国民審査後の第一関門

今,巷の一部では,今回の総選挙(というか,これと同時に行われる最高裁裁判官の国民審査)の“裏争点”のような位置づけになっている「一票の格差」問題だが,朝刊の片隅に↓のような記事がひっそりと載っていた。

「議員1人当たりの有権者数の格差(1票の格差)が最大4.86倍となった2007年7月の参院選の定数配分は違憲として,東京と神奈川の弁護士が両都県の選挙管理委員会に選挙無効を求めた訴訟の上告審で,最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は28日,判決を9月30日に言い渡すことを決めた。」(日本経済新聞2009年8月29日付朝刊・第38面)

判決が1カ月前倒しされていれば,今頃国民審査がもっと盛り上がっていたはずで(苦笑),平成19年の大法廷判決後に任命された最高裁判事*1にとっては,何とも幸運な期日指定となった,というべきだろう。


もっとも,各最高裁判事が,今回の「国民会議」の主張を真摯に受け止めて,違憲論に流れが傾く可能性もまた否定はできない。


これまで参院選の区割りの合憲性に関しては,衆院選に比べてもより緩やかな判断が示されているし,2007年の選挙が2006年の区割り改定(4増4減)の直後に行われたものであることなどを考慮すれば,選挙の違憲無効判決ないし違法宣言がなされる可能性は相当低いと予想されるのであるが,現に2倍を大きく超えた格差が存在することに変わりはない以上,実質違憲とする意見が多数を占めることになる可能性がないとはいえないのである。


もし,9月の判決で実質違憲論者が多数を占めるようなことになったとすれば,その先どうなるか・・・?

*1:今回国民審査の洗礼を受ければ,長官にならない限り再度国民審査を受ける可能性はまずない。

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