イスラムに対する偏見・差別のこと
昨年スイスが ミナレット (ウィキペディア) (モスクに付随する、元々は礼拝告知の塔) の新規建設の禁止を国民投票で可決したことに始まり、年末の 「テロ未遂」 騒ぎからアメリカが実質イスラム圏諸国をターゲットにした保安強化策を打ち出したことで、イスラムの疎外感が強まっている様です。イスラムとのつきあいも長く人権先進地域と見られることの多い欧州ですが、ある報道によればEU内在住のムスリムの55%が、特にここ数年で宗教的な差別がひどくなっていると感じているとのこと。 (" 55% de los musulmanes que viven en la UE afirma que la discriminación religiosa ha aumentado en los últimoscinco años, segúnun estudio del Open Society Institute " UNIÓN EUROPEA, スペインの LA VANGUARDIA 紙) トルコ程の国がいまだにEUに加盟出来ない本当の理由は、政教分離原則に基づく共和国体制ではあるが国民の大半がムスリムだからでしょうね。EUの中核をなす旧西欧は、なんだかんだエラそうなことを言ったってまだ中世的な偏狭なキリスト教圏のままだなぁ、と私は勝手に考えています。 『欧米』 って先進的なイメージはありますが、何でもかんでも我々がお手本とすべき地域ではない;
- 米機テロ未遂 14カ国への空港検査強化、米内外から反発
1月6日12時34分配信 毎日新聞
−−− 米イスラム関係評議会(本部・ワシントン)の代表、アミナ・ルビン氏は毎日新聞の取材に「この新しい方針で、大半のイスラム系米国人は米国とイスラム諸国を行き来するたびに、特別な検査を強いられることになる。信仰や国籍で区別することになり、差別を助長することになる」と指摘。警察犬を増やすなど、あくまで「所持品」に焦点を置いた対策をすべきだと訴えた。
同評議会は、米国に住むイスラム系移民らで作る非営利法人としては全米最大。イラク戦争が始まった03年以降、イスラム系であることを理由に差別を受けたとする苦情が増え続けているという。ルビン氏は「今回の新方針で、米国が安全になるとは思えない」と話している。
- ムハンマド風刺の漫画家襲撃 表現の自由…テロの脅威 欧州警戒
1月5日7時56分配信 産経新聞
−−− 【ロンドン=木村正人】イスラム教預言者ムハンマドの風刺画を描いたデンマークの漫画家、クルト・ベスタゴー氏(74)がソマリア系イスラム過激派に襲撃された事件について、欧州の主要紙は一斉に「表現の自由」の擁護を主張し、テロ行為を非難した。欧州ではイスラム系移民の急増とともに移民排斥を唱える極右政党が台頭しており、「表現の自由」と「信仰の自由」の調和を訴える論調もみられた。 (以下略)
- General Assembly President expresses concern at Swiss ban on minarets
2 December 2009, UN News Centre
- UN rights chief says Swiss ban on minarets ‘clearly discriminatory’
1 December 2009, UN News Centre
- スイス、モスク尖塔の建設禁止可決へ 政府は困惑
2009年11月30日1時8分 asahi.com
−−− 【パリ=国末憲人】スイスで29日、イスラム教モスクのミナレット(尖塔=せんとう)建設を国内で禁止する憲法改正案の是非を問う国民投票があり、大方の予想を覆して禁止賛成が多数を占めて可決された。「イスラム化」の不安をあおった右翼勢力の運動が功を奏した形で、政府には大きな痛手。イスラム諸国の反発が予想される。 (中略)
スイス・イスラム教組織調整会のアフシャール代表はTSRテレビで失望を表明。「ミナレットが建設できないのが問題ではない。スイスはイスラム教社会を受け入れない、というサインを突きつけられたことが悲しい」と述べた。 (以下略)
- Casi el 80% de los musulmanes de Europa ha sido discriminado
Actualizado jueves 28/05/2009 20:52 horas, elmundo.es
−−−Malta, Italia, Finlandia, Dinamarca y España son los países más discriminatorios. En España, además, el 65% de los musulmanes desconoce que la ley prohibe el racismo. Es más, al ser preguntados, el 60% siquiera entendió de qué les estaban hablando. El 80% de los musulmanes encuestados en Europa desconocía que hay organismos, oficiales y privados, a los que pueden acudir para denunciar la discriminación. (以下略)
私は幸か不幸か、無神論者ではないものの特定の宗教を信ずるものでもありませんが、 「言論・表現の自由」 が他宗教 *1 の侮蔑まで含むのか? については否定しますね。自分の信ずる宗教を否定されたり侮蔑されるのは、誰だって嫌でしょう。例のアメリカ9−11以降、イスラム=テロリストと云う構図が巧妙に様々な形でインプットされ、それに反発する行為を挑発し、それ見ろ、だからイスラムは−−−と云う悪循環に陥っている様な気がしてなりません。2005年の預言者ムハンマド風刺画のコピーはネットからダウンロードして持っていますが、そんなものを描いた意図がよく理解出来ません。 *2 だからと言って画家を襲撃することは法治国家で許される行為ではないが、でももし誰かがキリスト教徒であれば激怒する様な侮蔑的な風刺画を描いて発表したらどうなるか? 多分同じかもっとヒドい目に遭う筈です。勿論報道されず闇に葬られるでしょうが。
フランスでもサルコジ自身が、ブルカ (ウィキペディア) は宗教的な伝統ではなく女性隷属のシンボルだとして嫌悪感を表明しています。フランス的な感覚からすればそうでしょう、嫌がるムスリム女性もいるでしょう、海でも大変そうですよね、でも一国の為政者が軽々しく口にすべきコトバではないだろうに。誰かに迷惑がかかっているのならまだしも、フランス国内では個人の信条に任せるべきと私は思いますがね。法律で着用禁止を強制する様なことなのか?
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*1:信じない者は抹殺せよ、とか皆で自殺しよう、などと云うカルトはさすがに除外すべきとは思いますが。
*2:ウィキペディアの記事がよくまとまっていますので敢えて紹介; ムハンマド風刺漫画掲載問題