遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

日本の米国債保有 その1

昨年9月末時点で米国債の最大保有(債権)国は日本から中国となりましたが、NYTが今回のオバマ中国訪問に際して以下記事を掲載した様です;

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091116-00000575-san-int
NYタイムズが米中の力関係変質に警告
11月16日18時43分配信 産経新聞


 【ワシントン=山本秀也】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は15日、北京での米中首脳会談に臨むオバマ米大統領が、「銀行家に敬意を払いにやって来た浪費家の役回り」を演じることになると論じた。中国が世界最大の米国債保有国となったことで、中国が人権問題で対米配慮を拒むなど、米中の力関係が変質し始めたことに同紙は警鐘を鳴らしている。 (以下略)


ここでイヤらしいのは、過去米国債の最大のお得意先であった日本に関しては、少なくとも私の知る限りは (日本がどこかを抜いて最大の保有国になったのはいつか今認識していませんから、その時には言われたのかも) このテの 「警鐘」 なんか鳴っていなかった点。NYTのコトバを借りるなら、今回オバマは 「浪費家代表として第2位の銀行家に敬意を払いに来た」 と言えますね。でもそうでは無いところが日本がアメリカにとって最高のカネづるであった所以。そりゃぁそうです、いくらでもカネを貸してくれ、返済だのうるさいことは一切言わない、いや実際には言わせてもらえなかったのですけど。鳩山政権になってこの点はどうなるのか大変興味がありますが、巷に溢れるアメリカよいしょのガキ共や自称投資アドバイザなどではなく本当のプロの意見を読んでみたいものです。この件について私の認識は虫食い的ですから、幾つかの参考記事を2回に分けて紹介することに。

  • http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091109-00000014-mai-bus_all
    <外貨準備高>10月また過去最高に 95兆円に膨らむ
    11月9日11時15分配信 毎日新聞


    −−−1兆567億6900万ドル(約95.1兆円)と、4カ月連続で増加し、8月末から3カ月連続で過去最高を記録した。金価格の上昇やユーロ高・ドル安で、金やユーロ建て資産のドル換算額が増えた。【斉藤望】


話題となっている 外貨準備 (ウィキペディア) の大まかな内訳は、2000年度以降開示されるようになった (外貨準備等の状況(財務省) を参照)。またその運用は、実質的に米国債、預貯金、金などに限定される方針が財務省から出されている(外国為替資金特別会計が保有する外貨資産に関する運用について(財務省) を参照)。



ご覧の様に米国債保有残高は財務省からは開示されていませんが、米財務省の公表資料から類推可;

http://www.business-i.jp/print/article/200908310005o.nwc
■日本の外貨準備 多様化の可能性
金融ジャーナリスト・森岡英樹2009/8/31


−−− 日本の外貨準備の運用については、「外貨証券」の総額が開示されているだけで、その内訳は市場への影響を考慮して非公表になっている。しかし、米国債保有状況については、米財務省の公表資料からトレースでき、その残高は6月末で7118億ドルに及ぶ。外貨準備の約70%強が米国債にくぎ付けにされている状況である。一方、いまや世界最大の外貨準備(6月末で2兆1316億ドル)を持つ中国は、その運用の多様化を模索し始めている。これまでのドル資産一辺倒の運用から、ユーロやその他の通貨建て資産を組み入れた分散化を志向し始めている。この中には、IMF国際通貨基金)のSDR(特別引出権)を念頭に置いた運用も含まれている。巨額な外貨準備を背景に中国が通貨覇権に物申しはじめたことは間違いのない事実だ。


 日本はどういうスタンスで臨むのか、いまだ明確な意思表示はなされていないが、民主党の金融対策チームの幹部議員は「外交上の配慮もあり総合的に判断されなければならないが、外貨準備は国民の資産である以上、国富の観点から再考の余地はあると思われる」と言う。仮に、日本の外貨準備の分散化が実現されれば、為替、債券など市場への影響は非常に大きいものが予想される。


(以下、その2に続く)