2011-09-01
感想:千澤のり子『シンフォニック・ロスト』
中学校の吹奏楽部のお話。部内で恋愛すると片方が死ぬ! というよくある怪談話がまことしやかに囁かれる中でほんとに人が死んでしまい、少年少女があれこれ思い悩む青春ミステリーです。
小説としては淡泊。人が死ぬとは言っても派手な引きや展開はなく、落ち着いた叙述で淡々と進む作品です。吹奏楽部でミステリーで主人公の担当がホルン、なんて聞くと古野まほろさんの天帝シリーズを連想してしまいますが、本作にはまほろさんのように奇を衒った表現は全くありません。作風としては完全に真逆ですね。
表紙は爽やかで、駅の本屋さんとかで気軽に手が伸ばせそうな感じですが、ミステリーとしてはすごい硬派。探偵が出てきて「これこれこういうことだったんですよ〜」っと説明してくれることもなく、全ての謎を解決するただひとつの決定的な事実を突きつけて物語を閉じる形。一読しただけで作品構造を完全に理解することは難しそう*1なので、多くの人に再読を強いてしまう作品ではあるかもしれません。

