公務員制度改革の行方。

ここのところ急ピッチで話が動いている「公務員制度改革」。


人事院総裁が公然と反対を唱える中、政府サイドが押し切る形で「改革工程表」が決定され、カレンダーに載ろうとしている。


実際に新制度が始まる前に、政権与党が入れ変わる可能性は大いにありうるのだが、“キャリア公務員”システムを毛嫌いしているのは、野党・民主党も同じだから*1、ここでひとたびスケジュールに組み込まれてしまえば、そう易々と覆えることもないのではなかろうか。



今もっとも叩かれている「天下り」や「渡り」に関して言えば、誰しもが好き好んで早期退官→“天下り”というルートを歩んでいるわけではないし、同じようなことは大手の民間企業でも大なり小なりやっていることだから*2、“官僚”だけを敵視するのはいささか奇異に思えるが、いつだって正義は“お茶の間の世論”にある、というのもまた事実なわけで。


世の中の人々の多くは、「エリート官僚」とも「大会社の重役」とも無縁の人生を過ごすことを考えれば、ステータスの高さゆえ、景気が悪くなるとこの筋の人々が真っ先に生贄にされることは避けられないというべきだろう。



筆者としては、どうせ改革するのであれば、ゼネラリスト偏重主義を廃した上で、生え抜き採用者は特定の政策に精通したスペシャリストとして養成することにし、これまでの「キャリア」的役回りは、政治任用か民間企業で養成された管理職層の中途採用でまかなうようなシステムに変えたらどうか・・・、と思ったりもするのであるが、果たしてどんなものだろう?


単に、優秀層に対する「霞が関」の魅力を下げるだけの改革に終わるのであれば*3、この改革は失敗といわざるを得ないし、これを機に官民間の流動性が高まり、これまでと異なるルートで優秀層を引き付けることができるのであれば、成功だった、ということになるのだろうけど・・・


いずれにせよ、今、渦中にあるこの筋の方々に、心より同情の意を表したい。

*1:というか、元々こちらの方が“制度破壊”意欲は高い。

*2:現に、OBの受け入れのために存在しているような子会社だって存在しているわけで、そういった会社の存在が株主にとって必ずしも利益につながっていない点においても、官庁系の特殊法人、外郭団体と似たり寄ったりな面はある。

*3:しかも、政治部門が「霞が関」の受け皿にならず、優秀な頭脳がコンサルや金融機関の私益の実現のためだけに使われてしまうのであれば

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