第1話「かぜ 〜breeze〜」 第2話「まち 〜town〜」

うえっうぇっうぇっ。
一年前のリアルタイム放送時は周囲の評判を聞いてから見はじめたので、この辺のお話は初視聴になります。思わず即死してしまいそうになるほど幸せな世界。みすずちんが転んだーとかゆきとさんが蹴っとばされたーとかわたあめわたあめーとかいちいち何か動きがある度に過剰反応。原作ファンにはたまらんことだと思います。いやっほーぅ国崎最高ー。
でもここでちょっと冷静になってみますけど、こういう幸せな感情が喚起されるのは私がお話を最後まで知っているからなんですよね。往人さんの宿命とか観鈴さんの悲しみとといったバックグラウンドを知っているからこそ、彼らが喚いたり転んだりする一挙一動で心を揺り動かされまくるわけです。そういった背景を抜きに初視聴者の立場でこの序盤を見返すと、そこにあるのは見るべきところの何もない、ただ何となく心地の良い光景でしかありません。何かひぐらし鬼隠し編序盤を再プレイしたときと似たような気持ちです。美少女ゲームの前半は二周して初めて価値の出るものなのだと、今何となく思いました。
あと今さらですけど、観鈴さん役の川上とも子さんは物凄い良く演技をされてますね。この作品の序盤に頻出する観鈴さんの口癖は、テキスト上では恐ろしく空虚な記号でしかありません。ところが川上さんは、そこに確かな身体性を与えています。これは本当に凄いことです。並みの仕事じゃありません。だって「が、がお」ですよ? 「にはは」ですよ? こんな文字列を見せられたら「お前が絶滅しろ」とか思うのも当たり前です。普通の台詞ならともかく、こういった不自然な文字列を「生身の人間が発するもの」として自然に発音できる川上さんの表現力、これこそが『A I R』という作品を支えているいちばんの柱なんじゃないかなと思います。