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2018-04-26 ダニエル・オッテンザマー氏を迎えて

[]ダニエル・オッテンザマー氏を迎えて 09:02

今日付け、わかやま新報”とらふすクラシック・54”

 ダニエル・オッテンザマー氏を迎えて

         ピアニスト 村田千佳

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 ロリン・マゼールが最後にウィーンシベリウス交響曲第1番を振ったとき、私は偶然にもリハーサルを聴いていた。この曲はクラリネットの美しい独奏で始まるのだが、ジーンズ姿の若いクラリネット奏者が何とも美しいソロを披露マゼールと団員が温かい拍手を送っていた。当時首席エルンスト・オッテンザマーの代わりに、ご長男ダニエルが吹いていたのだ。「ああ、ウィーンフィルは、リハーサルでは若手にチャンスを与え、次代を育てる土壌があるのだなあ」と感慨を覚えたのだった。

  それから数年後、ダニエルと共演した際、その話になった。「あのリハーサルを聴いていたの?!それはラッキーというか、あの日は大変で、父が結石で倒れ病院に呼ばれて、リハーサルは頼んだ…って、なにしろあの曲は吹いたことがなかったからね。マゼールの楽屋へ飛んでいって、僕は吹いたことがありませんから誰か他の人に代役をお願いしますって懇願したら『心配いらないよ。私を見ていれば自然に音楽が出てくるから』と言われて、もう必死にやったんだよ。あれが言ってみれば 僕のオーケストラデビューだった」とウィンクをしな がら話すダニエルは、今やエルンストの跡をついで、立 派なウィーンフィル首席となり、楽団を背負って立つ 主要メンバーとなった。

 そのダニエル・オッテンザマーが、5月23日(水)、メディアアート・ホールに登場する。初めての和歌山だが、何年か前、緑風舎リサイタルを行った弟アンドレアスからこの地のことを聞いているらしく、本人は非常に楽しみにしている。クラリネットは深く豊かな音色の出る楽器だ。公演では、シューマンの美しい幻想小曲集に始まり、生粋のウィーンっ子ダニエルが繰り広げるヴェルディの「リゴレット」「椿姫」による幻想曲。途中ロマン派を彩る独奏曲を挟んで、最後はコヴァーチのオマージュ作品、これは一番のおススメです。どうぞお楽しみになさってください。

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村田千佳 ピアニスト 和歌山市生まれ。東京藝大学附属高校、同大学同大学院修了後、ウィーン国立音楽演劇大学大学院修了。大桑文化奨励賞、和歌山市文化奨励賞、和歌山県文化奨励賞受賞。


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