エレニの日記 このページをアンテナに追加


名刺交換で気を付けること

2015-03-21

ルミネの広告のストーリーは諧謔であること。またもう一つの炎上の件


ルミネの働く女性たちを応援するCMが酷い内容だった - 田舎で底辺暮らし

ルミネのお詫びの下手くそさ - 田舎で底辺暮らし


これね。
彼女に対するバッシングも出てきた様なのでもう少し早く書いとけば良かったんだろうけど(炎上に参加する程の元気もないので)。


ルミネは動画を消してしまったし、この後どういう情報が出てきたか追っていないんだけど、結論から言うとストーリーの諧謔性を理解しない構成のせいで誤解が誤解を呼んでしまったように見える。
この方の書いてるように構成は明らかにチグハグで、最初のシーンの「無駄に上から目線で、身に構ってるけど他人をどうこう言える程ではない」男の登場が示唆するストーリーと、「変わりたい? 変わらなきゃ」の煽りが噛み合っていない。

通して見て思ったのは、ストーリーとそれに即した演出がかなり繊細にされている事、それに反して幾つかの煽りの入れ方が、ストーリーの含意を踏まえていない事。


主人公と巻き髪の女の子は同一人物だとどこかで見たけれど(これが事実かどうかは確認してません)それぞれの役どころは意図的にステレオタイプに演出されている。
主人公の女の子は、容姿はそこそこでお洒落な所に勤めているけど、髪は構っていなくてとりあえずのまとめ髪。色気はないけどそれなりにお洒落なボーダーシャツ、メンズっぽいくたびれた革靴(多分)を裸足で履いていて、その事はわざわざ1秒程足元を映して強調されている。

主人公には今気を入れてお洒落するほどの精神的、体力的余裕がない。
それなりのファッションのこだわりもあるけど、CanCam みたいな女の子には死んでもなれない。でもそういう典型の巻き髪の女の子の事は素直に可愛いと思っている。
以前テレビで怪しげな占い師が「恋人が何年もいないと言ってきた女の子は全員ボーダーのシャツを着ていた」と言ってたのを聞いたけど、まあ、そういう含意のある演出。
行くなら代官山とかに行くタイプなのかな。

(【追記】お店でも同じ服だった記憶があるので、制服を着て出社してるという事かもしれません。これについては画面だけ見ているだけでは判断できないのですが。)




で、「女子色」ワンピースを着た巻き髪の女の子が登場して、主人公と仲よさげな気心の知れた目配せをする。最初の男はそれに気付かずにペラペラ喋っている。
主人公と巻き髪の女の子が男の御託を相手にしていない事は、ここの演出ではっきり示されてるんだよね。男の賛辞は巻き髪の女の子の眼中にはない。


第二弾の中で主人公が歴女だという描写が出てくるけど、主人公の女の子は知性的でオタク気質で、自分の感性に本当は自信は持っているけど、それを口に出して言えないタイプ。最初の男のようなタイプに嘲られるのがわかっているから。
そして「巻き髪の女の子になれない自分」へのもどかしさは、主人公にとって自分の思いきれなさ、臆病さとリンクして象徴的な物に見えている。

失礼な男の言葉は、だから彼女には自分自身の内なる声とリンクしている。それゆえに怒りもせずに素直に彼女かわいいですよねと返す。男の人物設定はリアリティはあっても、明確にピエロとして描かれているわけで。


そして最後の場面、(明らかに最初の男と対比させた容姿の)イケメン男性が彼女の姿を見ている。
要するに、それは「今のままの彼女」が異性にとって魅力的であるという事。
主人公の「女」としての魅力は世間に「通用」していて、でも本人の「媚びる」事への忌避が、素直な反応と、彼女がずっとしたくてできないでいる「もう一歩」を阻んでしまう。

筋立てとして、そこの突破口をファッションが担うって事だと思う。
そして、その解釈はとても正しいと思う。



第二弾では、イケメン君が共通の趣味を話のネタに主人公に積極的なアプローチをしてくる。彼自身もややオタクっぽくて、彼女の知性(と感性)へのストレートな評価を口にする。
だから、彼は彼女の価値をちゃんとわかって好意を寄せているっていう。彼女にもそれは伝わっていて、だけどどうしたらいいかわからなくて、舞い上がってベラベラ喋り続けてCMが終わる。

【追記】
>>し
id:yas-mal 僕は「真田幸村」「信繁」のやりとりで、「リア充ライトオタ」と「空気の読めないガチオタ」という「相容れない二人」と解してしまったのでfuyu77さんと同じ意見…難しいね。
リンク 2015/03/21

というコメを頂きまして、私には「信繁」「幸村」のやり取りの意味がわからなかったので、ヤスマルさんの仰る通りかと思います。微妙に手の平返しそうなキャラかなとも思ってたのですが、ラインが全く逆になる所もでてきますね。明らかに間違っている所に線入れておきます。


このストーリー作った人、根っからの「キラキラ女子」じゃないと思うけどね。
正直、あまりにもステレオタイプな描き方とか、ちょっと微妙だなと思うとこもある。ただ、こうやって叩かれるのはあまりに気の毒だと思った。


沢山の人が指摘している通り、煽った演出が酷いことになっているんだけど、それもストーリーの諧謔と反作用を起こしたゆえに余計あからさまにみえてしまったんだろうなっていう。


冒頭のブロガーさんは怒りの持ってきどころがなくなっていて、でもじゃあ何で削除したわけってのは普通に思うんじゃない。わたしはもっと前の段階で、沢山の人が理不尽だったと思う。



あと、あえて名前を出さないでおくけれど、その前の炎上の件。
あるグループの方々に対しての怒りが、ちょっと制御されなくなって来てしまったと思う。
ああいう揉め事起こす人って、社会認識が幼いからどこまで行ったって完全な謝罪なんてできない。

そして、ネットの争いだからネットに載せてそれでいいよねというのはわたしは必ずしも不当ではないと思う。
彼女達が意識しているかはわからないけど、日本の外に行くと政治家や著名人がフェイスブックを重要な発表に使う例は結構あるので。

彼女達がやった事は言い訳はできないし、当事者の方の割り切れなさはどこまでも残るんだと思うんだけど(そして内容証明の意味もわからない相手に途方に暮れたと思うんだけど)。



女性の魅力って物は、とても扱い辛い物だと思う。
そして余計な事を言うと、その魅力に惹かれて来る異性も、その魅力をその目で見ていない。

自分が惹かれている彼女の何かを、自分を引き立たせる道具に使えると思ってしまう。自信の無さゆえの錯覚から、優位を示すために彼女に酷い事を言う。

そして時には酷い事をする。


どこまで行っても、自分が惹かれた「何か」にその異性は向き合う事はできないし、彼女の求めている事からどんどん離れていく事しかできない。

それはどうしようもない。
自分の名誉を回復したら、結局すべき事って残ってないんです。



【追記】『「諧謔」の意味が違う』との指摘を複数頂きました。
その通りです。どうもすいません…

勝永スキー勝永スキー 2015/03/22 05:24 セクハラ云々は置いておいて、ストーリーだけ見て、ブログ主さんとけっこう読みが違ったので、書き込みさせてもらいます。

ブコメを引用肯定されてますが、主人公の後輩くんは、

・「リア充ライトオタ」ではなく「非リアの歴史興味なし男」

だと思います。
挙動不審かつ、「歴女には美人が多い」という発言の唐突さからも女性と話し慣れていない様子がうかがえます。
彼は主人公と歴史の話がしたかったのではなく、単に美人だと褒めて気を引きたかっただけでしょう。

で、その後輩くんに対する主人公のリアクションを見ていると、彼女が自信の無い人物として描かれていることも判ります。

これは一話と合算するとよりハッキリします。一話では容姿を貶されて落ち込み、二話では容姿を褒められて喜んでいる――つまり彼女は自分に?自信は持っているけど、それを口に出して言えない?のではなく、自分(の容姿)に根っから自信がなく、外部評価によって一喜一憂してしまう女性、ということでしょう。

対して巻き毛の女性は、一話でも二話でも男性を上手く受け流しており、外部評価に依存してないことが判ります。
主人公と巻き毛の女性は、外見だけでなく、精神的な部分も対比させられています。

そして諧謔、という観点から言えばここまでの展開の中にルミネのポジションが無いので、評価は不可能かと。

二話までで自信のない主人公、それと対置されるキラキラ女子、そして彼女らを一個の人間ではなく女としてのみ消費する男性のまなざし、という三つのガジェットは用意されたわけですが、ルミネで買い物をした結果(あるいはしなかった結果)が描かれるまでに至らなかったのでオチがついていない、ということですね。

ルミネで買い物をし、オシャレをした結果、自信が持てるように変わったというオチなら順当過ぎて面白くもなんともないですし、ブコメにあったように「『ルミネで幸せは手に入らない』」とくればユーモアがある、となるでしょう。
(まあこの辺は好みもあるでしょうが)

二話までの極めてステレオタイプなキャラ造形+ストーリー展開から察するにラディカルなオチになったとは思いにくい……というのが私見です。
まあ企業CMなので面白さを期待する方がアレという話はありますが。

以上、長文失礼しました。

EreniEreni 2015/03/22 06:44 >勝永スキーさん
ほぼ同様の内容をヤスマルさんという方に指摘されまして、修正の追記を入れました。
私には「真田幸村」「信繁」の意味がわからなかったので、この部分はご指摘の通り意味合いが全く違ってくると思います。

また、「自信は有るけど」というのはかなり内的な話で、基本的には自信のない女性だというのはその通りかと。
基本的に最初に出て来た男の態度をそのまま肯定している内容には見えなかったので、そのあまりに直裁的な解釈は訂正しておくべきだろうと記事を書きました。
構成上、他に解釈があり得ると思う箇所も一つを残して切ってしまっています。
正直なところ、他にも間違っているところがあるんじゃないでしょうか。

ご指摘ありがとうございました。他人の創作物をあれこれ解釈するのはやはり難しいですね。

tennteketennteke 2015/03/22 07:12 講談社の「コスメの魔法」という
「キレイを怠るのは犯罪です」という決めぜりふがあるマンガが面白くて好きだったのですが、
このCMを嫌いな人はこのマンガも嫌いかな?と思ったのですが、ツイッターで
「コスメの魔法」はオシャレで女性の自立を促すマンガ、
このCMは女性が男に媚びを売るよう促すマンガで、違いますと言われました。
それで納得したんですが、このCMにも主人公に求めるだけの男がいるのに、
「こういう服もある、こういう化粧品もある、こういう技術もある」という、
主人公と共に歩く指導者とか助言者(ルミネがその立場に、という姿勢)が無いのが企業CMとして足りなかったのですね。

EreniEreni 2015/03/22 10:36 >tenntekeさん
すごいおひさしぶりですね。
「変わらなきゃ」の唐突な入れ方は媚びを前提にしてる感じはするのですが、ストーリーそのものはやっぱり違うと思います。
記事には書かなかったのですが、描き方の目線が主人公を突き放しすぎてる感じもして、なんか残酷にも思ったんですけどね。数十秒を1回ずつしか見てない訳ですから、そういう印象そのものが正しいのかもよくわからないのですが。