『天球儀 藤崎竜作品集3』

藤崎竜作品集  3 天球儀 (集英社文庫―コミック版)

 半年くらい前に出た出た作品集。二冊あるコミックス版短編集の「第三弾」ではなく、『PSYCHO+』『サクラテツ対話篇』と続いた文庫版作品集の第三弾という位置づけ。表題作の「天球儀」のみ単行本初出で、残り7作は過去に刊行されたコミックス短編集に既に収録されているものです。なので既刊を読んでるファンが新しい作品を求めて買うにはちょっと割高なんですけれど、収録の構成が凝った作りになっているので一冊の本としては面白いものになっています。

 最新作の*1「天球儀」から「異説 封神演義」「milk junkie」と過去に向かって一作ずつ時系列を遡り、最終的にデビュー作の「ハメルンの笛吹き」まで戻っていくという構成。「DRAMATIC IRONY」と「SOUL of KNIGHT」の間で絵が骨格レベルでものっそ変化していたりして、『封神演義』以降から読み始めた人にはとても新鮮なのではと思います。

 シュールでへんちくりんなデザインが、全体を通して印象的。初期に強く見られるダークな作風は「封神演義」ブレイクの後は長い間なりを潜めてましたけど、今まさに連載中の『屍鬼』のルーツになるものとして藤崎さんの中に密かに流れ続けてきたものなのだと思います。一作一作感想書いてたらやたらと長くなったので、三日くらいに分けて更新しますよ。

*1:と言っても数年前みたいですけど。