラとの対話を打ち切り、武器だけを唯一の解決策としたことがコロンビア軍を戦争に駆り立てている。作品中に反映されている事実は全て現実であり、新聞記事やTVニュース、特に住まいを追われてカリ市に住む人たちの証言に基づくもの。これら裏付けのある事件こそが小説に形を与え、ストーリーをまとめている。
  • 小説を書くこととなったきっかけは、現実を目の当たりにして私自身が呆然自失したこと; 人の死、虐殺行為、拷問、行方不明者の膨大なニュースに傷つけられ、自分の祖国が恐ろしくなったこと。当初暴力について書くつもりは無かったのだが、痛みに慣れっこになってしまったコロンビア国民の間に無関心の様なものがぼんやりと見えだした。皆の無感覚や無力感に突然絶望感やもどかしさを感じ、その 「お祓い」 のためにも書かなければ、と云う衝動にかられたのが動機のひとつ。
  • 創作の目的は、紛争に苦しめられ無防備の、仕事を探すが戦争のためそれが出来ない我々の置かれた非人間的な状況を文学の形で見せること。度重なる殺りくに慣れてしまった読者が無関心から抜け出してこれることを期待する。
  • 報道された事実から出発する手法と 「物語、イマジネーションと文学」 と云う作業によって作者はコロンビア社会に、ゲリラや麻薬組織など様々な軍隊 (注:この小説の題名) が参加し、民間人のことは一切気に留めず社会を荒廃させながら半世紀以上に渡って続く紛争の中に隠れてしまう人物の日常を見せる。
  • 身の危険を顧みず、まちから逃げないと云う主人公イスマエルの決断は、妻は行方不明であるが生きているかも知れない、まちを立ち去るのは妻の死を受け入れることだ、と云う、こんな状況でもまだ変えられると考える多くのコロンビア人の象徴と云える。主人公と作家自身の相似は無いが、いままで国外で暮らすことも出来たのに実行には移していない、と言う。「特に紛争にさらされている人達にとっては日に日に状況が厳しくなっているが、メデジンやボゴタと云った都市ではそれが感じられないのは事実。住まいを追われて暮らす人達は存在しない、つまり見えないのだ。」
  • この本を書くために二年半以上を費やした。出版されたものの倍の量を当初執筆したが、文章にスピード感を与えるため最終的に相当数の章を割愛した。脱稿した時にはエネルギーを使い果たしてしまい、インタビュー時点 (注:2007年4月?) では新たな創作が出来る状態ではないし、もうこのテーマについて扱うつもりも無い。
  • 我々が皆一粒ずつ砂粒を持ち寄ることで、文学は現実を変えそれを読む人の世界観を変えられる。私自身この創作活動でそれを体験済み。軍事活動でゲリラをせん滅するのは不可能だが、対話と知恵と理性で乗り越えられる。
  • 私自身、書くこと無しに自分の生きる目的は語れない。私は文学を通じて世界を観るが、それはとても人間的な観方のひとつであると思う。


この本と 『ルス』 を読み比べるのは、文学の観点から大変おもしろそうです。ただしこの本は、正に今世界から隠された状態で進行中の事実であることを忘れてはいけませんね。


(作品を読み終えたら、この続きを書きます。)


.

*1http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%93%E3%82%A2

*2http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=248

*3:Colombia Journal 2008年6月 ギャリー・リーチ 『コロンビア紛争をめぐる認識の歪み』
url = http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/coldp.html
Colombia Journal 2007年5月7日 ギャリー・リーチ 『コロンビアの人権危機をめぐるワシントン・ポスト紙の社説』
url = http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/col256.html など参照

*4:1958年生まれ、ボゴタ在住。
Wikipedia url = http://en.wikipedia.org/wiki/Evelio_Rosero

*5:url = http://www.guardian.co.uk/books/2009/may/14/colombian-independent-foreign-fiction-prize

*6http://www.tematika.com/libros/ficcion_y_literatura--1/novelas--1/general--1/los_ejercitos--480451.htm 参照

*7http://terranoticias.terra.es/cultura/articulo/evelio_rosero_ejercitos_1560051.htm 参照。2007年5月9日 (あるいは9月5日?) メキシコシティーで行われたEFEのインタビュー記事、題名は "El miedo y la angustia llevaron a Evelio Rosero a escribir 'Los Eje'rcitos'"
http://www.periodistadigital.com/ultima_hora/object.php?o=615515 参照。2007年4月4日、EFEのインタビュー記事。上記と同じ? 題名は ""Los eje'rcitos" de Rosero narra la realidad olvidada del conflicto colombiano"

2009-05-24

オバマ新大統領発表の アフガン政策新包括戦略 Watch: その4 + パレスチナのこと

YAHOO 「アフガニスタン復興」 トピックスに記載されている無味乾燥な5月16日以降の記事一覧は次の通り;

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/afghanistans_political_future/news_list/?pn=1

  • ピンクパンツとサンダル姿で銃撃する米兵(産経新聞)23日 - 18時21分
  • 空軍中尉が路上爆弾で死亡、女性の士官学校卒業者で初の犠牲者(CNN.co.jp)23日 - 16時30分 -アフガン戦費など補正予算案可決=グアンタナモ閉鎖経費は認めず−米上院(時事通信)23日 - 6時3分
  • <米陸軍>脳損傷検査、帰還兵に義務化せず 医師勧告を無視(毎日新聞)23日 - 2時30分
  • 米国民約6割、タリバーンがパキスタン「制圧」なら軍派遣支持(CNN.co.jp)22日 - 15時42分
  • 米議会、UAEとの原子力協定批准は不透明 虐待ビデオで(CNN.co.jp)22日 - 14時30分
  • アフガンとソマリアへの旅行禁止措置、1年延長へ(YONHAP NEWS)22日 - 9時37分
  • <国連安保理>理事国数は20台前半か中盤 改革案併記(毎日新聞)21日 - 21時46分
  • NYでテロ計画容疑、アフガン系の男4人を逮捕(読売新聞)21日 - 14時8分
  • <米国>対テロ戦参加の陸軍兵、自殺率が倍増 イラク開戦後、長期従軍で疲弊(毎日新聞)21日 - 11時11分
  • 米兵 対テロ戦参加、自殺率が倍増…長期従軍で疲弊(毎日新聞)21日 - 2時31分
  • <米兵>対テロ戦参加、自殺率が倍増…長期従軍で疲弊(毎日新聞)21日 - 2時31分
  • 民間人死亡は「偶然」の可能性と、アフガン西部での米軍空爆(CNN.co.jp)20日 - 20時36分
  • アフガン武装勢力が白リン弾使用 国際部隊が指摘(CNN.co.jp)20日 - 15時18分
  • 米軍増派での現状改善、1年─2年内に期待 アフガン軍事作戦(CNN.co.jp)19日 - 18時42分 -アフガン、1〜2年で形勢変える=増派で南部の戦闘激化も−米統参議長(時事通信)19日 - 14時33分
  • <アフガン下院>外国軍の行動制限など法制度の確立を要求(毎日新聞)18日 - 15時27分
  • SPI会議終了、韓国軍アフガン派遣問題は扱わず(YONHAP NEWS)15日 - 15時8分

上掲の記事見出しのうちある特定のソースのものだけ色を変えてあります。某メディアの日本支社ですが、US本社以上に胡散臭い。よいしょ専門チャンネルになり下がった感があります。(私の偏見ですが、そう間違ってはいない筈)


ところで今回はアフガニスタンではなく、パレスチナのドキュメンタリー映画の紹介。映画の上映を記念して元イスラエル軍将校ノアム・ハユットさん来日イベント *1が予定されていますので、現在上映中の土井敏邦監督 *2製作ドキュメンタリー映画 『沈黙を破る』 を紹介しておきます;


f:id:El_Payo_J:20090523234302j:image

土井敏邦監督Webコラムより

D

『沈黙を破る』予告編


http://www.cine.co.jp/chinmoku/palestine.html  全文;


『沈黙を破る』は、長編ドキュメンタリー映像シリーズ「届かぬ声―パレスチナの占領と民衆―」4部作の第4部に当たる作品です。本シリーズは、1993年以降、土井監督が17年間に渡って撮影した数百時間に及ぶ映像をもとに構成されています。

  • 第1部 『ガザ―「和平合意」はなぜ崩壊したのか―』は、1993 年の「和平合意」が、パレスチナ人住民の真の平和につながらなかった現実とその原因を、ガザ地区最大の難民キャンプ・ジャバリアに住むある家族の6年間の生活を通して描く。
  • 第2部 『侵蝕―イスラエル化されるパレスチナ―』では、家屋を破壊され居住権を奪われるエルサレムのパレスチナ人住民たち、“分離壁”によって土地と資源を侵蝕され、国家建設の基盤を失っていく人びとの現実とその苦悩を描いている。
  • 第3部 『2つの“平和”―自爆と対話―』では、自爆攻撃に走ったパレスチナ人青年の遺族の証言、自爆テロの犠牲となった少女の両親や、生還した女性兵士と家族の「平和」観を通して、対話を試みるイスラエル人・パレスチナ人双方の “平和観の断層”を描く。

以上の3作で伝えた“占領”の実態が、“占領する側”であるイスラエルの若者たちや社会にどんな影響を及ぼしていくのかを描いたのが、本編『沈黙を破る』です。『沈黙を破る』劇場公開に併せて、前3作がポレポレ東中野にて特別公開されます。 *3


私自身まだ観ておりませんから、内容のコメントが出来ません。仕事をやりくりして4部作全て観ることが出来ればよいのですが。筋金入りのジャーナリストである土井さんの映像ですし、この様な機会で無ければ知ることの出来ない 『現実』 ですからね。特に私が注目するのは、自爆攻撃を行うまでに追い詰められた青年・それに巻き込まれた少女のご遺族のこと、および占領する側の痛みですね。


『自爆テロ』 なんて言葉ははたして正しいのでしょうか? 特攻隊のことは 『特攻テロ』 とは呼ばないのに−−−

.

*1:日程は;
1.東京:2009年5月30日(土) 明治大学駿河台キャンパス、リバティータワーにて報告会
2.東京:5月31日(日)ポレポレ東中野にてトークショウ
3.京都:6月1日(月)京都シネマにて土井敏邦との対談
4.大阪:6月1日(月)第七藝術劇場にて報告会
http://www.doi-toshikuni.net/j/p-doc/info/noam.html 参照

*2:監督ご自身のWebコラム:日々の雑感 148: 『沈黙を破る』 公開に寄せて(1) 参照

http://www.doi-toshikuni.net/j/column/20090506
 リンク訂正:6月2日

*3
第1部 『ガザ―「和平合意」はなぜ崩壊したのか―』 5月23日(土)/26日(火)/29日(金)
第2部 『侵蝕―イスラエル化されるパレスチナ―』 5月24日(日)/27日(水)
第3部 『2つの“平和”―自爆と対話―』 5月25日(月)/28日(木)
詳細は http://www.cine.co.jp/chinmoku/event.html 参照。

2009-05-23

翻訳家 山岡朋子さん その42: 文と書き手の関係 その3 − 『ルス、闇を照らす者』 のこと

勝田保世さんには、その文章を通じて、生き方を真似るほど 「惚れ込んだ」 ワケですが、翻訳家・エッセイストとしての山岡朋子さん(横山朋子さん)には別の形・別の意味で 「惚れ込み」 ました。このブログ全体が、一部スペイン語やらフラメンコ、中南米・世界の人権侵害やら直接関係なさそうなものも含まれていますが、プロフィールに記した通り山岡朋子さん(横山朋子さん)の翻訳を評価・応援するためのものですから、今まで稚拙ながら幾つかの考察を行ってきました。


今回は、別の角度から何故、どの様に山岡朋子さんに 「惚れ込んだ」 のか、その想いを書き連ねてみるつもり。


このブログを立ち上げたのは、元々自己啓発の書籍としては恐らく現在でも世界のベストセラーである 『人を動かす』 のティーンの女の子用バージョンの翻訳を読んでその読み易さに感心したことがきっかけ。翻訳者の職・経歴、エッセイや翻訳書のあとがきなどから複数の外国語に通じていらっしゃること、日本語および翻訳に対する造詣が深いことに加え、翻訳に対する問題意識をお持ちでかつそれを発信しておられること、翻訳および海外での生活を通じて社会にも積極的に関与されておられるなど単なる翻訳者の枠に収まらないユニークさを感じて、これは応援の価値ありと判断した訳で。


しかし本当に惚れ込んで復刊まで考え出したのは、『ルス、闇を照らす者』 (以下、『ルス』 と約します) の原作および翻訳の両方を読んでから。原作が出版されたのは1998年、翻訳が出版されたのは2001年、私が読んだのが2008年ですから、今更、の感は否めないかも知れませんが、今こそ改めて脚光を浴びるべき作品とおもいます。時間はかかってしまったが出会うことができて本当によかった、と思える原作と翻訳です。


−−−さて翻訳の場合、元の文章は別の人が書いたものですから、その意味では 「文は人なり」 の意味が二層構造となっている筈です。音楽に似ていますね。たとえば楽曲は、作曲家が創作した音楽を音符等の形で楽譜に記したものですが、通常作曲家以外の指揮者/演奏家がそれを復元しますから、○○○さん指揮/演奏、△△△作曲の曲名「□□□」、の形で実現する。つまり作曲家=原作者、楽譜=原作、指揮者/演奏家=翻訳家ってところでしょうか。すると、「文は人なり」 は各々 「原作は原作者なり」 「翻訳は翻訳家なり」 と言い換えられますね。


で、音楽の評価とは通常、指揮者/演奏家に対する評価と同義ですね。古典の場合、作曲家たるたとえばモーツァルトが批評されることは通常あり得ず、指揮なり演奏そのものだけが評価されますよね? 指揮者/演奏家の指揮/演奏技術、解釈の深さなどでしょうか。その意味では翻訳も同じですが、 『ルス』 の場合は原作者が現在活躍中ですから、原作も評価の対象となります。


『ルス』 の原作については、まだ全ては明らかになっていないアルゼンチンの 「歴史の暗部」 がテーマですから、歴史の俯瞰・啓蒙・告発書的な意味もありますし、そのユニークな構成と意図されたメッセージから、読み出したら止まらない優れた小説でもあることは今まで紹介の通り。原作者のメッセージにはまだまだ正当な評価が与えられているとは言えません。現在コロンビアで進行していること *1 は、正にこの小説が暴き出した通りのことでしょう。


翻訳に関しては、山岡朋子さん (横山朋子さん) にとってスペイン語の小説を訳すのは 『ルス』 が初めてとのことですから、一般的に言うなら 「処女作」 同様、どこかうぶなところがあって情熱のこもったものであることが多いですね。実際に読むと非常に生真面目に訳されており、それが結果としてこの小説の翻訳としては最適なものとなったのではないか、と私はおもいます。原作・翻訳とも同じイメージを描かせてくれると云うことは、今まであまり経験したことがありません。普通、微妙にズレるのです。ズレた結果として読み易くなって「売れ」 れば経済的には成功した翻訳となるのでしょうが、 「わかりにくい」 と云う声があるのは、そのせいかも。でもそれでは、原作者の意図したメッセージは伝わらないのではないか。価値が半減してしまう。山岡朋子(横山朋子)翻訳版 『ルス』 の場合、 「翻訳は原作者なり」 に近いのかも知れません。


女性翻訳家、と云う観点からは、これは山岡朋子さんに限らないのかも知れませんが、女性らしい細やかなところもありますね。例えば上述ドナ・カーネギーの著書 "How to Win Friends and Influence People for Teen Girls" の翻訳版である 『13歳からの「人を動かす」』 について、情報誌 『Amelia』 2007年12月号 「本の素顔」 掲載の 「山岡朋子さんのオススメ!」 で、以下紹介されています;


http://www.amelia.ne.jp/user/reading/booktown_190.jsp より抜粋


−−− 味も素っ気もないワードの原稿が、デザインも装丁も美しい本となったときは、思わず歓声を上げてしまいました。本作りに関わった方々全員に感謝しています。


山岡朋子さんには 「惚れ込んだ」 と云うよりむしろ 「強く共感した」 と云う表現が正しいのですかね、応援しなくっちゃ、と思ったワケですから。その意味では、勝田保世さんには 「心酔した」 と云うことかも。いずれにしても文章だけからその様な感情を持つ様になるのですから、やはり 「文は人なり」 は正しいですね。こうして書いている文章らしきものが 「私」 であるのは、怖いことですが。

.

*1:コロンビアでも同じ様な小説が書かれていたことを、大変恥ずかしながら今頃になって知りました。

原作者 Evelio Jose Rosero さん、原作 "Los Eje'rcitos" 、英訳は "The Armies"  この作品は別途紹介予定

2009-05-20

翻訳家 山岡朋子さん その41: 文と書き手の関係 その2 − 勝田保世さんのこと

『文は人なり』 を越えて、文章を読んで惚れ込んだ書き手のお二人; 勝田保世さんおよび翻訳・エッセイなど物書きとしての山岡朋子(横山朋子)さん ; とも、お会いしたことがありません。


今回は、その生き方にあこがれ真似をしようとおもうほどに 「惚れ込んだ」 勝田保世さんへの想いを綴ってみたく。勝田さん (の文章) との出会いが無かったらフラメンコの深淵に沈むことは無く、今の私も無かった筈です。


高校生の頃からフラメンコの唄のレコードを集め始めましたが、ジャケットの解説と、レコードに同封された歌詞カードをむさぼり読んだことは、まるで昨日のことの様に覚えています。それまで全く知らなかった世界。レコード以外では音楽雑誌、特に 『中南米音楽 (確か現在の名前は ラティーナ) 』 も購読しておりましたね。覚えている限り、フラメンコに関しては勝田保世さん以外でも濱田滋郎さん(ひろすけ童話で有名な浜田廣介さんの息子さん)・高場将美さん・中村とうようさん・小倉俊さん・蘆原英了さん・小泉文夫さん・永田文夫さん(確かこの永田さんだったと思う)など、今考えると錚々たる方々の文章に触れた訳ですが、何故か勝田保世さんの文章に特別なものを感じておりました。雑誌などに勝田さんの寄稿があると本当に嬉しかった。


大して買いもしないのに入り浸っていたレコード店 『ディスコ・マニア』 のおばちゃん永田さんからもよく勝田さんのことは聞いておりました。晩年の勝田さんと親しかった女性の方のお話しもこの永田さん経由で伺ったことがあります。 「貴女は、初めてボクのフラメンコの唄を聞かせた時に笑ったね」 ってなことをちくちくと言われていたとか。(この女性の方は多分私より10歳程度上、何かのサイトに勝田さんのことを書いておられた、という話しを聞いたことがあります。勝田さんの言葉として私は聞きましたが、万が一間違っていたらご免なさい。)


当時は私も相当若かったものだから、全く人の迷惑は省みずディスコ・マニアの永田さんに、是非勝田さんに紹介して欲しい、ねぇ、何とか、とおねだりした結果、それじゃあどこかタブラオ (フラメンコショウのあるレストラン) でお会いしましょうか、と云うところまでこぎ着けて頂いた矢先、訃報に接しました。亡くなられたのは1978年5月3日でした−−−


それから間もなく11月、勝田さんが生前 『中南米音楽』 に寄稿された文章を集めた本が出版されました;

f:id:El_Payo_J:20090519051814j:image

株式会社 音楽之友社 1978年11月20日初版 「砂上のいのち  フラメンコと闘牛」

前回の記事の脚注にて引用した本です。


この本は、昔も今も、私にとっての宝です。まだ中古市場で流通している様ですが、「ルス」 と同様、いつか自腹切ってでも復刊させたい本のひとつ。


この本のあとがき 「勝田保世のこと」 は元読売新聞論説委員・評論家の山崎功さんが書かれていますが、そこで初めて勝田保世さんと云う人物のことを知りました。山崎さんと云うフィルターは通っていますが、全く違和感がなかった−−−私が思い描いていた通りの人物であったからです。人から聞いた話も勿論影響しているでしょうが、それより文章から感じていたものの総体が一致した訳で。何故勝田保世さんの文章に特別なものを感じていたのか、ようやくわかった。


記事本体もあとがきも、今まで何度も何度も読み返しました。もうお会い出来ない訳ですが、それでもどんどん惹かれて行きます。「文は人なり」、その通りです。山崎さんのあとがき (上述の書籍271ページ〜275ページ) より一部抜粋しますね;


  • 勝田保世(忠次郎)は、わたくしの知るかぎり、この錯雑して汚濁に満ちた社会を、それと少しのかかりあいもなく、−−−というよりも、ほとんど気にせぬ無関心さをもって、平穏というか、無頓着というか、じぶんの欲するところにしたがって、自由に、気楽に、生きぬいてきためずらしい存在であった。
  • 明治・大正の芸術家、とくに画家がそうであったが、このような生きかたをした人が多い。かれは最後の一人であったかもしれない。
  • かれはスペインではじめて自己をみいだしたといえる。フラメンコである。しかし、そのまえに、セビリアで闘牛にとりつかれた。からはさる闘牛師のもとへ弟子入りした。そのときつけてもらった名が Jose' であり、それがのちにかれのペンネーム ”保世” となった。闘牛はおもしろくあっても、運動したことのないかれにとっては、動きまわるのが苦手であり、これはかなり早くやめにしてしまったらしい。
  • いま遺稿が一巻にまとめられてみると、これがわれわれにとって唯一の救いであり、慰めとなった感がする。そこにかれの芸術感・人生観が汲みとられ、勝田という人間の純真さ、人柄が改めて浮彫にされているからである。
  • 最後に、生前、かれは自分の草稿に手を加えるよう、かねてわたくしに依頼しており、わたくしの怠慢からそのままになっていたが、今日、かれが亡くなった以上、かれが点検できぬ状態で文章に加筆することは、かえって損うことのほうが多いと考え、原文のままにしておいた。

なおこのあとがき中、『この男は煙草とコーヒーで生きているようにみえた。』 というくだりがありますが、この文が無意識の中で生きているらしく、現在の私もそれに近いですね。またフラメンコについても記載があり、私の好みはまるっきり勝田保世さんの文章に影響されていることもよくわかります。(駄文重ねてもしょうがないので、後日別途書いてみます)


なお、逢坂剛さんの著書 「スペイン読本 」 にも勝田さんの文章が載っている様なので、復刊ドットコムに投票しました。わたしの追加したコメントは;


https://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=8349


私がスペイン、特に南部アンダルシアに惚れ込むきっかけとなった文章群の様ですネ。勝田保世さんはじめ、本当に懐かしいお名前がずらっと−−−

これだけまとまったスペインへの恋文集はずっと残して行くべき。ある時代のスペインの描写および各々のおもいが詰まった書籍の筈です。


次回は、勝田さんとは全く別の形・意味で「惚れ込んだ」 、山岡朋子(横山朋子)さんの翻訳について記すことに。(ただしコロンビアで、政府軍による民間人の殺戮行為に関して動きがありますので、記事は前後するかも)

2009-05-18

翻訳家 山岡朋子さん その40: 文と書き手の関係 その1

『文は人なり』 と云うコトバがあります。これはフランスの博物学者ビュフォンの言葉 " Le style est l'homme meme "、 英語なら " The style is the man (himself) " として有名です。直訳すると 『文体は書き手自身である』 でしょうか。しかしながらより正確には;

http://thu.sakura.ne.jp/others/proverb/

《故事・ことわざ・四字熟語》 辞典 より


文章を見るとその人の人柄が分かるということ。フランスの博物学者ビュフォンが、1753年、アカデミー・フランセーズの新会員となったときの入会演説『文章論』に基づく。本来的には、文章とは人間の精神活動そのものであり、人が思考の中に配置する秩序と運動に他ならないから、盗まれたり持ち去られたりするものではないの意だという。

と云うことらしい。一方、そうでは無いと云う意見もあります。例えば;

http://www.h2.dion.ne.jp/~kisohiro/bunsho.html

斎藤美奈子/文章読本さん江 (筑摩書房、 2002年)より抜粋


--- で、この本の結論ですが、

「文は人なり」という古い格言(文章読本はこれが大好き)は正しくない、ということです。

<文章とは、いってみれば服なのだ。「文は人なり」なんていうのは役立たずで、ほんとは「文は服なり」なのである。>(250ページ)

文章は、思想(というか考え)に形を与える包み紙みたいなもので、時流によって変化するもの。---


以上は受け売りレベルのハナシですが、以下自分自身の体験に基づく私見;


私は耐久消費財メーカーの人間ですが、製品は間違いなくメーカーのフィロソフィーや 「有り様」 を表しています。正に 「製品はメーカーなり」 です。製品を通じてそのメーカーに惚れ込むこともあるし、嫌いになることもありますよね *1 。それは形のあるハードウェアのこともあるし形の無いソフトウェアやサービスのこともありますが、構成が複雑であればあるほどその傾向は強いと思います。類似製品が沢山あっても、メーカー間の微妙な違いが必ずある。何故か? メーカーとして一貫性のある製品を、品質を維持しながら継続的に開発・生産・販売・ケアしていくことを可能にするのは、唯一その企業のDNAだから。つまり、企業全体がひとりの職人さんの様なもの。


また、ある程度の経験を積んだ人なら、同じ会社や業界・専門分野での仕事一般について、その結果あるいはアウトプットからそれを行った人がどんなレベルにあるかかなり正確に判断出来ますし、電子メールの文面からはそれを書いた時の背景のみならず、書いた人の人柄までわかることが多い。


−−−「文章」 の目的が何かを伝えることにある (ただし小説を除きますよ) とすれば、幾つかの構成要素に分けて考えるのもアリかな、と思います。例えば;


  • 「文」 とは、伝えたいことを表す単語が正しく理解される語順で並べられたもの。「文体」 と不可分の関係にある:
    書き手によってそんなに変わらないハズ
  • 「文体」 とは、目的にとって最善と思われるコトバの選択・表記方法・論理の運びなど。「文」 と不可分の関係にある:
    書き手および目的の両方に左右されるハズ
  • 「個性」 とは、読んでそれとわかる書き手の個性。必ずしも必要では無いかも知れないが、「文」 と 「文体」 に輝きを与えるもの:
    これは書き手のみに帰属するハズ

だとすると、たとえ書きたい・伝えたいことは同じでも、書く人が異なると、結果としての文章が同じになることはあり得ません。では同じ人が書いたら? それでも置かれた状況やら発信方法や媒体によって異なる筈です。極端に言えば、同じ文章がアウトプットされることはあり得ない。これが上に挙げた、 『文章は、思想(というか考え)に形を与える包み紙みたいなもので、時流によって変化するもの』 と云うことですかね。


でも; 何か必要があって自分を偽って文章を書くことはそんなに難しくはないでしょうが、たくさん書くことはまず不可能です。一般的に嘘を貫き通すのは至難のワザですから。上の例に倣って服だとすると、何着かの服は皆持っているでしょうが、毎日取り換えるのは無理。結局服の好み (=自分のカラー) やらサイズ (=能力) によって限定されますからネ。


確かに少ない文章だけで書き手を判断することは大変危険ですが、ある程度の量の文章を読むならば、ビュフォンの言葉 『文は人なり』 は、その元の意味 「文章とは人間の精神活動そのものであり、人が思考の中に配置する秩序と運動に他ならない」 が書き手の個性を包含するのは明らかですから、正しいと考えます。書かれたものを読んで、あ、これはいかにもあの人らしいなって感じることはよくありますよね。


&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&

何故こんな、ガラにも無い考察を行おうとしているか? 『文は人なり』 を越えて、文章を読んで惚れ込んだ書き手が二人いらっしゃるからです。一人はフラメンコの深淵に私を引きずり込んでくれた勝田保世 *2 さん、そしてもうひとりがこのブログの主目的である山岡朋子さん (あるいは横山朋子さん、山岡とも子さん)。


大それた試みであり完全に私の能力を超えていますから、どうまとまるのか不安ですが、とりあえず次回は勝田保世さんについて想いを書いてみることにします。

.

*1:あくまで製品そのものについて。苦情への対応やら宣伝の巧拙などは除外して考えます。まあこれらも無関係では無いのですが。

*2:しょうだ・ほせ さん 1907年〜1978年

以下 株式会社 音楽之友社 1978年11月20日初版 「砂上のいのち  フラメンコと闘牛」 著者略歴 より抜粋

--- 東洋音楽学校を経て1930年5月、イタリア、スペイン、フランスに音楽研究のため渡る。一時帰国後、1937年再渡欧、主にスペインで生活。1946年帰国。戦後は帝劇、宝塚などでフラメンコギターの演奏活動を続ける一方、映画「黄戦地帯」「永遠の人」の音楽を担当した。---

2009-05-16

オバマ新大統領発表の アフガン政策新包括戦略 Watch: その3

YAHOO 「アフガニスタン復興」 トピックスに記載されている無味乾燥な5月10日以降の記事一覧は次の通り;

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/afghanistans_political_future/news_list/?pn=1

  • 米軍契約企業の従業員がアフガンで発砲、住民負傷 飲酒か(CNN.co.jp)16日 - 17時48分
  • 60歳少佐、爆弾で死亡 現役兵では最高齢の犠牲者 イラク(CNN.co.jp)16日 - 16時57分
  • 米下院、アフガンなど戦費の補正予算案を可決 9兆円余(CNN.co.jp)15日 - 16時33分
  • SPI会議終了、韓国軍アフガン派遣問題は扱わず(YONHAP NEWS)15日 - 15時8分
  • 北西部の24%はタリバン支配下=BBC独自調査−パキスタン(時事通信)15日 - 14時31分
  • カナダ外相 日本のアフガン支援を高く評価(毎日新聞)15日 - 0時0分
  • カナダ外相 日本のアフガン支援を高く評価(毎日新聞)15日 - 0時0分
  • <カナダ外相>日本のアフガン支援を高く評価(毎日新聞)14日 - 22時39分
  • <オバマ大統領>テロ容疑者「虐待写真」非開示に…方針覆す(毎日新聞)14日 - 20時11分
  • 英戦闘機が「緊急着陸」、武装勢力関与の形跡なし アフガン(CNN.co.jp)14日 - 19時30分
  • 虐待写真非公開、苦渋の選択=政治的判断を優先−オバマ米大統領(時事通信)14日 - 17時20分
  • イラク・アフガン収容者虐待写真 米大統領、一転し非公開 (産経新聞)14日 - 15時32分
  • 韓国がアフガン国軍増員費負担の可能性、米CRS(YONHAP NEWS)14日 - 9時58分
  • 韓米SPI会議開催、軍アフガン派遣論議に注目(YONHAP NEWS)14日 - 9時56分
  • 収容者の虐待写真公表、一転取りやめ オバマ米政権(産経新聞)14日 - 8時21分
  • 米国防予算 オバマ色どこまで 長官VS.議会、F22復活焦点(産経新聞)14日 - 7時56分
  • 虐待写真、公表せず=兵士の安全優先し方針転換−米(時事通信)14日 - 7時21分
  • 米国防予算案 国防長官と議会攻防(産経新聞)14日 - 1時59分
  • アフガンの国際部隊基地で自爆攻撃、7人が死亡(ロイター)13日 - 18時6分
  • タリバーンがNATOの補給拠点を襲撃、トラック炎上(CNN.co.jp)13日 - 17時33分
  • 米軍基地前で車爆弾テロ、多数死傷 アフガニスタン東部(CNN.co.jp)13日 - 17時9分
  • アフガン東部 また自爆テロ 駐留米軍基地前で住民6人死亡(産経新聞)13日 - 16時54分
  • タリバーンがアフガン東部で自爆攻撃 米軍と交戦(CNN.co.jp)13日 - 11時15分
  • アフガン米軍司令官を更迭 新戦略で確執?(産経新聞)13日 - 7時57分
  • 米軍司令官 異例の更迭 タリバン掃討「経験不足」(産経新聞)12日 - 15時33分
  • 韓国軍工兵部隊のアフガン派遣、米国が非公式に要請(YONHAP NEWS)12日 - 13時25分
  • 増派主張の米軍司令官更迭=オバマ政権(時事通信)12日 - 13時15分
  • 米国防総省、アフガン駐留米軍司令官を更迭(ロイター)12日 - 13時6分
  • 米国防長官、アフガン駐留米軍司令官を解任(CNN.co.jp)12日 - 11時24分
  • <米国防長官>アフガン駐留司令官を更迭(毎日新聞)12日 - 11時7分
  • アフガン米軍司令官、異例の更迭 米国防長官発表(産経新聞)12日 - 9時14分
  • 増派主張の米軍司令官更迭=アフガン新戦略でオバマ政権(時事通信)12日 - 7時33分
  • アフガンでの空爆継続 米大統領補佐官(産経新聞)11日 - 18時20分
  • <アフガン空爆>継続方針示す…米大統領補佐官(毎日新聞)11日 - 11時31分
  • <アルカイダ>パキスタンに拠点…米中東軍司令官の見方(毎日新聞)11日 - 11時31分
  • アフガン空爆、中止せず=米高官(時事通信)11日 - 7時3分
  • 迫撃砲据える米兵=パキスタン国境地帯(時事通信)10日 - 22時45分
  • 米軍の情報収集活動=アフガン(時事通信)10日 - 20時46分

オープンな政府を目指すと誓っていた選挙中の公約にもかかわらず、イラクやアフガニスタンの収容所で拘束した「テロ容疑者」に対する虐待行為の写真を公表するとした以前の方針を覆して非開示にすると表明したことは、政治家お得意の二枚舌と言われても反論出来ないでしょう。上品ではないスペイン語で言うなら "(Bush y Obama) son las mismas mierdas" ですかね。多分この瞬間、中南米でこのコトバは何万人の口から発せられているハズ。以下米市民団体による抗議の一部を紹介;



American Civil Liberties Union HPより

http://www.aclu.org/safefree/torture/39587prs20090513.html

Obama Administration Reverses Promise To Release Torture Photos (5/13/2009)

Anthony D. Romero, Executive Director of the ACLU


"It is true that these photos would be disturbing; the day we are no longer disturbed by such repugnant acts would be a sad one. In America, every fact and document gets known – whether now or years from now. And when these photos do see the light of day, the outrage will focus not only on the commission of torture by the Bush administration but on the Obama administration's complicity in covering them up. Any outrage related to these photos should be due not to their release but to the very crimes depicted in them. Only by looking squarely in the mirror, acknowledging the crimes of the past and achieving accountability can we move forward and ensure that these atrocities are not repeated.


上に引用の最後の部分は 『繰り返すまじ』 "Nunca mas" "Never again" のメッセージですね。ひとごとでは無い、日本にだって目をつぶり続けてはいけない過去がありますね。タブーかも知れませんが敢えて挙げるなら南京大虐殺 *1。放っておけない、どこまで明らかになるかは別としても今のようにフタをして知らん顔ではいつまでも前に進めない。


益岡賢さんサイト中で知ったのですが、南京事件を描いた映画「ジョン・ラーベ」 *2の日本公開を求める署名活動が行われています。オンライン署名サイト 【署名TV】 に呼びかけがありますから、生活なり仕事に支障が無い、あるいはあっても構わないと考えられ、賛同されるのであれば参加されたし;


http://www.shomei.tv/project-897.html#detail

呼びかけの一部を抜粋しておきます;

−−−現在の日本に南京事件を否定し、それについて語ることを抑圧するような風潮が存在すること、また公開にあたって上映の妨害などのトラブルが予想されていることがあると思われます。事実、1997年に公開された映画「南京1937」は右翼等による抗議や上映妨害が行われました。2008年の映画「靖国」も政治家による圧力がかかり、公開が危ぶまれたのは記憶に新しいところです。−−−


アメリカの植民地であり続けることは日本がその程度のレベルなら仕方がありませんが、アメリカの犯罪に加担することで間接的に人殺しを続けることは私はイヤですね。役に立たない人間ですが、他人に害を与えることはまっぴら御免。歴史に学ばない馬鹿であることもね。


.

*1:例によってウィキペディア参照;

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E8%99%90%E6%AE%BA

この記事には 『このページは荒らしを理由として方針に基づき、新規ユーザーおよび未登録 (IP) ユーザーによる編集が禁止されています。』 の前書きが置かれています。

*2:ウィキペディア参照;

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%99

また、右翼などからの脅迫やら脅しが想定されるにもかかわらず出演なさった俳優香川照之さんの勇気にもこころから敬意を表します。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%99%E5%B7%9D%E7%85%A7%E4%B9%8B 参照

2009-05-11

翻訳家 山岡朋子さん その39  『ルス、闇を照らす者』 : コロンビア バージョン

その発端からして非常に胡散臭い豚インフルエンザ騒ぎはとりあえず横目で見ながら、このところ主にアフガニスタンでまた大規模な殺戮行為が開始されたため色々なサイトのチェックに忙しいのですが、参考とさせて頂いている益岡賢さんのHPで以下記事を見つけました;


原文: http://www.colombiajournal.org/colombia307.htm

Plan Colombia: The New Military Strategy for Afghanistan?

by Garry Leech

2009年3月30日付け


邦訳: http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/col307.html

プラン・コロンビア:アフガニスタンでの新たな軍事戦略? からの抜粋


アフガニスタンに駐留するNATO主導の連合軍が再び力を取り戻してきたゲリラとの戦いにもがき、ケシ栽培が増加する中、米国統合参謀本部長のマイケル・ミューレン米国海軍大将は、先日、米国が現在コロンビアで採用している対ゲリラ作戦と対麻薬作戦のモデルをアフガニスタンに導入すべきだとの見解を示した。 (中略)


(中略) ミューレンをはじめとする面々は、「治安」の確立がもたらした人道危機、そしてプラン・コロンビアが対麻薬作戦としては完全に失敗したことを都合よく無視している。


国境なき医師団によると、コロンビアはこの数十年、世界でももっとも報道の少ない人道危機を経験してきた。この人道危機の中心にあるのは、強制追放の問題だった。国内避難民を400万人近く抱えるコロンビアは、スーダンに次ぎ世界第二の国内避難民数である。 (中略)


コロンビア政府の治安戦略に見られるもう一つの問題は、失踪の劇的な増加である。とりわけ、政府の政策に批判的な市民社会のメンバーの間で失踪者が増えている。コロンビア検察は、現在、2008年に失踪した1015人のケースを調査中であるが、この失踪者数は2007年の4倍、2005年と比べると1300パーセントの増加である。コロンビア検察庁によると、調査中のケースのうち90パーセント以上で、コロンビア政府軍のメンバーが容疑者となっている。


オブザーバの多くが憂慮しているのは、軍が関与した失踪だけではない。ここ数年で、コロンビア政府軍による超法規的処刑の数も激増している。「超法規的処刑と不処罰を監視する国際使節団」によると、2002年から2007年の間にコロンビア軍が犯した超法規的処刑のうち少なくとも955ケースで誰も処罰を受けていないという。その前の5年間における577ケースから2倍近い増加である。多くの場合、殺されるのは民間人で、軍事作戦の際に敵の死者数を水増しするために、軍は民間人の遺体をゲリラの死者として示すのである。


(中略) プラン・コロンビアのこうした記録を考えるならば、ミューレンが示唆するようにアフガニスタンで同じモデルが適用されるならば、人口の多い都市部で治安が改善され暴力が減るだけでなく、大規模な人権侵害と大規模な難民危機、記録的なケシ栽培ももたらされる可能性がある。


これが事実なら、いや事実でしょうが、正に危機的な状況です。失踪者と超法規的処刑問題は、山岡朋子(横山朋子)さん翻訳の 『ルス、闇を照らす者』 で扱われているアルゼンチンでの人権侵害と規模は小さいものの共通しますが、コロンビアの場合は更に強制追放による国内難民問題、下火になった様ですが金銭目的の誘拐、ゲリラと自警団の存在、そして北の大得意先へ供給される麻薬問題が加わるのが特徴。


いきなり結論まで飛びますと、アメリカからの全ての援助・介入を即刻中止させることおよびアメリカ国内での違法な麻薬使用はアメリカ自身の責任において撲滅させることさえ実現出来れば問題の半分程度は解決したも同然、後は時間はかかってもコロンビア国内で、各勢力の対話を通じて解決可能でしょう。自浄能力も十分あると思われますから、現ウリベ政権の責任追及も、アメリカの横槍さえなけば出来ると信じます。(5月4日付け、同じ Garry Leech さんによる記事 "Colombian Government’s Role in Human Rights Abuses" もサイトにアップされています)


アメリカのいるところ必ず人道危機と麻薬あり、です。アルゼンチンが宣言した Nunca Mas の精神が同じ南米のコロンビアでは全く生きていないことは大変残念。と云うより、益々手口が巧妙化している、と云うことかも知れませんが、歴史を軽んずると必然的に繰り返されることなのでしょう。アフガニスタンと並行して監視の必要がありそう。

2009-05-10

母の日

本日 『母の日』 は日頃の母の苦労をおもい、感謝を表す日ですが、実は5月5日の 『こどもの日』 も、国民の祝日に関する法律(祝日法)では、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」とあり、その意味ではこどもの日も「母の日」である *1ことは認識していませんでした。


私個人的には、昨年X’mas に記した様に、クリスマスを出産経験のある女性全てに おめでとう!! と心の中でお祝いをする日と勝手に決めていますので、本日は自分の母親だけに感謝することにしています。(電話でも入れておかなくては) 巷ではやれカーネーションだ、プレゼントだ、と消費を煽っていますが、要はこころの持ち方の問題。何でもプレゼントでは寂しい。カタチが無ければ気が済まないのですかね? 皆様々な事情があって必ずしも母子で同居しているとは限らないし。


また時々外国人に言われるのですが、例えば母の日などで母親を前にして双方歯が浮く様な感謝のコトバを言ったりハグもしない日本人は冷たいと云うのは上っ面しか見ていない即物的で間抜けな一面ではあるものの、母親に関しては、「母」に対する感じ方が違うのかも知れませんね。(日本で言うマザコンとは別次元のハナシですよ、為念。)


産みの母親のみならず育ての母親であっても、母子の絆が切れてしまうことは多分無い筈です。うざっ、と思ったり反発したり時には拒絶することはあっても、自分が同じ立場に置かれたり、あるいは同じような年齢に達した時に初めて見える・わかることもありますからね。


ところで母の日に際し、【子供の教育環境改善を=「母の日」で世界の格差調査−NGO】 と云う記事を目にしました; 時事通信社、2009年5月9日6時11分、 url = http://news.www.infoseek.co.jp/world/story/090509jijiX426 『5月の「母の日」に合わせ、国際援助団体「セーブ・ザ・チルドレン」はこのほど、世界各国で母子の置かれた現状に関する報告書を公表した。』 とのことなので、早速子どもたちのための民間の国際援助団体(NGO)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンホームページを訪問;

http://www.savechildren.or.jp/news/2009/20090507mothersday.html


【母親になるのにベストな国ランキング 〜日本は今年も30位以内に入らず、トップは常連スウェーデン〜】 を見て、失礼ながら笑ってしまいました。本部は欧米人によって運営されていますから当たり前と言えば当たり前なのですが、常に欧米の基準が正となり、各国の政治的・社会的・宗教的・文化的な多様性を全て切り捨てることで係数化して比較する訳ですから、常連スウェーデンの地位が揺らがないのは当然。まあ、参考程度にはなりそうですが。


ただしそれでも評価出来るものがあるとすれば、今年のレポートで初めて、世界最貧100ヶ国における幼児期の子どもを取り巻く環境がその後の学校教育に及ぼす影響について分析していること。以下、上述HPから抜粋しますと;


--- 下位5ヶ国にランキングしているチャド、アフガニスタン、マリでは、女子の80%が読み書きができません。これらの国では、およそ5人に一人が5歳まで生きることができません。また、ギニアビサウ共和国やニジェールでは50%以上、パキスタンでは34%の子どもたちが学校へ行っていません。これらの数には、最初は学校へ行くものの、栄養不良や、就学前の幼児教育がないためその後の学校環境になじめず、初期段階で退学してしまう子どもたちが多く含まれます。事実、多くの開発途上国では退学は小学校一年生の段階から見られます。


そして、下位31ヶ国のうち20ヶ国が近年紛争の被害にあっているか、紛争直後、もしくは隣国の紛争による大量の難民を受け入れている国であり、紛争が幼児期の教育の機会を奪っているのは明らかです。


特にアフリカの最貧国は例外なく欧州各国の植民地であったことを考えると、何か責任を感じないのか大変疑問に思いますがね。「紛争が幼児期の教育の機会を奪っている」 なんて、ヒトゴトの様にしか聞こえません。自国で解決出来ない紛争は、例外なく外国の列強にその原因があるのに。例えば現在暴力国家による侵略の犠牲となっているアフガニスタンについては、 url = http://www.savechildren.or.jp/rtf/country/afgan/afgan.html に記載されていますが、


目標

セーブ・ザ・チルドレンは、より多くの子どもたち、とりわけ女子や遠隔地域に住む子どもたち、が学校に通えるようになることを目指し、子どもたちが初等教育を修了できるように支援しています。私たちは、子どもたちの教育を受ける権利に対する地域の責任を強調し、アフガニスタン政府が以下の目標を達成できるように支援していきます。

  • 教育予算の不足を支援する。

  • 初等教育への入学者数を、女子は75%、男子は85%まで増やす。

  • 教師の7割が、一定の能力レベルに達するよう保証する。

このNGOの責任範囲ではこれでよいのかも知れませんが、それ以前に、子どもや国民が殺されることのない最低限の環境と荒らされた国土 (インフラ) を復興させることを国際社会が無条件に保障すること、が最優先ではありませんか???? 今のまま行くと、子どものみならず教師さえ皆殺しになりかねない。それさえ確保出来れば、あとは我々の基準を押し付けることなくアフガニスタンの人達および周辺地域に任せることが可能ですね。教育に関しては多分、我々よりもいいものが出来るかも知れません。(日本の医療や教育レベルが高い、なんて思っているひとは、まさかいませんよね?)


欧米のこのテのNGOなどの団体の活動を見ていると、何もしないよりはマシであることは認めますが、優先順位を考えていない、自国の責任を全く考慮していない、所詮欧米の基準から離れられない、などいらいらさせられることが多いのが本音。活動を通じて得られるのは結局自己満足と社会的なステータスだけではないか。いまだに宗主国気取り、と云われても反論出来ないでしょう。


−−−母親やこどもをを失われた方でも、どんな事情があったにせよこどもが母親から産まれた事実は変わらない訳ですから、是非母の日を祝って頂きたいですね。


何かよいメッセージは無いか、と色々物色しましたが、探す時には見つからないのが常。以下、2004年9月8日バチカンにて教皇ヨハネ・パウロ二世が2005年「第13回 世界病者の日」 にあたって発信したメッセージの最後の部分を掲載します。(翻訳:カトリック中央協議会事務局)

私も含めた非キリスト者であれば、「無原罪のマリア」を母親と読み替えればよいし、「アフリカ」や「エイズ」の部分は各々の事情に置き換えて素直に読めば、こころに沁みることばと思われませんか?


http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/doc/sick/05sick.htm より


ああ無原罪のおとめマリア、苦しみと希望のおとめよ、苦しんでいるすべての人を慰め、その一人ひとりに豊かないのちをお与えください。

あなたの母なるまなざしを、とくにこのアフリカでエイズや他の重病によって打ちのめされている人びと、助けを最も必要としている人びとに注いでください。

子どもを失って悲しんでいる母親たちに目を留めてください。親を失った孫たちを養う糧にもこと欠く祖父母たちに目を留めてください。

このすべての人びとをみ手に包み、あなたの母なるみ心のそばにおいてください。

アフリカと全世界の元后、聖なるおとめよ、わたしたちのために祈ってください。

.

*1:ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%8D%E3%81%AE%E6%97%A5 より。各国の母の日の紹介などもアリ

2009-05-09

オバマ新大統領発表の アフガン政策新包括戦略: その2

f:id:El_Payo_J:20090510154234j:image *1


YAHOO 「アフガニスタン復興」 トピックスに記載されている無味乾燥な5月付け記事一覧は次の通り;


-<パキスタン>アフガン国境で米軍機が攻撃(毎日新聞)9日 - 21時45分

  • <アフガニスタン>NATOが白リン弾使用 8歳少女負傷か(毎日新聞)9日 - 20時39分
  • 家屋空爆で50人死亡と米軍、民間人ら100人以上とアフガン(CNN.co.jp)9日 - 16時3分
  • カルザイ氏ら44人届け出=大統領選立候補締め切り−アフガン(時事通信)9日 - 6時28分
  • アフガン空爆、予備調査で「住民死亡」が判明と 米当局者(CNN.co.jp)8日 - 12時51分
  • パキスタン 軍が武装勢力と本格交戦、空爆も(毎日新聞)8日 - 11時50分
  • 【パキスタン危機】アルカーイダ核武装の恐怖 政情不安、シナリオ現実味(産経新聞)8日 - 7時57分
  • <パキスタン>軍が武装勢力と本格交戦、空爆も(毎日新聞)8日 - 3時30分
  • 村落を空爆、死者多数、誤爆か 米軍はタリバーンの「工作」と(CNN.co.jp)7日 - 20時57分
  • アフガンで米軍誤爆か、100人死亡…「大半が子供や女性」(読売新聞)7日 - 20時37分
  • 修了式で行進するアフガン国軍の新兵(時事通信)7日 - 17時34分
  • アフガンに向かう米海兵隊増援部隊(時事通信)7日 - 17時23分
  • 米大統領 パキスタン、アフガン大統領と会談 テロ掃討強化を確認(産経新聞)7日 - 15時36分
  • アフガン首脳らと記者会見する米大統領(時事通信)7日 - 14時48分
  • <オバマ大統領>反テロで連携強化…アフガン大統領らと会談(毎日新聞)7日 - 13時46分
  • 米、アフガン、パキスタン首脳会談 過激派打倒目標で一致(CNN.co.jp)7日 - 10時12分
  • 米大統領、パキスタン、アフガニスタン両大統領と会談 アルカーイダ掃討で(産経新聞)7日 - 9時21分
  • テロ掃討で連携強化=アフガン・パキスタン首脳と会談−米大統領(時事通信)7日 - 8時38分
  • 民間人犠牲に遺憾表明=アフガンと合同調査実施へ−米(時事通信)7日 - 6時39分
  • 空爆で死者100人規模か=民間人も多数犠牲−アフガン(時事通信)6日 - 21時32分
  • アルカイダの指揮受けない=アフガンのタリバン報道官−CNN(時事通信)6日 - 14時33分
  • アフガンに3年間で7400万ドル支援、政府が確定(YONHAP NEWS)6日 - 13時52分
  • アフガニスタン唯一の豚、新型インフル懸念対策で室内隔離(ロイター)6日 - 11時47分
  • アフガニスタン唯一の豚、新型インフル懸念対策で室内隔離(ロイター)6日 - 11時47分
  • アフガン支援拡大へ=韓国(時事通信)6日 - 11時44分
  • <アフガニスタン>NATO軍空爆でタリバンら約30人死亡(毎日新聞)5日 - 20時48分
  • <パキスタン>治安部隊車列に車突っ込み爆発 14人が死傷(毎日新聞)5日 - 20時10分
  • <米下院歳出委>総額9兆3000億円の補正予算案まとめる(毎日新聞)5日 - 20時1分
  • 政府のアフガン支援案、6日閣議後に発表の見通し(YONHAP NEWS)5日 - 16時22分
  • 国防部がアフガン支援状況報告を国防研究院に指示(YONHAP NEWS)5日 - 14時12分
  • テロ相次ぎ29人死亡=アフガン(時事通信)4日 - 21時47分
  • <アフガン>カルザイ氏を大統領選候補者名簿に登録(毎日新聞)4日 - 21時43分
  • <パキスタン>難民70万人絶望のふち 国際支援ほぼ皆無(毎日新聞)1日 - 20時39分

例によって、女性・子どもを含めた民間人の殺戮・非人道的な兵器の使用・でっちあげを含めた情報操作オンパレードですね。5月6日ホワイトハウスで開催されたアフガニスタンのカルザイ大統領・パキスタンのザルダリ大統領と会談の後、

3ヶ国が主権国家として国際テロ組織アルカイダやイスラム強硬派タリバーンの 「阻止、解体および打倒」 という共通目標で連携していくとの方針を確認

したとのことですが、実態はアメリカによる内政干渉・侵略戦争に過ぎず、憎悪が憎悪を増幅し今後の泥沼化が避けられないことは明白。無人機による爆撃により自国民の犠牲と参加戦闘員の罪悪感を最小限とすることを狙った、正にゲーム感覚の人殺し。このスタイルであれば血を見ることも嘆き悲しむ家族を見ることもありませんからね。空恐ろしいことです。オバマ政権発足以来最初かつ最大の汚点でしょう。黒人としての初の合衆国大統領、就任時の名演説などよいイメージだけ先行していますが、やってることは前大統領と同じ。この点に目をつぶってはいけない。


5月8日ワシントン訪問中のカルザイ大統領ですら、自国民の死を目の当たりにして空爆停止を促した様です;

http://www.ocn.ne.jp/dotv/news/data/20090509/a090508205909.8jf6ttkh.html

より抜粋;


アフガン大統領、米軍機の空爆停止を促す=多数の民間人死亡受け

【ワシントン8日AFP=時事】ワシントンを訪問中のアフガニスタンのカルザイ大統領(写真)は8日、米CNNテレビに出演し、同国西部で今週、最大130人の住民が死亡したのは米軍機の空爆によるものだとして、空爆の停止を促した。大統領は「空爆は容認できない」と語った。


カルザイ大統領は「空爆で住民が死亡したのは間違いない」と述べ、反政府勢力タリバンの仕業の可能性があるとの主張を一蹴(いっしゅう)した。大統領は「空爆はテロとの戦いの効果的な方法ではない。むしろ民間人の犠牲の原因になっている。空爆戦略は米国のためにも、アフガンのためにもなっていないと確信している」と強調した。


アフガン西部ファラ州のバラブルク地区での空爆については、米国とアフガンのチームが共同で調べている。アフガンの警察当局がAFP通信に語ったところでは、同地区では空爆で100人余りが死亡した。このうち25−30人は反政府勢力で、残りは年配者や子どもなどの民間人という。


米軍当局者は「死者数は非常に誇張されている」としながらも、具体的な数は明らかにしなかった。同時に、タリバンが住民に手りゅう弾を投げ、犠牲者が出たかどうかを調べていると述べた。カルザイ大統領はそうした可能性を否定し、「125人から130人の民間人が犠牲になったとの信頼できる情報をけさ、政府から受け取った。空爆で死亡したものだ」と語った。〔AFP=時事〕 [時事通信社:2009年05月09日09時57分]


以下リンクは、The Centre for Research on Globalisation (CRG) *2 サイトに投稿された、" Obama’s First 100 Days: The Afghan War is becoming America’s War by Marc W. Herold " と題されたレポートです。西語・英語・仏語・独語など7ヶ国語で読めますし、分量も多くは無くかつ読みやすい文章ですから、興味のある向きは是非一読をお勧めします;

http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=13357


なお最新の記事としては、短いものですが;

" Obama allocates more war funds for Afghanistan than Iraq "

Global Research, May 8, 2009 FOCUS News Agency

http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=13542 もお勧め。


アメリカの行動を理解するための一助になるチョムスキー教授の著作が、

http://www1.gifu-u.ac.jp/~terasima/chomsky-on_the_world_080920.pdf

「世界は米国の所有物だ」  ノーム・チョムスキー、『Znet』2008年1月1日

翻訳:寺島隆吉+寺島美紀子、公開080806 寺島研究室「別館」HPよりダウンロード可能です。

オリジナルは "We Own The World" Noam Chomsky, ZNet, January 1,2008 付け。 http://www.chomsky.info/articles/20080101.htm で読むことが可能。


去る5月3日は、確か憲法記念日でしたね。戦後、戦勝国アメリカに一方的に押しつけられた古色蒼然たるシロモノですが、改正されるまでは絶対的な効力を持つ筈です。日本国民の相当数が大好きな9条1項で、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」 と定められていますが、アメリカの行動を承認するどころか資金まで出している我々も加害者、共同正犯です。その意味でも日本国憲法は無力ですネ。冒頭に掲げた写真の男の子と一体どう向き合えばよいのでしょう? いや、その子がもし自分だったら、この先どう考えどう行動するのでしょうか????


.

*1:以前に紹介したことのある、 The We アフガニスタン特集ページからの抜粋です。

url = http://www.thewe.cc/weplanet/asia/afghanistan/afghanistan.html

カブールの東ナンガルハール県バティ・コット地区で2007年4月29日、ご両親がUS軍の攻撃により殺害された直後撮影されたもの。この日他女性・子どもを含めた51名がこの村で殺害されたとのこと。撮影者= AP/Rahmat Gul

上に紹介したHPには今回の被害者の写真が既にアップされていますが、ここに貼り付けられるものではありません。今でも毎日この様なことが実際に起こっていることを忘れてはなりません。

*2:カナダのモントリオールに本拠地を置くNGOで、作家・学者・ジャーナリスト・活動家のグループの参加する独立系の調査機関。

2009-05-08

チャベスからオバマへのプレゼント : 「収奪された大地 ラテンアメリカ五百年」

09年02月02日付け 【ノーム・チョムスキー教授のこと: 言語学者+外交評論家】 の中で、ベネズエラのチャベス大統領 *1 が国連での演説の中でチョムスキー教授の "Hegemony or Survival: America's Quest for Global Dominance (November 2003)" 、邦題 『覇権か、生存か』 を紹介したところ、次の日この本がアマゾンでトップセラーになったことを紹介しましたが、


今度は2009年4月18日の第5回米州サミットの中でチャベス大統領が 「オバマへ、愛情とともに」 とサインしてオバマ米大統領にプレゼントした書籍 "The Open Veins of Latin America: Five Centuries of the Pillage of a Continent " *2 が、アマゾンの売り上げ順位で一気に5万4295位から2位に躍り出たことが報道されておりました。 (ただし元々進呈する予定はなかったため、実際に手渡したのはたまたま手元にあったスペイン語版だった様です。)


The Open Veins of Latin America: Five Centuries of the Pillage of a Continent (ペーパーバック、予約受付中 --- 大慌てで新版を印刷中の様子)

www.amazon.co.jp 洋書にて入手可


f:id:El_Payo_J:20090509231133j:image

写真は http://www.nydailynews.com/latino/2009/04/24/2009-04-24_chvez_obama_opening_new_veins.html より


http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20090420k0000e030065000c.html?inb=yt

「ベネズエラ:大統領の贈呈本、アマゾンで売り上げ急上昇」 より抜粋;


 【ポートオブスペイン庭田学】ベネズエラの急進左派、チャベス大統領がオバマ米大統領にプレゼントした本が、米国のインターネット書籍販売大手アマゾン・ドット・コムの売り上げ順位で、5万4295位から一気に2位に躍り出た。AP通信が19日伝えた。


 この本は、ウルグアイの作家エドゥアルド・ガレアーノ氏の代表作「収奪された大地 ラテンアメリカ五百年」(邦題、藤原書店)。米州首脳会議で18日、チャベス大統領が「オバマへ、愛情とともに」と同書に書いて手渡した。


 「収奪された大地」は1971年に出版された。中南米が欧米諸国に富を収奪されてきた歴史を記述している。左翼的な作品とされ、軍政下のアルゼンチンやウルグアイなどでは発禁処分となった。


よくまあこの様な旧い、しかしながらパンチのきいた本を持っていたものだと感心します。植民地じゃあるまいし日本の政治家も少しは見習って欲しいものです。日本では、特にベネズエラに進出している企業に大変評判のよろしくない大統領ですが、世界一の核保有国でありかつ世界で唯一原子爆弾を人間に対して使用した汚点を持つアメリカに関して;

--- 2009年4月5日にオバマが核廃絶を表明したことを評価する一方、「アメリカは過去の原爆投下についてきちんと日本に謝罪すべきだ」と指摘している[18]。

  • [18] = 2009年4月7日毎日新聞 <ベネズエラ>チャベス大統領、米の核廃絶表明を評価

ウィキペディア 「ウゴ・チャベス」 (脚注参照) より抜粋

と発言されています。日本訪問中の発言とは云え、ここまで明言出来る国家元首は現在おそらくこのひとだけでしょう。スマートさとは縁遠い直情闘士型の根っからの軍人、と云うのが失礼ながら私がチャベス大統領に抱いているイメージです。ただしベネズエラ国内の取り巻き連中はどうも問題が多そうですが。実質軍事独裁だ、との批判は多いのですが、では過去の 「親米民主政権」 はどうだったか? その時代に南米の某国で暮らした経験から率直に言うと、国を食い物にしただけ。チャベスはカネをばらまいて人気取りをしているだけ、との批判に対しては、政治家や一部特権層がネコババするよりゃマシでしょ、と言いたいですね。


話題の書籍については、ウィキペディアでも紹介されています;

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8E%E5%A5%AA%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%A4%A7%E5%9C%B0_%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E4%BA%94%E7%99%BE%E5%B9%B4

Amazonで確認する限り、最初の翻訳は 『収奪された大地―ラテンアメリカ五百年』 として1986年9月新評論より出版 (ISBN 978-4794822345 ) され、その5年後藤原書店より1991年11月新版版 『新版 収奪された大地―ラテンアメリカ500年』 (ISBN 978-4938661380 ) 、更に6年を経た1997年3月に現在の 『収奪された大地―ラテンアメリカ500年』 (ISBN 978-4894340640 ) として同書店から再版された様ですね。初出から23年経った現在でもこの翻訳本は新品で入手可と云うのは素晴らしい!! ジャンルは異なるにしろ山岡朋子(横山朋子)さん翻訳の 『ルス、闇を照らす者』 にもその様な価値があるとおもうのですが。


なお翻訳者 大久保光夫 さんはこれ以外にもチリの歴史やラ米文学の翻訳をなさっておられますが、どう見ても翻訳者ではなくお医者さんとして輸血関係の書籍も出版なさっている様子。医師兼翻訳者でいらっしゃるのか、同姓同名の全くの別人であるのか不明。


(2009年5月8日23時過ぎに作成、ただし公開は5月10日)

.

*1:ウィキペディア参照:

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%B4%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%99%E3%82%B9

このサイトには既に4月18日の書籍寄贈のことが記載されています

*2:邦題 「収奪された大地―ラテンアメリカ500年」 (単行本)

日本の www.amazon.co.jp 和書にて入手可、


オリジナル(西語) "Venas Abiertas De America Latina" (ペーパーバック)

同じく www.amazon.co.jp 洋書にて入手可

2009-05-06

私の大好きなフラメンコのこと その9: Cadiz (カディス県の首都カディス市) その2 Beni de Cadiz

カディスを語る時に忘れてはならない偉大な唄い手がもうひとり; Beni de Ca'diz (本名 Benito Rodri'guez Rey. 1929〜1992) 。前回カディスの歴代の有名な唄い手を紹介の際、迷った挙句に敢えて独立して紹介することとしました。


Flamenco-world.com のアーチスト名鑑では、マノロ・カラコル派の唄い手とする随分素っ気ない紹介しかありません。ベニを純粋なフラメンコの唄い手としては認識したくない、了見の狭い批評家が多いせいですかね。

https://www.flamenco-world.com/tienda/autor/beni-de-cadiz/9/ では;

Cantaor. A los once años ya se ganaba la vida cantando en el tren de su ciudad natal a Jerez de la Frontera. Profesionalmente empezó como bailaor, para lo que estaba también excelentemente dotado, y Manolo Caracol lo contrató como tal. Como no paraba de cantar por la zona de camerinos del teatro, lo puso como cantaor, siguiendo fielmente la escuela caracolera.


ベニの唄の特徴は、アルプスのヨーデルの様な裏声の多用ですかね。手元のレコードにはいいサンプルがあるのですが YouTube にはアップされていない様です。敢えて拾ってみると;


D

Beni de Cadiz acompanyado por Miguel Borrul Alegrias

※伴奏のミゲル・ボル−さんにはカディスでお会いしていますが、往年の親子同名の弾き手とは別人。


フラメンコの唄い手としてのキャリア・実績共に立派なものですが、それを超えた部分−−−唄のみならずショーマンシップについては一緒に仕事をしたマノロ・カラコルとロラ・フロレスから多くを吸収したと思われ、スペイン内外で純フラメンコに限らずクプレっぽい唄 (流行歌の様なもの) も含め数多くの舞台を踏んでいます。また、 『カディスらしさ』 --- 粋、愛嬌、罪のないホラ吹き、人なつっこさ --- を生涯失わず、活動の本拠地はセビジャに定めたものの、亡くなった後もカディスに愛されているアーティストと言えるでしょう。


D

Beni de Cádiz Documental Beni de Cadiz 4/5 (5番まであるドキュメンタリーの4番)

※2009年10月25日リンク貼り直し

※そう云えばムリジョの絵を見にセビジャ美術館に行く途中で、ベニの店を偶然見つけて一杯ひっかけた覚えがあります。丁度その日ベニはいませんでしたが。

※このドキュメンタリー中、ベニがマルベジャ (有名な高級リゾート地) でアラブの王子様に唄ったと云うアラビア語の唄を披露しています。本物っぽく聞こえますし音階も正しそうなのですが、さてどこまで本当か。ハナモゲラ *1 かも。


ドキュメンタリ−の中で、ベニはカディスの Cantaor (アンダルシアのスペイン語で、フラメンコの男性の唄い手をこう呼びます。踊り手なら Bailaor、弾き手なら Tocaor ) と云うよりカディスの Contaor ( = Contador、語り手、スポークスマン位の意味) である、と言っていますが、まさにその通りですね。


無くなる前年1991年、ベニは、有名なカディスのカーニバルの名誉ある Pregonero (宣伝する者、この場合は多分公式の総合司会者の様なものでしょう) に任命されています。以下 url 参照;

http://modulos.grupojoly.com/carnaval_cadiz_2009/pregoneros/p1991.html

http://blogs.canalsur.es/carnavalsur/2009/02/03/con-el-gran-beni-de-cadiz/

このサイトではインタビュー動画が見られます。


フラメンコの枠に必ずしも縛られることなく、 " con propios sellos mu' gaitanos " でその生を全うし皆に愛された、稀有のカディスのアーティストであり唄い手であった、と私は認識しています;


D

Bulerias y Tanguillos. Beni de Cadiz


.

*1:タモリも芸達者ですからね。何とWikipediaで紹介されています!! http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%8A%E3%83%A2%E3%82%B2%E3%83%A9%E8%AA%9E

2009-05-04

学習障害と字のない絵本の関係、図書館や翻訳者の役割など

平成21年4月25日開催 「ラテンアメリカと子どもの本」 神戸万知 (ごうど・まち) さん講演会で公共図書館の司書の方から出された質問; 

    •  --- 学習障害をお持ちのお子さんにとっては字のない/少ない絵本の方が素直に受け入れることが出来、 (その様なお子さんは) 絵を読み解く能力に優れていると思われるので、講演会で紹介されたアルゼンチンのクラウディア・レニャッツイさんの絵本を是非図書館に配備したい ---

が妙に気になり色々調べてみました。折角時間をかけて調べた訳だし、翻訳とも無関係ではないので以下つらつらと書いてみることに。


まず、図書館をたま〜〜にしか利用しない私の認識不足を思い知らされました。『バリアフリー図書』 なんてものが存在することさえ知らなかったし、図書館が歩行障害 (車椅子関連) や視覚障害 (点字図書) に限らない障害者サービスを提供していることさえ認識が無かった。学習障害についても殆ど何も知らなかった。「読書の楽しみをすべての子どもたちに」 なんて当たり前と思っていたのに、それを実現させるのは容易では無いことを初めて認識させられましたね。


参考文献; (私もこれから熟読予定)

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/book/080320_yamauchi_cl2007.html

図書館利用に障害のある子どもへのサービス

山内 薫 (墨田区立あずま図書館)


http://www.kodomo.go.jp/images/event/evt/2005-06/symposium.pdf

国立国会図書館国際子ども図書館「読書の楽しみをすべての子どもたちに」

シンポジウム「バリアフリー図書の普及を願って―図書館と出版の協働」

第二部 討論   平成17 年7 月20 日 開催


でも同時に、それらが多分一般的には陽の当たらないところで地道に着実に活動されている図書館員やら出版に携わる方々、ボランティアの方々に支えられているのを知ることは、ゼニ万能の殺伐とした時代に、本当に嬉しいことですし、自然に頭が下がります。オレにも何か本当に価値のあることが出来ないか?と考えさせられてしまうしね。


一方で、いわゆる 『健常者』 にとっての 『字のない絵本』 については認識通り。即ち別に無くても大して差し支えないな、むしろ贅沢の部類なんだろうな、との感を強くしました。つまり、その様な用途のために販売した収益の一部を、図書館などへの寄贈に回してもいい筈だってこと。ゼニにこだわるのであれば販売価格に上乗せするなり費用を調整しておけばよい訳で。書籍にその様に記載しておけば購入者には納得して頂けるだろうし、執筆者・原作/翻訳者・出版社にとっては名前も売れる、正当な商行為ですからね。


さて本題; 何故字のない絵本が(ある種の)学習障害克服の役に立つのか?浅い知識に基づく誤解があったらご勘弁。(メールで指摘頂いても構いませんが、恐らく答え様がありません)

幾つかのサイトを見た結果参考とさせて頂いたのは; http://www.kyoto-v.com/ ”私たちi-Ten-Labo<アイテンラボ>は、京都のボランティアやNPOのIT(情報技術)化をお手伝いします。” のサイト中の 「学習障害の子の気持ち」 http://www.kyoto-v.com/output.php?id=458


■学習障害


この話題は高度に専門的ですから敢えて触れないことも考えましたが、精神病などと混同され差別対象になり兼ねませんから受け売りをします。*1(勿論精神病だって差別をしてはいけませんが)

上述サイトで案内されている【ことばと発達の学習室】のサイト中 「通常の学級の先生方へ :LD、ADHD、高機能自閉症やアスペルガー症候群の子ども達の理解と指導の為に」 http://www011.upp.so-net.ne.jp/aaaam500/kensyu/tujosidou.html より以下抜粋;


  •  LD(学習障害)

        定義 「基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが聞く、話す 読む、書く、計算する、又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。

        学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。」
  •  ADHD(注意欠陥多動性障害)

        ADHDは、脳内神経伝達物質のドーパミン代謝の異常を疑われる障害である。周囲の環境に合わせて自分自身をコントロールする事ができにくく、日常生活様々な場面で困難にぶつかる事が多い。

        診断は、医師によってなされる。診断基準では、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つが評価項目としてあげられている。こうした子供は、学齢期の児童の5〜8%ともいわれている。
  •  高機能自閉症・アスペルガー症候群

        自閉症は、情緒の障害や精神障害ではなく知覚や認知の処理過程の発達障害であり、その為、独特の偏りや遅れがあるのだという事が明らかになって来た。自閉症の特徴は、
        ■社会性の障害 
        ■コミュニケーションの障害 
        ■想像力の障害とそれに基づく行動の障害

     自閉症のうち、知的発達の遅れのない高機能自閉症や、知的発達もコミュニケーション(ことば)の遅れもないアスペルガー症候群の子どもたちは、一見、他の子どもと変わりなく見える事も多く、通常の学級にいることが多い。

これを読んでいると、何か自分にあてはまりそうなものもある様な気がします。と云うより、程度の大小はあるにしても、誰でも持っているのでは? 昔から怠け者・我儘・問題児などとして扱われていたタイプが、実は 「中枢神経システムの機能や器質に起因する発達障害」 のある子だとわかってきたのは、つい最近のことらしい。

その障害に見合う適切な配慮や指導がなされれば本来の力を発揮できる可能性が大きいのに、それらの配慮がされなければ社会生活を営むことを難しくするトラブルを増幅してしまう、二次障害の危険性があるそうです。すぐキレる、なんてのはこれに相当するのでしょうか。

でも考えてみると、昔は子どもの数も多かったし因果関係がわからなかったから二次障害は今よりはるかに多かった筈ですが、実感としては全く逆。だとすると 「発達障害」 の原因は食生活の変化以外には考えにくいですね。(シロートの珍説)


■字のない絵本との関係


『バリアフリー図書』 のバリエーションは多いと思いますが、ここでは字のない絵本に特化します。


要するに、文字を読む・追うことが苦手なタイプの障害者にとって有効、とのことですね。『字のない』 と云うことでは写真集やら画集やら録音・動画でもよい筈ですから、 『絵本』 の役割は楽しくストーリーを理解させることなのでしょう。

一方人間と云うシステムに関して私の持っている確信は、ある能力が欠ける場合、別の能力がそれを補うことでバランスを取る筈である、と云うこと。内部や外部の環境因子の変化にかかわらず生体の状態が一定に保たれるという性質からすると、ホメオスタシスと呼んで差し支えないか?

つまり、字は追えないから通常の絵本はウザくって見たくもない。でも絵だけであれば、特に全てにおいて柔軟である子どもの場合、ストーリーを把握する能力が他人より傑出しているのだから夢中で読める。そのうち文字にも興味を持つようになる−−−ってことでしょうか。


■翻訳との関わり


字が無ければ当然翻訳は不要ですが、外国での実例やら購入先の調査・紹介等では役に立てる筈。その部分だけなら私の様に翻訳の才は無いが外国語を扱える者でもいいし。字の少ない絵本の場合はその少ない部分が翻訳の腕の見せどころですしね。



−−− 今回色々絵本をネットで物色していて、むしろオトナこそ読むべきと感じた、字のない絵本を見つけました。もちろん子どもと語り合うのにもよい絵本です。入手困難なものですが、何とかして読んで感じたところを書いてみたいとおもっています。


.

*1:言うまでもありませんが、引用の責任は全て私にあります。

2009-05-03

オバマ新大統領のアメリカよ、どこへ行くつもりなの?

3月28日、オバマのアフガン政策新包括戦略について少し考察しましたが、現在世界中で問題となっている豚インフルエンザ問題発生から実質世界有事体制への移行を見ていると、前ブッシュ就任後の例の9−11事件発生と酷似する点が多く不気味ですね。 (蛇足ながら、9−11が無かったらブッシュは歴代最悪の無能大統領として政権の座から引きずり降ろされていたでしょうね。私の記憶では、就任直後の米マスコミ論調が正にそうでしたから。それが結果として、 「有事に強い大統領」 の評価はもらえることになりました。)


今回の豚インフルエンザの構成については朝日新聞の記事 (非常にわかりやすい図も掲載されています) によると;

http://www.asahi.com/science/update/0502/TKY200905020187.html

【新型ウイルス、由来は「人鳥豚豚」 10年かけ4種混合】 より抜粋


--- 98年ごろ北米で豚インフルが流行したときに、豚の体内で (1) 豚ウイルス (2) 人のA香港型ウイルス (3) 鳥ウイルスが混じり合って、まず「3種混合」のウイルスができたとみられる。

 これが北米の豚ウイルスと交雑を重ね、 (4) 最終的にユーラシア型の豚ウイルスと合わさって「4種混合」の新たな豚ウイルスになったという。このウイルスの表面のたんぱく質が、人に感染しやすい変異を起こした可能性が高い。

とのこと。問題は 「10年かけ4種混合」 がどの様に起こったか、と云う点。意図的かミスによるものかは別として人為的ではないのか? 報道だけを見るとメキシコの初動対応のまずさから問題が拡がった様に見えるが、実はメキシコは被害者ではないか?

「声なき声を届けたい」 なんて掛声倒れの日米マスコミは例によって全くアテになりませんから、イラン (URL中の右端サブドメインより判断) のマスコミ "PRESS TV" の記事を紹介しておきます;

以下、http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=92794&sectionid=3510212 記事より抜粋


Indonesia floats idea of man-made swine flu

Tue, 28 Apr 2009 09:46:25 GMT


As swine flu continues to take its toll, claims surface that the deadly four-part flu virus could have been created for "bio-terror attacks."


Speaking at a conference to reassure the public over hers government's response to the swine flu threat, Indonesian Heath Minister Siti Fadilah Supari said Tuesday that the controversial virus could have been man-made.


She declined to elaborate on her claim but she had previously accused Western governments of making and spreading viruses in the developing world to boost pharmaceutical companies' profits, AFP reported.


"I'm not sure whether the virus was genetically engineered but it's a possibility," Supari said. ---


今回の騒動で結果として誰が儲かるか? 小金を稼ぐのは 「インフルエンザ予防対策の商品」 を扱っている業者 (正に今インターネットビジネスの世界では、チャンス!!と煽り立てています) 、大きいカネを稼ぐのはワクチン製造を行う製薬会社でしょうね。 では国外で起こす戦争で儲けるのは誰か? 戦争中は軍事産業、復興時は建設業者、いわゆる軍産複合体ですね。製薬業界も軍産複合体も戦争で肥え太って来た産業。金融恐慌やら自動車会社の破綻やら経済に行き詰まって、こんなところに活路を見出されては迷惑このうえないのですが。


豚の陰に隠れてしまった感のあるアフガニスタンでの展開については、今月6、7両日にオバマ大統領がアフガニスタンのカルザイ大統領、パキスタンのザルダリ大統領とワシントンで会談する予定なので、その経緯を見守りたいところ。



※ ネットで調べものをしていましたら、昨年7月12日夜に起きたペンシルバニア州でのメキシコ人移民ルイス・ラミレスさん(当時25)の暴行殺人事件に関し、加害者であるヤンキーのガキ2人に殺人罪や加重暴行罪、人種脅迫罪に関して無罪評決が出たことを知りました。結果として単純暴行罪のみ適用されるとのこと、この国の標榜する自由だの正義だの平等のレベルが知れるエピソードです。亡くなられたルイスさんとご家族には本当にお気の毒、としか言いようがありません。


http://www.nytimes.com/imagepages/2008/08/05/us/05attack_CA0.ready.html

に掲載の写真;

f:id:El_Payo_J:20090503204339j:image

Que descanse en paz, sin odiar a nadie ---