大学でのあれこれ

新学期になり、授業が始まった。
今学期になってから、新しく受け持つ学生も多いので、いろいろと手がかかることや、とまどうことも多い。


特に、大学1年生の初年次教育のゼミを受け持っているので、いろいろ試行錯誤しながらやっている。
ゼミで読む本を決めて、担当を決めて発表させたのだが、「発表用のレジュメを作ってきて」と言ったら、「レジュメって何ですか?」とか「何文字以内で要約をすればいいんですか?」と言われたり、いざ発表させると、「紙に書いてあるとおりです」という感じの発表だったり・・・
こんな感じの、実質高校生のような学生を、この4ヶ月でまともな研究レポートを書くようにしたり、パワーポイントでプレゼンテーションできるところまで指導しないといけないことになっているので、いろいろと悩ましく、苦労が多い。


大学2・3年生のゼミは、さすがにもう少しまともで、事前に割り当てた発表はそこそこまともにできるのだが、それでもうちの学生は、ゼミのときはおとなしい子ばかりで、みんなで議論しよう、と言っても、誰も何も話をしなくて、場がしーんと静まりかえってしまうので、なかなか間が持たなくて苦労している。当ててみても、発言がなかなかでてこないし。
どうしたら学生が活発に議論するようになるのかしら?こういう場で何でもいいから話ができないと、きっと就活のグループディスカッションのときなどにも苦労すると思うのだが・・・
しょうがないので自分でいろいろ話をして間を持たせるのだが、自分で話をするにも事前にそれなりに話の中身を仕込んでおかないといけないので、毎回準備が大変である。
ところが、ゼミのコンパとかしてみると、みんな実はけっこう元気で楽しい子たちだったりする。たぶん、授業みたいな場で自己を表現することに慣れていないのだと思う。
大学に来る前の職場や、職場外で勉強会やボランティアなどで会う人たちは、みんな自分の考えを表現することに慣れた人が多かったので、大学に来てみて、こうしたおとなしい若者のやる気をどう盛り上げるかといったことや、自己表現力をどう身に付けさせるかといったことに、結構苦労している。
今まであまり身近にいなかった、平成生まれのいわゆる普通の若い子たちを相手にしている仕事なので、どうしたら彼ら彼女らの興味ややる気を惹きつけられるか、いろいろと試行錯誤中である。


大学4年生のゼミ生は、今は就活の真っ最中でみんな大変な時期なのだが、一人、休学したいと言って相談に来た。休学して、世界を旅したいのだという。
自分も大学の頃に、1年ぐらい休学して世界一周ぐらいしておけばよかったなぁと思っているので、「いいと思うよ。やりたいことがあるなら今のうちにやっておきなよ。その代わり休学中に、大学を卒業した後やりたいことを見つけるように」という話をした。
特に最近は、就活が大学3年生の頃から始まっていて、大学生は大学でやりたいことを見つけて打ち込む暇もないうちに、就活をスタートさせないといけないので、今の大学生は可哀想だと思う。こうした状況は、大学教育にも悪影響を及ぼしている。専門教育をしっかりしようと思っても、学生の側がそうなっていない現状がある。企業も、新卒採用にこだわって大学生の青田刈りをするよりも、もっと多様な人材を採用するようにした方がよいと思うのだが。
こうした中では、大学でなんとなく過ごして就活をスタートさせ就職してしまうよりは、1年ぐらい休学したり留年したりして、旅をしてみたりボランティアをしたり、あるいは留学でもしてみながら、人生の回り道をした方が、のちのちの本人のためにもなるのではないかと思う。


いずれにしても、普通の社会から大学での教育に転じてみると、若い子たちとの交流を通じて、いろいろと考えさせられる。