ヒョルト人のカルト:バーンター

Epikt2008-04-11

●ヒョルト人の農業の神と言えばバーンター。田の力と書いて男、鋤(すき)の男と書いてバーンター。オーランスとアーナールダの息子、鋤引くものバーンター(Barntar, Plowman)です。

●バーンターの最大の功績は生まれてきたことです。生まれたばかりのバーンターを抱かされたオーランスは衝撃を受け、初めて父性に目覚めました。彼はこの時、ようやく平和について理解しました。オーランスとアーナールダの間に生まれた最初の子どもなので、バーンターは“初子”とも呼ばれます。バーンターが生まれなければオーランスはただの荒くれだったかもしれず、世界はどうなっていたでしょうか。オーランスもアーナールダもこれが最初の子というわけではなかったんですが。

●成長したバーンターは農業の神になりました。この辺は象徴的で、たしかに平和でなければ農業は育ちません。バーンターはオーランスの下位カルトではなく独立したカルトです。ヒョルト人全体の85%がオーランスとアーナールダの信者ですから、バーンターの信者は残りの神で分け合う15%に含まれていることになります。農場に1人いるくらいの、農業技術者といった感じでしょうか。

●バーンターは父親の風の力、暴力の力を受け継いでいません。彼の神力は《農業》《家畜》《正直な労働》です。農業が自然の恵み+人間の努力だとすれば、バーンターの専門は後者です。大地の恵みに頼ってるわけですから、どちらかというとお母さんっ子です。バーンターの敵は飢えと旱魃の神ダーガで、バーンターがダーガに連れ去られると人々が飢え始めた、というからやっぱりバーンターの力は偉大です。

オーランスがこの息子のことをどう考えていたのかわかりませんが、心無い言葉を吐いて傷つけたこともあるそうです。バーンターは引きこもってしまい、オーランスはアーナールダに、息子を誇り、幸せにすると誓ったではありませんか、と叱られています。

●ルナー帝国はバーンターをおとなしく、くみしやすい神と見てオーランス信仰からの改宗を勧めています。ところがオーランスにとどめが刺されるはずの凍土の戦いの最中、クルブレア部族の族長、バーンター信者の“負け犬”ラナルフが反旗をひるがえし、反乱軍の士気を大いに高めてしまいました。

●バーンターの神力《家畜》の神技、《雄羊(Ram)を抑える》《豚を出し抜く》《雄牛(Bull)を馴らす》《猫への口笛》なんかはそれぞれの動物を顕現とする神がいるので、深読みすることもできますね。