ヴェランダ栽培からクラインガルテン耕作へ

ウィーンに住んでいた頃、アパートの回りを散歩しているとクラインガルテンと呼ばれる週末の小屋と自家菜園が並ぶ一角によく出くわした。これは、市が土地を市民に安い値段で貸し、週末を菜園の手入れで過ごすという制度に基づくもので、30年前は80平米ほどで年間5千円に満たない地代だったと記憶している。このクラインガルテンは戦中戦後の食糧難の時代には貴重な食糧補給拠点となったそうだ。ウィーンの人々が見てくれの良い野菜や果物よりも滋味豊で自然な味わいのものを好むのもこのクラインガルテンのおかげで都会生活をしながらも、自ら農産物の生産者でもあるという立場に起因している気がする。
 ドナウの対岸には水辺に沿ってクライン・ガルテンが並ぶ一角もあり、大木の枝の上に小屋がけをしたり、船をかたどったりと遊び心溢れる小屋が並んでいた。
 ドナウの岸辺の小屋を船から眺めてみたいという人は、自然との共生を訴え続けたポストモダンの画家フンデルトヴァッサーがデザインした船でドナウ運河から出発し、同氏の設計による地域暖房センターを兼ねたゴミ焼却場などを眺めながらドナウ本流へと出て行くフンデルトヴァッサー・グランドツアーに参加することをおすすめする。
クラインガルテンの実態についてはクラインガルテン(ウィーン市のホームページ−独語)http://www.wien.gv.at/stadtentwicklung/04/01/03/01.htm やクラインガルテン(民間のホームページ−独語)http://www.kleingaertner.at/ などのサイトで画像を見ていただきたい。
検索エンジンで「クラインガルテン」と検索しても「日本クラインガルテン研究会」http://homepage3.nifty.com/jkg-ken/を初め多くのホームページが見つかるはずだ。日本の自治体のいくつかがクラインガルテン制度を導入している実情も読み取られるだろう。
私の今年の目標は、今までのヴェランダでのハーブ栽培から脱皮して、ヴェランダでのトマトや茄子、胡瓜などの水耕栽培を試みることと、どこか近くでクラインガルテンを借りて自ら耕してみたいというものだ。順調に進み始めたら改めて報告させていただきたい。
☆写真はウィーンのアルテ・ドナウ地区にあるクラインガルテンと週末の家