人生を決めた15分 創造の1/10000

日曜日は、読書三昧の日だった。

読んだ本は、以下の3冊。

経営は「実行」―明日から結果を出すための鉄則

経営は「実行」―明日から結果を出すための鉄則

留学時代から気になっていた本"Execution: The Discipline of Getting Things Done"の邦訳。
企業経営は、いくらよい戦略を描いても、それだけではよくならない。「実行」が重要であり、そのために何をすべきか、について述べた書。
実行できない戦略は効果がないとし、その打開策の処方箋も述べているが、全体にやや冗長な感があり印象が薄い。


BRICsの底力 (ちくま新書)

BRICsの底力 (ちくま新書)

BRICsの実態と今後の世界に与える影響について理解を深めるのに役立つ入門書。
内容が平易なので、既にある程度知識のある方には物足りないかもしれないが、BRICsをトータルにつかむ初めの一冊としては有用。
BRICsを始めとする新興国の台頭の中で、日本が果たして国際政治経済において存在感を発揮できるのか、展望が不透明であることに不安を感じさせる。


人生を決めた15分 創造の1/10000

人生を決めた15分 創造の1/10000


以前のエントリーでも紹介した、米国のGM、ドイツのポルシェ、イタリアのピニンファリーナでカーデザイナーとして働いたこともあり、フェラーリなどのデザインも手掛けた、世界的なカーデザイナーであり工業デザイナーでもある、奥山清行氏の三冊目の著書で、奥山氏のデザインスケッチがふんだんに盛り込まれ、ビジュアル的にも楽しめる、奥山氏の世界での挑戦の中での出来事やそこで培われた人生観・世界観・ものづくり観などが込められた、珠玉のエッセイ集。
本書のタイトルの中の「創造の1/10000」は、1つのデザインを決定するまでに1万枚のデッサンを描くこと、あるいは100枚描ける人を100人集めること、つまりそれほど懸命に突き詰めて仕事をするという、著者の思いが込められており、奥山氏の代表作と言われているフェラーリのエンツォのデザインを描いた「人生を決めた15分」は、偶然からやってきたのではなく、「1/10000の創造」の中から必然的に生まれる、という意味が込められ、本書のタイトルが生まれた、とのこと。
大変内容の充実した本で、とても一言二言で要約できる内容ではないのだが、とにかく、世界のプロフェッショナルとして生きていくためには、人と交わり、恥も汗も人一倍かき、何度も失敗しながら挑戦する必要があること、そして、自分自身を突き詰めること、自分の本当に好きなことを追求することの大切さを感じさせてくれる。
また、巻末の解説で茂木健一郎氏が述べているように、輝く個人を育むのは、困難に直面しても前に出る勇気と、経験から学ぶ謙虚さであること、また、優等生や組織人でなく、個人としての蛮勇と繊細さの中に、未来に導く光があることを感じさせる。
奥山氏について予備知識のない方は、まず、「伝統の逆襲」か「プロフェッショナル 仕事の流儀〈7〉」辺りを読んで、奥山氏のこれまでの人生遍歴についての理解を深めてから、本書に入られた方がよいかと思います。